足根洞症候群。ケガをした後、足首の奥に継続した痛みや痺れ。

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

 

捻挫した後の足首の奥にずっと続く痛み。
シビレや立位時の不安定感。
外くるぶしよりチョット下のくぼんだ場所を押すと痛い。

そんな症状が続いていませんか?
今回は、意外と知られていないけど、実はけっこう多い疾患、

「足根洞症候群」(そっこんどうしょうこうぐん)について紹介していきます。

足根洞症候群。ケガをした後、足首の奥に継続した痛みや痺れ。

注意!このページでは足根洞症候群の概要を紹介しています。記事執筆時点での情報です。
医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が古くなっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

足根洞ってどこ?

足根洞の場所

足根洞(そくこんどう)は、足首の奥、かかとの上側にある空洞です。

「洞」は、「ほら」とか「うろ」とも読む漢字ですね。
意味としては「地中に空いた空間」のことです。

足根洞も人の足部にある空洞のことを指しています。
空洞といっても、内部には神経終末や脂肪組織、関節液・滑膜などが入っているんです。

かかとの骨・踵骨(しょうこつ)とその上にある距骨(きょこつ)が足根洞をつくっていて、周囲には強靭な靭帯(地面からの衝撃や体重を支えるため強靭)がそれを支えています。

足根洞の開口部

とくに内部にある骨間距踵靭帯には、深部感覚(関節の角度や位置を感じる)の神経終末が多く分布しています。
足根洞は距骨と踵骨で構成されていて、踵骨が地面につくと「距骨下関節」に傾きが生じます。

このとき骨間距踵靱帯が伸縮するので、地面の情報が脳に伝えられる仕組みになっています。

外側に大きく開口(外側出口部)していて、通常は多くの靭帯でふさがれており、内反捻挫によって靱帯が損傷してしまうことがあるのです。

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足根洞症候群ってなに?

足根洞症候群の痛む場所

足根洞の外側出口を押すと痛み、足関節(足首)の不安定感荷重時疼痛の症状があるもので、明確な原因は明らかになっていません。

足関節の外傷後(捻挫など)に、適切な固定や治療を行えずに放置されていたり、足部のアライメント障害(回外足など)がある方に多いことから、その関係性が疑われています。

※「症候群」とは。
①原因不明のもの
②数多くの複数要因が考えられるもの
「似たような症状の集まり」のことをいいます。

で、結局、どんなものかというと、

周囲軟部組織の損傷による慢性化した滑膜や脂肪組織の炎症

といえるでしょう。

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足根洞症候群の症状。

どんな症状が現れるかというと、

荷重時痛・歩行時痛
〇足関節の不安感(ぐらぐら感)
〇足底や足背部に放散(広がる)しびれ。
〇回外(足裏を内側に向ける)で痛み。
下り坂や不均整地(でこぼこ道)で痛み。
〇足根洞外側出口部を押すと痛い

特徴
〇腫れや熱感が出ることは少ないが、びまん性(周囲に広がるように)にみられることがある。
〇荷重時や立位時には疼痛が生じるものの、安静時には消失する事が多い。
〇関節の内部に患部があるので、はっきりと痛みのある場所を自覚できない。
〇レントゲン画像では、異常が発見されないことが多い。

多くの方が、「歩けるけど、痛い!」と訴えます。
ハイヒールや傾斜地での歩行、不均整地(でこぼこ道)での歩行時痛がある人も多いです。

中高年以降の人だと、内反足(回外足)などの変性がある人にも症状が出やすいです。

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足根洞症候群の原因と背景。

「症候群」は原因がひとつに絞り切れなかったり、不明だったり、とお話しましたが、足根洞症候群では足関節の外傷後に起こることが多いのが特徴です。

また、関節リウマチなどの膠原病や痛風などの関節炎でも足根洞症候群に移行していくことがあります。

足関節外傷後に移行

 

内返しの捻挫

足関節の外傷で多いのが「内反捻挫」。(足裏が内側を向くようにひねる!)
これで損傷しやすいのが、

前距腓靭帯
踵腓靭帯・後距腓靭帯
二分靭帯

実は、これらと同時に損傷しているかもしれない靭帯があるんです。

外側距踵靭帯(がいそくきょしょうじんたい)
骨間距踵靭帯(こっかんきょしょうじんたい)
頚靭帯(けいじんたい)

前距腓靭帯の少し前にある靭帯で距骨と踵骨をつないでいます。
内返し捻挫で前距腓靭帯が損傷すると、同時にこれらの靭帯も損傷する可能性があります。

内返し捻挫で損傷しやすい靭帯

前距腓靭帯、骨間距踵靭帯や頚靭帯の損傷は、足関節運動時の距骨の挙動に影響します。
距骨の挙動異常は、距骨下関節や足根洞内の滑膜、神経終末の炎症を引き起こします。

また、外傷時の血腫(内出血)は、足根洞の内部に瘢痕組織を形成してしまいます。

内返し捻挫
外くるぶし周囲の靭帯損傷

血腫(内出血)

靭帯や他の軟部組織の瘢痕化・線維化

距骨の挙動異常

足根洞内の滑膜や神経終末の慢性炎症

こちらの記事(距骨下関節について)もご一緒にご覧ください。【距骨下関節症(炎)】でこぼこ道や衝撃で足首に痛みが出る!

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距骨滑車や脛骨下端辺縁部に骨棘ができる「フットボーラーズアンクル」⇒『フットボーラーズアンクル(衝突性外骨腫)。足首に骨の棘が痛い!』

治療やリハビリ。

 

治療は保存的にサポーター足底板を使って、痛みと負担を減少させます。
それでも効果がない場合は注射が有効とされています。

難治性のものに関しては、関節鏡下で手術を選択される場合もあります。

滑膜や脂肪組織内の神経の興奮を抑えることで痛みや不安定感を減少させることが目的です。

靭帯が損傷すると関節の不安定性は残ります。
そのような場合は、周囲の筋肉を強化することで靭帯の代用をさせます。

足関節の外側の靭帯が損傷した場合には、

長腓骨筋・短腓骨筋(ちょうたんひこつきん)

を強化することが大切です。

長腓骨筋腱と短腓骨筋腱

再発を予防するために、サポーターの着用(内返しを防止する)やテーピングの使用も検討しましょう。

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腓骨筋はこんな筋肉
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まとめ。

〇足関節外傷後に移行することが多い。
〇関節炎からも移行する。
〇足根洞には、神経終末・滑膜が豊富。
〇内返し時に損傷する3つの靭帯と関連が深い!
「外側距踵靭帯・骨間距踵靭帯・頚靭帯」
〇外傷後血腫をなるべく抑えることも大切。
〇あまり知られていないが、実は数が多い疾患。
〇テーピングやサポーターも有効。

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