扁平足(偏平足)になる要因は?どんな障害がでやすい?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

扁平足:へんぺいそく

足の「土踏まず」が低くなることを扁平足(偏平足)といいます。
よく「疲れやすい」といわれますが、どうしてそうなるのでしょうか?

また、どんなことが原因となって扁平足になってしまうのでしょうか?

今回の記事では、意外と知らない人も多い、扁平足の要因と障害が起きやすい理由を解説していきます。

アーチの消失した右足

『扁平足(偏平足)になる要因は?どんな障害がでやすい?』

※ご注意!
このページでは「扁平足」(へんぺいそく)について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
ハイアーチについてはこちらの記事も参考にどうぞ!
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扁平足は病気ではなく「状態」

扁平足の特徴

扁平足とは、足の縦アーチが低下または消失している状態をいいます。
とくに内側縦アーチ(土踏まず)が減少しているときにいわれます。

※ヒトの足部には3つのアーチがあります。
内側縦アーチ(内側縦足弓)・外側縦アーチ(外側縦足弓)・横足アーチ(横足弓)
詳しくは縦アーチの記事・横アーチの記事もご一緒に参考にしてみてくださいね。

荷重なしでも扁平足になっている場合と、立位になると(荷重時に)縦アーチがつぶれてしまう場合とがあります。

扁平足の評価

扁平足の計測

いろいろな方向からアプローチした計測方法があります。

〇アーチの角度
踵骨(かかと)の接地点と舟状骨結節を結んだ線と第1中足骨頭部の低い点と舟状骨結節を結んだ線の角度

〇アーチの高さ
地面と舟状骨結節の高さと足長(かかとからつま先の長さ)の割合を計算する

〇踵骨の向き・角度
踵骨(かかと)は前方に向かって上に持ち上がるようになっています。その角度を測ることで扁平足かを判断します。
また、後方からみて回内・回外(踵骨の傾き)の角度でも判断します。

〇フットプリント
荷重時(立位時)・非荷重時の足型をとることで、土踏まずの状態をみます。
ただし、筋肉が大きい人や皮下脂肪が多い人、幼児などは土踏まず部分にも圧が加わるので扁平足と判断されることも。
やや正確性に欠けます。

扁平足は足の形を示す

扁平足は足の特徴を示しているだけ

いろいろな評価方法によって、扁平足と判断されても「異常」や「障害」と思う必要はありません。
確かにいろいろな痛みの原因になりますが、それ自体が病気でもなければ、疾患でもありません。

むしろ成人の多くの人が扁平足ぎみだといってもいいぐらいかもしれません。

乳児期や幼児期には縦アーチはほとんどありません。
また大人でも、母趾外転筋など足底部の内在筋が発達していると外見上は扁平足にみえます。

同じように脂肪組織が多い人も土踏まずだけに注目すると扁平足のように見えてしまいます。

また、実際に縦アーチが減少してしまっている場合でも、症状が出ていなければ日常生活で支障をきたすことはほとんどありません。(てことは、病気ではないってこと)

ただし将来的に痛みや歩行障害などが発生するリスクが高まりますので、今からでも対策しておくことをおすすめします。

足裏の各部位の名称は?⇒足裏の各部の名前や呼び方

年代によって原因が違うことも。

扁平足のフットプリント

足部の形は年代によっても大きく異なります。
筋肉の発達や骨の成長過程によって、足部のアーチが形成されるからです。

乳児~幼児期

骨がやわらかい・靭帯がゆるい・筋肉が弱いという特徴があり、ほとんどの人が偏平足であるといえます。

先天的に「足根骨癒合症」をもっている人も縦アーチの形成ができずに扁平足になることが多いです。

10代半ば~後半

骨が大きく成長する時期です。骨が硬化してくると同時に筋肉も大きくなりますが、そのタイミングのズレによって扁平足を生じることもあります。
また、運動習慣の影響も強く受けます。

思春期に大きな外傷によって、成長軟骨(長管骨の骨端部分)に異常をきたすことで足部の変形を生じてしまう例もあります。

大人

生活習慣によるものや病気によるもの、大きな外傷によるものなどいくつもの要因が絡み合って扁平足が発生していると考えられます。

大人が扁平足になりやすい要因

扁平足になりやすい要因
扁平足になりやすい要因は4種類に分けられます。
(1)加齢に関係するもの
(2)病気によるもの
(3)外傷によるもの
(4)生活習慣によるもの

(1)加齢に関係するもの

かかとや縦アーチを支える筋肉や靭帯が弱くなってしまうことで、アーチが支えられなくなるものです。

とくに後脛骨筋(こうけいこつきん)が萎縮(いしゅく)すると「後脛骨筋腱機能不全」(PTTD)になって、縦アーチが低下してしまいます。後脛骨筋機能不全になると回内足にもなりやすいので縦アーチの低下を助長します。

他にも足底筋膜や足底の屈筋が弱くなると間延びすることで、アーチの下支えの部分が延長してアーチの保持が難しくなります。

後脛骨筋腱機能不全(PTTD)ってなに?

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(2)病気によるもの

脳・神経の障害の弛緩性麻痺によってアーチを支える筋肉が弛緩(しかん)したり、萎縮(いしゅく)したりすることで、アーチの低下を引き起こします。

また長・短腓骨筋が痙性麻痺(けいせいまひ:力が抜けなくなる)を起こすと回内足を強調して扁平足を起こしやすいです。

足根洞症候群(そくこんどうしょうこうぐん)
足関節捻挫後における後遺症のひとつ。
多くが外側の靭帯を損傷しているので内返し(足底が内側へ)を防ごうとする。
これによって腓骨筋が異常に収縮。回内足になりやすい。
(詳しくはこちらの記事を参考に。⇒足根洞症候群。ケガをした後、足首の奥に継続した痛みや痺れ。 )
扁平足を起こしやすい病気
関節リウマチ
膠原病(こうげんびょう)
内分泌疾患(ホルモンの病気・異常)
脳性麻痺

(3)外傷によるもの

足根骨どうしをつなぐ靭帯の損傷によって、足根部のアーチが低下してしまうことも。
足根骨や中足骨の骨折によって変形してしまうことで扁平足を引き起こします。

扁平足を引き起こしやすい外傷
横足根関節(ショパール関節)捻挫
足根中足関節(リスフラン関節)捻挫
踵骨骨折(しょうこつこっせつ)
足根骨骨折・脱臼
中足骨骨折 など

(4)生活習慣によるもの

扁平足になりやすい生活習慣も挙げておきましょう。

肥満・体重増加
かかとが不安定な靴
硬い地面での運動
長時間(長期間)の立位姿勢(歩行)

足部は体重がかかるとアーチを減少させて接地面積を大きくします。
・・・ということは、立位で荷重される時間が長かったり、地面からの反発力が強くなれば、アーチをつぶれる方向に力が加わるのです。

扁平足になりやすい習慣をみてみると、自分に当てはまることばかり。
という人も多いですよね。普段から少しずつでも気を付けておきたいですね。

後脛骨筋(こうけいこつきん)が大切!

後脛骨筋の位置、起始停止、作用

足の縦アーチで大切な役割をしている筋肉のひとつが、「後脛骨筋」(こうけいこつきん)という筋肉です。
脛骨(けいこつ)の後ろ側から土踏まず(舟状骨)に付着して、内側縦アーチを持ち上げています。

足部を回外させたり、足関節(足首)を底屈させる(つま先を下げる)作用があり、衝撃の吸収やバランス保持、歩行時の推進力をサポートしています。

後脛骨筋について⇒内くるぶしの下や後ろが痛い!後脛骨筋腱炎ってどんなケガ?

この後脛骨筋がなんらかの理由で機能不全に陥ると、体重や衝撃に逆らって土踏まず(内側縦アーチ)を持ち上げる能力が低下します。(後脛骨筋機能不全

後脛骨筋機能不全(PTTD)
外傷・加齢・肥満・糖尿病・膠原病などさまざまなものが背景になる。
変性や摩擦による断裂や廃用性萎縮による筋力低下で後脛骨筋の機能が低下する。

後脛骨機能不全になると、腓骨筋側との左右のバランスが崩れて「回内足」になりやすいです。

回内足になることで扁平足が助長されることになります。
「外反扁平足」(がいはんへんぺいそく)といって後方からみると足裏への荷重が母趾側へ寄っているのがわかりやすいです。

後脛骨筋腱機能不全(PTTD)とは?
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扁平足によって起きやすい障害

扁平足でよくある症状
・足裏やかかと周囲の痛み
・内くるぶし、足根管まわりの痛み
・足関節の柔軟性低下
・下肢全体の易疲労感
・膝や股関節の痛み

内側縦アーチの減少と回内足が進行が扁平足を引き起こします。
よく「疲れやすい」「運動能力の低下」が起きやすいといわれますね。

縦アーチのバネが吸収していた衝撃は、他の部分で補うことになり、下肢全体の筋・関節の負担を増やすことになり疲労度は上昇。
縦アーチのバネの作用で得られていた推進力も低下することで、運動パフォーマンスも落ちやすくなるのです。

扁平足によって起きやすい痛み

扁平足が原因となりやすい痛みや障害

〇足底筋膜炎
扁平足によって引き延ばされた足底筋膜やその付着部が炎症を起こします。
足底筋膜炎
〇外反母趾
第1中足骨が回内することで腱の牽引方向が変化して発生します。
「外反母趾」(がいはんぼし)とは?痛み始めの対策が大切。
〇有痛性外脛骨
舟状骨が下方にいくと炎症を起こしやすいです。
有痛性外脛骨(外けい骨障害)。偏平足や回内足。内くるぶしの前の出っ張った骨の痛みに注意!
〇アキレス腱炎・周囲炎
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎。かかと後ろ側の痛みに気を付けよう!
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〇X脚

足の舟状骨について詳しく!

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防げるものは予防しよう。

扁平足は病気ではない!といったものの、足部の不調につながるリスクもあるので、今よりひどくならないように対策をとっておきたいですね。

足ウラには「メカノレセプター」という感覚受容器が多く分布しています。
扁平足の状態で歩くと、メカノレセプターがうまく使えず、バランス能力が低下してしまう恐れがあります。
「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー

装具療法

扁平足用のインソールは有効

サポーター足底挿板(インソール)でアーチを支持すること、足部の回内を防ぐためにかかとを保持するものがおすすめです。

長時間の運動時にはテーピングも有効です。
土踏まずを持ち上げるように引っ張ること、踵骨(かかと)の載距突起(さいきょとっき)が倒れないようにすることがポイントです。

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運動療法

足裏を鍛えるつま先立ち

アプローチのは二通り。
とくに弛緩性(しかんせい)の扁平足(荷重時にのみ扁平足になる)の場合は、運動療法を根気よく続けることで改善も期待できます。

運動療法は、靭帯や筋肉を強化したり柔軟性を得ることで負担を減らすことを目的に行います。

(1)縦アーチにかかる負担を減らす!
立位でいる時間や体重を減らして縦アーチへの負荷を減らします。運動をしている人は足への衝撃を減らす工夫をしてみるのもいいです。

(2)アーチを作る筋肉を強化する!
アーチの底面を支えているのが足底の屈筋群。足指でじゃんけんしたり、タオルギャザー(足指でタオルを引き寄せる)をしてみましょう。
もうひとつ意識しておきたいのが後脛骨筋
アーチを引き上げるのと同時に足部の回内を防いでくれます。

筋力を強化するのと同時にふだんから負担のかかるふくらはぎの筋肉や前脛部の筋肉のケアをしておくことも大切です。

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扁平足まとめ

〇足部縦アーチの扁平化。病気というわけではない。
〇幼児期はみんな扁平足
〇原因はさまざまでいくつかの要因が関連
〇後脛骨筋の機能を正常に保つことは大切
〇対策は足底の屈筋群強化とふくらはぎの筋肉強化

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