外反母趾のテーピング。巻き方と押さえておくポイントと注意事項

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

外反母趾(がいはんぼし)は足の親指が小指(小趾)側を向いてしまう足指の変形です。
有痛性(痛みがある)のものと無痛性(痛みのない)のものがあります。

外反母趾は放置してそのままにしておくとさらに進行してしまう恐れがあるんです。
原因は筋肉の引っ張り

足部の骨の位置関係が変化してしまうことで本来の筋肉の牽引方向に狂いを生じてしまうことで発症。
その後、位置関係が破綻した状態で筋肉が使われる(立ったり歩いたり)ことでより変形が進んでしまうものです。

それでも私たちは仕事やスポーツ、生活の中で長く歩かなければいけない時もありますよね。
また、市販のサポーターではサイズや力加減が合わないこともあります。

そんなときに自分でも貼りやすい「外反母趾のテーピング」を紹介します。

外反母趾のテーピング。巻き方と押さえておくポイントと注意事項

※ご注意!
このページでは「外反母趾のテーピング」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

外反母趾はどうやって生じる?

母趾が外側を向き、中足骨が内側を向くのが外反母趾。両方の長軸が交わる角度がHV角

母趾がMTP関節で小指側に曲がり、HV角が20度以上になると外反母趾と診断されます。HV角が20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。 圧倒的に中高年の女性に多いため、ハイヒールが原因と思われがちですが、ハイヒールを履いたことがない男性でも外反母趾になることがありますし、ハイヒールを毎日履いていても外反母趾にならない女性もいます。生まれつきの足の形(遺伝も大きく影響します)と生活習慣が組み合わさって一定の条件を満たした場合、外反母趾が発症するようです。放置すると、変形が進行することはあっても自然治癒することはありません。
同友会グループHP「ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方」より引用

外反母趾は女性に多いです。ただ男性がならないわけではなく、外反母趾になる人もいます。

原因はさまざまですが、

〇病気的要因
関節リウマチや糖尿病など

〇遺伝的要因
骨の太さや形など

〇後天的要因
肥満や筋力低下、履き物、生活環境など

後脛骨筋腱機能不全では踵骨の回内(外反)と舟状骨が下方に移動することが問題となる↑舟状骨を持ち上げるように働く後脛骨筋の低下によってかかとが内側に倒れる

これらのほとんどに「踵骨の外返し」を伴います。
踵骨(しょうこつ)はかかとの骨。外返しは底側が外側を向く動き。この踵骨外返しは後脛骨筋(こうけいこつきん)の低下によって引き起こされます。

後脛骨筋は足の内側にある舟状骨(しゅうじょうこつ)とその足底側に付着するので、かかたが内側に倒れるのを防ぐ役割をしています。
この後脛骨筋の機能が低下したり効かなくなることでかかとが内側に倒れるオーバープロネーションといいます)のが外反母趾の始まりです。

後脛骨筋の機能低下

踵骨の外返し
(オーバープロネーション)

内側縦アーチの低下
第1中足骨の外返し(回内)

筋肉の牽引方向の変化

外反母趾
※踵骨の外返し(オーバープロネーション)は「回内足」や「扁平足」の原因にもなりやすいです。
回内足⇒「回内足」(かいないそく)と「過回内」(オーバープロネーション)
扁平足⇒扁平足(偏平足)になる要因は?どんな障害がでやすい?
腱の牽引方向が外反母趾を悪化させる
母趾を外反させる筋肉
〈足部の変形によって〉
母趾内転筋(ぼしないてんきん)
短母趾屈筋(たんぼしくっきん)
長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)

外反母趾についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

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テーピングを貼るときのポイント

外反母趾テーピングのポイント。母趾をまっすぐに。かかとを直立。縦アーチ横アーチの保護。

〇母趾の向きを中足骨の長軸に合わせるように
〇基節骨が外返し(底側が外側へ向く)している場合は、戻す方向へスパイラル状(らせん状)に引っ張る
〇踵骨の外返し(オーバープロネーション)を防止
〇横アーチ・内側縦アーチの保護
〇痛風・関節リウマチ・化膿性関節炎との鑑別が必要

母趾の外反(つま先が外向き)だけに注目せず、捻転(ねじれ)やかかと、土踏まずの形状も重要。
足部の骨の位置を整えることで悪化を防ぎましょう。

扁平足の人は内側縦アーチ、開帳足の人は横アーチを形成しながらテーピングをすることで腱の牽引方向を正しく向けることができます。

足部の骨の基礎知識についてはこちらの記事もご覧ください。

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足の親指周囲のいたみについてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。

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【簡単】外反母趾のテーピングやり方

外反母趾を5本のテーピングで補正する巻き方

外反母趾のテーピングは人によってやり方はさまざま。もちろんご自分の変形ぐあいによっても異なります。
今回は自分でも貼りやすい簡単な巻き方を紹介します。

ウェブ上でもたくさんのテーピング方法が公開されているので、いろいろ試してみて自分の状態に合った方法を見つけてみてください。

テーピングの準備

使うテーピングは伸張力が強いキネシオテープが基本。
キネシオテープを使う理由は、

  • 通気性があるので皮膚に負担をかけにくい!
  • 牽引力がやさしく、ヘタりにくい!

痛みや炎症、変形が強いときは、より収縮が強いエラスチコンを部分的に使って固定するように巻きます。

今回は、幅5cmのキネシオテープを100cmぐらい使います。

外反母趾のテーピング

母趾がねじれている場合は①から、ねじれていない場合は①のテープは省略して②の母趾外反制限テープから始めましょう。

①ねじれを戻すテープ
テープを細め(38㎜ぐらい)に切って準備する。長さは10~12cmぐらいでOK。
母趾が回内しているとき。(足裏が外を向く)

外反母趾のテーピング1本目。母趾の回外を戻すようにらせん状に引っ張る

足のねじれを戻すようにスパイラル状(らせん状)に引っ張る。

②母趾の外反を制限する!

幅5㎝のテープを20~22㎝ぐらい

②外反を制限するテーピング。母趾の向きを合わせるように引っ張りながら貼る

第1中節骨の長軸方向に向くように少しだけ引っ張る。(強く引っ張りすぎないこと)

③母趾外転筋を押さえる!

幅5cm、長さ10cmぐらい。

外反母趾テーピング3本目。母趾外転筋を押さえることで外反を緩める目的。 縦アーチと横アーチの補助にもなる。
母趾外転筋(ぼしがいてんきん)を圧迫することで強制力をアップさせる。
第1中足骨や縦アーチの補助にもなる。

④踵骨をサポート

幅5cm長さ30cmを2本使います。

かかとを直立させるテーピング1本目。外くるぶし上からかかと内側を斜めに上行、足首前側で止める1本目と反対に内くるぶし上から始めてかかとの外側をサポートする

かかとが倒れないように(まっすぐになるように)、ロックする。(ヒールロック

※くつを履くときは!
横アーチ・内側縦アーチをサポートするインソールを同時に使用するのも有効。

必ず最後に足を着いてみて、きつすぎないかチェックすること。

足部の動きの名前を覚えよう。

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テーピング時の注意事項

〇無理な矯正はかえって悪化させることもある。
〇テーピングのみで外反母趾が元通りになるわけではない。
〇長期間貼り続けられない。

無理な矯正はかえって悪化させることもある。

前述したとおり、外反母趾は発生する原因が母趾MTP関節(母趾中足趾節関節)のみにあるわけではありません。

踵骨(かかと)のオーバープロネーション(外返し)や内側縦アーチの減少が原因で、母趾の基節骨より先が外側へ向いてしまうものです。

なので、足の親指を内側方向に強引に引っ張るだけでは、周囲の靱帯や基節骨基部(足指の根元)に停止する腱を傷めてしまう可能性があります。

できるだけ内側縦アーチを補助するとともに踵骨を直立させながら、母趾をやさしく戻す方向に引っ張るべきです。

テーピングのみで外反母趾が元通りになるわけではない。

テーピングは一時的に骨の位置を正しい方向に向けることが目的。
1週間~2週間貼り続けても改善する可能性は低いです。
効果は一時的なもの。テーピングの効果を過信せずに使う場面を見極めましょう。

使う場面を限定する!
〇たくさん歩かなければならないとき
〇スポーツをするとき
〇痛みが強いとき

長期間貼り続けられない。

テーピングは貼っている時間も剥がすときも皮膚に大きな負担をかけます。

表皮に傷があると細菌感染の心配もあります。とくに足部分では靴下や靴によって蒸れやすいです。
剥がしたあとも清潔にしておかないと、接着剤が皮膚に残り細菌が繁殖しやすくなります。

外反母趾のために考案されたサポーターも数多く市販されています。靴やインソールなどとともに自分の生活に合わせて、検討してみるのもアリかもしれません。

一般的なテーピングの注意事項についてはこちらの記事も参考にどうぞ。

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外反母趾のテーピングまとめ

〇矯正というよりも悪化防止を目的とする。
〇痛みを軽減させる効果もある。
〇捻転しているときは戻すように引っ張る。
〇踵骨や内側縦アーチの保護も重要
〇母趾外転筋を軽く圧迫するとよい
〇痛みや機能障害がなければインソールやサポーターで進行予防も検討する。

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