こんにちは。ほんだ整骨院山内です。
足首を内返し捻挫!(足の裏が内側を向く捻り方)
段差やハイヒールで足首をひねるケガです。
スポーツ選手でもよくみられるケガのひとつですね。
足首の外側を中心に腫れと痛みが出るのですが、
ここで注意しておきたいのが、
剥離骨折(はくりこっせつ)
裂離(れつり)骨折ともいいます。
「捻挫だから大丈夫。」
「ひねっただけだからすぐ治る!」
な~んて考えると後々に障害を残してしまうことにつながりかねません。
ということで、今日は足を内返しでひねってケガをしたときに起こる
『外果剥離骨折(がいかはくりこっせつ)』
について紹介していきましょう。
※「外果」は足(腓骨)の外くるぶしのことです。
『【外果剥離骨折】足をひねって・・・外くるぶしが骨折する?!』
このページでは「外果剥離骨折」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足首を内返しして損傷するのは・・
足首って、つま先を挙げている状態がいちばん安定しやすいんです。
そう、だいたい足首を捻挫するときって、
つま先が下がった状態(底屈位)
なのです。
で、このとき引っ張られる靭帯(損傷しやすい靭帯)は・・・
足首を内返し(足裏が内側を向く動き)+底屈(つま先をさげる)させた状態のことを指す。
この運動のことを「回外」という。〈2023年9/19追記〉
足首の捻挫については、こちらの記事でも詳しく説明しています。
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①前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)
足関節軽度底屈位(足先が軽く下がっている状態)で、いちばん引き延ばされる靭帯です。
外くるぶしと距骨をつないでいます。
足首が底屈するときに距骨が前方に押し出されないようにする役割もあります。
足首の捻挫でいちばん多い靭帯損傷。
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②踵腓靭帯(しょうひじんたい)
外くるぶしの後方と踵の骨をつなぐ靭帯です。
この靭帯を損傷するときは、足首が背屈位(つま先が上がっている)のことが多いです。
内返し捻挫のときは、踵腓靭帯の損傷もチェック!
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③背側踵立方靭帯(はいそくしょうりっぽうじんたい)
踵の骨とその前方にある立方骨をつなぐ靭帯です。
足の甲側と裏側にあり、いためやすいのは足の甲側。
この靭帯を損傷するときは、より底屈位が強い状態です。
くるぶしよりもちょっと前方の部分が腫れます。
背側踵立方靭帯は、二分靭帯(Y靭帯)の一部。詳しくはこちらの記事で解説しています。⇒「二分靭帯」の損傷。足首を捻って足の甲の外側が腫れた!
④前脛腓靭帯(ぜんけいひじんたい)
脛骨(すねの骨)と外くるぶし(腓骨ひこつ)を前方でつなぐ靭帯です。
内返し時に脛骨と腓骨が引き離されるように捻じれることで損傷します。
足首の前側から外くるぶしにかけて腫れたり内出血を起こします。
⑤下駄(ばき)骨折
こちらは靭帯の損傷ではないのですが、腓骨筋腱の牽引力による剥離骨折の形態をとることが多いです。
正式には「第5中足骨基底部(剥離)骨折」といいます。
剥離骨折(はくり骨折)って?
剥離骨折とは、裂離骨折(れつりこっせつ)ともいいます。
靭帯や腱の牽引力(引っ張る力)によって、付着部の骨が引きはがされるようにして損傷します。
(剥離骨折について詳しくは⇒剥離骨折(裂離骨折)とはどんな骨折?原因と特徴。気を付けることは?)
ポイント!
剥離骨折は、原因になる靭帯の中枢側付着部で起こることが多い。
剥離骨折の多くは、不全骨折(ヒビや骨がめくれるぐらい)ですが、完全骨折になると靭帯や筋肉の牽引力によって「転位」がおこります。
「転位」・・・骨片(骨折した部分)ずれて、正しい位置にいないことをいいます。
転位がある場合は「整復」といって、骨片を元の位置に戻す必要があります。
「固定」のしかたも大切です。
剥離骨折は靭帯や腱の牽引力によるものです。その牽引力が原因の付着部にかからないようにすることが必要なんです。
同じ骨の骨折でも、損傷した場所によって固定の姿勢が違うのはこのためですね。
足の指も剥離骨折が起きやすい部位です。
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外果剥離骨折の原因と症状は?
ここまでは、「剥離骨折」全般について、お話してきましたが、次は、本題「外果剥離骨折」についてみていきましょう。
前距腓靭帯が原因となることが多い!
外果剥離骨折の原因となる靭帯は、
前距腓靭帯と踵腓靭帯
外くるぶし(外果)に中枢側の付着部をもつ靭帯ですね。
とくに多いのがいちばんテンション(引っ張り力)がかかりやすい前距腓靭帯によるものです。
内反強制(足裏を内側に向ける強制力)によって、前距腓靭帯・踵腓靭帯ともにけん引力が加わります。
このときに、
靭帯のほうが傷ついて損傷すれば、「捻挫」
骨の付着部が損傷すれば、「剥離骨折」
となります。
実は子どもは外果剥離骨折を起こしやすいんです!
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【外果剥離骨折】の症状
「捻挫」か「剥離骨折」は、皮下出血斑がでてくる時期が少し違います。
「捻挫」(靭帯の損傷)では、出血斑が皮膚から見える時期が遅く、「骨折」では早期に見られることが多いです。
内出血の色も「骨折」のほうが濃く、黒っぽいように見えることが多いです。
ですが、少し時間が経過すると出血斑は同じように出現しているので、判断しにくくなります。
画像診断がすぐにできない場合は、「骨折」していることを想定して固定します。
画像以外の鑑別方法としては、
「捻挫」:外果(外くるぶし)より前側に圧痛が強い。
「骨折」:外果部分に圧痛が強い。
ただし、受傷直後は腫脹も痛みも強いので圧痛部位も良くわからないことがほとんど。できるだけ画像診断を仰ぎましょう。
症状
皮下出血斑・・・著明
腫脹(はれ)・・・著明
運動痛・・・底屈(つま先をさげる)や回外(足底を内側へ)で著明
圧痛・・・外果前方で著明
おおむね・・・・・・・・「著明」って感じですね。
とくに皮下出血斑は、時間の経過とともに内果(内くるぶし)や足底(あしうら)まで及ぶこともあります。
どうやって固定する?
足関節(足首)が安定しやすいのは、「背屈位」。
立位や歩行を考えれば、直角位(脛骨と足底が直角)が理想です。
底屈位や内反位になると、前距腓靭帯にけん引力が加わるので骨癒合に不利になるので注意です。
固定期間。
固定期間は、癒合状況をみて決定しますが、
4~5週は必要です。
強い固定が外れてからもサポーターや包帯などで患部を守るようにしておきます。
リハビリ
足部の骨折は、体幹部や上肢の骨折よりも血流が少ないので固定期間が長くなりがちです。
固定期間が長いと「癒着」が起こります。
「癒着」は組織同士がくっついてしまうことです。
「癒着」が起こると関節の「拘縮」(こうしゅく)をおこします。関節可動域が制限されます。
とくに底屈。足先を下げる動きに制限が残りやすいです。
固定期間が終わり次第、少しずつリハビリを行いましょう。
関連記事:足裏の筋肉のケアは大事です!⇒あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!
リハビリはどうやる?
無理して再負傷しないように、優しく行いましょう。
①最初は自分の力で動かせる範囲でつま先を上下に運動
②タオルやバンドを足裏にかけて背屈(つま先を挙げる)
③自分の手で徐々に底屈させていく。
リハビリ前は温、あとは冷
リハビリを行う前に身体ごと温まったり、患部を温めるとより効果的です。
リハビリ後は、熱感があれば冷やす必要もあります。
可動域のリハビリは「癒着」をはがす作業です。できた組織を壊すことになるので炎症を生じます。
リハビリ直後は10分くらい外くるぶしを冷やしましょう。
バランストレーニング
可動域の訓練も佳境に入ってきたら、バランストレーニングも加えましょう!
関節とくに靭帯には、「位置覚」という感覚があるのを知っていますか?
関節がどれくらい曲がっているか、関節にどれくらい負担がかかっているか、という情報を脳に伝える機能です。
それによって私たちは、片足立ちができるようになっています。
しかし、重度の捻挫や骨折による長期間の固定により、その「位置覚」が鈍ってしまうのです。
位置覚自体が無くなってしまうわけではないので、再訓練すれば大丈夫。
まずは、硬い床で片足立ち。
健側(ケガしていない方)では、余裕で立つことができるはず。
一方、患側(ケガした足)では、グラグラグラ・・・
これも何日か練習するとすぐに立てるようになります。
次は柔らかい場所でも練習しましょう。
座布団の上やバランスマット、バランスディスクなど器具を使いながらやるのもいいですね。
(転倒の危険がないように行うこと!)
余裕で立てるようになったら、スポーツや競技に復帰してもいい時期です。
まとめ!
〇外果剥離骨折は、内反強制によって起こることが多い。
〇前距腓靭帯の牽引力で付着部がはがれる。
〇内出血・腫れともにひどく出る。
〇圧痛は外くるぶし。
〇固定をしっかりやらないと「転位」する可能性がある。
〇固定後はリハビリをやること!
いかがでしょうか、リハビリは大事ですが、自分だけの判断だと長くかかってしまったり、再負傷の恐れもでてきます。
お近くの専門家に相談してみてくださいね。
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