こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
足関節とは、わたしたちがいう「足首」のこと。
日常生活やスポーツの現場で足首をケガしてしまうことは多いですよね。
軽い「ねんざ」だとしても油断は禁物。
後々まで痛みや機能障害が残ってしまうこともあるんです。
今回は、足首の外傷後に起きることが多い、
「足関節不安定症」
(そくかんせつふあんていしょう)
を紹介していきましょう。
普段は痛みはないけど、片足立ちで不安感が強かったり、ズレるような感覚、切り返しのターンでの怖さがある人は注意が必要です。
『「足関節不安定症」足首の長引く痛みや不安感、音が鳴ることも。』
このページでは「足関節不安定症」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足関節不安定症はどんな症状?
全部の症状が出るわけではありません。
足首が不安定になる原因によっても症状が変わります。
〇つま先立ちが不安
〇かかとを浮かせて立つとガクッとすることがある
〇捻挫しそうな怖さがある
〇切り返し(ターン)が怖い
〇歩行時に痛みを感じることがある
〇動かした時に音が鳴る
診断は、自覚症状や「距骨前方引き出しテスト」、ストレスレントゲンなどから総合的に判断されます。
慢性足関節不安定症って?
簡単にいうと、足首の関節が緩くなってしまったり、関節面の不整によって足首の荷重や運動に障害が残ってしまうもの、また足関節の外傷による機能的な障害が残ってしまうもの。
「CAI」
(Chronic Ancle Instability)
ともいわれます。
ほとんどが「距腿関節」(きょたいかんせつ)で起きていますが、中には「距骨下関節」(きょこつかかんせつ)で生じている場合もあります。
(距骨下関節についてはこちらの記事をご覧ください。⇒【距骨下関節症(炎)】でこぼこ道や衝撃で足首の奥に痛みが出る! )
足首の靭帯が緩くなってしまったり、靭帯の機能が低下してしまうことで、「距骨」(きょこつ)の挙動に遊びが出てしまうことで発生します。
足首捻挫の後遺症や合併症⇒足首の捻挫(足関節靭帯損傷)の合併症と後遺症!
足関節不安定症の原因
②リウマチや糖尿病などで結合組織がもろくなる
③加齢や使い過ぎによる摩耗
原因はさまざまですが、圧倒的に多いのは内返し強制による靭帯や骨の損傷による後遺症。
固定がゆるかったり、期間が短すぎたり、早期に復帰しすぎたり・・・という原因が多いです。
足首をひねってしまうことは多いですが、きちんと治療できなかったことが足関節不安定症につながることもあるんです。
足関節の靭帯損傷⇒足関節捻挫(足首をひねって靭帯損傷)はどんなケガ?注意事項は?
足関節外果の剥離骨折⇒【外果剥離骨折】足をひねって・・・外くるぶしが骨折する?!
足関節の構造的異常
MAI
(Mechanical Ancle Instability)
といわれます。
距腿関節の靭帯や関節軟骨、骨の変形によって、関節面のアライメントに異常をきたすものです。
足首の離断性骨軟骨炎⇒足首の離断性骨軟骨炎。長期続く痛みに注意。不安定症の原因にも。
足関節の機能的異常
FAI
(Functional Ancle Instability)
といわれます。
足関節の靭帯や腱、軟骨部分には、関節の角度調整を感知する「位置覚」という感覚受容器があります。
これらの感覚受容器がケガのときに損傷してしまったり、長期の固定や癒着によって効かなくなってしまったりすることがあります。
また、治療期間安静にすることで足首周りの筋力低下を生じてしまうこともあります。
脳━神経━筋━関節運動、これらの指令系統に異常をきたしてしまっているのが「FAI」です。
足関節不安定症は放置しないこと!
足関節不安定症は、関節の適合が悪くなっている状態です。
ということは、そのまま放置して荷重しながら歩くことで、「変形性関節症」や骨棘(こつきょく)を生じさせてしまう原因になります。
放置すると・・・
などが考えられます。
治療と予防
今回紹介した「CAI」は治療していくのが難しい障害です。
やっぱり大切なのは「予防」。
多くが足首をひねってケガをしたあとに生じていることから、それらの外傷の治療━リハビリ━復帰の過程を慎重に見極めながら行うことが必要です。
予防
〇足関節外傷の治療は、損傷の程度に関わらず慎重に行う。
〇足関節受傷後の応急処置も大切(⇒足首をひねったときの応急処置。医療機関に行くまでに注意すること! )
〇固定後のリハビリ。関節可動域訓練、神経━筋の再教育、筋力回復を必ず行う。
治療
基本的には「保存療法」(手術せずに機能回復を行う治療)で行われます。
保存療法で回復しなかったり、日常生活にも大きな支障をきたす場合には「手術」(観血療法)が選択される場合もあります。
〇固定・安静
靭帯、腱、関節軟骨、骨などに炎症を生じている場合は、固定して安静にすることで炎症を抑えます。
側面にステー(副え木)のあるサポーターやバンド型で固定力のあるサポーターを選びましょう。
サポーターってなんのために使う?⇒サポーターの役割って?注意点を守れば手軽で使いやすいツール。
〇代替する筋肉の強化足首外側の靭帯の機能を代わりにしてくれるのが「長短腓骨筋」。内側は「後脛骨筋」。
これらの筋肉を強化するトレーニングを行いましょう。
〇バランストレーニング脳と神経、筋肉の繋がりを回復させる訓練でもあります。
同時に足首周りの筋肉強化も期待できます。
足関節不安定症のまとめ
〇足首の外傷後に生じることが多い。
〇構造物(靭帯・軟骨・骨)に異常=MAI
〇機能的(神経━筋の伝達障害)に異常=FAI
〇放置すると他部位に悪影響がでることも。
〇足首外傷は軽くても放置しないこと!
〇適切な固定期間とリハビリは大事。
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