足の外側(小指側)が痛い!「立方骨症候群」とは?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

立方骨(りっぽうこつ)は、足のかかと前方外側にある骨
足根骨(そくこんこつ)のひとつです。

その立方骨の周囲に痛みが生じるのが、

立方骨症候群
(りっぽうこつしょうこうぐん)

症候群とは、
原因が不明または複数の一連の症状が現れる病態
です。

立方骨症候群は確かな原因はよく分かってはいません。
ただ、立方骨には普段から強い負担がかかっていて、それが原因なのではないかといわれています。

今日は「立方骨症候群」について紹介していきます。

立方骨症候群は足部外側に痛みが生じる

足の外側(小指側)が痛い!「立方骨症候群」(りっぽうこつしょうこうぐん)とは?

※ご注意!
このページでは「立方骨症候群」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

立方骨症候群は足部外側の痛み

立方骨症候群(りっぽうこつしょうこうぐん)は、足部のかかと外側の前寄りの部分周囲に痛みが生じるもの。
〈英語ではCuboid syndrome(キューボイドシンドローム)といいます〉

足部(かかとからつま先まで)のうち足指の骨と中足骨をのぞいた骨を足根骨(そくこんこつ)といいます。

足部の骨の中足骨、趾骨を除いた7つを足根骨という

足根骨は全部で7つ。
そのうち立方骨は踵骨(かかと)の前方外側にあります。
ちょうどくるぶしの前にある骨です。

足部の骨や関節についてはこちらの記事で詳しく解説します。

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立方骨周囲の組織損傷からくる痛み

立方骨は、外側縦アーチを構成する骨のひとつです。
とくに外側縦アーチの天井部分を支えている重要な骨。

この周囲には、

二分靱帯(にぶんじんたい)
背側踵立方靱帯(はいそくしょうりっぽうじんたい)
短腓骨筋腱(たんひこつきんけん)
長腓骨筋腱(ちょうひこつきんけん)

歩行やスポーツ活動で大きな負荷のかかる組織があります。

これらの組織が外傷(ねんざや骨折などのケガ)や使いすぎ(オーバーユース)によって立方骨周囲の関節が動揺することで痛みを感じるのが立方骨症候群です。

縦アーチについて詳しく解説!

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おもな症状は足部外側の痛み

症状
足部外側(小指側)の痛み
歩行時痛
荷重痛
つま先立ちでの痛み・できない
足首の底屈制限(つま先を下げる動き)
足部足裏の外側へのしびれ・放散痛

症状はさまざまですが、ほとんどの人が訴えるのが、足部外側とくに中足部~足趾(第5趾)のつけ根の痛みです。

痛みが出る場面としては、つま先立ち状態での荷重(体重をのせる)される動き。
なので、歩行時に痛みが出るのは立脚後期(後ろ足でつま先立ち状態)です。

人によっては、足首を底屈(つま先を下げる)しただけでも痛みが出たり、足外側から裏側にかけてしびれ放散痛(広がるような痛み)が出ることもあります。

踵立方関節関節(しょうりっぽうかんせつ)のすぐ近くには、腓腹神経(ひふくしんけい)が走行しており、なんらかの影響でその神経領域にしびれや痛みを感じるものです。

立方骨への大きな負荷が原因

足首の捻挫(内反捻挫が多い)
回内足(かかとが内側に倒れる)
つま先立ち
サイドステップや切り返し
でこぼこ地面(不整地)
体重の増加

立方骨症候群は、足部の外傷(捻挫や骨折などのケガ)や障害(使いすぎや負担の増加)がきっかけで、足部外側に痛みが生じるものです。

回内足についてはこちらの記事も参考にしてみてください⇒「回内足」(かいないそく)と「過回内」(オーバープロネーション)

立方骨は負担がかかりやすい

底屈状態で体重を乗せると立方骨には上下からの圧迫力が加わる

〇つま先立ち・歩行の後ろ足

立方骨は、つま先立ちになったときに踵骨(かかと)との隣接する面積が大きいです。

歩行時の立脚後期(後ろ足で片足立ちになるとき)で、足底面の外側荷重のとき立方骨は地面と荷重の圧迫を受けることになります。

このように強い力が立方骨に働き押しつぶされるように損傷すると圧迫骨折を生じることも。
立方骨の圧迫骨折は「くるみ割り骨折」と呼ばれます。

〇運動時のオーバーユース

スタート&ストップ、サイドステップ、ジャンプなどの繰り返しによって、外側縦アーチを引き伸ばすような力が働きます。
外側縦アーチの天井部分は立方骨なので、オーバーユースにもなりやすいです。

繰り返し立方骨へ強い外力が働くことで疲労骨折」へ進展することもあるので注意が必要。

オーバーユースってなんだ?⇒「オーバーユース」(使いすぎ)に注意!

〇体重の増加

体重増加は足部の3つのアーチへの負荷も増大させます。
同時に方向や運動時にはたらく立方骨への圧迫力も増えることになります。

〇足部外傷や関節がやわらかい人

足部の外傷、とくに捻挫による靱帯損傷では組織にゆるみが生じます。
足根骨どうしはもともと平面関節(ほとんど動かない関節)が多いですが、動いてしまうことによって痛みや損傷の原因になることも。

足関節捻挫の合併症と後遺症についての記事はこちらです。

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長腓骨筋腱も原因のひとつ

長腓骨筋は下腿外側を通って、外果後方を回る。さらに立方骨から足底に入り、内側の第1中足骨、内側楔状骨に付着する

長腓骨筋(ちょうひこつきん)は下腿外側から足底を通って、足部内側の骨に停止します。
運動は足首の外返しとつま先を下げる(底屈)ような動き。

これに加えて「3つのアーチの維持」という役割を持ちます。

外くるぶしを下行した長腓骨筋腱(ちょうひこつきんけん)は立方骨を巻き込むようにして足底内側へ

腱の走行は立方骨を滑車のようにして方向転換をするので、長腓骨筋腱に張力が加わるたびに強い力が加わることになるのです。

つま先立ち・外側荷重・でこぼこ道・切り返し(ターン)・体重増加によってアーチへの負担増→長腓骨筋は緊張。

回内足や関節のゆるみなどが加わることで長腓骨筋腱はより強く収縮することになります。

立方骨症候群はこの長腓骨筋腱の滑走によって生じる腱の摩擦での痛みの可能性もありますね。
実は長腓骨筋腱は横足アーチの保持の役割もあるので、あしうらの筋肉を保っておくことも重要です。

横足アーチの役割について

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鑑別しておくべき疾患9つ

立方骨周囲の痛みには多くの種類があるので鑑別が必要

ジョーンズ骨折(第5中足骨骨幹部の疲労骨折)
(⇒「ジョーンズ骨折」足の甲外側の疲労骨折。予後にも注意が必要 )
下駄骨折
(⇒軽視はダメ!【下駄骨折】捻挫(ねんざ)に似ている剥離骨折! )
イズリン病
(⇒イズリン病(イセリン病)は足の外側の骨端症。類似疾患にも注意! )
モートン病
(⇒モートン病。気になる原因と対処法は? )
立方骨疲労骨折
(⇒足外側の骨「立方骨疲労骨折」はどういうケガ?
立方骨圧迫骨折
短腓骨筋腱付着部炎
(⇒足の外側の骨が痛い!「短腓骨筋腱付着部炎」原因と再発予防。 )
足根洞症候群(そくこんどうしょうこうぐん)
(⇒足根洞症候群。ケガをした後、足首の奥に継続した痛みや痺れ。 )
長腓骨筋腱の種子骨

診断はレントゲンやMRIなどの画像で、骨折や靱帯損傷を除外していきます。
画像では分からない部分に関しては問診や徒手検査での判断も必要です。

判断に迷いやすいのが「足根洞症候群」。
ただし、足根洞症候群は足根部に近い部分(外くるぶし周辺・足根洞内部)に痛みが出やすいのに対して、立方骨症候群ではもう少し前の部分。

また立方骨症候群では、足うらの腓腹神経の領域(足底小趾側)に痛みやしびれが出ることがあります。

立方骨症候群は、疲労骨折へと移行することもあるので、長期にわたる場合には定期的な画像診断が必要になることも……。
専門医の診断を受けておきましょう。

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立方骨症候群の治療

立方骨症候群の症状がでた原因を見極めて適切に対処することが必要。
外側荷重や歩行でも負荷はかかるため、症状が消失するまでに期間が長くなる場合もある。

〇RICE処置
立方骨症候群の治療は「保存療法」が中心です。
痛みが強いときにはRICE処置を行います。

〇テーピング・包帯・サポーター
テーピングや包帯、サポーターにて固定。

〇インソール
アーチへの負荷を吸収するために、アーチ保護機能のついたインソールも有効です。

〇ヒールサポート
足部のアライメント(整列)は重要です。かかとが左右に倒れることで、腓骨筋群の緊張が高まります。
踵骨を直立させるようにすることが必要です。

〇バランストレーニング
足部を固定したまま、不安定な状態にして他の部位のバランス保持能力を高めます。
足関節を固定しておくことがポイントです。症状があまり強くない時期に行いましょう。

まとめ

〇立方骨周囲の関節包・靱帯・神経・腱などになんらかの組織損傷がみられる
〇原因はひとつではないことが多い
〇立方骨や長腓骨筋腱への負荷が問題。
〇縦アーチがつぶれるときに立方骨へ圧迫力が働く。
〇足底側や足趾方向へしびれや放散痛がでることがある。
〇治療は外側縦アーチを徹底的に保護する

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