こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
後脛骨筋(こうけいこつきん)は足部にとって重要な筋肉です。
土踏まずにある足の縦アーチを上部に引っ張り上げる役割。
縦アーチは衝撃の吸収だけではなく、着地時のバランスや足部形状の維持など多くの役割を担っているんです。
多くの役割を担うがゆえに、負傷や疲労がでやすい筋肉でもあります。
そこで今回紹介するのが「後脛骨筋のテーピング」。
貼り方や使い方は状況によって異なるとは思いますが、今回は自分でもできる簡単なテープの貼り方を紹介していきます。
『後脛骨筋のテーピング。後脛骨筋腱炎やシンスプリントから筋・腱を守る』
このページでは「後脛骨筋のテーピング」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
後脛骨筋は縦アーチを引っ張り上げる筋肉
後脛骨筋(こうけいこつきん)は脛骨(けいこつ)の上部内側から土踏まず(足部の内側)にある舟状骨(しゅうじょうこつ)の底面につく筋肉。
後脛骨筋が作用する運動は、
足関節(足首)の回外(底屈+内返し)
分かりやすくいうと、足裏を内側に向ける動き。
後脛骨筋はこの「内反」の動きをするほかにもうひとつ大事な役割があるんです。
内側縦アーチの維持
土踏まずを上にもち上げてアーチをつくります。
縦アーチの役割は、
○バランス保持
○推進力の補助
○足部形状の維持
といった役割があります。
日常的に負荷の多い、大きい筋肉ってことになります。
とくに荷重されたときに後脛骨筋は「遠心性収縮」といって、縮もうとするけど伸ばされる状態です。
もちろん日常生活だけではなく、スポーツや運動をする人、病気で筋や腱が脆弱化した人は負傷しやすい筋肉といえますね。
後脛骨筋の起始停止、支配神経など詳しくはこちらの記事もご覧ください。
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どんなときにテーピングを使う?
- 第1ケーラー病
- シンスプリント
- 有痛性外脛骨(外脛骨障害)
- 後脛骨筋腱機能不全
- 後脛骨筋腱炎
- 扁平足
- 外反母趾
- 足底腱膜炎
など。
後脛骨筋に関する疾患は数が多いです。
後脛骨筋や腱の使いすぎに関するものと足部形状の破綻に関するものがあります。
○第1ケーラー病
後脛骨筋腱の付着部である舟状骨結節部分の骨端症(こったんしょう)。繰り返しの牽引力により部分的に骨壊死を引き起こすこともある。
⇒子どもが足の甲(内側)や土踏まずを痛がる。第一ケーラー病って?
○シンスプリント(後方型)
ヒラメ筋と後脛骨筋の脛骨起始部の骨膜が起こす炎症。脛骨過労性骨膜炎といってオーバーユースにより生じる。
おもに衝撃が加わることで起始部に負荷が繰り返されることが原因。
⇒(後方型)シンスプリント。運動時のすねの内側の痛み。正体は骨膜の炎症!
○有痛性外脛骨(外脛骨障害)
後脛骨筋腱の付着部、舟状骨結節にある過剰骨(もとは舟状骨の一部)が摩擦を生じて炎症を起こす。
⇒有痛性外脛骨(外けい骨障害)。偏平足や回内足。内くるぶしの前の出っ張った骨の痛みに注意!
○後脛骨筋腱機能不全(PTTD)
後脛骨筋の腱への過剰な負荷が組織の変性を引き起こして機能障害を生じる。筋肉の牽引が舟状骨に伝わらなくなるので足部形状が破綻する。
⇒足首内側が痛い!かかとが倒れる!「後脛骨筋腱機能不全」ってどんな疾患?
○後脛骨筋腱炎
脛骨内果(内くるぶし)や足根管で摩擦を生じて炎症。
舟状骨の付着部での炎症も含まれ、繰り返すことで後脛骨筋腱機能不全に移行する。
⇒内くるぶしの下や後ろが痛い!後脛骨筋腱炎ってどんなケガ?
○扁平足
疾患ではない。縦アーチとくに内側が低い、または消失している状態。
⇒扁平足(偏平足)になる要因は?どんな障害がでやすい?
○外反母趾
足の親指の先が外側を向いている状態。踵骨(かかとの骨)が外返しすることによって始まる。
⇒「外反母趾」(がいはんぼし)とは?痛み始めの対策が大切。
○足底腱膜炎
過剰に足部アーチが伸縮することで生じる炎症。
後脛骨筋を補助することで足底腱膜の負担を軽減できる。
⇒「足底腱膜炎」足の裏かかとや土踏まずの痛み。踵骨棘ができるしくみ
後脛骨筋の付着部、足の舟状骨の情報について
こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 足の舟状骨(しゅうじょうこつ)は、足首の前方にある母趾(親指)側の小さい骨。 土踏まず部分にある足部の形状を保つうえでも重要な骨です。 ヒトの足首から足部にかけては、小さい骨がいくつも[…]
後脛骨筋を補助するテーピング
・再発予防したい。
・ケガから復帰時の安心感を得たい。
テーピングは皮膚にダメージを与えたり、ほかの部位に負荷が増えたりと頻繁に繰り返し使うことは難しいですが、効果的に使えば筋肉を守ることができます。
※伸縮性のある薄いテーピングを想定しています。(キネシオテープなど)
(筋肉の代わりをして後脛骨筋を補助)
①後脛骨筋に沿って貼る
小趾側(小指側)の中央ぐらいから内くるぶし(内果)に向かって貼り始めます。内果後方を通って膝裏ぐらいまで軽く引っ張りながら。
②外返ししにくいように貼る1本目のやや後方から貼ります。足底を横断して足関節(足首)前側を通りらせん状に巻き付けて内果の上方で止めましょう。アキレス腱には貼らないように。(擦れやすいため)
後脛骨筋にキネシオロジーテープを巻く方法を紹介します。 後脛骨筋は、アーチをサポートしてアーチを内反する(閉じ…
後脛骨筋をしっかり保護するテープ
・復帰までのリハビリで少し動かすとき。
・痛みが強いがどうしても動かさなければならない。
炎症が強いとき、損傷が回復していない状態で動かさないことが原則です。
ただし、動かなければならない事情がある場合や拘縮予防で動かす必要があるときは、しっかりした固定(強めの固定)を行いましょう。
※伸縮性はあるが、硬めのテーピングを想定。(エラスチコンなど)
(可動域を制限して付着部や腱を保護する)
①後脛骨筋に沿って。(薄い伸縮テープ)
後脛骨筋に沿って小趾側まん中あたりから貼り始めて、舟状骨(土踏まず)をもち上げるように。踵骨(かかと)の前を目指して内くるぶしの後方を通って上方へ、膝裏の下で止めます。
②かかとを直立させる。(少しだけ伸縮する厚でのテープ)踵骨(かかと)を外返し(小指側を上げる)させないために左右から固定します。「ヒールロック」の要領で内側と外側を斜めに貼って直立させます。
③剥がれないように留める
剥がれないようにテープの起始部と停止部を覆います。きつく締めすぎないように気を付けましょう。
足部をテーピングで巻くときには、荷重時に扁平化するので多少遊び(ゆるみ)を作ることも大切です。
貼った後は体重をかけてみて、神経や血管の障害がないことを必ず確認すること。
まとめ
○後脛骨筋は日常・運動・労働どの場面でも負担のかかる頻度が高い。
○起始部・停止部・腱で炎症を起こしやすい。
○縦アーチへの負担が増加する疾患にもテーピングは有効
○筋肉を補助するテーピングは後脛骨筋に沿って貼る。
○あまり動かしたくない固定のときはかかとを安定させる。
○テーピング後は必ず荷重してみて神経や血管の障害がないことを確認する。
後脛骨の運動療法について
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