こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
スポーツや運動をしていると、足首に痛みを生じることも多いです。
ひねったわけでもないのに、なんとなく痛む気がする~。
「足関節インピンジメント」ってきいたことがありますか?
関節運動(つま先を上げたり下げたり)で組織がぶつかりあうことで痛みが発生します。
今日は「足関節インピンジメント症候群」について紹介していきます。
『足関節インピンジメント症候群ってなんだ?』
このページでは「足関節インピンジメント症候群」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足関節インピンジメント症候群
impingement(インピンジメント)は英語で「衝突」という意味。
足関節インピンジメントは、距腿関節(きょたいかんせつ)という足首の関節において、組織同士の衝突によって損傷が起きている疾患です。
微細な衝突が繰り返し起きて発生する場合や外傷によってゆるんだ(靭帯損傷によって)距腿関節の動きが不安定になって発生する場合、過剰骨(かじょうこつ)とよばれる骨が原因になる場合などいろんな原因があります。
〇足首がゆるい・不安定
〇関節遊離体(関節ねずみ)・三角骨がある
〇靭帯損傷の既往歴
〇運動環境(地面がかたい・シューズ)
〇オーバーユース(使い過ぎ)
〇運動時のフォーム
どうやって発生する?
発生するのは、「炎症」「疼痛」「可動域制限」。
組織どうしが衝突してしまうことで、さらに組織の損傷が拡大してしまうこともあります。
繰り返し組織がぶつかる・すれる
⇓
炎症・腫脹・肥厚
⇓
さらに刺激が強くなる
⇓
インピンジメント(衝突)が強くなる!
足首のインピンジメントは、足部に大きな負担のかかるスポーツに多く発生します。
サッカー・バレエ・バスケットボール・バレーボール・ダンスなど極端な底背屈で負担のかかるものやターン、ジャンプの繰り返しによって関節の構成組織が衝突・こすれを起こします。
骨性のものと軟部組織性のものがある!
距腿関節のインピンジメントを起こす組織によって、「骨性」のものと「軟部組織性」のものに分けられます。
骨性
骨や軟骨の再生過程において「骨棘」(こつきょく)が発生したり、過剰骨といわれる「三角骨」がはさみこまれたりすることで起きます。
外傷によって損傷した関節軟骨が傷ついて、骨片(関節ねずみ)が関節内を浮遊する「離断性骨軟骨炎」(りだんせいこつなんこつえん)も骨性のインピンジメントのひとつといえるでしょう。
骨棘ってなんで発生する?⇒「骨棘」(こつきょく)とは?骨にトゲができる原因とは?
足首の離断性骨軟骨炎⇒足首の離断性骨軟骨炎。長期続く痛みに注意。不安定症の原因にも。
軟部組織性
外傷やオーバーユースによって滑膜組織や靭帯・関節包が肥厚(ぶあつくなる)・瘢痕(かたく残る)・腫脹(はれる)などすることで関節運動に干渉して発症します。
「長母趾屈筋腱炎」は軟部組織性の足関節後方インピンジメント
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前方インピンジメントと後方インピンジメント
足関節インピンジメントは、脛骨と腓骨、距骨からなる距腿関節で発生することが多いです。
距腿関節はおもに底屈(つま先を下げる)と背屈(つま先を上げる)動きを行っています。
(わずかですが左右にも傾く動きもする)
背屈時(つま先を上げる)は、距腿関節は前方が詰まります。
底屈時(つま先を下げる)には、後方が詰まります。
距腿関節の前後両方でインピンジメントを同時に発症することはまれで、どちらか一方のことが多いです。
足関節前方インピンジメント(AAIS)
前方型は、背屈強制によって生じます。
ジャンプの着地やターン(急な方向転換)での受傷が多いです。
骨性インピンジメント
サッカー選手などに多い障害で、距骨滑車(きょこつかっしゃ)前面または脛骨前縁に骨のトゲ(骨棘)を生じます。
「衝突性外骨腫」(しょうとつせいがいこつしゅ)ともいわれています。
こちらの記事でも詳しく紹介しています。
⇒『フットボーラーズアンクル(衝突性外骨腫)。足首に骨の棘が痛い!』
大きな外傷によって剥離した遊離軟骨(ねずみ)が背屈時に挟まることで発生。
軟部組織性
外傷や使い過ぎが原因になって生じた組織(滑膜・滑液包・靭帯)が距腿関節にはさまります。
軟部組織は、摩擦や衝撃を受けて損傷すると腫脹します。
さらに、滑液包からは滑液を多く生じて肥厚します。
さらにさらに軟部組織の再生過程では瘢痕(かたくなる)化することも。
腫脹・肥厚・瘢痕、どの過程においても距腿関節にこれらの組織がはさみこまれる可能性が生じます。
⇒足舟状骨の疲労骨折。上部内側のしつこい痛みには要注意!
足関節後方インピンジメント(PAIS)
後方型のインピンジメントでは、足関節の底屈によって、衝突が起きます。
底屈は、つま先を下げる動き。
サッカーのインステップキックやクラシックバレエでのつま先立ちでの動きによって、骨や軟部組織の衝突が発生します。
骨性インピンジメント
距骨の後突起が大人になるときに癒合せず、別々の骨として成立している「三角骨」。
過剰骨(かじょうこつ)といわれますが、通常では痛みは発生しません。
三角骨障害についてはこちらの記事で詳しく解説します。
⇒足の【有痛性三角骨】。つま先を下げた時に足首後ろが痛い!(三角骨障害)
距骨の後突起が脛骨後下端にぶつかって「骨棘」が生じる障害です。
骨棘が分離して「遊離体」になって、距腿関節にはさみこまれていることもあります。
軟部組織性インピンジメント
距腿関節の後ろ側を通って足底に向かう腱。
いくつか後方を通る腱のうち、いちばん骨の近くを走行します。
距骨後突起や三角骨、骨棘が長母指屈筋腱に当たることで底屈時に痛みを生じます。
遠位後脛腓靭帯(えんいこうけいひじんたい)や後距腓靭帯(こうきょひじんたい)、果間靭帯(かかんじんたい)が距骨と繰り返し当たることで炎症を起こします。
関節の滑りを良くしたり、腱の動きを良くするための組織。
衝突したり、こすれたりすることで炎症を生じて、よりはさみこまれやすくなります。
どんな症状がでる?
〇可動域制限・運動痛
〇つまり感・異物感
〇荷重痛・しゃがめない
〇炎症が強ければ腫脹・熱感
症状は障害の起きている部位によってさまざまなことが多いです。
基本的には前方インピンジメントでは前側に痛みや腫れを生じて、背屈制限。後方型では、後方に痛みや腫れ・底屈制限が生じます。
可動域制限が生じるとしゃがむ(足関節背屈)・つま先立ち(足関節底屈)が困難になります。
また、遊離体や骨棘がはさまるタイプのものでは、つまり感・引っかかり感、異物感を訴えることも。
急性期や症状が強いと足首の腫れや熱感が生じることがあります。
治療とリハビリ
急性期には冷却・安静・固定を行います。
(急性期の応急処置⇒ケガをしたときの応急手当て「RICE(ライス)処置」って?)基本的には「保存療法」が選択されますが、改善が認められないものに関しては、「観血療法」(手術)も行われます。
観血療法では「関節鏡」(カメラでの内視鏡)で行われることが多いです。
治療期間は、インピンジメントの状態によって変わりますが、4週~8週。
難治性のものではそれ以上になることもあります。
緩解するまでは長期間になりやすいですが、再発もしやすい疾患でもあるので医師や専門家の指導のもとにきちんと治療しましょう。
リハビリ
〇長・短腓骨筋や前脛骨筋・後脛骨筋を鍛えて動きを安定させる
(距骨のぐらつきを防ぐ!)
〇深部感覚の回復や筋の再教育をするバランストレーニング
インピンジメントの原因によって、可動域制限が残る場合もあります。
そのときは、動かせる範囲内の可動域でプレーできる環境も考える必要があります。
また、練習頻度や練習環境(靴や地面、道具など)の見直しを行って再発を防ぎましょう。
足首だけではなく膝まわり、股関節まわり、足底の筋肉を鍛えておくことで、足首への衝撃・荷重の負担を減らすことができます。
体幹の筋肉を鍛えるのも大事。
動きのブレを防ぐことで着地時や衝撃を受ける外力を吸収できます。
足関節を動かせない期間に、その他の部位を鍛えることも足首の治療にもなりますよ!
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足関節インピンジメントまとめ
〇前方→背屈で衝突 後方→底屈で衝突
〇骨性と軟部組織によるインピンジメントがある
〇保存療法が優先だが、観血療法も視野に。
〇リハビリ期間はしっかり摂る(やることは多い)
〇プレー環境やフォームの見直し
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