足首の運動(動き)の名称と可動域(動く範囲)〈わかりやすく簡単に〉

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

足首の動きっていろんな方向に動くので、ややこしくて難しそうと感じたことありませんか?

でも!
動きを分解すれば意外と簡単。
覚えておけばケガをしたときだけじゃなくって、スポーツでの動きの説明や理解、指導にも役立ちますよ。

今回の記事では、足関節(足首)の動きの呼び方と可動範囲、それぞれの運動がどのように行われるかを、簡単に紹介していきましょう。

足首の運動(動き)の名称と可動域(動く範囲)〈わかりやすく簡単に〉

※ご注意!
このページでは「足関節の運動」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

足首の運動は全部で4つ。正常可動域。

関節の運動ってどうしても聞きなれない言葉が多くて分かりにくいといわれることが多いんです。
とくに足首は曲げ伸ばしをするだけの関節ではないので難しそう……。

でも、基本の姿勢からどっちに動くかを見ていけば大丈夫。
基本的な動きは「上下」「左右」「前後」。
足首(足関節)では、これら3つの動きに複合的な動きがもうひとつ加わります。

足関節の基本姿位は、

地面に立っているときのような状態

この位置からどっちに動くかで関節運動を表現します。(足底と腓骨の長軸が垂直の角度)。

底屈と背屈は踵骨の底面の線と腓骨長軸が垂直を基本姿勢として角度を表現する

内・外転や内返し・外返しでは第2中足骨長軸の線からの角度で「~°」と表現されます。

関節運動をもっと理解したい人は関節の運動面運動軸を理解しておくといいですよ。

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※正常可動域
関節の可動域は個人差が大きいものです。
これより大きかったり小さかったりすることも多いですが、即、異常というわけではありません。
あくまで参考程度にとどめておきましょう。

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底屈と背屈

足関節の底屈は45°、背屈は20°が参考可動域

身体の矢状面(しじょうめん:前後の面)での動き。
運動軸は前額軸(ぜんがくじく:左右を貫くような軸)。

簡単に表現するとつま先をもち上げたり、下げたりする動きです。
可動域は膝の屈伸ぐあいによっても変化します。

0°の位置は腓骨長軸に対して垂直に交わる線です。
分かりやすくいうと足底面と下腿が垂直(90°)。

つま先を下げる動きが「底屈」(ていくつ)。
足底側に屈曲するという意味ですね。
一般的な正常可動域は0~45°

つま先をもち上げる動きが「背屈」(はいくつ)。
足背側(足の甲側)に屈曲するという意味です。
可動域は0~20°

底屈を「屈曲」、背屈を「伸展」と呼ぶこともありました。
・・・ですが、2022年より屈曲伸展は使用されなくなり、「底屈・背屈」が一般的に使われています。

足関節の底屈と背屈はおもに距腿関節で行われる

底屈と背屈はおもに「距腿関節」(きょたいかんせつ)で行われます。距骨下関節での底屈・背屈の動きはわずかです。

内転と外転

水平面(すいへいめん)上での運動。
垂直軸(すいちょくじく)を運動軸として動きます。
内転と外転は、つま先を左右に動かすような運動です。

可動域を見るときは、「第2中足骨(人差し指の長軸)の長軸が何°動いたか」で表現します。

第2中足骨の長軸が内側に向く角度で内転~°と表現する。外側はその反対。

つま先を内側に向ける動きが内転
可動域は0~20°

つま先を外側に向ける動きが外転です。
可動域は0~10°

内返しと外返し

足関節の内返しは足部内側をもち上げるような動きで外返しは外側をもち上げるような動き。2022年までは回内回外といわれていた

前額面での動きで、軸は矢状軸の運動。
以前はこの動きは「回内と回外」といわれていました。(2022年に定義が改定された!)

足首の内返しは母趾側をもち上げる動き。外返しは小趾側をもち上げる動き。

内返しは足裏が内側を向くような運動。
可動域は0~30°
改定前までは「回外」といわれていました。

外返しは足裏が外側を向くような動き。
可動域は0~20°
改定前は「回内」といわれていました。

※内反(ないはん)と外反(がいはん)
内返しと内反、外返しと外反。似ていて混同されやすい言葉です。
内反や外反は、その「形」を表す用語で、「運動」(動き)に対しては使用されません。変形やケガの「形状」で使われます。
簡単にいうと、内返し(動き)した形が「内反」。
外返しした形が「外反」。

回外と回内

回外は底屈・内転・内返し。回内は背屈・外転・外返しの複合運動

現在(2023年)では、足部の複合運動として回内(かいない)回外(かいがい)が使用されています。
改定前は内返し・外返しといわれていました

複合運動とは、いくつかの動きが重なって生じる運動。

回外
底屈+内転+内返し
回内
背屈+外転+外返し

実際にはほとんどの動きが複合運動といえます。
たとえば、足首を底屈させると内転と内返しを伴います。
また背屈させた時には外返しを伴います。

関節の形状によっての場合は骨の形によって、または筋肉の走行によってそれらの複合運動が生じると考えられます。

参考:日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会、日本足の外科学会「関節可動域表示ならびに測定法改訂について(2022 年 4 月改訂)」

足首の関節は3つ

足関節は遠位脛腓関節・距腿関節・距骨下関節の3つで構成されている

一般的に足首といわれる「足関節」は、細かく分けると3つの関節で構成されています。
(関節は「骨と骨の接続部分」)

3つの関節で役割を分担して、身体の中でも過酷な負荷を分散させているんですね。

遠位脛腓関節(えんいけいひかんせつ)

脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)がくっつく場所。
骨間靱帯(こっかんじんたい)や上部にある骨間膜遠位脛腓靱帯(前・後)で強固に結合しています。
動きはほとんどないといっていいぐらいです。

脛腓靱帯の損傷

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距腿関節(きょたいかんせつ)

脛骨下端部・腓骨下端部・距骨(きょこつ)からなる関節。
脛骨と腓骨で距骨を挟み込むようにつつみ、前後に距骨滑車(きょこつかっしゃ)が滑ることで足関節の底屈・背屈を担当する。
骨性の構造安定性が高く、荷重を受けながら大きな力を発揮しやすい。

距骨下関節(きょこつかかんせつ)

距骨と踵骨(しょうこつ)の関節で少々複雑な動きをする。
簡単な動きだけをみると、足部を回内・回外、内転・外転させるような運動を行う。(底背屈はわずか)
立位や歩行時に足底への重心を動かす役割をしている。
下腿骨(脛骨と腓骨)やほかの足根骨と連動して、不均整地(でこぼこ道)でバランスをとることにも使われている。

距骨下関節の痛み

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足関節は頑丈と繊細を両立

足首の役割は筋肉の力を地面に伝えること。衝撃を吸収すること。バランスの保持。地面の情報を脳に伝えること。

ウォーキングやランニング、ジャンプなどで足首は自分の体重と衝撃が繰り返し加わります。
衝撃は足部のアーチや足首の動き、膝や股関節へ分散して逃がしています。

また、ヒトは直立二足歩行するときに体重を片足で保持される場面がありますね。
このときにバランスを保持させるために距骨下関節が使われています。

距腿関節が大きな力強い動きを担当して、距骨下関節が繊細な足部の向きを調整を担当しているんですね。

足首は荷重関節(体重がのる関節)であると同時に地面の状態を脳に伝える受容器(センサー)でもあります。
足関節周囲を取り囲んでいる靱帯や腱には、伸張を感知する器官があって脳への神経とつながっているんです。

地面や衝撃の情報を受け取った脳は、全身の筋肉に指示を出して姿勢保持転倒防止に役立てられています。

2022年4月に変更された足関節の動きについてのお知らせです。

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参考:MSDマニュアルプロフェッショナル版 「関節可動域の正常値」