こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
足部の内側、くるぶしのちょっと前にある骨。舟状骨(しゅうじょうこつ)。
内側縦アーチのてっぺんにあり、前後の足根骨(楔状骨と距骨)に挟まれるように位置しています。
この舟状骨は大きな外力が足部にかかったとき、力の逃げ場がないために、圧迫骨折を引き起こすことがあるのです。
稀な骨折ではありますが、足部形状に大きな影響を及ぼす外傷です。
今回は、足の舟状骨体部骨折(圧迫骨折)について紹介します。
『足の舟状骨骨折(体部圧迫骨折)は治りにくい!』
このページでは「足の舟状骨骨折(体部骨折)」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
舟状骨の情報
ヒトの体には舟状骨(しゅうじょうこつ)という名前の骨が4つあります。
両手首と両足。
今回は足の舟状骨の骨折について紹介します。
足の舟状骨は内くるぶしの前方にある骨。
内側縦アーチを形成していて、そのアーチ維持に関わる軟部組織(筋肉や靱帯)の付着部として機能しています。
足部の骨についての基礎知識
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足の舟状骨はどんな骨?
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内側縦アーチ
内側縦アーチは、内側にある土踏まず部分のことをいいます。
足舟状骨はその頂点部分(天井ともいわれる)であり、この位置の高低によって、「扁平足」や「甲高」(ハイアーチ)と呼ばれます。
足部にある、縦アーチ(内側と外側)や横足アーチは、立位で荷重するとつぶれます。
歩行やランニング、ジャンプでの衝撃吸収に役立ちます。
さらに不安定な場所でバネのように働き、スタビライザー(安定器)のような役割もしています。
そのため足の舟状骨は荷重時(体重をかけているとき)には、前後から長軸圧力を受けやすいのです。
後脛骨筋の付着部
舟状骨の底部には、後脛骨筋(こうけいこつきん)が停止(付着)します。
後脛骨筋はつま先を下げるように足首に働き、さらに母趾(親指)側を持ち上げる作用もあります。
また、内側縦アーチの頂点である舟状骨を上方に引っ張るようにして足部の形状を保つ役割もしています。
どちらの働きも足を着いた時に衝撃緩和として働いているので、着地の度に舟状骨の底部が引っ張られる部分です。
この部分には「副骨」や「過剰骨」ともいわれる外脛骨(がいけいこつ)が存在する人もいます。
加えて足底側には、内側アーチを保つ「ばね靱帯」(スプリング靱帯)と呼ばれる底側踵舟靱帯(ていそくしょうしゅうじんたい)があります。
後脛骨筋もばね靱帯も荷重や衝撃を受けたとき、さらには歩行の踏み返し(蹴りだし)のときに舟状骨が必要以上に低下しないような働きをします。
他にも足の舟状骨は足首内側の靱帯である三角靱帯の前部の付着部でもあり、剥離骨折(裂離骨折)を起こすこともあります。
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足舟状骨体部骨折とは?
足の舟状骨体部骨折は、稀少な骨折で、難治性(治りにくい)、予後も良くない、といわれる骨折。
めずらしい骨折といわれていますが、軽微なものは「疲労骨折」か、もしくは見逃されてしまっていることがあるかもしれません。
日常的にも足の舟状骨には強い力が加わる場所です。
足部に大きな外力が加わった場合(高所から着地など)には、負荷が集中することが多いのです。
足舟状骨の疲労骨折について
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足の舟状骨の体部骨折は圧迫力によるものが多い
足の舟状骨は、前方を3つの楔状骨(けつじょうこつ)、後方を距骨(きょこつ)と踵骨(しょうこつ)外側を立方骨(りっぽうこつ)に囲まれています。
それらの骨どうしは強力な靱帯で結ばれているので、ショパール関節の可動はあまり大きくありません。
可動しにくいっていうことは、外力の逃げ場がないってこと。
とくに足舟状骨の場合、内側縦アーチの天井部分に位置するために前足部からの長軸ストレス、踵骨・距骨からは反対方向のストレスを受けやすいのです。
両側から受ける力の頂点部分にあるのが舟状骨。
舟状骨の体部骨折の多くが「圧迫骨折」になるのが、この理由からです。
原因は高所からの着地が多い
足の舟状骨体部骨折では、急性のものは「高エネルギー外傷」のことが多いです。
日常的に圧迫力が加わっている部位なので、軽微な外力には比較的強いのですが、大きな外力で骨折します。
急性の足舟状骨体部骨折の原因は、
- 高所からの着地
- 前足部の背屈強制
- 第1~3中足骨の長軸への強いストレス
- 前足部への内転や外転強制
- 直達外力によるもの
①高所からの着地
足部アーチが扁平化強制されることによって、楔状骨と距骨に前後方向から圧迫される。
②前足部の背屈強制
前足部が強く持ち上げられたり、前足部に体重が乗ることによっても足部アーチ扁平化が強制されて、圧迫骨折が起きる。
③第1~3中足骨の長軸への強いストレス
何かにつまづいたり、階段下りを見誤ったりしたときに、内側の長軸上のストレスで圧迫骨折するパターン。
④前足部への内転や外転強制
かかとが固定された状態(かかとがついた状態)で前足部(足指側)に側方から外力が加わり、周囲の足根骨によって圧迫。
⑤直達外力によるもの
強く踏まれたり、ぶつけてしまったり。
強い外力によるものなので、骨片が複数になる複数骨折や粉砕骨折になることがある。
足の舟状骨は他の足根骨に囲まれていて、囲まれていない底側、背側、内側には強い靱帯で補強されています。
このため、外力を逃がしにくい構造になっているので、足部のどんな動きでも圧迫力が加わりやすいといえます。
症状
- 腫脹(腫れ)
- 足舟状骨への圧痛(押すと痛い)
- 足部内側に広がる皮下出血斑
- 足部全体の浮腫(むくみ)
- 荷重痛(体重をかける)
- 外傷性扁平足(足アーチが低下)
- 足部短縮
歩行は、かかと荷重で可能。
(前方に体重をかけるとかなり痛い!)
圧迫されることでアーチが低下(外傷性扁平足)してしまったり、母趾側が短く(足部短縮)みえてしまうこともあります。
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治療とリハビリ
急性のものは強い外力(高エネルギー)によるものが多いので、他の合併症にも注意が必要です。
足根骨(足首周りの細かい骨)はパズルのようにうまく組み合わさっています。
ひとつの骨が骨折することで、お互いのアライメント(配列)が狂う「足根骨脱臼」が起きてしまうこともあるんです。
固定期間
ケガの直後はもちろん「PRICE処置」。
荷重も厳禁で、必ず医療機関を受診すること。
転位(骨のズレ)がなく、整復位の安定が得られれば(ズレないように安定)、保存療法(手術しない)でも処置されます。
ですが、足の舟状骨は荷重によって長軸ストレス(圧迫)がかかりやすいので、ほとんどが観血的処置(手術によって)で内固定(金属で留める)、創外固定(金属が外にでている)を選択されます。
理由は、
解剖学的位置に整復&固定する必要があるから!
ケガをする前と同じ位置。
足の舟状骨体部骨折の予後が悪い(後遺症が残りやすい)のは、変形治癒が原因のことが多いです。
外傷性扁平足(アーチの低下)や足部短縮、骨アライメント不具合によって、足部の痛みや不安定感といった愁訴を遺してしまう恐れがあります。
ギプス固定は6週間以上と長期になります。
荷重については、整復位安定や骨癒合の状態を確認しながら慎重に行います。
とくに内側アーチの崩壊を防ぐためにアーチサポートの装着は必須といえます。
リハビリ
ギプス固定期間は、足指を屈曲させる運動は積極的に行います。
というのは、底屈側は足部縦アーチを維持するために働くのが理由です。
(足底筋を使うと舟状骨への圧迫力が弱まる!)
アーチを減少させる方向、つまり足趾や足根部の背屈運動(反らせる)では、舟状骨に圧迫力が加わりやすいです。
舟状骨の圧迫により起きる体部骨折では、負荷が増。
背屈運動は、固定が外れて(骨癒合が進んで)から行う方が無難です。
足舟状骨体部骨折のリハビリは、機能回復と足部変形を防ぐことが目標。
足部の変形やアライメントの不適合によって、不安定感・易疲労感(疲れやすい)・クラッキングが起きやすくなります。
しつこく残る愁訴を予防するためには、
足部アーチを維持
踵骨の直立維持
に努めましょう。
そのためには、足底の内在筋(足裏にある筋肉)や外在筋(ふくらはぎにあり腱でつながる)を強化しておきたいですね。
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足の舟状骨体部骨折まとめ
- 足の舟状骨は縦アーチの頂点。
- 前後からストレスを受けやすいので圧迫骨折になりやすい
- 荷重で圧がかかるので難治性。
- 急性のものはめずらしい。
- 解剖学的な整復が必要。
- 外傷性扁平足・足部短縮に注意
- 固定除去後は踵骨の直立を保つ努力が必要。
- 固定期間中は足趾底屈運動は可。
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