足の横足アーチ。維持するために必要なこと。低下するとどうなる?

こんにちは、ほんだ整骨院山内です。

 

人の足には3つアーチがあります。

内側縦アーチ
外側縦アーチ
横(足)アーチ

どのアーチが崩れても足や膝、股関節、腰部・・・いろいろな場所に不調をきたします。

今回は、その中でも、

足のタコ、ウオノメ、爪の変形、指先の痛みなど身近に出現しやすい痛みの原因になる

横アーチ

について紹介していきましょう。

横アーチの消失

足の横足アーチ。維持するために必要なこと。低下するとどうなる?

※このページでは「横足アーチ」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変わっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

縦アーチについて詳しく紹介した記事も参考にご覧ください。
足の(縦)アーチの役割。崩れると身体全体にも大きな影響!

足の横足アーチとは?

足部の3つのアーチ

人は通常、足を前方(指先側)からみると、真ん中がやや浮いた半円をえがいたアーチになります。(非荷重のとき)

これは、中足部や足根部(足の甲)でも同じように弓状になっています。

横足アーチ 断面

 

ただし、足の前方に荷重(体重をかける)していくと、その横アーチは消失し、足裏全体で身体を支えています。

歩行時には、縦アーチと横アーチの働きによって体重のかかり方を分散させて、推進力に変えています。

実は、大人になってくるにつれて靴や歩き方、生活環境、または遺伝によってこの「横アーチ」が消失してしまう人が少なくありません。

骨の構造を知りたい⇒骨の構造。身体を支えて臓器を守り造血しながらカルシウムを貯蔵

どんな役割をしている?

横アーチの役割は、他の二つのアーチと連動して、

体重の分散とバランス
衝撃吸収
歩行(走行)推進力アップ

を行います。

「アーチ」(弓状)はトンネルや橋などの建造物にも使われるように、構造上、衝撃や重さに強い形状です。

また、アーチが「たわむ」ことで衝撃を吸収しやすくなっています。

このアーチがないと衝撃が上部(下腿部や大腿部)に伝わって、筋肉で強い力を抑えつけるので非常に疲れやすくなります。

歩行時の足裏への体重移動は、

踵(かかと)で着地

小趾球(外側)

中足骨頭部(指のつけ根)

母趾球(内側)で地面をける。

足裏の全体をうまく体重移動させることで効率よく衝撃の吸収とバランス保持、推進力アップに役立っているんですね。

横アーチを保持する組織。

横足アーチは、前足部・中足部・足根部それぞれで支える靭帯や筋肉が違います。

横アーチの保持・開張足の予防にとっても、重要になる筋肉や靭帯ですので覚えておきましょう!

とくに筋肉は、内側縦アーチ・外側縦アーチとも関連していて、両アーチの減少と横アーチの崩壊は関係があります。

足裏の各部名称について

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前足部(中足骨頭部)

前足部の横アーチを保持する軟部組織

前足部で横アーチで重要な役割を果たしているのが、

深横中足靭帯(しんおうちゅうそくじんたい)

足指の中足骨頭どうしを横につなぐ靭帯です。
この靭帯が外傷(ケガ)や繰り返しの微細な負荷によって、断裂してしまったり、緩んでしまっていたりすることで横アーチが破綻します。

この靭帯を補強して助ける役割を果たしているのが

母趾内転筋(ぼしないてんきん)

足の親指と他の指を横断するようについているので深横中足靭帯の補強になります。

関連記事:前足部(足指のつけ根)が痛いときは?⇒前足部の足指のつけ根付近「中足骨頭部の痛み」はどんな種類がある?

中足骨基底部(足の甲)

中足部の横アーチを保持する軟部組織

足の甲の高さを保持する部分です。
ここで横アーチを保持しているのが、

底側中足靭帯(ていそくちゅうそくじんたい)
背側足根中足靭帯(はいそくそくこんちゅうそくじんたい)

他には足根骨どうしをつないでいる複数の靭帯もこの部分の横アーチの保持を受けもっています。
筋肉の助けは「長腓骨筋」が足底から横アーチを補助します。

足根部(そっこんぶ)

踵骨・舟状骨・立方骨部分でつくるアーチです。
このアーチは「距骨」(きょこつ)も関係して4つをそれぞれつなぐ靭帯が関与しています。

背側踵立方靭帯 底側踵立方靭帯など

それぞれをつなぐ靭帯が底側(足裏側)と背側(足の甲側)から
アーチをつないでいます。

足根部の横アーチをサポートする筋肉は、主に長腓骨筋(ちょうひこつきん)後脛骨筋(こうけいこつきん)です。

この二つの筋肉は、足裏で交叉して下側から縦アーチ・横アーチの両方を保持するのに役立っています。

横アーチ減少の原因は?

〇合わない靴・指先を締めつける靴下など
〇外傷による靭帯や骨の損傷・変形
〇内科疾患による関節の炎症・変形
〇遺伝によるもの
〇加齢や体重増加・運動による負担増
〇足裏の筋力、アーチを保持する筋力の低下や機能不全
〇縦アーチの減少

シューズや指先を絞めつける靴下には注意。

 

踵の高い靴や前足部のせまい靴、靴ひもの締めすぎによって、横アーチを減少させることがあります。

履いているときは平気でも、長年履き続けたり、長時間使用することで足部の内在筋(足部内の筋肉)や靭帯の機能が低下する可能性があります。

とくにつま先を締め付けすぎると基節骨の根元は広がるように力を受けます。
そうすると常に「深横中足靭帯」にけん引力が加わることになり、横アーチが減少するのです。

つま先が締め付けられると横アーチの減少が起きる理由

外傷による靭帯・骨損傷

強い衝撃や繰り返しの衝撃によって、前足部や足根部の靭帯が繰り返し微小断裂を繰り返し、「深横中足靭帯」(しんおうちゅうそくじんたい)などの横アーチを保持する機能が低下します。

中足骨や足根部の骨折によっても横アーチの変化がみられることがあります。

内科疾患や遺伝によるもの

関節リウマチなどの膠原病、痛風など関節炎を起こす疾患によって、靭帯や関節が変形することがあります。

また、遺伝によるものと思われるものも多いです。

加齢や体重の増加、運動量の増加・過剰によるもの
アーチに関与する筋力の低下や機能不全

横アーチは、周囲の靭帯と筋肉によって保持されています。
ということは、

靭帯や筋肉が弱くなる。
か、
靭帯や筋肉の強さ以上に負担がかかる。

もしくは、その両方によって破綻することになります。

足指を使わない歩き方や踏ん張ることが少なくなってくると、足底の筋肉群が弱くなりやすいのです。

※むかしの和式の生活では、裸足で草履や下駄を履くことで足裏の筋肉や腱が使われていました!

足裏の筋肉が弱くなると縦アーチ・横アーチが崩れたり、足の指が地面に着かない「浮き指」になってしまったり・・・。

縦アーチと横アーチは互いに補完し合って衝撃や体重を支えています。
どちらかが崩れると足部の絶妙なバランスがくずれ、両方のアーチに影響を及ぼしてしまうのです。

よく聞く「開張足」(かいちょうそく)って何?

 

開張足の骨

開張足とは、正常に比べて足の指先が扇状に広がったようにみえる足です。

正確にいうと、

「第1中足骨と第5中足骨の長軸の角度が30°以上」

横アーチと開張足には深~い関係があります。
というのは、

横アーチが崩れる。

足先が広がったようにみえる。「開張足」

足幅が大きくなる

足裏や足の甲に作用する筋肉の向きが変わる!

足部の形状を保つ作用が弱まる。
縦アーチの減少

足の変形が進む!

開張足になると足底を通る筋肉や腱の作用する方向が変わり、うまくアーチを保持する力がうまく伝わらなくなることがあります。

そうなると足部の骨どうしをつなぐ靭帯だけでは、体重を支え切れずアーチが破綻してしまうことも多いのです。

開張足・偏平足・回内足・外反母趾・内反小趾など合併している人が多いのはこのためだと考えられるんです。

開張足についての記事も参考にご覧ください。

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横アーチ減少による主な足の不調

巻き爪

外反母趾・内反小趾
胼胝(べんち:タコのこと)
鶏眼(けいがん:うおのめ)
陥入爪(かんにゅうそう:巻き爪)
中足骨頭痛(中足骨頭壊死)
モートン病
足底腱膜炎(有痛性踵骨棘)
後脛骨筋腱炎
外脛骨障害
中足骨・下腿骨疲労骨折
・・・・・・ほかにも多数

※正確には「陥入爪」と「巻き爪」は違う状態を表します。

前述したように横アーチが減少すると足部にくっつく腱の走行、引っ張る向きが変わってしまいます。

そうなると起きやすいのが「外反母趾・内反小趾」。
これに付随して親指の内側に「バニオン」とよばれるふくらみができることがあります。

外反母趾

さらに通常では荷重を受けづらい第2・第3中足骨頭部に強い圧がかかることで胼胝(皮膚が肥厚する)や鶏眼(皮膚が圧を受けることで円錐状にとがる)もできやすいです。

第2・第3中足骨頭は繰り返し荷重や歩行時に圧を受けることで炎症をおこします。ひどいと中足骨頭壊死に陥ることも。

荷重のかかる場所

中足骨頭の間を走る足の指先に向かう神経が圧迫されることで起きる「モートン病」や縦アーチへの負担が大きくなることで起きる「足底腱膜炎」も発生しやすいです。

衝撃吸収力が弱くなることから「足部・下腿骨の疲労骨折」をおこすこともあります。

挙げればキリがありませんが、膝や股関節、腰部への影響も強いのです。

足指が地面から浮いている「浮き指」

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浮き指アイキャッチ

10代の横アーチの消失は骨端症を引き起こすリスクがあります

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治療と予防。

インソールの効果

横アーチの減少に対する治療は、物理的にアーチを補助するアイテムを使用する方法とアーチをつくる筋肉を強化していく方法があります。

予防についても今回の場合は、治療とほぼ同じと考えていいでしょう。

※「横アーチの減少」自体は病気やケガではありません。
それによって起きる障害や痛みにはそれぞれで対応する必要があります。

①アイテムを使用する
インソール
サポーター(バンド)
パッド(足裏)
テーピング
包帯

②筋力強化!
タオル寄せ運動(タオルギャザー)
つま先立ち運動
足指グーパー

上記のようなアイテムを使用することで、アーチを作ることは可能です。
ですが、使用をやめるとまた戻ってしまいます。

なので、アーチを作る筋肉を強化する必要があります。

タオル寄せ運動は、足底の屈筋群を強化します。
つま先立ち運動は、後脛骨筋、長短腓骨筋、足指の屈筋群。
足指をグーパーさせることで母趾・小趾の内転筋・外転筋を強化できます。

ただし、完全に横アーチが消失しまっている場合、もとに戻るのが困難な場合も多いです。

圧迫感の少ない靴を使用すること。
足の指先を曲げて歩くこと。
日常的にパッドやバンドを使用すること。

などを行うことで、さらなる変形を防いだり、症状を抑えておくことも必要です。

足裏の筋肉を鍛える運動はこちらの記事で!

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