こんにちは。荻窪教会通りのほんだ整骨院の山内です。
最近、靴屋さんを見に行った時に気になることがありました。
トレランシューズの品ぞろえ!
基本的に売り場面積って限られているので、需要があまりないものには、面積を使わないはず。
でも、それほど広くない店内でトレッキングシューズ関連の場所が広くとられていることに気づきました。
とくにトレランシューズはおしゃれで、高機能。
トレランも楽しそうですね。
トレランにつきものなのが「でこぼこ道」。
でこぼこ道で足が痛い方も多いですね。
山みちを走るスポーツ。
登山を走ってやるイメージですね。
似たものに「クロスカントリー」というものがありますが、こちらは登山道に限ったものではなく、砂漠や草原など舗装されていない場所を走るものです。
前置きが長くなりましたが、
『【距骨下関節症(炎)】でこぼこ道や衝撃で足首に痛みが出る!』
※ご注意
このページでは「距骨下関節症」を紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
距骨下関節症「きょこつかかんせつしょう」と読みます。
距骨(脛骨のすぐ下の骨)と踵骨(かかと)の接続部なので「距踵関節(きょしょうかんせつ)」ともいいます。
「距骨下関節」って?
足首にあって、脛骨(すね)のすぐ下にある距骨・踵骨(かかと)の上にある関節のことをいいます。
距骨下関節の働きは主に
回内(足の親指側を下げる)5°ぐらい
↕
回外(足の親指側を上げる)20°ぐらい
内転(つま先が内側に)5°ぐらい
↕
外転(つま先を外側に)10°ぐらい
かかとの向きを変える動きに大きく関わっているんですね。
あとはわずかながら、屈曲(つま先を下げる)・伸展(つま先をあげる)動きもします。
足関節の屈曲・伸展は「距腿関節」(脛骨・腓骨と距骨の関節)の方が大きく、距骨下関節の関与は小さいといわれています。
ただし、足首の関節の動きは関与する骨も多く、可動域に関しても、運動に関しても個人差が大きいといわれています。
足根洞内には骨間距踵靱帯(こっかんきょしょうじんたい)があり、地面の傾きやでこぼこなどで距骨下関節が動くことで伸縮。
運動のほかにも重要な役割があります!
下腿骨(脛骨・腓骨)と足部(かかと~つま先)を接続する役割です。
歩行時、跳躍時には脚部の筋力を地面に伝えるためには、足部を使って推進力に転嫁します。
着地時には、衝撃を吸収しなければいけません。
距骨はそれらにも大きく関与していて、前足部とかかと、さらには下肢の骨をつなぐ役割もしています。
距骨下関節症(距骨下関節炎)はどういう状態?
距骨下関節において、炎症が起こり、変形がでているものです。
なぜ、距骨下関節に炎症や変形が起こるのか?という疑問が生じますよね。
初めのきっかけはかかとの骨折であることが多いです。
かかとの骨折は距骨下関節まで達してしまったり、完全な骨癒合の前に荷重をしてしまうと「ベーラー角」(踵骨の突起を結んだ線の角度。アライメントの目印)が減少します。
それによって起こるのが距骨下関節面の不適合。
うまくかみ合わないことで摩擦・炎症・変形が生じることになります。
前述したように距骨下関節は、足首の回内・回外、内転・外転を担う場所です。
舗装されていないでこぼこの道では、距骨下関節が身体のバランスをとります。
そのときに関節の不適合があれば、骨同士がこすれてしまったり、軟骨が削れてしまったりするわけです。
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骨折をしていないから大丈夫?
大丈夫じゃないんです。
骨折以外のケガが原因で距骨下関節症になることもあります。
例えば、捻挫!
内返し捻挫(あしのうらが内側を向くような)で、損傷しやすい靭帯は・・・、
前距腓靭帯
損傷した靭帯がしっかりとケガする前の状態で治癒していれば問題はありません。
でも、多くの前距腓靭帯損傷の症例で靭帯のゆるみがみられます。
前距腓靭帯は足の底屈時に
「距骨を前に出さない!」
という任務を担っています。
この前距腓靭帯がゆるんでしまうとどうなるのでしょうか?
底屈時(つま先を下げる動き)に距骨が前方に動いてしまうのです。
歩行時やランニング時に足首が底屈するたびに、距骨は前方に出たり入ったりを繰り返します。
そうすることで炎症が起きてくるんですね。
炎症を繰り返すことで関節の軟骨部分が変形しやすくなってしまうんです。
他にも回内足(かかとが外側に倒れる)や回外足(かかとが内側に倒れる)も、距骨下関節症の原因になります。
距骨が前方に押し出されるのを防いでいる靭帯「前距腓靭帯」
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炎症や変形が起こるとどんな症状がでるの?
まっすぐ足を着く分には痛みを感じないことも多いです。
足の親指側や小指側で着いた時に痛みを生じます。
痛みが出る場所は、足首というよりも「かかとの奥の方」という表現がされますね。
炎症が強い場合だとまっすぐに足を着いても痛みが出ることがあります。
距骨下関節は、炎症がひどくても腫脹(腫れ)が出にくいので軽視されがちです。
しっかりと診てくれる専門の先生を選びましょう。
距骨下関節の治療は?
炎症がひどい場合は、免荷(荷重を和らげる)をして、固定と安静にします。
炎症がおさまって、少しずつ荷重ができるようになってきたら、足底板やインソールなどで距骨下関節にかかる負荷をコントロールします。
保存療法で効果がみられないときは、手術が選択されることもあります。
ならないために対策や予防は?
〇高所からの落下や飛び降りに注意。
距骨下関節症の原因のひとつはかかとの骨折であることが多いです。
〇足部の形状を保つ!
骨粗しょう症でかかとの骨がつぶれてきたり、縦アーチの扁平化によって荷重部分が変わることも原因のひとつですので、予防します。
足裏の筋肉のケアは大事です!⇒あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!
腓骨筋(ひこつきん)のケア⇒簡単!腓骨筋のストレッチ&トレーニング&ケア。自宅でやってみよう!
〇捻挫は放置しない!
内返し捻挫で距骨まわりの靭帯が伸びたまま治癒してしまうと、距骨の「暴れ」につながります。
他の部位でもそうですが、ケガはしっかり治しておきましょう。
距骨の「暴れ」は足関節不安定症の証⇒「足関節不安定症」足首の長引く痛みや不安感、音が鳴ることも。
後脛骨筋腱機能不全(PTTD)による足の痛みや変形⇒後脛骨筋腱機能不全が進行することで生じる足の痛みや変形。
〇足底の感覚受容器の感度を保つ!
でこぼこや地面のかたむき、不安定度などを検知するメカノレセプターは、足ウラに多く分布しています。
メカノレセプターの感度を保っておくことで、距骨下関節症のリスクを防ぎましょう。
⇒「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー
まとめ
〇距骨下関節は足首の回内・回外、内転・外転の役割がある。
〇距骨下関節症は、でこぼこ道で足裏が傾くときに痛みがでることが多い。
〇足首の痛みというよりはかかとの奥を痛がる。
〇かかとの骨の骨折は、距骨下関節症の原因になる。
〇足部の形、とくに縦アーチの形状を保つことで若いうちから予防しておく!
追記!
似た部位が痛む原因として、「有痛性三角骨」の存在があります。
三角骨が原因の場合は、足首を底屈(つま先をさげる)時に痛みを生じます。
距骨下関節炎では、不均整の地面での荷重時に痛むことが多いので、鑑別する際に参考になります。
有痛性三角骨の記事⇒足の【有痛性三角骨】。つま先を下げた時に足首後ろが痛い!(三角骨障害)
もうひとつ気を付けておきたいのが、「二分靭帯の損傷」。こちらは距骨下関節と直接かかわっているわけではないのですが、似た場所が痛みます!
二分靭帯損傷についてはこちらの記事で紹介しています。⇒「二分靭帯」の損傷。足首を捻って足の甲の外側が腫れた!
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