足根管症候群。足の裏側の痺れや痛み。チネル徴候に要注意!

こんにちは。ほんだ整骨院、山内です。

 

足部の内側、内くるぶしの下にある「足根管」(そくこんかん)を知っていますか?

足根管は足裏へ通る血管・神経・筋肉が通るトンネルです。

ここに障害が発生すると足裏にかけてかなり不快な症状がでてきます。悩んでいる人も多くみられるんです。

今日は意外と知られていない「足根管症候群」(そくこんかんしょうこうぐん)について紹介していきます。

足根管を通るもの

 

足根管症候群。足の裏側の痺れや痛み。チネル徴候にも要注意!

ご注意!
このページでは「足根管症候群」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変わっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

かかとの骨について詳しく知りたい人は!

関連記事

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 かかとの骨は、「踵骨」(しょうこつ)と呼ばれます。 踵骨は、歩いているとき地面と最初に接触する骨。 いちばんに衝撃を感じる部分です。 また、立位で荷重を受ける部分でもあり、強固さと共[…]

足根管症候群とは?

足の内くるぶしの下に足根管というスペース(トンネル)があります。
そこを足の裏側に行く後脛骨神経、後脛骨動脈・静脈が走行しています。

さらに、後脛骨筋腱・長趾屈筋腱・長母趾屈筋腱が足裏側に向かって走行。これらの腱・神経・血管がズレないように抑えてくれているのが「屈筋支帯」(くっきんしたい)。

後脛骨筋は足根管の内果寄りを通り、急に曲がるので擦れやすい。舟状骨を上方に持ち上げることで内側縦アーチを持ち上げる役割をしている

 

そこに何らかの圧力がかかり、神経が圧迫・絞扼(こうやく:締めつけられること)されてしまうと足裏部分に痺れが生じたり、足裏の感覚が鈍くなったり、ジンジンと痛みがでたりします。

ここで障害される神経は後脛骨神経(こうけいこつしんけい)。内くるぶしの後ろを通って、足底部の感覚を支配しています。

足根管症候群はこの後脛骨神経の絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)が実態です。

どんな原因で起こる?

足根管症候群の原因になるもの!
〇浮腫(むくみ)
〇外傷による腫脹(はれ)
〇ガングリオン
〇軟部腫瘍
〇血管の怒張・拡張
〇屈筋支帯の肥厚(分厚くなる)
〇静脈瘤
〇足根骨癒合症
〇腱炎や周囲の滑膜炎
〇回内足
〇関節リウマチ     など

足首周りの捻挫や骨折による腫れやむくみ、下腿の血流が弱くなることで起きるむくみ、ガングリオンなどによることが多いです。

まれに足根骨(足首まわりの骨)の変形によって起こっていることもあります。

みなさんも足がむくんだことがあるでしょうか?
両くるぶしからかかとにかけての部分は水分が貯まりやすいところです。

足根管は足裏への神経・血管・腱を通すトンネル

足の捻挫や骨折でも血腫がたまりやすいですよね。そこはちょうど足根管のある部分なのです。
これが足根管症候群の原因のひとつです。

神経といっしょに走行している血管の動脈硬化や下腿から足部にかけてむくみやすい疾患を持っている人は周囲が必要です。

例 甲状腺の病気・血管の病気・リンパ郭清 ・・・など

似ている名前の「足根洞症候群」ってな~に?⇒足根洞症候群。ケガをした後、足首の奥に継続した痛みや痺れ。

外反捻挫では足根管に腫脹や浮腫、血腫が生じます。⇒外反捻挫!足首内側の三角靭帯の損傷。骨折の合併にも要注意!

似ている疾患「前足根管症候群」とは?

関連記事

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 今回紹介する障害は、あまり聞いたことがない人も多いかもしれません。 前足根管症候群 (ぜんそくこんかんしょうこうぐん) 足首の前側がなんらかの理由で圧迫を受けることによって、その内側を通[…]

どんな症状が起きる?

足底の知覚と神経支配

おもに足裏への痛みや感覚の異常です。
「ジンジン」とか「ピリピリ」とか「鈍い」とかいろいろな表現をされる神経症状です。

耐え難い灼熱感足裏への異物感、冷感を訴える人もいます。

つま先を足裏側に下げるような動きをすると症状が和らぐこともあります。足根管を形成する屈筋支帯が緩むためです。

内くるぶしの後ろ側を軽くたたくと足裏全体に放散する痛みやしびれが出ることをチネル徴候といって神経障害がでている印です。

レントゲン写真ではとくに異常は見られないことが多く、腰部からくる神経疾患や糖尿病による神経障害などとの鑑別は必要です。

 

痛みが出る範囲は後脛骨神経の領域なので、足裏の方に神経症状がでます。かかとには出ない(※)のが特徴です。
足背部や足首より上側にも神経症状が出ている場合は他の疾患も疑います。

 

チネル徴候

↑「チネル徴候」足根管症候群があれば、足底側(足裏)につよく響いて、痛みが走ります。

※かかとにはでない?!
かかとの足裏側の知覚は後脛骨神経から枝分かれする「内側踵骨枝」(ないそくしょうこつし)が支配しています。
内側踵骨枝は足根管に入る前に枝分かれすることが多いので「かかとに神経障害は出ない」といわれています。
人によっては足根管の内部で枝分かれすることもあるので、その場合は、かかとに症状が出ることがあります!
また、後脛骨神経は足底の筋肉も支配しています。知覚障害だけではなく筋肉に力が入りにくい、麻痺の症状が出ることがあります。足裏の筋肉の麻痺が起きると母趾球の萎縮(筋が薄くなる)や足部の変形を引き起こす原因にもなりまねません。
ただし、筋肉の麻痺があっても、足指を曲げる筋肉は下腿部にもある(足根管症候群の影響を受けない)ので自覚しにくいので注意が必要です。
かかとの骨について詳しく知りたい!
関連記事

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 かかとの骨は、「踵骨」(しょうこつ)と呼ばれます。 踵骨は、歩いているとき地面と最初に接触する骨。 いちばんに衝撃を感じる部分です。 また、立位で荷重を受ける部分でもあり、強固さと共[…]

どんな治療をする?

基本的に保存療法(手術をしない)です。他の外傷による腫れやむくみであればそちらを治療します。

慢性的な炎症やむくみによるものでは、注射で抑えることもあります。

手術療法は、屈筋支帯といって腱が外れないようにしている組織を切って、除圧したり、癒着があればはがしたりします。(除圧術

ガングリオンがあれば取り除きます。

足部が回内(親指が足裏側へ)ぎみの人は、屈筋支帯が張ることで足根管の内圧を高める原因になるので、足部を回外(親指側をもち上げる)しておくと症状が和らぎます。

足根管を通る「長母指屈筋腱」の腱鞘炎とは?

関連記事

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 足首の後方でアキレス腱の前方あたりが痛くなったことはありませんか? 足首まわりには、足部を動かすための筋肉や血管、神経が多く走行しています。 そして足首は身体の体重を受けつつ、筋肉[…]

予防法は?

〇足部のむくみを予防すること。
〇捻挫や骨折はしっかり固定して、変形を起こさないように治すこと。
〇くるぶし周囲をきつく締めるような靴を避ける。
〇足部から下腿の血流をよくしておく。

があげられます。

足底の筋肉の萎縮を防ぐために、足裏の筋肉を意識して動かしておくことも必要です。

関連記事

中足骨頭部(足指のつけ根)の痛みの種類について。⇒前足部の足指のつけ根付近「中足骨頭部の痛み」はどんな種類がある?

足首を内返ししていちばん負傷しやすい靭帯とは?⇒前距腓靭帯損傷。足首の内返しで断裂しやすい!後遺症にも要注意‼

足裏の痛み!原因を突き止めましょう!⇒あしうらの痛み。あなたはどこが痛い?

モートン病「外側の足指の強い痛み」⇒モートン病。気になる原因と対処法は?

足親指の付け根、裏側に痛み!⇒足裏親指側の痛み。母趾【種子骨障害】

足の親指以外の付け根の痛み⇒中足骨頭部痛。体重がかかると痛い&指を反らせると痛い

足の甲や土踏まずの痛みは疲労骨折の可能性も!⇒【中足骨疲労骨折】長引く足の甲から前側の痛みに要注意!

かかとの痛みも原因が色々とあります。⇒『「かかとの痛み」の正体は?原因を見極めて対処しよう!』

かかとの軟部組織の障害です。「踵部脂肪体障害」⇒【踵部脂肪体】の障害はかかとの痛み。衝撃吸収能力の低下が原因?

足の捻挫についてくわしく!⇒足関節捻挫(足首のひねって靭帯損傷)はどんなケガ?注意事項は?

遠位脛腓靭帯の損傷について⇒遠位前・後脛腓靭帯の損傷。足首まわりのケガに合併しやすい捻挫!

足首に距骨や脛骨に骨棘ができる「フットボーラーズアンクル」⇒『フットボーラーズアンクル(衝突性外骨腫)。足首に骨の棘が痛い!』

骨の構造を知りたい!⇒骨の構造。身体を支えて臓器を守り造血しながらカルシウムを貯蔵

後脛骨筋腱機能不全(PTTD)が原因で生じる足の痛みや変形⇒後脛骨筋腱機能不全が進行することで生じる足の痛みや変形。

後脛骨筋腱機能不全の治療⇒かかとが内側に倒れる「後脛骨筋腱機能不全」の治療とリハビリ

後脛骨筋腱機能不全の治療⇒かかとが内側に倒れる「後脛骨筋腱機能不全」の治療とリハビリ