こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
足の指。一番先っぽの関節(DIP関節)が曲がったまま伸びない。
名前は、
マレットトゥ
なかなか聞いたことがない名前かもしれませんね。
中には自分で気づかないうちになってしまっている人もいるんです。
今回は、足指の変形「マレットトゥ」について紹介していきましょう。
『足指つま先の変形「マレットトゥ」。指先が自力で伸びない!』
このページでは「マレットトゥ」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
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屈趾症(くっししょう)のひとつ。
足指の変形でみかけることが多いのが、下の3つ。
ハンマートゥ
マレットトゥ
クロートゥ
全部合わせて「屈趾症」(くっししょう)といいます。
よく間違えやすいのが、ハンマートゥとマレットトゥ。
どちらも「槌趾」(つちゆび)といわれたりもするからです。
ハンマーは金づち。
マレットは木づち。
と覚えておきましょう。
ちなみに「クロー」は英語の「claw」。
鉤爪(かぎづめ)の意味です。
哺乳類や鳥類の獲物を捕まえるためにした方向に弯曲した爪のような形から名づけられました。
「屈趾症」は他の足部の変形にも合併して起きることがあります。
また、内科疾患、腰部が原因の神経障害が遠因になることもあります。
(もちろん、靴やケガが直接的な原因によるものもあります。)
例えば、同じ「ハンマートゥ」でも原因が、外傷的なものだったり、内科的なものだったりするわけですね。
ハンマートゥとは?
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マレットトゥはどんな変形?
「足趾DIP関節の屈曲変形」
足指のいちばんつま先よりの関節(DIP関節)が、足裏方向へ屈曲(底屈)してしまっているもの。
第2趾~第5趾(母趾(親指)を除く指)で発生することがほとんどで、多いのは第2趾(人差し指)と第3趾(中指)。
DIP関節が屈曲して、自分の足指の力で伸ばせない状態が、「マレットトゥ」。
この状態にも2種類あって、
〇柔軟性がある。…手で伸展させると戻るもの
〇固定型…固まって伸展させられないもの
固まって戻せないものは、「拘縮」(こうしゅく)といって、関節が軟部組織の癒着(ゆちゃく)によってくっついてしまったものです。
柔軟性のあるマレットトゥも長期にわたると周囲の組織が癒着して拘縮を起こしてしまうこともあります。
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マレットトゥの原因。
マレットトゥの原因は、大きく分けて3つ考えられます。
②圧迫によるもの
③病気によるもの
足のつま先は「ぶつける・ふまれる・つまづく」など外傷の受けやすい部位。
また、これも外傷のひとつともいえなくないのですが、靴や靴下などで常に圧迫され続けている部位でもあります。
膠原病や痛風などによる関節炎、脳梗塞や脊椎症による神経麻痺など、病気による関節の変形によってもマレットトゥが現れることがあります。
上記に挙げた原因の他に、屈筋と伸筋のバランスが崩れることによって発生していると考えられるものもあります。
①外傷性のもの
母趾(親指)以外のDIP関節を伸展(背屈)させる筋肉が「長趾伸筋」(ちょうししんきん)。
屈曲させる筋肉は「長趾屈筋」(ちょうしくっきん)・
このふたつの筋肉は末節骨(まっせつこつ)の根元に停止(付着)しています。
〈伸筋腱は背側・屈筋腱は底側〉
しばしば起きるのが、つま先をぶつける(突き足指)ことによる長趾伸筋腱の断裂や付着部の剥離骨折。
伸筋腱の引っ張りがなくなることで、趾先が屈筋の牽引力によって底屈してしまうものです。
②圧迫によるもの
幅のせまい靴。
圧迫力の強い靴下やストッキング。
かかと(ヒール)が高い靴。
ゆるい靴で下り坂を長時間歩く。
これらは、常に足指の先を締めつけ続けています。
それに加えて、長年の靴による生活では、指先への刺激や筋肉の使用頻度がかなり少なくなっています。
長期間そのような状況が続くと腱や靭帯が癒着(拘縮)したり、伸筋腱が萎縮(いしゅく)したりしてしまうことがあります。
圧迫によるマレットトゥでは、同時にDIP関節(いちばんつま先よりの関節)の背側(爪側)に胼胝(べんち:たこ)が発生しやすいです。
靴下などで足指を絞めつけるような圧迫では、外側の趾(第4・5趾)が多くなっています。
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③病気によるもの
外的要因以外の原因でDIP関節が変形してしまうものです。
関節炎によるもの
膠原病(こうげんびょう:関節リウマチなど)や痛風発作による関節炎など。
炎症が長期間続いていると関節軟骨(関節面のスベスベの部分)が変形してしまうことがあります。
糖尿病
糖尿病の患者さんは、皮膚や関節のコラーゲンの異常によって、関節拘縮や皮膚が硬くなるなどの症状を起こしてしまうことがあります。また、腱がもろくなりやすく気づかぬうちに腱断裂を起こしていることもあります。
神経麻痺
病気による神経麻痺による関節の変形によっても起きることがあります。ただし、神経麻痺によるものでは、ハンマートゥやクロートゥになることが多く、マレットトゥは稀です。
長趾伸筋は深腓骨神経支配領域(L4~L5)
長趾屈筋は脛骨神経支配(L5~S1)
足趾の変形に合併
外反母趾や内反小趾、開張足、他の屈趾症など足部まわりの変形に合併して起きることも。
足部の変形は足趾の回旋(ねじれ)を引き起こして、腱の牽引方向に変化を与えます。
マレットトゥは治る?
↑長趾伸筋腱の走行
急性のもの(腱断裂を除く)では、固定をすることで改善することもあります。
外傷性のもの(剥離骨折など)では、その治療を優先しましょう。
長趾伸筋腱の断裂が起きているものは、固定しても断端が離れてしまっていることが多いです。外科手術も視野に入れて治療します。
手で戻せる「柔軟性」のあるものは、テーピングやバンド、足底挿板をうまく使って、DIP関節の「伸展」状態をキープすることで改善する可能性があります。
ただし、DIP関節が屈曲位のまま固まってしまっているものは、改善しないことが多いです。拘縮を徐々に動かしていくことで可動域が出ることもあります。
歩行や日常生活に支障がある場合は、手術の対象になるので、整形外科で相談しましょう。
屈曲の程度が軽度であれば、支障をきたすことが少ない部位ですが、長期間放置されると、他の部位の変形につながる(巻き爪や陥入爪など)恐れもあります。
気づいた場合は、足部に詳しい整形外科を受診しましょう。
子どもの足。巻き趾って?
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マレットトゥを予防しよう!
マレットトゥは治りにくい(治らないことも)障害です。
予防できることは予防をしておきたいですよね。
〇つま先を圧迫しない履き物を使用する。
(靴のサイズの適正化)
〇足指を絞めつけすぎない靴下やストッキングを着用。
(はだしや5本指ソックスも有効)
〇ヒールの高い靴をなるべく避ける。
(短時間にする)
〇足裏の筋肉をほぐす。
(ふくらはぎの長趾屈筋も含めて)
⇒あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!
〇足指の筋肉を使う。
(足指じゃんけんやタオルギャザー)
〇外傷は放置せずに受診する。
(剥離骨折や腱断裂、外傷に伴う拘縮に注意)
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