「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

人間の足裏には、いくつもの感覚受容器(かんかくじゅようき)があります。

感覚受容器とは、冷・温・触・圧・痛などのいろいろな感覚を感じるためのセンサー。

足裏の皮膚は分厚いので、なんとなく鈍いイメージがありますが、意外と優秀なんです。

靴の中に本当に小さい小石があっても、違和感がありますよね。
これは、触覚(しょっかく)と圧覚(あつかく)が小石を感知して脳に伝えているんです。

今回はそんな優秀なあしうらのセンサーである、

「メカノレセプター」

について紹介していきます。

足裏のメカノレセプターは地面のでこぼこや傾き安定度や硬さの情報をキャッチする器官

「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー

※ご注意!
このページでは「メカノレセプター」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

メカノレセプターって?

足裏から地面の情報を検知する感覚受容器がメカノレセプター

メカノレセプターは、日本語では

機械受容体
(きかいじゅようたい)

といいます。

メカノレセプターは、身体の姿勢や動きに関する情報(体性感覚)を脳に送るためのセンサーで、おもに物理的な外部刺激を検知する感覚受容器のこと。
身体のいろいろな場所にあり、足裏には豊富

直立二足歩行では、地面と接している部分はあしうらの一部分のみ。

地面の情報は、その足裏のメカノレセプターに頼っているんです。

メカノレセプターは地面の情報を脳に伝える!

地面の状態
地面の傾き

でこぼこ
摩擦(ツルツル・ざらざら)
安定度(グラグラ)

これらの地面の状態に加えて、運動の情報は深部感覚(固有感覚)が機能して脳に伝えられます。

位置覚(いちかく)……関節の向きや角度
運動覚(うんふどうかく)……運動の方向・速度
振動覚(しんどうかく)……ふるえ

地面の情報と同時に動きの情報も脳へ伝えます。
一部は「姿勢反射」(しせいはんしゃ)として、脳へ伝わる前に脊髄で運動神経へと伝わるものもあります。

メカノレセプターの正体

体性感覚は地面の状態と運動・姿勢に関する情報を表在感覚受容器と深部感覚受容器が感知して脳へと入力する

おもに、表在性の感覚受容器が、身体の外部の情報を脳に伝える役割、深部感覚が筋肉や関節の状態を脳に伝える役割をしています。

脳はそれらの情報(「体性感覚の入力」)をもとに、姿勢や運動の制御を行います。
一部では「姿勢反射」として、脊髄から脳を通らずに筋肉へと指令がいくことがあります。

体性感覚
体性感覚とは触覚、温度感覚、痛覚の皮膚感覚と、筋や腱、関節などに起こる深部感覚から成り、内臓感覚は含まない。皮膚感覚が皮膚表面における感覚であるのに対し、深部感覚とは身体内部の感覚を意味する。後者は固有感覚または自己受容感覚とも呼ばれ、筋受容器からの伸縮の情報により、身体部位の位置の情報が得られる。

脳科学辞典「体性感覚」より引用

表在性感覚受容器

表在にある感覚受容器
メルケル盤…触圧覚(でこぼこ)
パチニ小体……触覚・振動
ルフィニ小体…圧覚・皮膚の伸張
マイスナー(マイスネル)小体…触覚
自由神経終末…痛覚

表在性の感覚受容器(センサー)が、機械的(物理的な)変形を検知して中枢(脳や脊髄)に情報を送ります。

深部感覚

筋肉には筋紡錘と腱紡錘があり、それぞれ筋肉の伸張と収縮を検知する
筋紡錘(きんぼうすい)…筋肉の伸張を検知
腱紡錘(ゴルジ腱器官)…腱・靱帯の伸張を検知
自由神経終末…痛覚
※筋紡錘と腱紡錘の違い
筋紡錘は筋肉が引き伸ばされる感覚
腱紡錘は筋肉が収縮するときの感覚

深部感覚は筋肉や腱、靱帯、関節包、骨膜の感覚受容器(センサー)が機械的変形を検知して、中枢(脳や脊髄)に情報を送ります。

表在性の感覚受容器も筋や腱などにも存在します。

深部感覚は筋紡錘と腱紡錘。ダンベルカールでは持ち上げた時に腱紡錘、降ろした時に筋紡錘が働く

転倒防止とパフォーマンスアップに重要

メカノレセプターは全身のいろいろな場所に存在しますが、足裏に多く分布しています。

姿勢と運動をコントロールするための受容器であるためです。
このメカノレセプターの働きが鈍くなると、立位での安定性や姿勢、運動時の安定性も減少します。

足裏とバランス感覚

足裏のメカノレセプターは歩行時に荷重がかかる場所に集中する

人が直立歩行しているとき、接地面積はほんのわずかです。
歩行周期(二歩歩くまでの間)のなかでは、両足をべったり着地している時間はほとんどありません。

人間はその中で地面の情報を感じながら歩いているんです。

メカノレセプターはそのわずかな接地時間で地面の情報を感知しなければなりません。
メカノレセプターは、歩行時に足底(あしうら)に体重が乗る部分に多く分布(集中)しています。

多くのセンサーを完備することで、短い時間のなかで脳へ路面状態を脳に伝えることができるんですね。
(もちろん視覚や聴覚、平衡感覚なども使われています!)

同じ場所でステップしたときに身体が大きく揺れやすいのは、足が宙に浮くことで脳への情報が少なくなることが原因です。

不安定な床面でのバランス感覚にも重要な役割を果たしていて、転倒を予防するためにもなっているんですね。

バランス感覚についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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脳と神経、筋肉の反応速度をあげたり、体幹部の筋力強化、深部感覚をトレーニングすることでばっらんす能力が上がる

運動パフォーマンスをアップさせる!

メカノレセプターは運動パフォーマンスのアップにも役立つ

メカノレセプターが検知した情報は、すぐに脳へと送られます。

たとえば、

滑りやすい
でこぼこ
地面のかたさ

さらに自分の姿勢情報も、

片足がついている
両足ともついていない(ジャンプ)
両足で構えている

などなど。
これらはスポーツをしている状況では、瞬時に処理されています。

メカノレセプターからの情報は、姿勢制御やバランス能力、接地・プレーの安定性につながるので、

運動パフォーマンスの向上につながる!

ってわけです。

足裏。部位ごとの名前

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適度な刺激が機能の維持に必要

現代では、裸足(はだし)で過ごす時間が少なくなってきました。
ということは、足裏への情報入力が少なくなっているってことです。

「閾値」(いきち)とは、センサーの感度を表すときに使います。
感覚受容器は使われないと閾値が上がってしまうんです。

※閾値(いきち)
神経が興奮するために必要な最小の刺激
閾値が低いと「敏感」、高いと「鈍感」
感度を閾値の高低で表現する。

つまり「鈍く」なるってこと。
他にもメカノレセプターが多く分布する部分がうまく使えていない状態の人もいます。

メカノレセプターが鈍くなる原因
浮指(うきゆび)
扁平足
後脛骨機能不全
回内足
回外足
尖足
足裏の角質化
青文字は詳しい記事へのリンク

ただし、使われていると機能は回復します。
短時間でも、あまり強くない刺激でも効果はあるといわれているんです。

ポイントは足裏への刺激!

足裏でゴルフボールを転がすのもよし。足裏でゴルフボールを転がしてメカノレセプターを刺激する。 足指でボールをつかむのもいい
足つぼ板で足裏を刺激するのもよし。足裏のメカノレセプターを刺激するときに足つぼ板を使ってもいい

足指を使うことで、足底の筋肉も刺激されます。

タオルギャザー
タオルギャザーは足指・足裏のトレーニング
足指ジャンケン足指じゃんけん

足裏をケアしておくことでメカノレセプターの機能を保ちましょう。

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メカノレセプターまとめ

  1. 機械的(物理的)な刺激を感じるセンサー
  2. 足底へ豊富に分布している
  3. 足底のものは姿勢や運動の制御に使われている。
  4. 表在性のものは外部の情報
  5. 深部性のものは身体・運動の状態
  6. 運動時に荷重される場所に多く分布
  7. 使われないと鈍くなる
  8. 短時間の刺激でも機能は保てる
  9. 転倒防止や運動能力向上に役立つ

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