こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
「下腿部」(かたいぶ)は、膝から下、足首から上の部分。
ふくらはぎの筋肉は、知っている人も多いですね。
でも、脛骨(けいこつ)というスネの骨の外側にある筋肉たち。
意外と知らない方も多いです。
でも!
外側の筋肉も大事な仕事をしているんですよ。
今回は、そんな下腿部前外側にある筋肉を紹介しましょう。
『スネの外側の筋肉5つ!プラス1。転ばないための重要な働きがある!』
このページでは「下腿外側の筋肉」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
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全部で6つの筋肉がスネの外側にある。
下腿部は2本の骨(脛骨と腓骨)でできています。
脛骨と腓骨の間には「下腿骨間膜」(かたいこっかんまく)という強い組織で結合されています。
今日紹介するのは、その前側にある筋肉。さらに、腓骨の外側にある腓骨筋群も一緒に紹介していきます。
・前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
・長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)
・長趾伸筋(ちょうししんきん)
・長腓骨筋(ちょうひこつきん)
・短腓骨筋(たんひこつきん)
・第三腓骨筋(だいさんひこつきん)
なぜ、このページのタイトルに
5つプラス1
としたのか。というと・・・
「第三腓骨筋」がない!
人もいるのです。
スネの外側(下腿外側)の6つの筋肉は、その働きによって大きく二つに分けられます。
ひとつはつま先を持ち上げる働きのある「伸筋群」。
もう一つは足関節を外反(足裏を外側に向ける動き)・底屈させる「腓骨筋群」。
それぞれ足関節や足指を動かすだけではなくて、足の形状を保つためにも大切な役割をもっているんです。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
足関節伸筋群(そくかんせつしんきんぐん)
足関節(そくかんせつ)は足首のこと。
「足関節を伸展」というとつま先を持ち上げる動きのことをいいます。「背屈」(はいくつ)ともいいます。
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)・長趾伸筋(ちょうししんきん)・長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)は、下腿外側から足関節の前面を通る筋肉。
足首の前面には「伸筋支帯」(しんきんしたい)があって、腱(筋肉が細くなった組織)が飛び出るのを防いでいます。
足関節の伸展(背屈)に関係する筋肉は、「前方コンパートメント」の中に入っています。
下腿部は骨・骨間膜・筋膜によって、4つの区画(隔室)に分かれています。
(前方・外方・浅後方・深後方)
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前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
前脛骨筋は、たくさん歩いたり、階段を昇ったりするとよく筋肉痛になる筋肉。
長距離を歩いた後、「イタだるくなる」経験をした人も多いのではないでしょうか。
脛骨上1/2外側
骨間膜上2/3前側
下腿筋膜
脛骨と腓骨の間が起始部。
前方型シンスプリントの痛みのでる場所です。
内側楔状骨(ないそくけつじょうこつ)
第1中足骨内側底面
停止部は足の内側の土踏まず足裏側です。
前脛骨筋の神経支配は、坐骨神経から枝分かれした先にある「深腓骨神経」(しんひこつしんけい)。〈L4~S1〉
主な作用は、足関節の伸展(背屈)と内反(足裏を内側に向ける)。
もうひとつ重要な役割は、
「内側縦アーチ」を持ち上げる!
前脛骨筋は、後脛骨筋と一緒に縦アーチの補助に役立っています。
足部のアーチが崩れると、それぞれの腱の引っ張る方向が変わってしまい、足趾(足の指)や足根部の変形につながることがあります。
また、腰部の疾患で坐骨神経の一部に障害が起きると麻痺が起こることがあります。
これによって深腓骨神経に脳の命令が届かなくなって、つま先を持ち上げられなくなるのです。
「下垂足」(かすいそく)といわれます。
他にも長時間正座をすることによっても起きることも。
前脛骨筋についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
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前脛骨筋は足の過回内(オーバープロネーション)を防いでくれる大事な筋肉⇒「回内足」(かいないそく)と「過回内」(オーバープロネーション)
前脛骨筋の過緊張は「回外足」の原因にも。⇒「回外足」(かいがいそく)の治し方は?原因と予防も考えよう!
長母趾伸筋
長母趾伸筋は、足の親指(母趾)を伸ばす筋肉です。足関節の背屈(伸展)作用があります。
起始部:腓骨の内側(中央から下部分)
停止部:母趾末節骨の背側
こちらも「深腓骨神経」によって支配されています。
長趾伸筋
長趾伸筋は第2~第5趾(母趾を除く4本の指)を伸展(背屈)させる筋肉で、こちらも足関節の背屈動作に関わります。
起始部:脛骨の外側顆、腓骨頭、腓骨の内側上部2/3
停止部:第2〜5趾の中節骨・末節骨の背側
神経支配は「深腓骨神経」。
長趾伸筋は下部(一部)が分岐して「第三腓骨筋」になります。
(ない人もいます。)
長母趾伸筋と長趾伸筋は腱の部分での損傷が起きやすいです。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
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腓骨筋群。
腓骨筋群といってもおもにふたつの筋肉です。長腓骨筋と短腓骨筋。
これに第三腓骨筋を含めることもあります。
(第三腓骨筋は長趾伸筋から分岐する)
長・短腓骨筋は外方コンパートメントに入ります。
ふたつとも神経支配は、浅腓骨神経(せんひこつしんけい)。
3つの筋肉は「外反」作用があることから、「内反捻挫」における外側靭帯の損傷時に「靭帯の代替機能」として訓練されることが多い筋肉です。
3つの腓骨筋についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
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腓骨筋のケアについて
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長腓骨筋
長腓骨筋は、短腓骨筋や第三腓骨筋といっしょに足関節を底屈(屈曲)、外反(足裏を外に向ける動き)する作用がある筋肉です。
起始部:腓骨頭と腓骨外側上方2/3
停止部:内側楔状骨の外側、第1中足骨底
腱は足裏側を横断するように走行するので、「横足アーチ」(横足弓)を保持する筋肉です。
また、外側の縦足アーチを持ち上げる作用もある大切な筋肉でもあります。
短腓骨筋
起始部:腓骨頭の外側下2/3
停止部:第5中足骨基底部外側
短腓骨筋も長腓骨筋と同様に、外側縦アーチを支える働きがあります。
腱は腓骨の外果(外くるぶし)を後方から下方へ周るように走行します。
足部を内反した時に起きる「ゲタ骨折」(第5中足骨基底部骨折)は、この短腓骨筋の付着部で働く牽引力によることが多いです。
⇒軽視はダメ!【下駄骨折】捻挫(ねんざ)に似ている剥離骨折!
長・短腓骨筋の炎症について⇒【外くるぶし】の下や後ろの痛み。「腓骨筋腱炎」は足の着き方が原因!
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短腓骨筋の停止部での炎症⇒足の外側の骨が痛い!「短腓骨筋腱付着部炎」原因と再発予防。
第三腓骨筋
起始部:腓骨の前下部1/3
停止部:第5中足骨底部(足裏側)
第三腓骨筋の神経支配は、「深腓骨神経」です。
長趾伸筋の一部が分岐しているので、浅腓骨神経ではなく、「深腓骨神経」。
第三腓骨筋は「腓骨筋」とはいうものの、他の二つの腓骨筋と違って足関節「伸筋群」のひとつです。
区画も「前方コンパートメント」に属します。
作用は足関節の背屈と外反です。
長趾伸筋(作用は背屈&外反)が分岐したような筋肉です。
殿部にある大事な筋肉。「梨状筋」の正体とは?
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足首のバランスを調整する大事な働き!
片足で立つと「グラグラグラ・・・」してしまう人も多いです。
このグラグラ時にうまく働いているのが、今回紹介したスネの外側にある筋肉たち。
不整地(でこぼこ道)や坂道などバランスをとるのに大切なのが、足首を内反・外反をさせる筋肉です。
また、前脛骨筋や長・短腓骨筋はアーチを支える仕事もあります。長趾伸筋・長母趾伸筋は足趾の形状を保つのにも役立っています。
腰部の疾患などで「坐骨神経」に障害が起きると、下腿部の筋肉に麻痺(まひ)・萎縮(いしゅく)が起きてしまうことがありますね。下腿外側の筋肉に萎縮が起きてしまうと足部や足趾の変形を引き起こしてしまう可能性もあるんです。下腿外側の筋肉が足の形状を保ってくれているんですね。
足首の外傷でかなり多くの割合を占める「足関節捻挫」(そくかんせつねんざ)のリハビリでも重要視されるのが、バランストレーニングです。足関節のリハビリの目的のひとつが、これらの筋肉の強化や神経の再教育(脳と筋の情報伝達をスムーズにする)でもあります。
それぞれの腱が損傷した靭帯の機能を代替させる目的もあります。
内反を防止する→外反作用のある筋肉強化
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まとめ
〇前方コンパートメントにある筋肉(前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋)
〇外方コンパートメントにある筋肉(長腓骨筋・短腓骨筋)
〇足部の形を保持する働き!
〇不整地でのバランス機能をもつ!
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