「浮き指」ってどんな状態?改善できる?原因と対処法、予防について

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

裸足(はだし)で立ってみると足の指が浮いているかも!?

こんな状態になっている人がかなり多いです。
この状態のことを「浮き指」といいます。
自分で気づいていない方も多く、悪化させてしまうことがあるんです。

かといって、足の指が浮いてしまうだけで、病気だというわけでもありません。
原因が足裏の筋力低下だけであれば、トレーニングで改善を期待できることもあります。

浮き指は原因も状態もいろいろ。
今回は「浮き指」について、少し紹介していきましょう。

浮き指とは。

「浮き指」ってどんな状態?改善できる?原因と対処法、予防について

※ご注意!
このページでは「浮き指」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

浮き指はどんな状態?

浮き指

「浮き指」とは、

立位でどれかの足指が浮いている状態。または症状。

のことをいいます。

ひとくちに「浮き指」といっても、全部の指が浮いている人、一部の指だけ浮いている人さまざまです。

私たちは、足の指先をうまく接地させることで、バランスをうまく保つことができるようになっています。

確かめる方法として、立位で床と指との間に紙を差し入れてみるテストが行われます。
浮いていれば紙はスムーズに足指を通過。
しっかり着地していれば紙はつっかえます。

ただし、このテストは意識してしまうと足指に力を入れてしまうこともあるので、日常的に使用される靴の減り具合などをみて判断する方がいいかもしれませんね。
(浮き指だと靴のつま先の減りが少ないことが多い!)

フットプリント(足にインクを付けて歩く)や圧力計などでは、状態が分かりやすいです。

浮き指フットプリント

指が実際には浮いていなくても、体重がのっていないケースも隠れ浮き指といえます。

人によっては、足部や趾(足の指)の変形を伴うことがあります。

外反母趾・内反小趾・ハンマートゥ・マレットトゥ・クロートゥ・開張足・偏平足

などでも指が浮いてしまうことがあります。

全部の足指が浮いてしまっている場合もあれば、部分的に持ち上がっているだけの場合もあります。

浮き指って悪いこと?

浮き指 正面からのイラスト

「浮き指」は、状態や症状を表していて、浮き指だからといって病気ではありません!

実は誰でも「浮き指」になりえるのです。
指を持ち上げる(背屈)「伸筋」と指を曲げる(底屈)「屈筋」のバランスが崩れることで「浮き指」の状態になります。

また、立位でかかと側に体重をかけていくと自然に足指が地面から離れてしまう人もいます。

なので、浮き指の状態は病気や変形とは違います。

ただし、浮き指になるということは足部の筋肉や形状、体重のかけ方に不調をきたしている兆しともいえます。

うまく足部に体重をかけられないと、膝や股関節、腰部、頚部にも悪い影響を与える可能性もあるんです。

また、浮き指だけにとらわれるのではなく、その原因にも目をむけなくてはいけません。
荷重バランスの崩れる原因をみつけること、屈筋・伸筋のバランスが崩れる要因があるはずです。

「ターフトゥ」ってどんな状態?

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浮き指になる原因と要因は?

浮き指の足は伸筋腱が浮いて見える

浮き指になる仕組みを理解してみましょう。
浮き指になる原因によって、改善できるもの、改善できないものとに分かれます。

屈筋と伸筋のバランスによるものが多いです。変形や病気の影響を受けていないものは改善にも期待がもてます。

一方、病気(内科疾患)や足部の変形によって起きるものは改善しにくいので、サポーターやインソール、バンドなどで対応する必要があります。

浮き指になる原因

浮き指になる仕組みとしては、足の指を上下に引っ張る筋肉のうち、上の筋肉が引っ張る力が勝ってしまっている状態です。

上(足の甲)側に引っ張るのが伸筋群。下(足裏)側に引っ張る筋肉が屈筋群。このバランスが崩れたときに起きるのが「浮き指」なのです。

①足趾伸筋の緊張や短縮

足の指を持ち上げるには、おもに足のスネ外側にある長趾伸筋(ちょうししんきん)、長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)が使われます。
このふたつの筋肉は、足関節背屈(足首でつま先を持ち上げる)にも使われています。

長距離歩いたり、走ったりしてその筋肉が疲れてくると伸びづらくなりますよね。

伸筋側の筋肉が硬くなることで足指を持ち上げてしまうことがあります。

②足趾屈筋側の萎縮(いしゅく)や麻痺

足指を折り曲げるための筋肉(趾屈筋群)は、足裏とふくらはぎにあります。

この筋肉が弛緩性麻痺(しかんせいまひ)を起こすと伸筋群の牽引力によって指が持ち上がります。

また、長期間使われなかったり、麻痺の状態が続くと「萎縮」(いしゅく)して筋肉が小さくなります。
この場合も伸筋の働きによって浮き指の状態になります。

③足部・足趾の変形

偏平足(縦足アーチ減少)
開張足(横足アーチ減少)
外反母趾・内反小趾(指の向きの異常)
ハンマートゥ
マレットトゥ
クロートゥ
など

足部の縦アーチ・横アーチの減少や消失は、足底側の筋肉がうまく使えない原因になります。
とくに横アーチ(横足弓)は、足指の筋肉が働くためには超重要です。

屈指症(ハンマートゥ・マレットトゥ・クロウトゥ

ケガや病気による足部や足趾の変形は、筋肉や腱の引っ張る方向を変えてしまいます。
その結果、足趾の亜脱臼が起きたり、浮き指が発生したりします。

足指の筋肉がうまく使えなくなる要因

きついストッキングも浮き指の原因に

足趾の屈筋側の筋肉がうまく使えなくなって起きるのが浮き指ですが、どんな要因でそうなってしまうのでしょうか。

日常的に気を付けることで防げる部分もあるので、対策できるところはしておきましょう。

①靴のサイズ・形状が合わない。

・サイズが小さすぎる
・サイズが大きすぎる
・履き口が広い靴
・かかとの高い靴

靴が小さすぎるとつま先で指が詰まってしまうので、足指に力が入れにくくなります。
大きすぎると今度は中で動かないように足指を背屈して、動く(脱げる)のを防ごうとするので伸筋が過度に働きます。

また、足首周りが緩い靴でも、脱げないように足指を背屈させる傾向が強いです。
ハイヒールなどのかかとの高い靴では、足指は背屈状態で荷重されるので、足底の屈筋が働きにくい状態が続くことになります。

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②かかと側に体重をかけている。

立位で足部の体重を乗せる場所は、

「足首のまん中」

が理想的とされています。
横から見ると「くるぶし」あたりですね。

体重がそれより後ろ(かかと側)にのっていると、足の指先を挙げて(背屈させて)バランスをとろうとします。

これによって、伸筋が過剰に緊張し、底屈させる屈筋が働きにくくなります。

③内科疾患によるもの

関節リウマチなどの膠原病や脳血管疾患による神経症状によって、関節の変形や神経麻痺が起きることで浮き指の要因になることがあります。

④神経圧迫によるもの

腰椎椎間板ヘルニアや梨状筋症候群などによる「坐骨神経」の圧迫によって屈筋側の麻痺が起こったり、足底の感覚が鈍くなったりします。

足裏の感覚は圧力を感じると、その情報を脊髄から脳に伝えます。次に脳からの情報を脊髄を通して、足の筋肉に指令を出して姿勢やバランスを調整。

このときに屈筋側の神経(おもに坐骨神経)に障害が起きていると指令が伝わりにくくなります。

これによって足趾の屈筋側の筋力が弱くなると、伸筋側(背側)に引っ張られることになります。

⑤幼児期に足底の筋があまり使われなかった。

足底の筋肉、足趾を動かす筋肉は、幼児期の運動と深く関りがあります。

幼児期から裸足(靴を履かない状態)でいることで、足趾や足底部の圧力などを感じるセンサー(圧覚)と脳へつながる神経伝達が活発になります。

この神経伝達が成長していく時期に、裸足で立つ期間が短かったり、活動的でなかったりすると、足趾の屈筋が働きにくくなるのです。

浮き指になるとどんな症状が出る?

浮き指による不良姿勢
不安定歩行
足趾の変形
関節の障害
運動能力の低下
不良姿勢
など

「浮き指」自体は病気ではなく、状態を示しているものです。ただし、足底部を効率的に利用できていない状態のため、身体の別の場所に大きな負担をかけることになります。

そのような結果、衝撃や重力を受ける部位が障害を受けたり、運動パフォーマンスの低下といったマイナスの症状がみられることがるんですね。

また、浮き指になってしまった人は、「横足アーチ」が消失してしまっていることが多いです。
足指や足裏にはバランスをとるセンサーが備わっていて、立位・方向時のバランスをとるのに働いています。

横足アーチが消失することで、かかと・第2~第3中足骨頭部の2点で設置することになるのです。
ということは、センサーがうまく働かずにバランスをとりにくくなります。

メカノレセプター
母趾(親指)の足底側には多くの感覚受容器(センサー)が分布しています。
それらは体性感覚(外部の状態・運動や姿勢の情報)を脳に送る役割をしているんです。浮き指だとそのセンサーが充分に使えない恐れがあります。
「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー

強化するべき筋肉はどれ?

足部の内在筋

麻痺や病気の影響や変形での「浮き指」は改善が難しいことが多いです。
この場合は、サポーターやインソール、テーピングなどを自分の足に合わせて使いましょう。

病気の影響や変形を伴わない浮き指は、改善する可能性があります。

狙うのは、浮き指を予防する足趾の屈筋群
さらに縦アーチ、横アーチを維持する筋肉も重要です。(指の筋が正常に機能するためにも)
強化するべき筋肉をみていきましょう。

足趾の屈筋群

足裏の筋肉

長趾屈筋(ちょうしくっきん)
長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)
短趾屈筋(たんしくっきん)
短母趾屈筋(たんぼしくっきん)
短小趾屈筋(たんしょうしくっきん)
母趾内転筋(ぼしないてんきん)
小趾外転筋(しょうしがいてんきん)

足の縦アーチを保つ

内側縦アーチを支える筋肉

足底部の趾屈筋群(↑上記の筋肉全部)
足底方形筋(そくていほうけいきん)
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
後脛骨筋(こうけいこつきん)
長・短腓骨筋(ちょうたんひこつきん)

足の横アーチを保つ

 

前足部の横アーチを保持する軟部組織

母趾内転筋横頭(ぼしないてんきんおうとう)
長腓骨筋(ちょうひこつきん)
後脛骨筋(こうけいこつきん)

他にもO脚やX脚を防ぐため(荷重する場所を正しくする)に臀部~大腿部の筋肉のバランスも重要。

どうやって予防したらいい?

足裏の筋肉を使おう!ビー玉移動

足趾の筋肉を正常に働かせるためには、日頃から意識しておくことが大切です。

靴や靴下を履いている日常では、足裏の筋肉をあまり使わずに生活してしまっていることも多いです。
筋肉は使われないと脳の指令が届きにくくなるので、動かしにくくなります。

そして、それが長期になってしまうと筋肉が減少する「萎縮」(いしゅく)が起こります。
筋肉を萎縮させない運動を紹介していきましょう。

インソールやバンド、テーピングも予防や改善には有効なこともあります。
インソールやバンドなどは土踏まず(縦アーチ)を補助するように使うといいでしょう。

他にも「五本指ソックス」を使用して、日頃から足の指を動かすように使用することも有効な方法ですよ。

運動で筋肉を使う!

タオルギャザー
タオルギャザーは足指・足裏のトレーニング床に敷いたタオルを足指でたぐり寄せる運動。
屈筋群に効きます。

足指じゃんけん
足指じゃんけん足指を意識しながら行います。
足指を開閉することで趾内転筋や外転筋にも作用します。

カーフレイズ
カーフレイズ。かかとを上げて背伸びを繰り返す足指まで持ち上げるように足指で床を押すように行いましょう。
長趾屈筋・長母指屈筋、腓骨筋、後脛骨筋も鍛えられます。

足指伸筋群のストレッチ
疲労しがちで、ストレッチを怠りがちな伸筋群をストレッチしておきましょう。

長趾伸筋のストレッチ

長母趾伸筋のストレッチ

 

まとめ

踵上げ運動で浮き指を改善

〇浮き指は病気ではない。
〇屈筋の麻痺や萎縮によって起きる。
〇足指の伸筋群の使い過ぎにも注意。
〇変形を伴わないものは改善する可能性がある。
〇縦アーチ・横アーチの保持は重要。
〇普段から足指を使うことで予防する。
〇後ろ体重になることで不良姿勢につながる。
〇バランス感覚が悪くなりやすい。

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