【踵部脂肪体】の障害はかかとの痛み。衝撃吸収能力の低下が原因?

【踵部脂肪体】の障害はかかとの痛み。衝撃吸収能力の低下が原因?

こんにちは。ほんだ整骨院山内です。

かかとに痛みが生じる人は多いですよね。

太ってきたので運動を始めた!
部活動で道路を走る機会が増えた!
健康のために歩き始めた!

こんなときに痛みが生じる人が増えています。

かかとの痛みといっても、いろいろな疾患・障害があるのです。

痛みの出る場所。
痛みが出る動き。
どんな痛みか。

かかとの痛みについては、こちらの記事で紹介しています。
「かかとの痛み」の正体は?原因を見極めて対処しよう!

今回は、数ある「かかとの痛み」の中でも、軟部組織の障害である

「踵部脂肪体」(しょうぶしぼうたい)の障害による痛み

について紹介していきます。

【踵部脂肪体】の障害はかかとの痛み。衝撃吸収能力の低下が原因?

踵部脂肪体障害

※このページでは「踵部脂肪褥炎」「踵部脂肪体症候群」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

踵部脂肪体ってなに?

踵部脂肪体の役割

 

足の裏の皮膚って、他の部位よりも少し分厚くなっていますね。
人の荷重が加わりやすい部分の皮膚は厚く強くなりやすくなるんです。

とくに「かかと」。
かかとの皮膚はかなり分厚い!
かかとは、人間が立位で二足歩行すると強い衝撃と荷重を受ける場所です

かかとの皮膚は分厚いですが、さらに衝撃を骨に伝えないために

踵部脂肪体(しょうぶしぼうたい)

という脂肪組織があります。

踵骨下脂肪体(しょうこつかしぼうたい)とも呼ばれます。

身体には「皮下脂肪」というものがありますね。
ただし、踵部脂肪体は他の脂肪組織と違って、細かい区画に分かれています。

その細かく分かれた区画に脂肪が詰まってボールのようになり、荷重時や踵歩行時のクッションとして働くのです。

踵部脂肪体には他にも呼び方があります。

踵部脂肪褥(しょうぶしぼうじょく)

「褥」とは、「じょく」「しとね」と読みます。敷き物やふとんといった意味があります。

他にも、

Heel Fat Pad(ヒールファットパッド)

と英語で呼ぶこともあります。

この記事では「踵部脂肪体」と呼ぶことにしますね。

実は動物のゾウのかかとにも脂肪でできた組織が歩行時の衝撃を吸収しているんですよ!

ゾウの踵部脂肪体

ゾウの足音を聞いたことがありますか?
実はほとんど足音をさせずに歩くんです!
脂肪組織が衝撃を吸収しているからなんですね。

足首にネズミがいる?!離断性骨軟骨炎って?⇒足首の離断性骨軟骨炎。長期続く痛みに注意。不安定症の原因にも。

「踵部脂肪体障害」って?

 

踵部脂肪体(heel Fat Pad)

で、問題は、過酷な環境におかれやすい「踵部脂肪体」に障害が起きること。

人によっては「有痛性ヒール(踵)パッド」と呼ぶこともありますね。

繰り返しかかとを着地する歩行やランニングを続けていたり、硬い地面や靴を使用したりすることで緩衝作用が弱くなります。

衝撃吸収能力が低下することで足のトラブルを引き起こしやすくなるのです。

かかと周辺の痛み

踵部脂肪体の障害が原因で起こりやすい疾患
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
有痛性踵骨棘(ゆうつうせいしょうこつきょく)
外脛骨障害(がいけいこつしょうがい)
後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)
腓骨筋腱炎(ひこつきんけんえん)


踵部脂肪体障害は、内因性のものと外因性のものに分けられます。

内因性のもの
「踵部脂肪褥炎」(しょうぶしぼうじょくえん)
「踵部脂肪体萎縮」(しょうぶしぼうたいいしゅく)

外因性のもの
「踵部脂肪体症候群」(ファットパッド症候群)

中年から高齢者に多い「踵部脂肪褥炎」「踵部脂肪体萎縮」

 

踵部脂肪褥炎

おもに内因性のもの(自分の体に原因がある)は、なんらかの原因によって踵部脂肪体の弾力性が弱くなってしまうものです。

加齢や内科の疾患によって、踵部脂肪体の区画(コンパートメント)を仕切る結合組織が弱くなると、衝撃を吸収する能力が低下します。

また、足部の変形、下肢筋肉の機能不全をきたす疾患によって、足部が過回内・過回外をすることで起きることもあります。

踵部脂肪体が萎縮といって薄くなるのが特徴ですが意外に、

非荷重でのかかとの厚さは健常時と変わらない!

ことが多いです。

ただし荷重したり、圧をかけてみると薄くなりやすい特徴があります。

かかとの下縁を押すと痛みます。
歩行時はかかとのクッションがないので、つま先で歩いたり、足を持ち上げないように地面を擦って歩くのが特徴的です。

中年から高齢の人に多い」といわれています。

比較的若年者に多い「踵部脂肪体症候群」「ファットパッド症候群」

踵部脂肪体症候群

踵部脂肪褥炎と違って、若い人に多いといわれています。

踵部脂肪体とかかとの骨に繰り返し外力が加わってこすれることで炎症が起こると考えられています。

衝撃吸収能力が低下する踵部脂肪褥炎とちょっと違う機序で痛みが発生しているのです。

で、「踵部脂肪体症候群」は荷重時のかかとの高さが健側(痛くない方)と変わらないことが多いです。

こちらは軟部組織全体での炎症なので圧痛点が分かりにくく、かかと全体に痛みが分散します。

外因的な要素が強く、硬い地面でのランニングやジャンプなどスポーツをしている人に多くみられます。

運動を始めたり、シューズを変えたり、練習環境が変わったり・・・こんなときに起きやすいのも特徴です。

踵部脂肪体症候群
体重や衝撃が足部に伝わる

アーチが沈もうとする

足底腱膜が引っ張られる

地面と踵骨に剪断力

その間にある踵骨脂肪体に炎症が生じる!

踵部脂肪体の障害による症状。

〇踵骨隆起下縁(かかとの下側)に圧痛(踵部脂肪褥炎)
〇かかと全体に痛み(踵部脂肪体症候群)
〇炎症が強いと腫れることがある。
〇裸足やソールの薄い靴で歩くと痛い。
〇かかとをつくと痛い。
〇つま先歩行(踵を浮かす)、足を持ち上げずに擦る歩行

踵部脂肪体には痛みの神経終末が分布しているので、歩行のたびに痛みが出るとかなり不快度は高いです。

慢性期には腫れや熱感も出にくく、おもな症状は「自覚所見」(じかくしょけん)がほとんど。

踵部脂肪体障害(有痛性ファットパッド)は、よくみかける疾患ですが知名度はいまいち。

患者さんは自分の痛みに加えて、周囲の理解を得なければいけないのです。
少なくとも指導者の方には知っておいてほしい疾患ですね。

どうして痛くなる?原因は?

踵部脂肪体褥炎・踵部脂肪体萎縮

 

踵部脂肪褥炎(中高年に多いほう)は、
内因性+外因性

踵部脂肪体症候群(若年・スポーツする人に多いほう)は、
外因性

によることが多いです。

内因性
〇加齢による水分保持減少で脂肪を仕切る結合組織がもろくなる。
〇膠原病(こうげんびょう)などで結合組織が壊れやすい。
〇遺伝的にもともとファットパッドの層が薄い。

 

外因性
〇硬い地面
〇繰り返し衝撃が加わる。
〇体重増加
〇練習環境の変化

 

治療と予防

踵部脂肪体障害に有効なアイテム

「内因性」のものに関しては予防することは難しいです。
ただし、「外因性」のものは予防が可能。積極的に予防していくことは大切です。

踵部脂肪体は、荷重がかかると外側に逃げてしまいます。
これによって衝撃吸収力が低下し痛みが発生!

ということは、踵部脂肪体が外側に逃げないようにかかとを優しく包んで圧迫するのが予防になります。

なかなか自分で判断できないことも多いので、お近くの専門家に相談することをおすすめします。

治療・予防に有効なアイテム

サポーター
ヒールを側方から圧迫する

ヒールカップ
・かかとを側方から保持するもの。
・かかとに荷重がかからないようになっているもの。
自分に合ったものを選びましょう。

テーピング
ファットパッドをかかとの下に寄せるようにテーピングを施しましょう。

ヒールを高くする!
かかと部分をあげることで、足底部(足裏)の荷重点は前方に移動します。
重力負荷を前足部にもっていくことでかかとの負担を減らします。

急性期の治療

RICE処置が基本です。
腫れて熱感をもっているようならアイシングを行います。

足をつくのも痛いようなら杖・松葉杖での免荷(体重をかけない)ことも検討します。

似ている疾患・障害

かかと周辺の痛み

足底腱膜炎・有痛性踵骨棘
かかと内側前方から土踏まずに痛み。踵骨下縁の「滑液包炎」のこともあります。
足底筋膜炎

セーバー病
10歳前後の子どもに多い骨端症。成長軟骨に障害が起きるものです。
子どもがかかと(踵)を痛がるときは?セーバー病にご注意!

踵骨骨折・踵骨疲労骨折
オーバーワーク・骨粗しょう症の人は要注意です。
「踵骨骨折」(かかと)ってどんなときに起こる?疲労骨折にも注意!

有痛性三角骨・三角骨障害
かかとというより足首に近いですが、踵骨と距骨に挟まることがあります。
足の【有痛性三角骨】。つま先を下げた時に足首後ろが痛い!(三角骨障害)

距骨下関節症
整地されていない場所を歩くときに痛みが出ます。
【距骨下関節症(炎)】でこぼこ道や衝撃で足首に痛みが出る!

踵骨骨髄炎
傷や風邪などの菌がかかとの骨の中で繁殖してしまうものです。
化膿性の骨髄炎です。

まとめ

踵部脂肪褥炎(踵部脂肪体萎縮)
〇脂肪体どうしの隔壁が崩れることで弾力性が低下。
〇加齢や膠原病などで起こりやすい。
〇中年から高齢者に多い。
〇足部の変形を伴っていることも多い。
〇非荷重での厚さは変わらないが、荷重時には薄くなりやすい。
〇踵骨下縁部に圧痛点がある。

 

踵部脂肪体症候群(ファットパッドシンドローム)
〇踵部脂肪体と周囲のこすれ。ズレによる炎症。
〇硬い地面・繰り返しの衝撃が原因。
〇若年者・スポーツマンに多い。

 

予防&治療
〇急性期は冷却・安静
〇かかとの免荷は有効。
〇テーピングやサポーターで側方を保持すること。
〇ヒールパッドでかかとがブレないように!

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