子どもが足の甲(内側)や土踏まずを痛がる。第一ケーラー病って?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

子どもの足の骨は、成人の骨と異なります。
いちばんの違いは、

軟骨部分が大きいこと!

骨端軟骨(こったんなんこつ)とか成長軟骨(せいちょうなんこつ)と呼ばれています。
この軟骨部分が硬化して骨になることで成人の足部になっていくんです。

ということは、子どもの足は軟骨部分に負荷が強くなると問題が起きやすいのです。

今回は子どもの足の内側(土踏まず周囲)の痛み
足部舟状骨(しゅうじょうこつ)の骨端症である「第一ケーラー病」について紹介していきます。

ケーラー病は舟状骨の骨端症

子どもが足の甲(内側)を痛がる。第一ケーラー病って?

※ご注意!
このページでは「第1ケーラー病」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

第一ケーラー病ってどんな疾患?

舟状骨は内くるぶしの前方にある骨

骨端症(こったんしょう)とは、なんらかの理由で、骨端軟骨(成長軟骨)部分に血流が不足して、組織が壊れたり、無腐性骨壊死(むふせいこつえし)を引き起こしてしまうものです。

骨端症の多くは、世間に発表した人の名前がつけられています。

骨端症ってどんなもの?

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足の舟状骨の骨端症

 

第一ケーラー病は足部内側の土踏まずにある骨の痛み。

足の舟状骨(舟状骨は手にもある)は、足部の内側(母趾側)の足根骨のひとつ。
ちょうど土踏まずあたりにある骨です。

第1ケーラー病はこの舟状骨(しゅうじょうこつ)の骨端症で、比較的低年齢の子供に多い疾患です。

足の舟状骨はどんな骨

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発症しやすい傾向は?

小児の足部は骨が多い

〇年齢と性別
年齢は舟状骨が完全に硬化(軟骨が骨化)するまでの3歳から10歳ごろまでが多いです。
とくに3~7歳ごろが多いといわれています。
男性の方が女性よりも多いのですが、見られないわけではありません。

〇活発な人に多い
どちらかというと大人しい運動量の少ない人よりも、活発で動きまわる人の方が多い傾向にあります。

第1ケーラー病の症状

〇腫脹(腫れ)
〇荷重時痛
〇歩行異常
〇外側に荷重する
〇両足にでることも

第一ケーラー病は、土踏まず部分や足の甲側に痛みを訴えます。
腫脹(しゅちょう)がみられることもあります。
基本的には片側性ですが、両側にでることも。

土踏まず側に体重がかからないように外側(小趾側)に荷重して歩く歩行の異常で気づく場合もあります。
低年齢の小児ではうまく痛みを表現できないこともあるので、普段と違った歩き方をしていたら、声をかけることも大切です。

第一ケーラー病の原因は?

・舟状骨は周囲の骨に比べて成長が遅い
・縦アーチで圧迫を受けやすい
・歩行や運動が活発になる時期

舟状骨は足部でも重要な役割をしています。
成人でも舟状骨に関係する疾患はたくさんあるんです。

そんな足の舟状骨の特徴から第一ケーラー病の原因を考えていきましょう。

原因不明の血行障害

第一ケーラー病の原因は不明とされています。
舟状骨の血流を生じることで骨端軟骨(成長軟骨)の硬化異常が生じると考えられます。

骨端症は「無腐性骨壊死」(むふせいこつえし)といわれますが、障害が残ることはほとんどないことから完全に血流が断たれているわけではないようです。

正式には原因は不明ですが、舟状骨がダメージを受けやすいことが第一ケーラー病の原因のひとつにもなっています。

舟状骨は骨化が遅い!

子どもの骨は軟骨部分が大きく、年齢にしたがって骨化してくる

子どもの骨は、骨端軟骨にカルシウム沈着が起こり、硬化することで成長していきます。

他の足部の骨に比べて、足の舟状骨は軟骨組織として存在はしているものの骨化が遅いのが特徴です。

周囲の骨が硬く、舟状骨は軟骨。
この状態で歩行や立位になったら、舟状骨が傷みやすそうですよね。

骨の成長のしかた
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舟状骨は内側縦アーチの頂点

内側縦アーチは、荷重時に扁平化して衝撃や体重の負担を減らします。

舟状骨は後脛骨筋によって上方へ引っ張られて、アーチの弓部分の頂点を形成します。
縦アーチの伸縮が機械的に繰り返されることで舟状骨の軟骨部分が周囲の骨に押しつぶされるように働くのも原因のひとつです。

アスリートは舟状骨が疲労骨折することもあるので要注意。
足舟状骨の疲労骨折。上部内側のしつこい痛みには要注意!
後脛骨筋や靱帯による舟状骨の剥離骨折
足舟状骨の剥離骨折。

運動が活発になる時期

乳幼児が立位歩行を始める時期には、土踏まず(内側縦アーチ)がないので「べた足歩行」です。

後脛骨筋が発達して土踏まずができてくる(3歳前後)と、徐々にかかと着地の歩行になります。
そうなると歩きや走ることが活発になり始めます。

動きが活発になればなるほど、内側縦アーチ(土踏まず)の伸縮は繰り返されることになりますよね。

とくにこの時期では、骨や筋肉が成長するなかで体重も増加していきます。
運動の活発化や体重増加も第一ケーラー病の原因のひとつと考えられます。

第一ケーラー病の予後と治療

足の舟状骨部分は後脛骨筋(こうけいこつきん)の停止部であり、内側縦アーチを形成している足部にとって重要な役割をしています。

進行すると異常歩行を生じるので早めに治療をしておきましょう。

診断はレントゲンで

レントゲン画像では舟状骨が扁平化、分節化、濃縮化などがみられる

診断は整形外科で行いましょう。レントゲン検査により健常側(痛くない方)と比較します。

第一ケーラー病では舟状骨の骨核(骨化している部分)が、分節化(割れる)、扁平化(つぶれる)などがみられます。
異常な骨硬化画像(濃く写る)がみられることもあります。

舟状骨部分の痛みは、後脛骨筋腱炎や外脛骨障害(有痛性外脛骨)などとの鑑別も必要です。

治療は安静にするのが基本

冷却
安静
免荷(めんか)
足底板

治療は整形外科の医師の指示に従いましょう。
ほとんどが保存療法を選択されます。

腫脹(腫れ)や痛みが強い場合はアイシングを行い、患部を安静にします。
(痛みで足が着けないぐらいの場合は、ギプス固定や松葉杖歩行をすることも)

足底板(インソール)でアーチを保たせることで舟状骨への負荷を和らげることも行います。(アーチが沈み込むと舟状骨が押しつぶされるので。)

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予後は良好

ほとんどの症例で障害を遺さずに痛みも消失します。
ただし、舟状骨の分節化や扁平化が改善するまでに1年以上かかることもあります。

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第1ケーラー病まとめ

〇足部舟状骨の骨端症
〇3歳以降10歳ぐらいまでの男児に多い
〇予後は良好なことが多い
〇土踏まずが形成される時期と関連
〇後脛骨筋腱炎や有痛性外脛骨と鑑別が必要

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