こんにちは。荻窪教会通りにあるほんだ整骨院の山内健輔です。
正座(せいざ)をする機会は最近ずいぶん少なくなりましたね。
慣れていないと、正座をする機会にすぐに足がしびれてしまいます。
ジンジン
じわじわ
ピリピリ
チクチク
いろんな感覚が両足を襲ってきます。
ほとんどが一過性のものですが、我慢しすぎると危険なこともあるんです。
正座で足がしびれるしくみを知っておくことで、いざというときにも対処できるようにしておきたいですね。
今回の記事では、「正座をしたときの足のしびれ」について紹介していきましょう。
『正座と足のしびれ。』
このページでは「正座としびれ」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
正座で足がしびれるしくみ
正座では、膝を最大限まで屈曲したうえに、足部に体重がかかります。
このときに膝から下の部分では何が起こっているのでしょうか?
- 動脈が圧迫
- 組織に酸素が届かない
- 脳に異常を知らせる信号を発信
- 感覚の消失
このような順序で足のしびれが発症していると考えられています。
※正座だけでなく、あぐら(胡坐)やしゃがむ(蹲踞〈そんきょ〉)でも同じようにしびれることもありますよ!
①血管を圧迫
この状態だと血管(動脈も静脈も)が圧迫されて、血流が途絶えます。
とくに動脈が圧迫されることが問題です。
膝窩動脈(しっかどうみゃく)……膝ウラを走行
足背動脈(そくはいどうみゃく)……足首の前側を走行
後脛骨動脈(こうけいこつどうみゃく)……内くるぶし後ろ
②足の組織が酸欠
血流が途絶えて、酸素が欠乏してしまうことを「虚血」(きょけつ)といいます。
動脈は、赤血球に結び付いた酸素を末梢に運ぶ役割をしています。
もちろん神経線維も細胞でできているので、酸素が必要。
さらに、各部位でも酸欠が起きてくるので、その異常を末梢神経は感知します。
③脳に異常を知らせる
下腿部~足部で起きた虚血を脳に知らせるために、末梢神経は異常信号を脳に送ります。
Aδ線維(えーでるたせんい)はチクリとした痛みを脳に伝える伝達速度の速い神経(求心性神経)。
C線維は伝達速度の遅い神経(求心性神経)。
Aδ線維とC線維は脳に下腿部~足部の虚血という異常を知らせるために異常電流を流します。
ピリピリとかチクチクはAδ線維。
ジンジン、じわじわはC線維が脳に異常を知らせているってこと。
末梢神経が脳に「血液が来てませんよ~」という合図を送っているのが、しびれの正体だったんですね。
血流が途切れることで「壊死」(えし:組織が壊れる)を起こさないために警告を出している、「生体の防御反応」といえます。
④感覚が消失
もっと我慢をしていると、やがて感覚がなくなります。
これは一時的に末梢神経が機能を停止している状態。
このときには、筋肉も効かなくなっているので、力が入りません。
当たり前ですが、足底の深部感覚(バランスをとるためのセンサー)も機能を停止しています。
末梢神経が麻痺している状態のときに気を付けたいのが「転倒」。
ほとんどが一過性の可逆的(元に戻れる)な末梢神経障害なので、血流が再開されれば回復しますが、転倒や捻りによるケガには注意が必要です。
足ウラにあるメカノレセプターは立位歩行で大事な役割を果たしています。
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我慢しすぎるのも危険!
最初はジワジワ痛くなってくるような感覚ですが、耐え忍んでいると感覚がなくなります。
しびれは生体に危険が及んでいることを示すサイン。
それを無視し続けると危険なことが生じるリスクもあるんです。
ほとんどが一過性のもの
感覚がなくなっても基本的には、血流を再開(正座を崩す)することで感覚の麻痺もしびれも消失します。
通常へ戻る過程では、感覚麻痺が起きた時と逆の順序で回復していきます。
症状が消失するまでにかかる時間は、正座していた長さにもよりますが、5分~20分で回復することが多いようです。
血流障害によるリスク
一過性のものとはいえ、あまりにも長時間頑張りすぎるのも考えもの。
長時間の正座にはリスクがあります。
血流が長時間遮断されることで生じる病気があるんです。
適度に休憩をはさむことによって予防できますので、気を付けましょう。
深部静脈血栓症ともいわれます。
下腿の深部にある静脈で血液が固まり、血栓となるもの。
血栓が肺につまることで生命にも危険を及ぼすこともあります。
下腿部(ひざ~足首)は4つの区画(コンパートメント)で区切られています。
区画内部が圧迫されることで、不可逆性の血流障害を生じて神経麻痺や筋肉の壊死を引き起こすもの。
横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)
筋肉細胞が長時間の酸欠により壊死してしまうもの。
筋肉は他の細胞よりも酸素を多く必要とします。
筋肉細胞が壊死することで、ミオグロビンなどのタンパク質が血流再開時に全身に回り、内臓(腎臓や肝臓)がダメージを受けてしまうもの。
横紋筋融解症は災害などで長時間に渡り、四肢が圧迫された場合や過度のアルコール摂取、過度の運動、熱中症が原因で発症します。また様々な薬剤の副作用によっても発症することが報告されています。骨格筋が障害されることで、骨格筋細胞に含まれる物質が放出されます。
腓骨神経麻痺にも注意
もうひとつ、気をつけたいのが「腓骨神経麻痺」(ひこつしんけいまひ)。
総腓骨神経は、腓骨頭(膝外側の下部にある骨のでっぱり)を後方から巻き付くようにして下方に走行する末梢神経。
皮膚の知覚を走行しているので、圧迫を受けやすい特徴があります。
正座やあぐらでも長時間圧迫され続けて麻痺を起こすことがあります。
総腓骨神経は坐骨神経が枝分かれしたもので、おもに下腿~足部の外側の知覚を感じとります。
腓骨頭のちょっと下でさらに枝分かれします。
前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋を支配
長腓骨筋・短腓骨筋を支配
この総腓骨神経が障害を受けると、
下垂足(かすいそく)
ドロップフットともよばれつま先が上がらなくなります。
「鶏歩」(けいほ)といって、つま先がひっかからないように膝を真上に持ち上げる歩き方をするのが特徴。
回外足
浅腓骨神経のほうが障害を受けると足の親指が持ち上がりがちになります。
疾患ではないですが、捻挫をしやすくなったり、ハイアーチになりやすかったりします。
下腿~足部外側の知覚異常
しびれや感覚麻痺、冷感などが起きます。
つま先・足指の背屈できない
足先(足首背屈)や足指を持ち上げる運動ができなくなったり、しにくくなります。
歩行に支障が出るので、つま先が下がらないようにする装具が必要になることも。
腓骨神経麻痺が疑われると、筋電図や伝達速度検査が必要になります。
〇姿勢が良く見える
〇骨盤が立つので背筋が伸びる
✖膝に負担がかかる
✖下肢の血流が悪くなる
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⇒「前足根管症候群」深腓骨神経を圧迫、第1~2趾間のしびれが特徴
しびれ対策
「重心は前」が◎
徳原さんが三つのコツを教えてくれました。「1か所をぎゅっと圧迫することでしびれは起こります。圧迫される部分を分散させることがポイントです。左右の足の親指を重ね、かかとを開いて座りましょう」。負担が集中しないよう、左右の親指を数分おきに入れかえることが大切です。また、重心を後ろにすると足はますますしめつけられます。重心を前にすると足への負担がやわらぎ、姿勢もよくなります。「こうすると見た目も美しくなります」
正座をするときは、
〇重心を前にかける
後方(かかと側)に体重をかけすぎると、「てこの原理」で膝が支点になり、より血管を圧迫してしまいます。
背中が曲がらない程度に前側に重心をかけましょう。
〇体重を集中させず、分散させる
たまに足の親指の上下を入れ替えたり、体重が分散するように荷重場所を変えたりしてみましょう。
かかとを開いてお尻をその間に入れるだけでも足背動脈の圧迫を避けられます。
〇たまに休憩する
1時間以上正座をするときは、休憩を入れて血行を回復させることが理想です。
痺れにくくするためには、
- 正座用の座椅子を使う。
- 体重の管理
- 日ごろからストレッチをしておく
昔の日本での和式生活では、しゃがんだり、正座したりが暮らしのなかで多くありました。
足首や股関節、膝に柔軟性があったんですね。
そしてお座敷スタイルでの生活は、正座する機会も多くありました。
各関節や筋肉の柔軟性が正座でもしびれの予防にもなっていたと考えられます。
ただし!
しびれを完全に防ぐことはできないので、なるべくできる範囲で休憩するのが正解です。
変形性膝関節症
変形性股関節症
変形性足関節症
オスグッド・シュラッター病
足関節捻挫
膝関節外傷 など
まとめ
〇正座でのしびれは血流が遮断されるのが原因
〇末梢神経が酸欠を感知して脳に警告しているサイン
〇感覚の消失は神経の機能が停止している状態
〇我慢しすぎるのも危険がある。
〇腓骨神経麻痺にも注意。
〇しびれの対策として荷重を分散させる
〇下肢のストレッチで筋・関節を柔軟に保つ
〇膝や足首の疾患があるときは正座しない
足がつるのはなぜ?
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