【中足骨疲労骨折】長引く足の甲から前側の痛みに要注意!

こんにちは。ほんだ整骨院山内です。

 

健康増進のためのランニング、クラブ活動などで痛みがありながら我慢しながら続けている!

そんな頑張りがちの人。

そんな方に起こりやすいケガ。

疲労骨折

我慢強いのは美徳とされがちな昨今ですが、そのガマンがケガのもとになってしまうこともあるのです。

今回は、比較的成長期の方に起こりやすい骨折、長引く足の甲の痛みが特徴です。

「中足骨疲労骨折」

について、ご紹介していきます。

※このページでは「中足骨疲労骨折」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変わっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

【中足骨疲労骨折】長引く足の甲から前側の痛みに要注意!

そもそも疲労骨折とは?

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【中足骨疲労骨折】の起こりやすい場所

「中足骨」は足の指の延長上にある「足の甲」をつくる骨です。
第1中足骨から第5中足骨まで5つあります。

「疲労骨折」とは、繰り返し骨に外力が加わることで少しずつ骨の繊維が損傷していくものです。

「針金を繰り返し折り曲げ続けるとやがて切断してしまう」

というような感じでしょうか。

発生頻度としては、

  1. 第2・第3中足骨が最も多い!次は第4中足骨。
  2. 第5中足骨も起こりやすい。
  3. 第1中足骨でも起こるが舟状骨でも起こることがある。

足舟状骨の疲労骨折とは?

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発生原因

足部にある「縦アーチ」に繰り返し負担がかかることによって中足骨が損傷します。

「縦アーチ」は、足部でバネの役割をしていて、着地時の衝撃と推進力を増強する仕事をしています。

足部の3つのアーチ

 

ランニング・ジャンプ・ターンなど足部に強い力が加わる動作が何度も繰り返されることによって起こることが多いです。

どんな人に起こりやすい?

いちばん多いのは、スポーツ選手です。
サッカー・ラグビー・バスケットボール・陸上の選手はとくに多いです。

登山でも起こることがあります。

なんとなく持久系のスポーツに多い印象ですが、瞬発系のスポーツでもよくみられます。

起こりやすい特徴として

・体重が重い
・ハイアーチ
・硬い地面でのスポーツ
・クッション性のない靴底
・オーバートレーニング

起こりやすい年代は、まだ骨が柔らかい中高生がもっとも多いです。

ですが、

オーバーユース(使い過ぎ)による疾患のためどの年代でも起こるといえます。

【中足骨疲労骨折】は、足部の縦アーチへの負荷により起こるものなので、その負荷を少しでも減らすことが大事になってきます。

ハイアーチでは「中足骨疲労骨折」のリスクが高まります。⇒足の甲が高いと問題?「ハイアーチ」凹足変形によるリスクと対策

症状

患部に荷重がかかるように体重をかけると強く痛みます。さらには腫れ、軸圧痛(指側から負荷をかける)がみられます。

骨の損傷がひどいと内出血斑もみられることがあります。

前脛骨筋にも痛みが生じることが多いです!

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レントゲンに映らないことも!

【疲労骨折】全般にいえることですが、痛みが出始めてすぐにレントゲン撮影をしても、骨折として映らないことが特徴です。

痛みが出始めてから2週間ぐらい経過してから、もう一度撮影すると「仮骨」が形成されているのが見えます。

「仮骨」は新しくできてきた骨です。これが損傷した骨の一部になることで骨が再生します。

「仮骨」が見えるってことは、骨が損傷している証拠です。

【疲労骨折】も立派な骨折です。
軽視せずにしっかり治して、リハビリをしましょう。

立方骨も疲労骨折することがあります

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治療

歩行時に強い痛みがある場合、骨折線が明らかな場合は松葉杖などで、患側への荷重を制限します。
急性期には徹底したアイシングで炎症をおさえましょう。

受傷後のアイシング(冷却)。治療期間を短縮する効果あり!【応急処置】

固定は副子固定(シーネ固定)、場合によってはギプス固定をすることもあります。

固定期間はレントゲンで仮骨の状態を見ながらになりますが、4週ぐらいになることもあります。

スポーツを再開する場合は、仮骨形成がしっかりできてから行います。

もとはオーバーユースが原因ですから、早めに復帰すると再発します。再発をl繰り返すと治りにくくなるので本格的な復帰は慎重に行います。

注意が必要な【中足骨疲労骨折】

【中足骨疲労骨折】第2~4趾が多いのですが、気を付けたいのが

【第5中足骨骨幹部疲労骨折】

「行軍骨折」とか「ジョーンズ骨折」とかいわれます。

なぜ気を付けたいのかというと

「治りにくい!」

第5中足骨は他の中足骨よりも血流に乏しく、外側縦アーチで一番負担のかかりやすい場所。
さらに模型をみてみるとわかる通り、他よりも細いです、。

足部でもっとも外側にある骨なので、競技復帰後も外力が加わりやすいですよね。
ターンするときにはさらに捻じれも加わります。

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初期にしっかりした固定と免荷を行うことで治癒しますが、原因を取り除かなければ再発します。
骨癒合もしにくく、固定期間は長くかかります。

血流の問題から偽関節になることもあるので要注意なケガです。

難治性のものや時間が経ってしまったものは、「手術による固定」を行わなくてはいけないこともあります。(スポーツ選手の場合は手術を進められることが多いです。)

で、この【第5中足骨疲労骨折】と近い場所に起こるのが

【第5中足骨基底部剥離骨折】

ぞくに「下駄骨折」といわれていますね。
腫れていると見た目ではどちらかはわかりづらいです。

発生の原因と圧痛点で鑑別、最終的には画像で診断されます。こちらの骨折は、【疲労骨折】とは違って、しっかり固定をすれば予後は良好です。

『下駄骨折』に関する記事はこちらです。⇒軽視はダメ!【下駄骨折】捻挫に似ているが立派な「骨折」

もうひとつ第5中足骨疲労骨折に似ている疾患「イズリン病」⇒イズリン病(イセリン病)は足の外側の骨端症。類似疾患にも注意!

第2中足骨頭部の痛みには注意が必要⇒フライバーグ病(第2ケーラー病)は足指つけ根の痛みがでる骨端症

足部の酷使は足裏かかとにも痛みを引き起こしやすい⇒「足底腱膜炎」足の裏かかとや土踏まずの痛み。踵骨棘ができるしくみ

再発予防

 

原因は

オーバーユース
足部縦アーチの問題(とくにハイアーチ)
靴や地面

のことが多いですよね。

ということは、原因をひとつずつ潰していきます。

オーバーユースに対しては、練習量を下げる。
縦アーチの問題に対しては、「インソール」で対応。
靴や地面に対しては、靴の「アウトソール」や練習環境を見直すことで対応。

他にも陸上選手の場合にはフォームを見直すことで、足部の負担を減らすことも考えます。

スポーツ現場での再発予防は、選手本人の理解だけではなく、指導者の理解、知識も必要です。

 

メディカルスタッフと連絡をとれるようにして、お互いの知識で選手をサポートできるといいですね。

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【中足骨疲労骨折】まとめ

〇足部のアーチが繰り返したわむことで中足骨に疲労骨折が生じる。
〇ハイアーチ・硬い地面・薄い靴底・オーバーユースは、リスク要因。
〇とくにサッカー選手に多い印象。
〇発生初期にはX線検査で診断しづらい。
〇復帰時期・再発の予防は慎重に!
〇「第5中足骨」の場合は、手術も考える。
〇スポーツ現場とメディカルスタッフが連携する。

いかがでしたか?
【中足骨疲労骨折】は足部の骨折でも、わりと多い骨折です。
スポーツや仕事の現場で起きやすい骨折ですね。

とくに「疲労骨折」は、痛くても頑張ってやってしまう「頑張り屋さん」がなりやすいといえます。

「疲労骨折」を起こしてしまうと患部は4週間以上の安静が求められてしまいます。

なるべくなら

疲労骨折する前に。

自分で。または指導者が。

気づいて対処してあげたいですね。

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