こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
あしうらの痛みで非常に多い疾患が
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
人によっては「足底筋膜炎」(そくていきんまくえん)と呼んだりもします。
足裏のかかと部分から足指(足趾)のつけ根まである足底腱膜の痛みです。
そのなかでも「足裏かかとの内側。朝の一歩目が痛い」という症状の人が多いです。
今回は多くの人を悩ませる足裏やかかとの痛み「足底腱膜炎」について紹介していきます。
『「足底腱膜炎」足の裏かかとや土踏まずの痛み。踵骨棘ができるしくみ』
このページでは「足底腱膜炎」(足底筋膜炎)について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
「足底筋膜炎」「足底腱膜炎」どっち?
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)どちらも普通に使われています。
実際には「足底腱膜」(そくていけんまく)という硬い線維でできた組織部分での痛みです。
足底腱膜は踵骨(しょうこつ:かかとの骨)の踵骨隆起(しょうこつりゅうき)の下面にある内側結節から足趾の基節骨(足指のつけ根)までつながっています。
内側・中央・外側3つの線維束でできていて、踵骨隆起下面から足趾に向かって扇状に足底を支えています。
足部の内側縦アーチと外側縦アーチの「弦」部分になっており、荷重を受けるたびに伸縮することで「バネ」のように働きます。
足底腱膜は縦アーチの「ウィンドラス機構」と「トラス構造」といった機能を維持するうえで重要です。
歩行時に荷重されると足底腱膜が伸張したあと、収縮しようとする力を「踏み返し」(けりだし動作)に使用するしくみ。
縦への衝撃や圧力を横方向の長軸で受けるしくみ。
足部では荷重や床反力を足底腱膜や足底屈筋群が受けることで衝撃を体の中枢に伝えないように吸収している。
踵骨隆起の下面では、足底腱膜の深層にも多くの筋が起始(付着)しています。
表層 小趾外転筋・短趾屈筋・母趾外転筋
中層 足底方形筋
深層 長足底靱帯(母趾内転筋・短母趾屈筋)
足底腱膜炎で多い、「かかと底面の痛み」は、これら足底屈筋群への負荷もなんらかの影響があることが考えられます。
縦アーチの役割って?
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症状は歩き始め「1歩目」の痛みが特徴

荷重時の痛み
歩行時の痛み
歩き始めの痛み
圧痛
伸張させると痛み
かかと体重で痛み
痛みが出る場所で最も多いのが、
あしうらのかかと内側!
土踏まず部分や足指のつけ根付近にもでることはあります。
足裏かかと部分に多いのは、足底腱膜の踵骨付着部だから。
内側に多いのは、縦アーチが内側のほうが高く、足底腱膜が強く牽引されるためと考えられます。(踏み返し時にも強く牽引力が働く!)
痛みの表現で多いのは「ズキン!」や「ズキッ!」。
たまに「チクチク」とか「ズーン」という表現をされる人もいます。
特徴的な痛みが「歩き始め」、とくに朝の起床時の1歩目。
なかには日中に痛みが消失して夕方にまた痛み出す人もいます。
足趾のつけ根が痛む場合は、足趾を伸展(足指を反らす)と疼痛が発生することもあります。
腫れ(腫脹)や内出血がはっきり確認できることはあまりないです。
ほとんどが上記のような自覚症状と圧痛部位によって診断されます。
好発する年齢は40~60代の方が多い(とくに男性)ですが、20代から発生する人もいます。(年齢によって線維がもろくなるのも原因のひとつ)
足底腱膜炎になるしくみ

足底腱膜に過剰なストレス
↓
足底腱膜の微小断裂
↓
繰り返すことで組織が変性(硬くもろくなる)
↓
伸張時に部分断裂
↓
痛み・炎症
足底腱膜炎の発生は、
「足部の縦アーチの酷使」
が原因です。
体重や衝撃が足底腱膜に加わることで、線維に微小な損傷を生じます。とくに疲労や加齢、内疾患などによる足底筋の脆弱化や柔軟性の低下があると微小断裂も生じやすくなります。
繰り返し微小な損傷と再生を繰り返すことで、足底腱膜の線維が変性して硬化します。
場合によっては腱膜内に「線維軟骨」(せんいなんこつ)を生じて強い痛みになることも。
この腱膜内に生じた線維軟骨が「踵骨棘」(しょうこつきょく)や「足底線維腫」(そくていせんいしゅ)の原因にもなります。
歩き始めと夕方以降に症状を生じることも多いことから、足底腱膜の柔軟性と深く関わっていると考えられます。
踵骨棘が痛みの原因なのであれば、痛みが朝だけでなく荷重時には常に疼痛が発生するはず。歩き始めの一歩目が痛いということは「柔軟性が失われている」ときに荷重によって損傷個所が断裂するためだと考えられます。毎朝痛みが出るのは足底腱膜の再生と断裂が繰り返されるからなのかもしれませんね。
↓
組織の修復による癒着の断裂によるもの
↓
損傷による炎症の疼痛
リスク要因となるのは、
多岐にわたります。
足底腱膜炎の原因は?
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足底腱膜炎では、足底部の柔軟性だけでなく、下腿部とくに下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の柔軟性低下も遠因のひとつになります。
下腿三頭筋の脆弱化や柔軟性低下は、歩行・ランニング時の踏み返し(けりだし)動作や衝撃吸収能力が減少します。
これによって、足部の縦アーチへの負担が増加して足底腱膜炎を生じやすくなります。
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「踵骨棘」(しょうこつきょく)はなぜできる?
足底腱膜炎でのレントゲン検査では「異常なし」といわれることも多いのですが、踵骨隆起の足底腱膜付着部に骨棘がみられることもあります。
足底腱膜炎での骨棘部分での痛みを
有痛性踵骨棘
(ゆうつうせいしょうこつきょく)
ともいいます。
「有痛性」があるということは「無痛性」もあるということ。
踵骨棘があるからといってすべての人が痛むわけではありません。
同時に踵骨棘がないからといって、痛くないわけでもないのです。
過度の負荷によって生じる骨が変形したトゲ。
レントゲン上で先がとがって見えるので「棘」といわれる。
腱付着部や軟骨部分、骨部分に過度または長期の負荷がかかって生じる骨組織の異常な増殖、変形。
踵骨棘の場合、足底腱膜の過度な牽引が踵骨隆起底面を引っ張り炎症を引き起こします。(短趾屈筋の牽引も影響する)
腱と骨の接合部分は、4層になっていて
腱
線維軟骨層
石灰化線維軟骨層
骨
腱が繰り返し引っ張られることで「線維軟骨層」や「石灰化軟骨層」を外側へ引っ張りだそうとします。
もちろん骨も再生していきます。
この「引っ張り」による炎症と「再生」をくりかえすことで、生じる骨の異常増殖が「踵骨棘」(しょうこつきょく)。
足底腱膜炎が緩解しても残存している場合もあれば、骨棘が吸収されてなくなってしまう場合もあります。(有痛性と無痛性がある理由)
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足底腱膜炎まとめ
〇足趾のつけ根・土踏まず・かかと部分で生じる。
〇足底かかと内側に痛みが生じることが多い。
〇縦アーチにかかる負荷で足底腱膜の牽引による。
〇朝の歩き出し時に痛みを伴うことが多い。
〇かかと内側に踵骨棘を形成することがある。
〇骨棘があっても痛みがないこともある。
〇リスク要因は多岐にわたる。
〇糖尿病や膠原病などの内疾患もリスク要因。
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