こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
後脛骨筋(こうけいこつきん)は、ふくらはぎのいちばん深層にある筋肉です。
それほど有名な筋肉ではないのですが、足部のアーチを維持したり、バランスをとったりいろんな役割を担っています。
後脛骨筋をストレッチ&トレーニングで健康的に保っておくことでいろいろなメリットがあります。
今回の記事では、自宅でも簡単にできる「後脛骨筋のストレッチ(柔軟体操)&筋トレ」を紹介していきます。
最初に後脛骨筋をケアするメリットについて述べていますが、スキップしたい方はこちらでスキップしてください。
⇒後脛骨筋のストレッチ&筋トレへスキップ!
『後脛骨筋のストレッチ&トレーニングで足の痛みや変形を予防!』
このページでは「後脛骨筋のストレッチとトレーニング」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
後脛骨筋をケア&筋トレしておく理由
後脛骨筋が使われたときの足首への作用は、
底屈(ていくつ)……つま先を下げる
回外(内返し)……足裏を内側に向ける
下腿部にある「深後方コンパートメント」といって、ふくらはぎの深層にあります。
(ふくらはぎの深層には重要な動脈、静脈、神経が走行しているのもポイント)
日常で頻繁に使用されている筋肉なので、疲労しやすくオーバーユース(使いすぎ)に陥りやすいのです。
また、下部で腱に移行すると走行は内果(内くるぶし)や足根管(そくこんかん:かかと内側にある)を通り、方向転換するので摩擦が起きやすい特徴ももっています。
後脛骨筋の情報についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
こんにちは。ほんだ整骨院山内です。 片足立ちで何秒ぐらい立っていられますか? グラグラグラグラ・・・・ この時に、足首の靭帯がグラグラを感じ取ります。その信号が脳に伝わる前に、背骨の中の脊髄(せきずい)というと[…]
足部のアーチと形状維持に重要な筋肉
後脛骨筋は足部のアーチとくに内側縦アーチをもち上げる役割をしています。
縦アーチの役割は、
衝撃吸収
バランス保持
推進力補助
立位や片足保持、歩行や走行を支えています。
スポーツの場面ではジャンプや着地にも使われているんです。
おまけに後脛骨筋は中足骨(ちゅうそくこつ)や足根骨を固定して、外返し(回内)させないように作用もしています。
後脛骨筋に問題があると立位や歩行だけではなく、足部の形まで変わってしまうんですね。
足部の縦アーチ⇒足の縦アーチ(土踏まず)の役割。崩れると身体全体にも大きな影響!
足部の骨の名前⇒足部の骨についての基礎知識。骨の数や名前、構造や役割を紹介。
後脛骨筋が機能しなくなると?⇒足首内側が痛い!かかとが倒れる!「後脛骨筋腱機能不全」ってどんな疾患?
脛骨ってどんな形?⇒脛骨(けいこつ)とは?
筋力強化とケア(運動療法)しておくメリット
運動パフォーマンスアップ
全身の血流を促進させる
疲労やむくみの軽減
○足部の痛みや変形の予防
とくに踵骨(しょうこつ)の外返しを防ぐことで、回内足や扁平足、外脛骨障害、外反母趾などのリスクを軽減させます。
縦アーチを維持させることで足底腱膜炎や踵骨棘の予防にも役立ちます。また、ケガや障害から復帰するときのリハビリとしても重要です。
超音波療法および運動療法と装具療法の併用によりPTTD による疼痛が軽減し、QOL が向上した。超音波療法および運動療法と装具療法は保存療法の一部であり、
これらを併用することで、相乗効果により PTTD の症状が緩和されたと考える。
○運動パフォーマンスアップ
縦アーチによって、バランス能力や衝撃吸収、推進力の補助が見込めるのでスポーツ選手はとくにケアをしておきたいですね。
○全身の血流を促進させる
後脛骨筋はふくらはぎの深層にあるので、周囲には太い動脈・静脈が走行しています。
深部の静脈には血栓ができやすいので、予防のためにもケアしておきましょう。
○疲労やむくみの軽減
心臓から遠い下腿部は血行が悪くなりがちです。
適度に動かすことで、静脈やリンパの流れをよくして疲労物質や老廃物を流しましょう。
後脛骨筋のストレッチ
呼吸は止めずに行うこと。
損傷や炎症が強いときは禁止。
筋肉の緊張を和らげるために行う場合は気持ちいいぐらいの強さ。
内くるぶしの後ろや下に痛みが出るときは禁止。
①立位でストレッチ
まずは立ったままストレッチの方法。
足を前後に開く(伸ばすほうを後ろ)
↓
後ろの脚のふくらはぎが伸びているのを感じながら前に体重を乗せていく。膝は曲げてもOK。
(つま先の向きを調整すると伸張する場所が変わる)
②座ってやるストレッチ(簡単)
あぐらのように座って伸ばすほうの足を立てる。
↓
つま先を手でもち上げるように後脛骨筋を伸ばす。
つま先を外側に向けるとより伸びやすくなる。
③座ってやるストレッチ(開脚)
身体が柔らかい人向けのストレッチです。
開脚して(片方は曲げてもOK)つま先をもつ。
(両手でも片手でも)
↓
つま先を反らす(背屈)ように伸ばす。
↓
足の小趾側(外側)を反らす(背屈)ようにすると強度アップ。
後脛骨筋のトレーニング
きちんと準備運動を行いましょう。
やり方は簡単。長座(足を伸ばして座る)または椅子でも可。
足関節(足首)を回外と回内を繰り返す!
10回ぐらいやれば大丈夫です。
①カーフレイズ
自重(自身の体重)で行うトレーニング
立位でかかとをもち上げるだけ!
グラグラするときは壁や物につかまってもOK。
かかとを降ろすときは床まで着けないで行う。
段差でやったり、片足立ちでやると負荷が上がる。腓腹筋やヒラメ筋もいっしょにトレーニング。
②チューブやゴムバンドで行う筋トレ
チューブやゴムバンドをしっかりした柱や家具の脚にひっかける。
↓
足部の内側に反対側を通して、足首を内返し!
↓
戻して繰り返す。
戻すときはゆっくり。
しっかり固定するものがないときは、椅子で足を組んで反対の脚でゴムの端を踏んでおさえてもOK。
③自分の手でおさえてやるトレーニング
イスで座って、足を組むように膝の上に足首をのせる。
↓
土踏まずあたりを手でおさえる。
↓
手で抵抗を加えながら足首を内返ししていく。
↓
繰り返す
後脛骨筋と関係する足の痛み
後脛骨筋は腱の部分が長く、脛骨内果(内くるぶし)で後方から前方に方向転換します。
腱や腱鞘が摩擦を起こして生じるのが後脛骨筋腱炎や後脛骨筋腱機能不全。
後脛骨筋腱の付着部で繰り返しの牽引によっておきる骨端症が第1ケーラー病。
足根管(内くるぶし下のかかと)で物理的な摩擦を生じて炎症や腫脹によって足根管症候群が発生することも。
後脛骨筋の起始部の骨膜や骨が足を着く衝撃で牽引されておきるのが脛骨疲労骨折や後方型シンスプリント。
後脛骨筋が弱体化したり、腱が機能を失ったときには踵骨が回内します。これによって引き起こされる足の変形が回内足、扁平足、外反母趾。
縦アーチを上から引っ張る力が弱くなると縦アーチをいっしょに支えている足底腱膜の負担が強くなり、足底腱膜炎や有痛性踵骨棘がおきることも。
後脛骨筋を健康に保っておくことはこれらの疾患の予防にもなります。自宅で簡単にできるのでケアしておいてくださいね。
足部と足関節の動きについての記事
こんにちは。荻窪のほんだ整骨院、山内健輔です。 私たちが足首の動きでいままで使ってきていた、 内返し・外返しと回内・回外 これらの名称が2022年4月に改訂されて入れ替わりました。 スポーツをする人やスポーツの指導者の方[…]
関連記事
長・短腓骨筋の作用は?⇒足部の形状維持に重要な筋肉、長腓骨筋・短腓骨筋・第3腓骨筋の機能
ふくらはぎのトレーニング⇒「ふくらはぎ」の筋肉を鍛える!その効果と自宅でできる方法は?
足底の筋肉をケアする⇒あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!
前脛骨筋をトレーニング⇒前脛骨筋のストレッチとトレーニング。大事な筋肉のケアをしましょう。
梨状筋(りじょうきん)は足回りにとっても重要な筋肉⇒「梨状筋」についてくわしく紹介!ストレッチとトレーニングは?
後脛骨筋のテーピング⇒後脛骨筋のテーピング。後脛骨筋腱炎やシンスプリントから筋・腱を守る
腓骨筋のテーピング⇒長腓骨筋・短腓骨筋のテーピング。負担を減らして筋や腱を保護しよう
足裏のテーピング⇒自分で簡単にできる!足底腱膜炎や有痛性踵骨棘のテーピング
足首の動きの名称⇒足首の運動(動き)の名称と可動域(動く範囲)〈わかりやすく簡単に〉
バランス能力を向上させるトレーニング⇒ケガ後や日常でやっておきたい簡単バランストレーニング(バランス訓練)
筋肉の種類ってどれぐらいある?⇒筋肉の種類って?どうやって分類されている?