こんにちは。荻窪教会通りのほんだ整骨院、山内です。
足の指ってケガしやすいですよね。
椅子や机の脚にひっかけたり、玄関の段差にぶつけたり。
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そして不意に訪れる激痛。
歩けるから大丈夫!
ねんざだから大丈夫!
と思っている人は要注意です。
実は骨折していることもありますよ!
今日は「足指の剥離骨折」を紹介していきます。
『足の指を剥離骨折。足指をひっかけたり、ぶつけたり。』
このページでは「足指の剥離骨折」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足指の一般的な骨折についてはこちらの記事でも紹介しています。
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足指の剥離骨折ってどうやって起きる?
足の指先を何かにぶつけたときや何かにひっかけたときに発生することが多いです。
小指をぶつける!
指が椅子の脚に引っかかって!
などなど
足指(趾と書くこともある)に直接強い外力が加わることで、足指が関節可動域を超える角度に強制されることがあります。
もともと足指の骨(基節骨・中節骨・末節骨)には、
靭帯(じんたい)…骨どうしをつなぐ結合組織
腱(けん)…筋肉が骨につく手前の結合組織。
がくっついています。
指先に外力が加わると方向によって腱や靭帯の付着部に強い牽引力(引っ張る力)がかかります。
このときに腱や靭帯の付着部の骨組織がはがれるように損傷してしまうことがあります。
これが、
剥離骨折(はくりこっせつ)
裂離骨折(れつりこっせつ)ともいいます。
このとき付着部が無事でも、
靭帯が損傷していれば「捻挫」(ねんざ)
腱が損傷していれば「腱損傷(腱断裂)」
といわれます。
さらに、加えて発生することもあるのが、「脱臼」です。
骨どうしをつないでいる靭帯やその付着部が損傷することで、関節が正常の位置にないものを脱臼といいます。
剥離骨折と脱臼が同時に発生すると「脱臼骨折」とよばれます。
靭帯による「剥離骨折」「裂離骨折」の場合、どちらかというと近位側の骨が損傷することが多いのですが、足指の場合は末節骨でも起きやすいのが特徴です。
足の指には関節が多いですが、どの関節でも起こりえるといえます。
剥離骨折ってどうやって起きる?
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足指の側副靭帯の損傷⇒足指の側副靭帯の損傷。足の指をぶつけたときに起きやすい捻挫
足指の剥離骨折の症状
足趾(そくし=足指)の剥離骨折で多いのが、側副靭帯の牽引によるもの。
指が側方に強制されたときに起きる剥離骨折です。
一方、手の指に比べて少ないのが腱の牽引によるものです。
(ないわけではないのでご注意!)
剥離骨折の症状は、皮膚に近いこともあり、顕著に現れます。
顕著にみられます。
比較的早期から出現します。
出血量が多いと足底側(あしうら)や隣の足趾にまで内出血が及ぶことがあります。
患部に限定して熱感が現れることが多いです。
圧痛…大 運動痛…大
自発痛…大~小
受傷当初の疼痛はかなり大きいです。
時間が経過するにつれ疼痛は緩和しますが、患部を押した時の痛み(圧痛)や患部に負荷をかける動きでの痛みは長期間残ります。
また、骨折部位が末節骨(爪のある骨)の場合、腫脹が増大していくにしたがって自発痛(安静時の痛み)が強くなります。
その痛みは拍動痛。趾の末端には爪があるのでそれ以上腫れることができずに内圧が高まって痛みが出るのです。
他にみられる症状としては、「関節の不安定性」が挙げられます。(靭帯の牽引による剥離骨折の場合)
母趾中足趾節関節内側にできるしこり
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要注意な剥離骨折とは?
剥離骨折とひとくちにいっても、程度によって重症度が違います。
またタイプによっても固定期間や治療方法が変わることもあります。
いちばん要注意なのは、後述する骨折線が関節面に及ぶ剥離骨折です。
脱臼して指先の向きが変わってしまっている場合も注意が必要です。
きちんとした判断は画像による診断が適しています。
必ず専門家の判断を仰ぎましょう。
完全骨折と不全骨折
「完全」と「不全」では、やっぱり不全骨折の方が骨癒合は早い傾向にあります。
骨組織の連続性が離断(完全に断たれた)した状態。
剥離骨折では、転位(骨片がズレること)を生じている可能性があります。(とくに腱の牽引による剥離だと生じやすい)
完全には剥離していない状態。
一般に「ヒビ」といわれることも。
連続性が一部あっても、めくれるように転位することがあります。
タイプによる違い
足の指が可動域以上に強制されることによって、腱の付着部が剥離したものです。
完全骨折の場合、転位といって骨片が中枢側(筋肉側)へ移動することがあります。
転位が大きい場合、そのままにしてしまうと腱が効かず、足趾の変形を起こしてしまうことがあるので注意が必要です。
足の指には周囲を覆うように靭帯があります。
靭帯による剥離では、関節動揺性(かんせつどうようせい)がでます。
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骨折線が関節面にまで及ぶもの
関節内骨折のひとつです。
剥離する骨片が関節面(関節軟骨)にまで達している場合には注意が必要です。
きちんと整復(骨片をもとに戻す)されていないと関節運動に支障をきたすこともあります。
関節内骨折は、足趾の剥離骨折のなかでも注意を要する骨折です。
関節強直…治癒過程の中で関節が一緒にくっついてしまう
関節軟骨損傷…関節面が当たって摩擦がおきやすい
関節アライメント異常…変形性関節症になりやすい
いずれの場合も手術の適応になることもあります。
脱臼を伴う骨折
「脱臼骨折」(だっきゅうこっせつ)といいます。
靭帯による牽引で剥離骨折した場合、末端側の骨が位置異常を起こすことがあります。
この場合は脱臼した末端側と剥離した骨片の両方をもとの位置に整復して固定する必要があります。
足趾には神経も血管もあります。
絶対に無理に自分で引っ張って戻したりはしないこと!
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治療と固定期間。
受傷直後は余計な腫脹(腫れ)や皮下出血を避けるために冷却を行います。
転位(骨のズレ)があれば整復して動かさないように固定します。
転位が小さいものや不全骨折の場合は隣の足趾を添え木(副木)代わりにして一緒にテーピングで固定します。
転位が大きいものや固定がテーピングが不安定になる場合は、シーネ(副木)を足底側から当てるようにして固定します。
画像で骨癒合の状態をみながら固定期間を調整します。
骨折の程度にもよりますが、5~6週間必要になることもあります。
足の指は身体の末端にあって血行が乏しくなる傾向にあるので、腫れや内出血もとれにくく固定期間はやや長くなる傾向にあります。
実際には骨癒合をみながら固定を軽くしていくことが多いです。(足趾の拘縮を防ぐため)
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受傷直後がカギ!
多くのケガで重要になるのが「受傷直後の対応」。
基本は「PRICE処置」をしましょう。
治癒までの期間を短くするカギはこの応急処置にあります。
⇒ケガをしたときの応急手当て「PRICE(プライス)処置」ってな~に?
とくに大切なのが「冷却」(アイシング)。
足趾は血液の循環がしにくい部位です。
急性期に炎症や皮下出血が拡大してしまうと、炎症が消失するまでにかなりの時間がかかってしまうのです。
この急性期に適切に冷却、挙上することで不必要な腫脹・出血を防ぎましょう。
足部の外傷後、浮腫(むくみ)がでるのもやわらげる効果がありますよ。
⇒受傷後のアイシング(冷却)。治療期間を短縮する効果あり!【応急処置】
予後とリハビリ
固定期間は5~6週間ぐらいで調節されることが多いのですが、その後も痛みが続くこともあります。
固定期間は「骨癒合」までの期間を加味して決められるものなので、「治癒」の期間ではありません。
実際には固定除去後も関節の拘縮や軟部組織の癒着、関節可動域の低下によって歩行時痛・荷重時痛がしばらくの間(何か月かかかる場合も)残存することもあるのです。
また、しっかり固定しても後遺症が残ってしまうこともあります。
偽関節(骨癒合しなかった)
リハビリ
固定期間が他の骨折に比べて長くなることが多いので、リハビリにも長期間が必要です。
MTP関節(中足趾節関節)の背屈(趾を反らす)運動に制限があると歩行にも影響を与えるので、医師の指導のもとリハビリを軽視せずに行いましょう。
足趾剥離骨折のまとめ
- 外力による可動域以上への強制されることによって起きる。
- 靭帯・腱の牽引力によるもの
- 脱臼を伴う剥離骨折や関節内骨折は注意が必要。
- 固定は軽ければテーピング、ぶつけやすい人はシーネで固定
- 変形治癒・偽関節も起こりえる。
- 固定除去後も痛みや違和感は残る。
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