骨の構造。身体を支えて臓器を守り造血しながらカルシウムを貯蔵

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

私たち「ヒト」のおおまかな形を作っているのが骨。
骨が200以上も組み合わさってできているのがヒトの骨格です。

ヒトの骨って意外と機能的にできているんです。
身体を支える機能だけでなく、カルシウムを貯蔵したり、内臓を守ったり血液細胞を産生したり・・・。
身体の大切な役割を担っています。

骨の構造をよく知っておくと、もっとヒトの身体を理解しやすくなりますよ。

今回は「骨の構造」について簡単に紹介していきましょう。

骨の構造。身体を支えて臓器を守り造血しながらカルシウムを貯蔵

※ご注意!
このページでは「骨の構造」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
骨の役割についての記事もご一緒にご覧ください。
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おおまかにいうと3層構造

長骨の構造

外側から骨膜ー緻密質(骨皮質)ー海綿質というつくりになっています。
緻密質と海綿質は合わせて「骨質」ともいわれます。

可動性のある関節部分には骨膜はなく、代わりに「関節軟骨で覆われています。

長管骨や扁平骨の一部にはさらに内側に「髄腔(ずいくう)」という空洞があり、中には骨髄が入っています。
髄腔の有無や緻密質の厚さなどは、その骨の場所によっても大きな変化がみられます。

骨膜(こつまく)

骨全体を包むようにあるのが骨膜
関節部分は骨膜がなく、関節軟骨があります。

骨膜には神経終末が数多く分布しています。
骨を損傷したときに強い痛みを感じるのはこのためです。
リンパ、血管も多く、血流も豊富なため損傷すると出血量も多くみられます。
毛細血管は骨を栄養したり、骨髄との細胞交換にも使われます。
大きめの骨には「栄養孔」(えいようこう)とよばれる穴が開いていて、内部の髄腔と交通しています。

骨膜とその内側にある緻密質(ちみつしつ)とは、シャーピー線維で強固に結合されています。

腱や靭帯は骨膜にくっつくものと骨膜を通過してシャーピー線維に付着するものがあります。
シャーピー線維の強固な結合は靭帯や腱の牽引を骨に伝えるのに役立っています。

緻密質(ちみつしつ)

骨の構造

骨皮質(こつひしつ)ともいわれます。
骨線維の密度が高いので強度があります。

緻密質は「木の年輪」のようにいくつかの層板にわかれています。
もっと細かく見ると、その層板には血管を通す「ハバース管」があり、それを囲むように線維が形成されています。
ハバース管どうしをつなぐのが「フォルクマン管」。
縦軸に走るのが「ハバース管」で横に走るのが「フォルクマン管」と覚えましょう。

海綿質(かいめんしつ)

海綿質はスポンジ状になっていて骨梁が支える構造

海綿質は骨の内側にあるスポンジ状の部分。
骨の材質を節約して、骨自体の重量を軽量化する構造になっています。

スポンジ状の部分は全部が均一ではなく、その骨にかかる負荷に応じて密度や密になる方向を変えて、うまく軽量化しながら強度を保つ仕組みになっているんです。

海綿質の空間を支える柱の部分は「骨梁」(こつりょう)といいます。骨梁が負荷や衝撃をうまく分散させています。

さらに骨梁の空隙部分には「骨髄」(こつずい)があり、血液の細胞(赤血球・白血球・血小板)を作る造血作用をもっています。

関節軟骨

骨の可動する関節にあり、水分が多く含まれたタンパク質でできています。

骨によって違いますが、暑さは2~4mm
コラーゲン・グルコサミン・コンドロイチン・ヒアルロン酸などのタンパク質が3割。残りの7割は水分で構成される「硝子軟骨」(しょうしなんこつ)です。

弾力性があり、関節部分で骨どうしがぶつかるときの緩衝作用をもっています。
さらに関節液とともに摩擦を軽減させることで骨組織を守る役割をしています。

関節軟骨は血管やリンパが乏しいので、損傷すると再生しにくい特徴があります。

子どもの骨の特徴は?⇒子供の骨の特徴。大人とどんなところが違う?

骨質の構成成分

タンパク質にミネラル分が沈着することで硬度と柔軟性を保つ

コラーゲンというタンパク質が骨組みになって、そこにカルシウムやリンなどの無機質がくっつくことで強固になっています。

無機質のミネラル分だけでは硬くてももろい組織になってしまうのですが、柔軟なコラーゲンを骨組みにすることで多少の遊びができるんですね。

3~4割が有機物(タンパク質)…コラーゲンがほとんど
6~7割が無機物(ミネラル分)…カルシウム・リンなど

骨のサイクル

骨を構成する細胞

骨はミネラル分、とくにカルシウムの貯蔵庫としても利用されています。
カルシウムは全身の細胞活動にも利用されています。血液中のカルシウム濃度が絶えず一定になるように骨からカルシウムが引き出されたり、骨が生成されたりします。

血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨を壊してカルシウムを血液中に取り入れます。
また、ターンオーバー(骨代謝)といって古い骨は常に新しい骨と入れ替わります。

骨には3つの種類の細胞が関係します。

骨細胞(こつさいぼう)
細胞の基質のなかに存在する。何年も存在する寿命の長い細胞で、骨の有機物の一部となっている。
骨芽細胞(こつがさいぼう)
リンやカルシウム、マグネシウムなどの無機質を結晶化して沈着させる。役割が終わると細胞死するか、骨細胞になる。
破骨細胞
血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨のミネラル分を溶解させる。また、骨を新陳代謝させるために骨基質を分解する役割もある。

骨の役割は5つ

〇身体を支える(内骨格)
〇臓器を守る
〇運動
〇ミネラル貯蔵
〇造血作用

〇身体を支える(内骨格)
身体がつぶれないように内側から支える役割。
骨どうしが関節を作り、運動を行うことができる。

〇臓器を守る
脳は頭蓋骨で脊髄は背骨に守られている。
肺や心臓は肋骨、腸の一部は骨盤で守られている。

〇運動
骨に付着する筋肉の収縮によって骨は運動を行う。

〇ミネラル貯蔵
身体に存在するカルシウム・リン・マグネシウムなどのミネラル分はほとんどが骨に貯蔵されている。
血液と絶えず交換されていて、身体の生命活動にも役立っている。

〇造血作用
長管骨にある髄腔やその他の骨にある海綿質には「骨髄」が存在。骨髄は赤血球や白血球、血小板を作り出している。

※赤色骨髄と黄色骨髄
赤色骨髄には造血作用があるが、黄色骨髄にはない。
多くの長骨の髄腔にある骨髄ははじめ赤色だが、黄色になってしまう。胸骨や腸骨の骨髄はずーっと赤色で血液の細胞をつくり出しています。

※赤血球
酸素や二酸化炭素と結びつき、全身の細胞に酸素を送ると同時に、各細胞から排出される二酸化炭素を肺に運ぶ細胞

※白血球
5種類の異なる性質をもった体内の異物に対抗する細胞。感染症や組織の損傷で増加する。

※血小板
血管が損傷したときに止血させたり、血液凝固をさせる作用がある。

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骨の構造まとめ

〇外側から骨膜・緻密質(骨皮質)・海綿質・(髄腔)
〇緻密質は密度が高く硬度を保つ
〇海綿質は骨梁が負荷のかかる方向に応じて走り、密度も変化
〇海綿質や髄腔には骨髄がある
〇骨膜は関節面にはなく、代わりに関節軟骨がある
〇骨のサイクルに関わる細胞(骨細胞・骨芽細胞・破骨細胞)
〇骨にはミネラル分を貯蔵する役割もある

骨の成長。

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