こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
骨折の名前ってたくさんあって分かりにくいですよね。
いろんな呼び方があるので、誤解されて認識してしまっている人も多いんです。
例えば、「複雑骨折」。
骨折線が複雑なので、骨が細かくなってしまっていると思いがちです。
でも正式には骨片が多い骨折は「粉砕骨折」や「複数骨折」などといいます。
「複雑骨折」は骨が飛び出ている骨折のことを指すのです。
ややこしいですよね。
今回はおもな骨折の名称について紹介していきましょう。
『骨折の種類。いろいろな呼び方があるので分かりにくい?』
このページでは「骨折の名称」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
骨折は分類のしかたによってたくさん名称がある。
骨折は骨の損傷のことです。
でも、同じ骨折でもたくさん呼び方があるんです。
なぜかというと、いろんな面から骨の損傷を分析する必要があるからなんです。
〇どの程度の損傷か。
〇骨折している箇所はどれくらいか。
〇開放創があるか。
〇どのような外力によるものか。
〇骨損傷の形
〇骨折の原因 などなど
日本語は便利なもので漢字をみればどんな骨折かは想像しやすいですが、なかには誤解を与えてしまいやすい名称もあるので注意が必要ですね。
さまざまな側面から骨折をみることで固定のしかたや治療、リハビリに役立てられています。
骨折の定義。
「外力によって骨組織の連続性が完全あるいは不完全に離断さるること」
といわれています。
連続性が断たれるとは簡単にいうと「損傷している」ってこと。
「骨折」というとすごく大きなケガのひとつですが、損傷の軽いものから重篤なものまで含まれているんですね。
骨折の種類を理解しておくと固定やリハビリなどの治療にも役立ちます。
骨はその部位によっても形状が違ううえに負荷のかかり方も違います。また年代によっても骨組織の性質も変わります。
診断は基本的に画像診断(レントゲン撮影やMRI、CT造影など)で行われます。
ただし、緊急時や応急的に処置するためには骨折の固有症状も覚えてくとその場面での判断にも役立ちます。
☆異常可動性
骨折によって正常な関節運動とは別の可動性を示すことがある
☆転位と変形
骨折端が直接受けた外力や自家筋力によってズレてしまうことによって生じる。
☆軋轢音(あつれきおん)
完全骨折の場合、骨折端どうしがこすれる音や感触。
固有症状を示す骨折はそれほど多くはありません。必ず医師の指示のもとに正しい診断を受けましょう。
骨折の定義をみてみると、骨組織に含まれる骨膜損傷も骨折のひとつとして考えていいかもしれませんね。
骨の構造について知りたい!⇒骨の構造。身体を支えて臓器を守り造血しながらカルシウムを貯蔵
程度による分類。「ひびも骨折」
骨折の「程度」や「状態」による分類です。
治療のときの処置に大きく関わるものなので、とくに重要な項目ですね。
また、誤解されやすい名前の骨折もあるので間違えないように注意が必要です。
不全骨折と完全骨折

骨組織の連続性が一部でも保たれている
骨組織の連続性が完全に離断した状態
「骨折」と「骨のヒビ」は別のものだと思っている人が多いように感じます。
骨折の定義にもあるように、「完全」あるいは「不完全」に組織の連続性が離断した状態が骨折。
ってことは、一部分が離断した状態も骨折です。
ただ、完全か不全かで治療期間や予後も大きく変わってくるので呼び方も変わっています。
単純骨折と複雑骨折

骨折部位と皮膚損傷が繋がっていない骨折
骨折部位と皮膚損傷が交通している骨折
よく誤解されやすいのが複雑骨折。
外力によって皮膚と骨組織が損傷したり、骨折した断端が皮膚を損傷したりして、それらが繋がっているものをいいます。
(骨折線が複雑になったものをいうわけではないので注意が必要)
開放性骨折ともいいます。
皮膚損傷と骨折端が交通していると「感染症」(細菌やウィルスが体内に侵入して繁殖すること)の危険性が高くなります。
治療は創傷や骨、骨髄への化膿を防ぐこと、骨癒合を促すことが必要です。
骨損傷の数による分類
骨損傷の数によっても名前が変わることがあります。
ひとつの骨で損傷個所が1つの場合。
ひとつの骨で複数の骨折がある場合。
重複骨折(ちょうふくこっせつ)や多重骨折(たじゅうこっせつ)ともいいます。
2か所の場合は「二重骨折」と呼ぶこともあります。
複数の骨が一度に損傷した場合のことをいいます。
複数骨折と混同しやすいので注意。
原因による呼び方
骨折は基本的には外力によって発生しますが、背景に身体的状況がみられることがあります。
骨組織に強い外力が加わって発生する。
骨の強度が弱くなる病が背景になって発生する。
腫瘍や骨転移などによって軽微な力で骨折が生じることがあります。
病的骨折と同じように使われることもあります。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を背景にした軽微な外力での骨折。
外力の働き方での分類
外力の働き方によって骨折線や骨片の形状が変わってきます。



骨折線はらせん状や斜めに走行することが多い。

剥離骨折(はくりこっせつ)ともいわれる。
剥離骨折ってどんな骨折?⇒剥離骨折(裂離骨折)とはどんな骨折?原因と特徴。気を付けることは?

破裂骨折(はれつこっせつ)は圧迫骨折のひとつで脊椎の椎体部分で生じる前面後面が同時につぶされるもの。

頭蓋骨や骨盤などの平たい骨は外力によってへこむようにして損傷するもの。
開放性のものや出血や腫脹による内圧の上昇などにも気を付ける必要がある骨折。

外力の方向に短縮されて骨が隆起してしまうもの。
竹の節のようになることもある(竹節状骨折)
骨折線による分け方。
骨折線の形状によって固定方法や予後が違います。
屈曲骨折や剪断骨折で生じやすい。長軸に対して横方向に骨折線が走行
骨の長軸に対して平行に近い角度で生じる骨折
横骨折・縦骨折に対して斜めに走行する骨折線
捻転するような外力を受けると螺旋状に骨折線が走ることがある。
骨片が3つ以上になる骨折のこと。「分節骨折」(ぶんせつこっせつ)ともいわれる。
骨が柔らかい小児期に外力を受けて、骨損傷を生じながら曲がってしまう不全骨折
骨がやわらかい小児の骨折で長軸上に外力を受けて、竹の節のように隆起する骨損傷。(隆起骨折のひとつ)
骨の部位による呼び方。
骨の部位によっても呼び名が異なります。
よく病院でもらう診断名にも使われる呼称ですね。
例えば、
「橈骨遠位端部骨折」(とうこつえんいたんぶこっせつ)
「脛骨骨幹部骨折」(けいこつこっかんぶこっせつ)
長管骨の細長い部分での骨折
骨端部と骨幹部の境目部分の骨折。
骨の太さが変わる部分なのでこの部分での骨折も多い。
長管骨の端部分で生じる骨折。
中枢側を「近位端」(きんいたん)、末梢側を「遠位端」(えんいたん)と呼ぶ。
関節包内で起きる骨折。出血が関節包内で生じるため皮下出血が観察できるまでに時間を要する。
骨折線が関節面に及ぶもの。
関節アライメント(位置関係や動きやすさ)に不具合が生じたり、摩擦の原因になり、変形性関節症になりやすい注意が必要な骨折。
関節包内骨折と混同されやすいので注意。
骨の実質ではなく「骨膜」部分の損傷。
「骨挫傷」(こつざしょう)と称されることもある。
骨の柔らかい子どもに多く、骨質の損傷を伴わないもの。

小児の骨端部は骨組織よりもやわらかい軟骨でできていて、その境界部分である「骨端線」が外力によってズレてしまうことがある。
「骨端線離開」ともいわれる。
柔軟性のある骨膜は損傷せず、骨質のみが損傷しているもの
骨の転位(骨片のズレ)
骨折した骨片が元の位置から移動していることを「転位」(てんい)といいます。
この転位のしかたも骨折によって、外力によってさまざまです。
区別するために名前がついています。
骨折する外力によってそのまま骨片が移動
自身の筋肉や靭帯、患肢の重みによって転位するもの
筋・腱・靭帯・重力によって、骨折した断端どうしが離開している
筋や靭帯の牽引力によって、骨折端どうしが重なって骨が短縮している
転位の方向によって「内転型」や「外転型」などと呼ばれる
遠位骨片が屈曲方向に移動している
遠位骨片がねじれて回旋しているもの
人や動き、原因の名前がついた骨折
いろんな分類の他にも研究した人の名前や職業の名前、動きの名前など個別に便宜上つけられている呼び方をする骨折もあります。
例
手首(橈骨遠位端骨折)
コーレス骨折・スミス骨折・バートン骨折 など
足首(足関節果部脱臼骨折)
コットン骨折・ポット骨折・チロー骨折・デピュイトレイン骨折など
足の甲(第5中足骨疲労骨折)
行軍骨折(こうぐんこっせつ)
足の甲(第5中足骨基底部骨折)
下駄骨折
骨盤
マルゲーヌ骨折
などなど
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