子供の骨の特徴。大人とどんなところが違う?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

「骨」って、年齢によってずいぶん変わってきます。
とくに大人と子供の骨はかなりの違いがあるんです。

例えば、子どもは身長が伸びますよね。
でも、大人は伸びません。
また、骨折したときにも、骨の柔らかさによって「折れ方」が違うことも多いんです。

子どもの骨の特徴
〇柔軟性がある
〇自家矯正力が強い
〇成長する
〇大人よりも骨の数が多い

今回は「子どもの骨の特徴」について紹介していきましょう。

※この記事で紹介する子どもの骨とは、「だいたい」ですが10代前半までを想定しています。

子どもの骨は柔らかい、自家矯正が盛ん、骨端軟骨がある、という特徴をもつ

子供の骨の特徴。大人とどんなところが違う?

※ご注意!
このページでは「子どもの骨」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

軟骨組織が多く、柔軟性がある!

子どもの骨は柔らかいので不全骨折になりやすい

子どもの骨の長骨(長細い骨)の両端部分には「骨端軟骨」(こったんなんこつ)といわれる軟骨組織でできています。
軟骨は硬化している骨組織よりも柔らかいです。

また、子どもの骨を包む「骨膜」(こつまく)は、成人した大人よりも分厚くなっています。
骨膜は骨組織よりも柔軟なしなやかな組織でできています。

骨組織も成人のものと比べると無機質(カルシウムやマグネシウムなど)の沈着が少なく、骨密度が比較的低いのです。
そうすると骨の構成はたんぱく質などの有機物が多くなるので、柔軟になります。

このように子どもの骨は柔らかいため、骨折するときは「ポキッ」とはなりにくく、不全骨折になりやすいのが特徴です。
例:若木骨折、膨隆(隆起)骨折(竹節状骨折)など

自家矯正力が強い。治りやすい。

 

子どもの骨は自家矯正力が旺盛

子どもの骨は、大人よりも骨の再生能力が高いのも特徴的です。
骨折時の骨癒合が旺盛に働きます。
年齢が低いほど再生能力は高いです。

また、自家矯正能力も高いのも特徴のひとつです。
自家矯正能力(じかきょうせいのうりょく)とは、本来の形に戻ろうとする能力。
リモデリング」ともいわれます。

胎児が産道を通って生まれるとき、頭は細長く変形しています。
でも何日か経過するときれいな頭の形に戻りますね。
それも自家矯正力のおかげなんです。

骨折してしまったときに、他の条件が同じならば、子どもの骨は大人よりも早く癒合します。
大人の場合、曲がって癒合してしまうと元通りに戻ることは難しいことが多いのですが、子どもの場合は元通りに近い形で癒合することを期待できます。
(もちろん限界はあるので、しっかりした整復や固定も大切です。)

子どもの骨折について

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骨端軟骨によって成長する!

骨の成長は骨端軟骨と骨膜の内側の組織で行われる

子どもの骨と成人の骨の大きく違うところは、

「成長する!」

子どもの細長い骨の両端部分には「骨端軟骨」というものがあります。
骨端軟骨の中心部分には、「骨端核」(こったんかく)という縦の成長に重要な組織があります。

※ケガで骨端核に障害が起きると成長障害を引き起こすことがあるので慎重に治療する必要があります

レントゲン写真では、骨端軟骨は薄くしか映らないため骨の骨端部分に線が走っているように見えるのです。
これを「骨端線」(こったんせん)と呼びます。別名「成長板」。

骨端部分にある軟骨組織が骨化することで骨が縦に伸びていく仕組みを「軟骨内骨化」(なんこつないこっか)といい、細長い骨(長骨や長管骨と呼ばれる)で行われています。

骨端線が消失する時期はその骨によって違います。
多くの骨端線が10代の後半ぐらいで消失して、骨化します。
骨端線の閉鎖」といい、骨端軟骨が骨化すると骨の伸長が止まります。

ちなみに細長い骨の太さや扁平骨や不規則骨の成長は、「膜内骨化」(まくないこっか)といいます。
仕組みは、骨膜の内側の組織が増殖して骨化していくようになっています。

骨の成長に関連するのが、ホルモン。
深い眠りのときに脳の視床下部から分泌される「成長ホルモン」や性ホルモンが関係しています。

この軟骨部分の損傷は周囲の骨組織の血流障害を引き起こし、「骨端症」と呼ばれます。⇒骨端症ってどうして起きる?子どもが痛みを訴えたら軽視しないで!
骨の成長についてはこちらの記事で詳しく解説!
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大人よりも骨の数が多い!

小児の骨は骨端線が閉鎖されるまでは数が多く見える

成人の骨の数は全部で206個。人によって多少増減することがあります。
ただし、乳幼児時代には、実はもっとたくさんの骨(300以上ともいわれる)があるようにみえるんです。

というのは、前述していますが、子どもの長骨の骨端部には軟骨部分が多くあります。
レントゲン写真では、これらが離れて見えるので多くあるのです。

また、子どもでは分離している小さな骨も成人になると結合してひとつの骨になる場合もあります。
これが癒合しない場合に「過剰骨」(かじょうこつ)といわれることもあります。

過剰骨といっても骨性に癒合していないだけで強い結合線維で結合している場合もあるのでそれほど心配しなくても大丈夫です。

過剰骨で障害を引き起こしやすいのが、土踏まずにある外脛骨(がいけいこつ)とかかとの奥にある三角骨です。

過剰骨といわれるものは骨端線が残存したことによるものも多い

もうひとつ子どもの骨で注意が必要なのは、「骨端線離開」(こったんせんりかい)。
子どもの骨端部分で、骨化した部分と骨端軟骨の結合がなんらかの外力によって離開してしまうことがあります。

成長過程にある時期では、成長障害や変形も起きる可能性もあるので慎重に治療していく必要があります。

子どもの骨量

小児は骨の成長に骨化が追い付かず骨密度が低い時期がある

骨密度って、若ければ若いほど多いように思っている方も多いですよね。
ですが、実は子どもの骨密度は成人よりも低いことがあります。

場所によっても異なりますが、子どもの骨は急激に成長します。
このときに骨化(無機質が線維に沈着する)が追い付かずに一時的に骨密度が低下することがあるんです。

成長期を過ぎた10代後半になると骨量が増大します。
全身の骨量は、骨の成長が止まるこの時期以降に大幅に増やすのが難しくなります。

骨量は遺伝のほか、成長期における栄養・運動・睡眠などが大切だといえるでしょう。

子ども特有の痛み

子どもの骨が大人と大きく違うところは「成長する」ってことですね。
その特徴がゆえに子ども特有の痛みが出現することがあります。

成長痛成長痛は急激に伸長する骨と増強される筋肉によって発生する
幼少期における下肢(脚)の痛みを指す場合筋肉の付着部で生じる骨端症を指す場合があります。
多くが骨の縦軸成長と骨端軟骨部分で痛みが生じています。

伸びようとする骨と縮もうとする筋肉の間での痛みだと考えられています。

※骨端症
10代後半までの骨端軟骨部分での痛みや障害

骨端線離開骨端線理解は強い外力や繰り返しの外力によって発生する
外力によって骨と骨端軟骨の結合が分離してしまうもの

化膿性骨髄炎子どもの骨は血流が豊富
大人でも生じることがあります。子どもでは骨内部への血流が豊富なため、風邪や外傷による感染症が骨髄まで波及してしまうことがあります。

子どもの骨まとめ

子どもの骨は成人よりも柔らかくしなやか。

〇大人よりも柔軟性がある
〇自家矯正力(リモデリング能力)が旺盛
〇骨端軟骨が縦の成長(軟骨内骨化)
〇扁平骨や太さは骨膜内側が成長(膜内骨化)
〇成人よりも骨の数が多い
〇一時的に骨密度が低い時期がある
〇骨量は成長期までにだいたい決まる
〇子どもの骨特有の痛みも発生する(骨端症や成長痛、骨髄炎)

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