こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)は40代以降の男性に多いイメージでしたが、最近では履物の影響やスポーツの習慣化の影響で、若年層や女性にも多くみられるようになってきました。
足底腱膜への過剰な負荷によって、微小断裂→組織変性によって損傷を繰り返すのが病態といわれています。
一度、足底腱膜炎を発症するとなかなか治らない、治っても再発することも多いです。
日常的に強い負荷のかかる足裏だけに安静にするのも難しい面がありますよね。
そこで今回は「足底腱膜炎の治療」について紹介していきたいと思います。
『足底腱膜炎や有痛性踵骨棘は治るまでに時間がかかる!治療と再発予防。』
このページでは「足底腱膜炎の治療」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
タイプによって違う対処法
足底腱膜炎はあしうらの痛み。いちばん多い症状が足裏かかと内側(親指側)の痛み。
足のアーチは外側よりも内側のほうが高いので、足底腱膜付着部の内側の張力が強くなるためです。
で、その痛み方にもふたつのタイプがあります。
②足をつくだけで(いつも)痛い
痛い場所は同じでも痛みが出るタイミングが違うんですね。
①荷重の最初だけ痛い
結構多いのが、朝の起床時、足をつくと強い痛みが出るというもの。
日中動き続けているとほとんど痛みも感じないこともあります。
この場合に考えられるのは、日ごろの負荷で微小断裂を起こした足底腱膜の線維が夜間に修復されたものの、朝に足をついたことで再断裂が発生すること。
線維の再生と同時に周囲との癒着が剥がれるときの痛みと説明できます。
このときには足底腱膜が張力に負けている状態なので、起床時に足を着地する前によくほぐすことで痛みが減少します。
★足裏をもみほぐす
★足指をゆっくり反らせてストレッチ
★温める
②足をつくだけで(いつも)痛い
足底腱膜炎が悪化すると足をついたり、体重がかかるだけで痛みが出ることもあります。
このときには、足底腱膜の損傷や踵骨(かかとの骨)が引っ張られて炎症を生じている状態。
健側(痛みが出ていない側)と比べてみると、かかとが分厚くなって腫れが分かることもあります。
この場合にやってほしくないことは「強くほぐしたり、ストレッチすること」。
炎症を生じるぐらいの損傷がある場合には無理に伸張させることで悪化させる恐れがあります。
痛みがない場所を軽くほぐしたり、痛みがないようにストレッチするのはOK。
なるべく荷重をかけないように患部の安静を保ちましょう。
★痛い場所をアイシング(冷却)
★なるべく安静にさせる
アイシングの効果とやり方⇒受傷後のアイシング(冷却)。治療期間を短縮する効果あり!【応急処置】
治るまでは長期間かかることも。
治療ではほぼ保存療法(手術をしない治療)が選択されます。
足底腱膜炎の原因が「自分の体重を足にかけること」であるため、完全免荷(体重をかけない)させることも難しいのが現状です。
足底腱膜炎の治療はほとんどが「即効性」(そっこうせい)がありません。
普段の日常生活で少しずつ負担を減らしていって、痛みが出なくなるのを待つ!というイメージです。
痛みが軽快してくるまでに3か月~6か月。
難治性のものでは1~2年もの時間がかかることがあります。治るまでに時間は必要ですが、痛みが残存して障害が遺ることはほとんどありません。
インソールやアーチサポートなどを着ければ痛みが消失すると考えている人もいますが、これらも実は即効性はありません。
装着していても足部が着地すれば痛みはでます。
ただし、全く意味がないわけではなく、足底腱膜への負荷を減らす効果が期待できます。早期に痛みがなくならないからといって、諦めず継続して装着してみることも大切です。
病院(整形外科)での治療(医師による治療)
病院でよく行われる治療を紹介します。
NSAIDs
非ステロイド系抗炎症剤。プロスタグランジンを生成させる酵素(COX)を阻害させる。
足底腱膜炎では痛みと炎症を抑える目的で処方される。
ステロイド注射
強い抗炎症作用があり、鎮痛効果も期待できる。効果も数週間~数か月持続することもある。
唯一、即効性も期待できるが、身体の各所に副作用を生じることもあるので、量や回数、期間が限定される。
足底挿板(そくていそうばん)
いわゆるインソール(靴の中敷き)のことで、病院で処方されるものは綿密に測定されて作成される。
PRP法(自己多血小板血漿注入療法)
スポーツ現場で多く使われだした再生医療。自分の血小板を損傷個所に注射することで早期の再生促すもの。
装具での治療
足底腱膜炎の治療は足部縦アーチの負担を減らすことが必要です。そのために足部につける装具が効果を発揮しますが、いずれも即効性は期待できません。
どうしても装具によって痛みがなくなると思いがちですが、装着することですぐに痛みが消えるわけではないことを理解して使いましょう。
アーチサポート(バンドタイプ)
縦アーチを下から支えることで足底腱膜への牽引を弱める目的で使用。
靴を履かない屋内でも使用できるようにバンドで装着できるものがおすすめ。
インソール
靴の中に入れて使用するもの。
足底腱膜炎では、かかと部分をくりぬいたもの(除圧が目的)や土踏まずを押し上げるようなものが使用される。
ヒールカップ
かかとを地面につくと痛みが出る場合に、クッション性のあるものを使う。除圧するために患部をくりぬいて使うこともある。
本来はかかとが倒れないように踵骨を包むように使う。
テーピング
足底腱膜を補助することで付着部への負担を減らす。
縦アーチを持ち上げるように貼ることもある。
(テーピングの役割⇒テーピングの効果と注意点は?適切に貼って患部を保護しよう。 )
足底腱膜炎のテーピング
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自宅で毎日行う治療が再発予防に大切
足底腱膜炎は痛みが改善してくるまでに、長期間必要になります。
少しでもその期間を短くするためにも自宅でもできる治療をしていきましょう。
足底腱膜炎は疼痛が消失しても、再発もしやすいです。自宅でできる運動やケアはそのまま「再発予防」にもなります!
環境のみなおし
最も大切なことでもあります。
仕事や競技、日常生活での立ち時間・地面・履き物・移動距離をみなおして、改善できることをみつける。
競技や運動をする人は練習量やフォームを見直すことも重要。
ストレッチ
足底腱膜、足底屈筋群のストレッチはとても重要。
他にはふくらはぎや前脛骨筋、ハムストリングスの柔軟性も改善すること。
※足底のストレッチは痛みがでないように慎重に行う。
トレーニング
足底屈筋群の運動を重点的に行う。
下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)や後脛骨筋、腓骨筋群のトレーニングも並行して行う。
※痛みが強いときはあしうらの運動は控える。
ふくらはぎのトレーニング⇒「ふくらはぎ」の筋肉を鍛える!その効果と自宅でできる方法は?
長腓骨筋・短腓骨筋のケア⇒簡単!腓骨筋のストレッチ&トレーニング&ケア。自宅でやってみよう!
足底腱膜炎の治療まとめ
〇「歩き始めだけ」痛いときは温熱とストレッチ
〇足を着くだけでも痛いときは冷却と安静
〇即効性はあまり期待しないほうがよい
〇装具は装着しても痛みがすぐとれるわけではなく、負担を減らす目的で使用する。
〇痛みのない範囲で足裏、下腿部、大腿部のストレッチや体操をする。
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