アキレス腱の奥「ケーラー脂肪体」/役割と癒着が引き起こす痛みを徹底解説

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
杉並区荻窪の地域の方々は、運動意欲が高い方が多いので、

  • アキレス腱と骨の間には何がある?
  • アキレス腱の奥(前方)が痛い
  • つま先を持ち上げると足首後ろが痛い
  • 足首が詰まる感じがする
  • しゃがむと足首後方に痛み

こんな相談を受けることがあります。

そこで、今回の記事ではアキレス腱の奥にある「ケーラー脂肪体」(Keger’s Fat Pad)に焦点を当てて徹底解説していきます。さらに、癒着と炎症が原因となる「ケーラー脂肪体炎」についても紹介していきましょう。

ケーラー脂肪体はアキレス腱、長母指屈筋腱、踵骨に囲まれたケーラーズ三角の中にある脂肪組織のかたまりのこと。
アキレス腱の奥「ケーラー脂肪体」/役割と癒着が引き起こす痛みを徹底解説

※ご注意!
このページでは「ケーラー脂肪体炎」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、必ず病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
目次

ケーラー脂肪体とは|アキレス腱の前側にある“クッション”の正体

アキレス腱(下腿三頭筋腱)と踵骨(かかと:しょうこつ)の間には、脂肪のかたまりが詰まっています。

この脂肪体の名前が、

ケーラー脂肪体
Kager’s Fat Pad(KFP)
(人によってはケーガーとも)

この脂肪体、ただの脂肪のかたまりではありません。
足関節まわりの構造物を守る役割をもっているんです。

ケーラー脂肪体の位置と構造

ケーラー三角は、長母指屈筋腱・アキレス腱踵骨に囲まれた三角錐のような形を下部分。内部は脂肪組織で満たされ、ケーラー脂肪体と呼ばれる。

ケーラー脂肪体とはアキレス腱とその奥にある骨とがつくる「ケーラー三角(※)」にある脂肪体のこと。

足首の後ろを触ったときに、アキレス腱と骨との間に少しへこむ部分で、その内部にあるのがケーラー脂肪体です。

ケーラー三角
Kager’s Triangle(KT)ともいわれる。
アキレス腱(下腿三頭筋腱)
長母趾屈筋腱(ちょうぼしくっきんけん)
踵骨(しょうこつ:かかとの骨)
がつくる三角形の部分。
ケーラー三角の周囲にある重要な組織
後脛骨動脈(足底へ血液を供給)
後脛骨静脈(足底からの血液を集める)
脛骨神経(足底の感覚・内在筋を支配)
長母趾屈筋腱(足親指を曲げる)
アキレス腱(つま先を下げる動き)
ケーラー三角の内部には大きな血管は通りませんが、その周囲には以下の重要な組織が密集しています。
ケーラー脂肪体の構造
〇白~薄い黄色の脂肪組織
〇足首の動きによって形を変えられる柔らかさ
〇スポンジのように隔壁で緩やかに区画されている
〇結合組織のネットワークに脂肪が詰まったような構造(みかんの薄い皮の内部のような構造)

ケーラー脂肪体は、スポンジのように細かい隔壁に分かれた構造をしています。
この隔室は線維性の隔壁で仕切られており、アキレス腱が動くときの滑り(滑走)を助けたり、衝撃を吸収する役割があります。

しかし、この隔壁が癒着して硬くなると、足首の後ろで“詰まる感じ”“奥の痛み”が出やすくなるんです。

足関節の後方を通る腱は、背屈(つま先をあげる)運動だけでもケーラー脂肪体は複雑な動きをします。
そのため、それぞれのパートに区分けされているのです。

  • 後部━アキレス腱パート
  • 前部━長母指屈筋腱(FHL)パート
  • 下部━踵骨後部滑液包パート

ケーラー脂肪体は、踵骨後部滑液包パート・アキレス腱パート・長母指屈筋腱パートに区分けされている。

この「隔壁構造」と「パート区画」があることで、ケーラー脂肪体の仕事である、衝撃吸収・滑走(摩擦軽減)・形状変化を上手く実現させています。

ケーラー脂肪体の役割まとめ

  • アキレス腱の滑走を助けるクッションの役割
    → アキレス腱が前後に動くときの“摩擦を減らす”
  • 衝撃吸収(ショックアブソーバー)として働く
    → 歩行・ランニング・ジャンプ時の負荷を分散する
  •  足首後方のスペースを調整する“可変クッション
    → 足首の角度に合わせて形を変え、関節の動きをスムーズにする
  •  アキレス腱と長母趾屈筋腱の間を保護する
    → 2つの腱がぶつかったり、擦れたりしないように守る
  •  足首の背屈(しゃがむ・ランジ)をスムーズにする
    → 背屈時に脂肪体が前方へ移動し、関節の詰まりを防ぐ
  • 血管・神経の滑走を助ける“緩衝材”として働く
    → 特に脛骨神経や後脛骨動脈の周囲で動きをサポート
  • 内部の隔室構造で衝撃を細かく分散する
    → スポンジのような構造で、局所的な負荷を吸収
  • 圧迫されるとアキレス腱前方滑液包から滑液が染み出す(潤滑)
    →周囲組織との摩擦を軽減

アキレス腱との関係性

ケーラー脂肪体は、アキレス腱のすぐ前側に広がる柔らかいクッションのような組織です。

アキレス腱が動くたびに、この脂肪体も一緒に形状を変えながら、前後へスライドし、衝撃を吸収したり、腱の滑りを助けたりしています。

さらに下部にある踵骨後部滑液包(アキレス腱前方滑液包)の内圧をケーラー脂肪体が調節することで、アキレス腱付着部での摩擦や圧迫を軽減させているんです。

アキレス腱が動くと

  1. 前後に移動
  2. 形を変える
  3. 圧縮される

このように、ケーラー脂肪体とアキレス腱は密接に関係しており、滑走不全が痛みの大きな原因となります。
つまり、アキレス腱の動きとケーラー脂肪体の滑走はセットで働いており、どちらかが乱れるともう一方にも影響が出る構造。
脂肪体が炎症を起こしたり癒着して硬くなると、アキレス腱の動きに合わせて滑れなくなり、背屈(しゃがむ・ランジ)で“詰まる感じ”や“アキレス腱の前側の奥の痛み”が出やすくなるってことですね。

歩行・ランニングで果たす重要な役割

  1. 衝撃吸収(ショックアブソーバー)として働く
  2. アキレス腱の滑走をスムーズにする(動作効率の向上)
  3. 足首の背屈(しゃがむ・ランジ)を助ける“可変クッション”
  4. 母趾屈筋腱(FHL)の動きを助ける

ケーラー脂肪体は、歩行やランニングの動作に合わせて形を変えながら、アキレス腱や足首の動きをサポートしています。
着地の衝撃を吸収したり、アキレス腱が前後に動くときの“滑りの土台”になったり、背屈時には前方へ押し出されて関節の詰まりを防ぐ役割があります。

また、蹴り出しに関わる長母趾屈筋腱(FHL)の滑走も助けており、ランニングの効率にも深く関わっています。

とくに長母指屈筋腱とアキレス腱は、蹴りだしのときに微妙に違うタイミングで動くので、前部パートと後部パートが分かれていることでスムーズに動けるようになっているんです。

そのため、ケーラー脂肪体が癒着したり炎症を起こすと、歩行での違和感やランニング時の“奥の痛み”“詰まり感”が出やすくなります。

ケーラー脂肪体が癒着すると何が起こる?痛みのメカニズム

ケーラー脂肪体はスポンジのように隔壁で仕切られているので、繰り返しの形状変化で、隔壁が損傷し、再生するときに癒着を引き起こすことがある。

ケーラー脂肪体は、本来アキレス腱の前側で“可変クッション”として働き、衝撃吸収や滑走(摩擦軽減)、足首の後方スペースの調整を担っています。
この動きが失われると周囲の組織に負担が集中します。

炎症を起こしたり、周囲の組織と癒着して動きが悪くなると、アキレス腱や長母趾屈筋腱(FHL)、踵骨後部滑液包(アキレス腱前方滑液包)などに負担がかかり、さまざまな痛みや違和感が生じます。

特に、

  • アキレス腱の前側の“奥の痛み”
  • 足首後方の“詰まり感”
  • しゃがむ・ランジでの背屈痛
  • 歩行・ランニングでの違和感

といった症状は、ケーラー脂肪体の癒着・滑走不全が大きく関わっています。

癒着・滑走不全とは

ケーラー脂肪体は、足関節の底背屈で、前後が別々の動きをする。 これによって、ケーラー脂肪体は損傷し、再生するときに癒着を引き起こす。

足関節の底背屈(つま先上げ下げ)の運動時、ケーラー脂肪体は、それぞれの区画で別々の動きをします。
距骨の前後の動き→長母指屈筋腱パートが上下に移動
・踵骨の上下の動き→アキレス腱パートが上下に移動
これが同じように動けば、壊れにくいのですが、形状変化とともに長母指屈筋腱パートとアキレス腱パートが別々に動きます。
ということは、繰り返されることで損傷されるってこと。

癒着→滑走不全→痛み

本来、ケーラー脂肪体は、形を変えながら衝撃を吸収する“動くクッション”ですが、炎症や繰り返しの負荷によって脂肪体が周囲の組織(腱・隔壁・滑液包など)にくっついてしまうと、滑らかに動けなくなります。
(※ケーラー脂肪体はスポンジのように隔壁で仕切られているので、大きな衝撃や繰り返しの動きで組織が損傷。それが再生するときに周囲とくっついてしまう。)

これが「癒着」(ゆちゃく)。

癒着が起こると、脂肪体はスポンジが乾いて硬くなったように動きが悪くなり、アキレス腱の動きに追従できなくなります。
その結果、引っ張られるような痛みや、奥に響くような違和感が生じます。

滑走不全とは、本来スムーズに滑るはずの脂肪体が、周囲の組織に引っかかるように動きが悪くなる状態を指します。

※癒着
損傷や炎症から組織が修復する過程で、周囲組織を巻き込むように再生し、結合してしまう現象。
本来は傷口がふさがるために必要な現象ではあるが、運動性のある部分では癒着の残存により不都合も生じることがある。

アキレス腱の“前側”が痛む理由

アキレス腱そのものが痛いわけではないのに、“前側”がズキッと痛む。
この特徴的な痛みは、ケーラー脂肪体の癒着によって起こります。
ケーラー脂肪体はアキレス腱のすぐ前側にあり、両者は“面で接する”ように密着しています。
そのため、脂肪体が硬くなるとアキレス腱の動きに合わせて滑れず、深部で引っ張られるような痛みが出ます。

アキレス腱炎のように腱の表面が痛むのではなく、
「アキレス腱の前側(奥)が痛い」
という深部痛が出るのが、ケーラー脂肪体炎の大きな特徴です。

足首後ろの“詰まり感”が出る仕組み

足首を背屈(つま先もちあげ)すると、ケーラー脂肪体は前方へ押し出され、アキレス腱と踵骨の間のスペースを確保します。
しかし、脂肪体が癒着して動けなくなると、この“前方への移動”ができなくなります。

その結果、

  • アキレス腱と踵骨の間で脂肪体が挟まる
  • 滑液包の圧が高まり、後方が張る
  • 深部で詰まるような感覚が出る

特に、しゃがむ・ランジなど背屈が大きい動作で詰まり感が強くなりやすいのが特徴です。

つまり、脂肪体が前に逃げられないことで、足首後方のスペースが不足し、詰まり感として感じられます。

ランジ
片足を大きく前方(側方)に踏み出して腰を落とす運動。
レンジと呼ぶ人もいる

足首背屈(しゃがむ・ランジ)で痛みが強くなる理由

背屈(つま先を上げる動き)は、ケーラー脂肪体が最も大きく形を変える動作。
正常であれば、脂肪体が前方へスムーズに移動し、アキレス腱や滑液包のスペースを確保します。

しかし、癒着があると脂肪体が前に動けず、

  • アキレス腱前方で圧が高まる
  • 脂肪体が引っ張られる
  • 滑液包が圧迫される

そのため、しゃがむ・ランジ・階段の下り・ランニング後半など、背屈が大きい動作で痛みが強くなったり、背屈制限が出たりするのです。

ケーラー脂肪体炎の主な症状|あなたの痛みは当てはまりますか?

ケーラー脂肪体炎の症状が出る場所。 おもに足関節背屈運動時に、つまり感や背屈制限として現れる

ケーラー脂肪体が炎症を起こしたり、周囲の組織と癒着して動きが悪くなると、アキレス腱や踵骨、滑液包、長母指屈筋腱(FHL腱)などに負担がかかり、特徴的な症状が現れます。
代表的な症状は次の4つです。

  • アキレス腱の前側の深部痛
  • 足首後方の詰まり感・引っかかり感
  • しゃがむ・背屈での痛み・背屈制限
  • 歩行・ランニングでの違和感(とくに動き始め、スターティングペイン)
  • つまむと痛い

アキレス腱の前側の深部痛

アキレス腱そのものではなく、“前側の奥”がズキッと痛むのがケーラー脂肪体炎の特徴。

ケーラー脂肪体はアキレス腱のすぐ前側にあり、両者は面で密着しています。
そのため、癒着して硬くなると、アキレス腱の動きに合わせて滑れず、深部で引っ張られるような痛みが出ます。

アキレス腱炎のように腱の表面が痛むのではなく、「アキレス腱の前側の奥が痛い」という深部痛が出るのが違いです。

足首後方の詰まり感・引っかかり感

足首を背屈すると、ケーラー脂肪体は前方へ押し出され、アキレス腱と踵骨の間のスペースを確保します。
しかし、脂肪体が癒着して動けなくなると、この前方への移動ができず、後方で挟まるような感覚が生じます。
その結果、
• 後ろがパンと張る
• 奥で引っかかる
• 何かが詰まっているように感じる
といった症状が出ます。

しゃがむ・背屈での痛み・背屈制限

背屈(つま先を上げる動き)は、ケーラー脂肪体が最も大きく形を変える動作です。
正常であれば、脂肪体が前方へスムーズに移動し、アキレス腱や滑液包のスペースを確保します。
しかし、脂肪体が炎症や癒着によって硬くなると、この“前方への移動”ができなくなり、
• アキレス腱前方で圧が高まる
• 脂肪体が引っ張られる
• 滑液包が圧迫される

その結果、足関節の背屈が大きい動作で痛みが強くなる のに加えて、背屈制限 が起こります。

背屈制限は、

  • 脂肪体が前に逃げられない
  • アキレス腱の前側で“つっかえる”
  • 深部で引っかかるような抵抗がある

つまり、「痛いから背屈できない」のではなく、「脂肪体が動けないから背屈が出ない」という構造的な問題が背屈制限の正体です。

そのため、ケーラー脂肪体の癒着が強いほど、背屈の終末域で“詰まり感”や“奥の痛み”が出やすくなります。

歩行・ランニングでの違和感

歩行やランニングでは、着地のたびにアキレス腱と踵骨の間に衝撃が加わります。
ケーラー脂肪体はこの衝撃を吸収し、アキレス腱の滑走を助ける役割を担っています。
しかし、脂肪体が癒着して動きが悪くなると、

  • 着地の衝撃がダイレクトに響く
  • アキレス腱の滑りが悪くなる
  • 蹴り出しで長母指屈筋腱が引っかかる

歩行やランニングで違和感や痛みが出やすくなります。
特にランニング後半で痛みが強くなるのは、脂肪体の疲労と滑走不全が重なるためです。

アキレス腱炎・三角骨障害・FHL腱炎との違い(鑑別)

ケーラー脂肪体炎は、アキレス腱炎や三角骨障害、長母指屈筋腱炎(FHL腱炎)と痛みの出る場所が近いので間違われやすい疾患です。

疾患名 痛む場所 動作 触診 特徴 鑑別
ケーラー脂肪体炎 アキレス腱前方 足関節背屈 アキレス腱そのものは痛くない 足関節背屈制限 背屈で痛い
アキレス腱炎 アキレス腱 ラン・歩行の初期 腱を押すと痛い 腱の腫れ 腱そのものが痛いか
三角骨障害 足首後方 足関節底屈
つま先立ち
外側後方に圧痛 つま先立ちで悪化 底屈で痛い・制限
FHL腱炎 足首内側後方 母趾を曲げる・蹴りだし 内側後方に圧痛 つま先立ち&母趾屈曲で痛み 内側の痛み・母趾の動き

ケーラー脂肪体炎は、アキレス腱の“前側の奥”が痛むという特徴があり、腱そのものが痛むアキレス腱炎とは異なります。
また、底屈で痛む三角骨障害、内側が痛むFHL腱炎とも症状が違うため、痛む場所と痛む動作で鑑別が可能です。

ケーラー脂肪体炎・三角骨障害・長母指屈筋腱炎の鑑別ポイント

痛む場所と痛む動作が分かれば、見分ける材料になります。

アキレス腱炎との違い(腱そのもの vs 前側の奥)

“表面の腱の痛み”か、“前側の奥の痛み”かで鑑別しやすい

アキレス腱炎

  • 痛むのは「腱そのもの」
  • 触ると腱の表面が痛い
  • ランニング初期に痛みやすい

ケーラー脂肪体炎

  • 痛むのは「アキレス腱の前側の奥」
  • 触っても腱自体は痛くない
  • 背屈やしゃがみで深部がズキッとする

三角骨障害との違い(底屈痛 vs 背屈痛)

“つま先立ちで痛い”なら三角骨、“しゃがんで痛い”なら脂肪体

三角骨障害(後方インピンジメント)

  • 痛むのは「底屈(つま先を伸ばす)したとき」
  • ジャンプ・つま先立ちで痛みが強い
  • 踵の後ろ外側に痛みが出やすい

ケーラー脂肪体炎

  • 痛むのは「背屈(つま先を上げる)したとき」
  • しゃがむ・ランジで詰まり感が出る
  • 痛みは中央の深部に出やすい

長母趾屈筋腱炎との違い(内側痛 vs 中央深部痛)

“内側の痛み”なら長母趾屈筋腱、“中央の奥の痛み”なら脂肪体

長母趾屈筋腱炎(FHL腱炎)

  • 痛むのは「足首の内側後方」
  • 母趾を曲げると痛みが出る
  • ダンサーに多い

ケーラー脂肪体炎

  • 痛むのは「アキレス腱の前側の中央深部」
  • 母趾の動きでは痛みが変わりにくい
  • 背屈で詰まり感が出る

アキレス腱の停止部のでっぱり。「ハグルンド」や「パンプバンプ」とは?

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原因は何か?ケーラー脂肪体が炎症・癒着を起こす要因

ケーラー脂肪体がトラブルを起こす主な原因は、次の4つに分類できます。

  1. 過度な運動・ジャンプ・ランニング
  2. 足首の硬さ(背屈制限)
  3. 靴の圧迫・ヒールカウンターの硬さ
  4. 解剖学的な個人差(構造的要因)

過度な運動・ジャンプ・ランニング

ランニングやジャンプ動作では、着地のたびにアキレス腱と踵骨の間に大きな衝撃が加わります。
ケーラー脂肪体はこの衝撃を吸収する役割を担っていますが、負荷が繰り返されると組織損傷が起きやすくなります。

  • ランニング量の急増
  • ジャンプ系スポーツ(バスケ・バレー)
  • 下り坂の走行

足首の硬さ(背屈制限)

足首の背屈が硬いと、しゃがむ・ランジなどの動作でケーラー脂肪体が前方へ逃げにくくなる、その結果、脂肪体がアキレス腱と踵骨の間で“挟まれやすく”なり、炎症や癒着が起こりやすくなります。

  • 下腿三頭筋の硬さ
  • 距骨の前方滑りの不足
  • 足関節の可動域低下

靴の圧迫・ヒールカウンターの硬さ

かかと部分が硬い靴(ヒールカウンターが強い靴)や、サイズが合っていない靴は、歩行のたびにケーラー脂肪体を圧迫します。

  • ランニングシューズのかかとが硬い
  • 革靴・安全靴
  • かかとが浅い靴で擦れる

解剖学的な個人差

ケーラー脂肪体の大きさや形状、隔壁の発達具合には個人差があるのと同時に、構造的要因によっても脂肪体癒着の背景になります。

  • 踵骨の形状
  • アキレス腱の走行
  • 長母趾屈筋腱との距離
  • 足首のアライメント(回内・回外)

生まれつきの構造”が、炎症や癒着を起こしやすい背景になることも。

ケーラー脂肪体が癒着しやすくなる背景(外傷・固定・生活習慣)

ケーラー脂肪体は“動きすぎても、動かなすぎても”癒着しやすい組織であり、外傷・固定・生活習慣が大きく影響します。

  • 周囲組織の外傷
    → 捻挫・打撲などで脂肪体が炎症を起こし、損傷部が瘢痕化(はんこんか)して、拘縮(こうしゅく)を引き起こすことで滑走性の低下がおきる。
  • 外傷後の固定
    → ギプス・サポーターで動かさない期間が長いと、脂肪体が硬くなり癒着しやすい
    例;アキレス腱断裂、足関節捻挫、踵骨骨折など
  •  オーバーユース(使いすぎ)
    → ランニング量の急増、ジャンプ動作の繰り返し(足関節背屈運動の売り返し)で脂肪体が疲労&損傷
  • 運動不足
    → 足首が動かない生活が続くと、脂肪体の滑走が低下し癒着しやすくなる

オーバーユースとは?

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放置するとどうなる?悪化リスクと慢性化のメカニズム

ケーラー脂肪体炎は、初期のうちは「違和感」程度でも、放置すると徐々に滑走不全が進行し、背屈制限や歩行のクセにつながるります。

アキレス腱炎や足底腱膜炎など、別の疾患へ波及するリスクもあるため注意が必要。

悪化の流れは次の3段階に分けて考えると分かりやすいです。

  1. 脂肪体の滑走不全が進む
  2. 背屈制限 → 歩行・姿勢の乱れにつながる
  3. 他の疾患(アキレス腱炎・足底腱膜炎)へ波及する

滑走不全の進行

放置すると、ケーラー脂肪体の癒着が徐々に広がり、滑走不全が進行します。

  • 脂肪体が前後に動けなくなる
  • アキレス腱の動きに追従できない
  • 深部で引っ張られる痛みが増える
  • 背屈終末域での“詰まり感”が強くなる

結果として、痛みの頻度・強さが徐々に増えていくのが特徴です。

背屈制限 → 歩行・姿勢への影響

滑走不全が続くと、脂肪体が前に逃げられず、背屈制限が強くなります。

  • しゃがめない
  • ランジでつっかえる
  • 階段の下りがつらい
  • 歩行時に足首がスムーズに曲がらない

背屈が出ない状態が続くと、身体は代償として

  • つま先が外に流れる(Toe-out)
  • 膝が内側に入る(Knee-in)
  •  体幹が左右にブレる

歩行・姿勢の乱れにつながり、慢性化の大きな原因になります。

他の疾患(アキレス腱炎・足底腱膜炎)への波及

背屈制限や歩行のクセが続くと、負担が別の組織に移り、他の疾患を併発しやすくなります。
アキレス腱や後部の筋膜とも繋がり、滑走不全により関連した疾患の原因につながることも。

つまり、ケーラー脂肪体炎を放置すると、痛みの場所が“移動”していくのが特徴です。

医療機関で行う検査と診断方法

ケーラー脂肪体炎は、エコー(超音波)検査で評価できます。
必要に応じてレントゲンで他の疾患を除外し、症状の経過から総合的に診断します。

徒手検査では、患部をつまんで前上下左右に動かして内部の動きをみる。 つまんで足関節を底背屈させてもよい

医療機関では、エコー(超音波)やレントゲン、徒手検査などを組み合わせて、医師が総合的に診断を行います。

エコー(超音波)検査でわかること

エコーで確認できるポイント

  • 脂肪体の厚み(腫れ・浮腫)
  • 脂肪体内部の隔壁の硬さ(癒着)
  • アキレス腱との滑走不全
  • 踵骨後部滑液包の腫れ
  • FHL腱との摩擦・滑走不全
  •  背屈時の脂肪体の前方移動量

レントゲンで除外すべき疾患

レントゲンで確認するポイント

  • 三角骨(後方インピンジメントの原因)
  • 踵骨後方の骨棘(ハグルンド変形)
  • アキレス腱付着部の石灰化
  • 骨折・疲労骨折の有無
  • 距骨のアライメント異常

どのタイミングで受診すべきか

受診を検討すべきタイミング

  • 2〜3週間以上、深部の痛みが続く
  • しゃがむ・背屈で毎回痛みが出る
  • 歩行やランニングで違和感が悪化している
  • アキレス腱は痛くないのに“奥が痛い”状態が続く
  • 詰まり感が強く、背屈が明らかに出にくい
  • ランニング後半で痛みが毎回出る
  • 痛みが左右差としてはっきり分かる

ケーラー脂肪体炎の治療法とセルフケア(保存療法が中心)

ケーラー脂肪体の治療の流れ。①炎症期の対応②靴・インソールの調整③専門施術④自宅でのセルフケア

保存療法(手術をしない治療)が基本。
炎症を抑え、滑走不全を改善し、背屈制限を取り除くことが回復のポイントです。

  1. 炎症期の対応(安静・アイシング)
  2. インソール・靴の調整
  3. 理学療法(ストレッチ・筋力トレーニング)
  4. 自宅でできるセルフケア

①炎症期の対応(安静・アイシング)

炎症期に行うべきこと

  • 運動中止・患部を安静に保つ
  • 1日2〜3回、10〜15分のアイシング
  • かかと周囲の軽い圧迫(テーピング・サポーター)

②インソール・靴の調整

靴の影響は大きく、改善の近道です。

  • かかと部分(ヒールカウンター)が硬すぎる靴は避ける
  • かかとが浅く、擦れる靴もNG
  • インソールでかかとの安定性・フィット感を高める
  • 必要に応じてヒールリフト(踵上げ)で負担を軽減

理学療法(ストレッチ・筋力トレーニング)

背屈制限の改善と下腿の機能回復をメインに行います。

  1. アキレス腱周囲のストレッチ
  2. ふくらはぎの筋力強化カーフレイズ
  3. 足首の可動域改善
  4. 背屈制限を改善・バランストレーニング

バランストレーニングとは?

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自宅でできるセルフケア

カーフレイズ。かかとを上げて背伸びを繰り返す

ケーラー脂肪体炎(癒着)のモビリティ。直接つまんで優しくいろいろな方向に動かしてみる。
ケーラー脂肪体炎(癒着)のモビリティ。直接つまんで優しくいろいろな方向に動かしてみる。

おすすめのセルフケア

  • ふくらはぎのストレッチ(1日2〜3回)&トレーニング→カーフレイズ(かかと持ち上げ運動)
  • 足首の前後スライド運動(モビリティ)→直接つまんで動かす!
  • かかと周囲の軽いマッサージ
  • ランニング前後のウォームアップ・クールダウン
  •  痛みが強い日はアイシング

やっておきたい!ふくらはぎのストレッチ&トレーニング

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再発予防|ケーラー脂肪体と上手に付き合うために

ケーラー脂肪体炎は、治っても再発しやすい疾患です。
原因の多くが「負荷のかけ方」や「動きのクセ」にあるため、日常的なケアと習慣づくりが重要。

再発予防のポイント

  1.  運動前後のウォームアップ&クールダウン
  2. 負荷管理と休息
  3. セルフチェックの習慣化

①運動前後のウォームアップ&クールダウン
〇ふくらはぎのストレッチ
〇手で軽く動かす
〇足首可動域を動かすモビリティ

②負荷管理と休息
運動の強度・頻度・継続時間の見直しをすることで、オーバーユースによる損傷を防ぎましょう。
また、週に1~2日は完全休息美をつくったり、シューズの見直しも重要。

③セルフチェックの習慣
セルフケアをしながら、ふくらはぎ・足首の状態を日常的にチェックしましょう。
異変・以上に気づく力が最大の再発予防といえます。

荻窪周辺でアキレス腱の奥の痛みでお困りの方へ

荻窪・西荻窪・阿佐ヶ谷エリアでは、運動意識が高い方も多く、「アキレス腱の前側の奥が痛い」「しゃがむと詰まる」といったご相談が増えています。
当院では、この“見落とされやすい痛み”に対して専門的な評価と施術を行います。

当院で行っている評価・施術

ほんだ整骨院では、炎症の有無、脂肪体の前方移動の状態、三角骨障害やFHL腱炎との鑑別を行い、

  • 脂肪体の滑走改善(徒手療法)
  • 足首の可動域改善(モビリティ)
  • ふくらはぎの柔軟性改善
  • インソール・靴のアドバイス
  • セルフケア指導(ストレッチ・負荷管理)

を中心に施術(保存療法)を行っています。

アクセス(荻窪駅から徒歩5分)

JR中央線・東京メトロ丸ノ内線 荻窪駅寄り徒歩5分

  1. 荻窪駅北口出て、青梅街道を渡り左(西)へ
  2. みずほ銀行荻窪支店さんの脇(教会通り)を右(北)へ
  3. 200mほど右手にあります。

荻窪地域だけでなく、JR中央線、丸ノ内線沿線からも多くご来院いただいています。

予約・相談の案内

「これ、ケーラー脂肪体炎かも?」と思ったら、早めのご相談をおすすめします。

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ケーラー脂肪体のまとめ

✔ ケーラー脂肪体炎の特徴(症状)
• アキレス腱の“前側の奥”が痛む
• しゃがむ・背屈で詰まり感や深部痛が出る
• 歩行・ランニング後半で痛みが強くなる
• アキレス腱そのものは押しても痛くない

✔ なぜ痛むのか(メカニズム)
• 脂肪体が炎症で腫れる
• 周囲組織と癒着して“滑走不全”が起こる
• 背屈時に前方へ逃げられず、アキレス腱と踵骨の間で挟まる
• 深部で引っ張られるような痛みが生じる

✔ 間違われやすい疾患(鑑別)
• アキレス腱炎:腱そのものが痛い
• 三角骨障害:底屈で痛い
• FHL腱炎:内側後方が痛い
→ 痛む場所と痛む動作で鑑別できる

✔ 原因(4分類)
• 過度な運動・ジャンプ・ランニング
• 足首の硬さ(背屈制限)
• 靴の圧迫・ヒールカウンターの硬さ
• 解剖学的な個人差(構造的要因)

✔ 放置するとどうなる?(悪化リスク)
• 滑走不全が進行して慢性化
• 背屈制限 → 歩行・姿勢の乱れ
• アキレス腱炎・足底腱膜炎などへ波及
• 要点を箇条書きで整理(AEO最適化)
• 関連記事への内部リンク(SEO強化)

✔ 治療法(保存療法が中心)
• 炎症期:安静・アイシング
• 靴・インソールの調整
• 理学療法:ストレッチ・筋力強化・可動域改善
• 自宅ケア:ふくらはぎストレッチ・足首モビリティ

✔ 再発予防のポイント
• 運動前後のウォームアップ
• ランニング量の管理・休息
• 背屈のセルフチェック習慣

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足の痛みで悩む人は数多い。                        つらい痛みをでやりたいことをあきらめてしまう前に。           痛みなく健康に歩くために。

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