ケガしたときの応急手当てRICE(ライス)処置とPRICE処置(プライス)。

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

打撲やねんざなどのケガは、不意に起きてしまうものです。
とくに起きやすいのが、スポーツや外出の「疲れているとき」。

注意力が低下したり、疲労によって踏ん張りが効かなくなったりすることによって起きやすいのです。

そんなときに大事なのが、

応急処置!

ケガをしたときに応急処置をすることで、後々の治癒過程をより早めることができます。

今回は、応急処置の基本である「RICE処置」「PRICE処置」について紹介していきます。

 

ケガしたときの応急手当てRICE(ライス)処置とPRICE処置(プライス)。

注意
このページではRICE処置・PRICE処置の概要を紹介しています。記事執筆時点での情報です。

医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が古くなっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

ケガをした直後の応急処置が重要

足首をひねったときのRICE処置

よくスポーツを見ていて、選手がケガをしてしまった時に患部にコールドスプレーを吹きかけている光景をみたことありませんか?

ケガの直後に患部を冷却することは重要なんです。

まず、組織の強度を超える外力が働くと、組織が損傷して、出血が起きます。
受傷直後にコールドスプレーなどで冷却することは、組織に分布する毛細血管を縮めて、余計な出血を抑える効果があったのですね。

出血量が多いと、一時的に身体を流れる血液量が減少して、血圧の低下を引き起こしてしまったり、損傷周囲の正常な細胞が酸欠を起こしてしまったり、治癒過程に不利な事象が生じる恐れがあります。

応急処置をしなかったことで、治癒期間やリハビリに要する時間が長引いてしまうことはもちろん、悪いときには組織の損傷範囲を拡大させてしまうこともあるのです。

ちょっとぶつけただけだから。
少しひねったぐらいだから。

などと軽視はせず、ケガの直後から処置をしましょう。

昔から有名なのが「RICE処置」ですが、これに「P」を加えた「PRICE処置」が浸透してきています。

「PRICE処置」(プライス)とは?

 

PRICE処置は医療機関に行くまでの応急処置。 その後はPOLICEやPEACE&LOVE処置を施す

英語で「RICE」というとお米のことですよね。
応急処置の「RICE」は必要な処置の頭文字をとったものです。

Rest(安静)
Icing(冷却)
Compression(圧迫)
Elevation(挙上)

有名なので知っている方も多いかもしれませんね。
どれも受傷後~炎症期には重要な処置です。

これに「P」を加えると「PRICE」(プライス)。
最近ではプライスが主流です。

いざというときのために、スポーツをする方、指導者、アウトドアに行く人たちは、絶対に覚えておきたいですね。

Protection(保護)
患部を固定・保護することで安定させます。
動揺したり、外力を受けたりしないようにすることで、損傷の拡大を防ぐためのものです。

「RICE+S」の時代もあった?!
少し前はSupport(支持)、もしくは、Stabilization(安定、固定)が付け加えられていましたが、総合的に「Protection」と統合されたようですね。

REST(安静)
損傷した組織や周囲の血管・神経を安静に保つことで出血や痛みを和らげます。

Icing(冷却)
患部を冷却することで毛細血管を収縮させ出血を防ぎます。
また、炎症は腫脹による組織の酸素欠乏が起こします。これにより健全な周囲の細胞が壊死し、周囲の二次的損傷が発生します。
冷却することで健全な細胞の活動を低下させ、二次的損傷を抑える目的もあります。

冷却のやり方と効果とは?受傷後のアイシング(冷却)。治療期間を短縮する効果あり!【応急処置】

Compression(圧迫)
患部を軽く圧迫することで内出血と腫れを抑えます。周囲の筋肉や関節も一緒に軽く圧迫してあげると血管からの出血も和らげます。
※強く圧迫しすぎると、腫脹・浮腫によって血流障害が起きるので要注意です!

Elevation(挙上)
患部や患肢を持ち上げます。
血腫や腫脹、浮腫(むくみ)の予防と減少させる効果があります。

PRICE処置の目的は、

過剰な出血・腫脹を抑制すること!
炎症期を早く脱し、治癒再生過程を早めること!

PRICE処置が必要なケガ。

大量の出血や頭部や頚部への強い外力が加わった場合は、動いたり、動かすと危険な場合があります。
また、意識がない場合や弱い場合には、すぐ救急車を要請して医師の指示を仰ぎましょう。

それ以外での出血の伴わないもの、「ぶつけた」「ひねった」「肉ばなれ」などはPRICE処置が有効です。

外傷を負った直後に適切にPRICE処置が行われていれば、ほんの2~3週で軽快するケガでも、適切な処置が行われず、受傷後2~3日経ってから痛みや腫れがひかずに医療機関を受診するケースが多いのです。

近年、PRICE処置のほかに「POLICE」や「PEACE&LOVE」といった急性期に行われる処置も考案されています。
これらは、現場でのPRICE処置が行われた後、専門家の指導のもとに行われるべきものです。

PRICEと一緒に覚えておくといいかもしれませんね。

POLICE処置(ポリス)
PRICEの「Rest」の代わりに「OL」(Optimal Loading適切な負荷)に置換されたもの。
患部への適切な負荷は血行を促進して治癒・再生能力を高める効果が期待できる。
骨折や重度の捻挫には注意が必要とされる。
PEACE&LOVE
新しく提唱されたケガの処置方法。
現場での応急処置というよりも医療機関や専門家の判断で行われるべきものが多い。
日常への早期復帰を目指すためにも取り入れていきたい。
(参考 Soft tissue injuries simply need PEACE & LOVE )
イメージとしては、
現場から医療機関まで━PRICE
医療機関を受診してから急性期━POLICEPEACE&LOVE

受傷後、どれくらいまでPRICEが必要?

外傷により組織が損傷すると患部の毛細血管から出血。
その後、24時間から72時間ぐらいかけて炎症が強くなり、腫脹(腫れ)と熱感が強まる時期です。

この受傷後~72時間ぐらいまでがPRICE処置を行うべき期間です。

受傷後~72時間ぐらいまで!

この時期にPRICE処置を行うことで、過剰な腫れ、出血、二次的損傷を防ぎ、治癒過程を促進させましょう。

あくまで、目安です。
受傷後3日経過しても、熱感や腫脹が強い場合は継続します。
逆に、3日経過せずに熱感や腫脹が治まる場合もあります。この場合は冷却(Icing)や挙上(Elevation)は中止しても構いません。
医師の指示に従いましょう。

「PRICE処置」はあくまで応急処置。

 

プライス処置はケガ現場での応急処置

受傷の直後から処置を行うことで、治癒期間の短縮が期待できます。

ただし、医師の診断は必ず受けましょう。

私たちが現場で恐れるのは、捻ったり、打ち身をして、痛みや動き具合から自己判断で、「骨は大丈夫!」とか「ひねっただけ」と

軽視してしまうこと!

PRICE処置を適切に行うことで、痛みや腫れ、内出血、熱感は確実に減少できます。
これによって、自身のケガを軽視してしまう人もいるのです。

受傷後に応急処置をしても損傷がなかったことになるわけではありません。
重大な損傷や合併症が隠れている可能性もあります。

必ず、専門の整形外科の医師に診断を仰ぎ、指示に従いましょう。

外傷では、応急処置の他にも、固定の方法、固定の肢位(姿勢)、固定期間の設定、合併症(後遺症含む)の管理といった重要な処置があります。
間違うと後遺症として残ってしまう可能性もあるのです。

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まとめ。

  • 受傷直後にPRICE処置をすることで治癒期間を大幅に短縮できることもある。
  • PRICE処置は病院に行くまでの応急手当て。必ず診断を受けること。
  • PRICE処置の目的は、過剰な出血や腫れを抑えること。二次損傷を防ぐこと。
  • 多量の出血、意識障害、頭部・頚部への強い外力があった時は救急搬送すること。

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