身体にとって大切な骨の役割とは?支持・保護・運動・造血・貯蔵、もうひとつは?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

私たちヒトは、内骨格の生物。
成人でだいたい206個の骨をもっています。

大きいものから小さいものまでいろいろな形の骨がありますね。
それぞれで身体にとって大切な働きをしているのですが、今回紹介していくのは骨全般の話。

骨には大きくいうと5つの機能があるといわれています。
さらに、もうひとつ大きな役割があると考えられているんです。

骨の役割

身体にとって大切な骨の役割とは?支持・保護・運動・造血・貯蔵、もうひとつは?

※ご注意!
このページでは「骨の機能」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

骨の5つの役割。プラスワン。

骨の役割としてよくいわれている機能は5つ。

①支持機能
②保護機能
③運動機能
④造血機能
⑤貯蔵機能

これらはどれも大切な機能ですね。
「支持」「保護」「運動」といった役割はみなさんも想像がつきやすいかもしれませんね。

ただし、「造血」「貯蔵」についての役割は目に見えないところで、さらに私たちの気づかないうちに行われているので知らなかった人も多いでしょう。

そして、実はもうひとつ「内分泌」(ないぶんぴつ)する器官としての機能もあることが分かってきています。

※内分泌(ないぶんぴつ)
内分泌は、「ホルモン」を放出すること。
さまざまな内分泌する器官が知られていて、おもに身体の生命維持を保つ目的で他の器官に働くような性質がある。
血液を介して、遠隔や複数の器官(臓器など)に作用させることもできる。
外分泌は唾液や汗腺などで、物質を体外に放出すること。

それでは、それぞれの機能をひとつずつみていきましょう。

身体を支える「支持機能」

骨の支持機能

動物にはいろいろな分類がありますね。
私たちヒトを含む哺乳類は脊椎動物(せきついどうぶつ)。
背骨をもっていて、体内に骨がある生き物たちの仲間です。

対する脊椎(背骨)をもたない動物たちは「無脊椎動物」(むせきついどうぶつ)といわれますね。

私たちの体内にある骨は、柔らかい組織の「芯」となって身体を支えています。

ちなみに無脊椎動物は「外骨格」(がいこっかく)をもつものと「軟体動物」(なんたいどうぶつ)に分けられます。

外骨格をもつものは、カニやカブトムシなど。節足動物を中心としたグループ。
外側の皮膚部分が硬くなって、身体を支えて、内臓を守っています。

軟体動物はイカやミミズなど。
脊椎や外骨格といった身体を支えるものがないぶん、非常に身体に柔軟性があるので、狭い場所にも入ることができます。
「外套」(がいとう)という表皮の膜で覆われているんです。

実は貝類も軟体動物。硬い貝殻は外套膜から分泌したリン酸カルシウムを結晶化させたものに住み着いているんです。
おもしろいですね。

ヒトの場合は大きな体や内臓を内部から支えて、「二足歩行」を実現しているところに注目したいところです。

臓器や中枢神経を守る「保護機能」

骨には重要な臓器や脳を守る役割もある

骨のもうひとつの役割は身体の重要な臓器や中枢神経系の保護。

脳は神経系の最高司令部。頭蓋骨で守られています。
脳の指令を伝える「脊髄」(せきずい)は脊椎(せきつい)で作られている「脊柱管」(せきちゅうかん)を通っています。

呼吸を司る「肺」や循環器系のポンプ「心臓」、さまざまな能力がある「肝臓」、尿をつくる「腎臓」は肋骨(ろっこつ)や胸骨(きょうこつ)に守られています。

骨盤の一部である腸骨も消化器官の「大腸」や「生殖器」を守る役割をもっています。

ヒトの生命維持に大切な器官を守る骨は、さらにその外側に筋肉や皮下脂肪を蓄えることによってそれらの機能を果たしていますね。

また、手首や足首には小さな骨がいくつもあって、衝撃を分散させることに役立っています。

筋をつないで関節を作る「運動機能」

筋肉が骨に付着して関節運動を行う

ヒトの骨は成人でだいたい206個。
骨と骨の繋がりは「関節」と呼びます。

頭蓋骨や骨盤のようにほとんど可動性のない(運動しない)関節も多いですが、いくつかの関節は表面に「関節軟骨」(ツルツルで摩擦がない)を備えて、一定の方向に可動するつくりになっています。

筋肉は腱になって骨に付着しています。それらの筋肉が収縮することで関節が動くようになっています。

手首や指は関節がいくつも連動して動くことでなめらかな動きが可能になっていて、緻密な動きもできるようになっているんですね。

関節は動きを生み出すだけではなく、骨にかかる負荷(衝撃や荷重)を筋肉に逃がして中枢神経や内臓を守る役割もしています。

血液細胞を生産する「造血機能」

長骨の海綿質の空隙や髄腔には骨髄があり、そこでは血球成分が作られている

骨は「骨膜」(こつまく)、「緻密質」(ちみつしつ)、「海綿質」(かいめんしつ)からできています。
海綿質はスポンジ状になっていて、そのすき間には「骨髄」(こつずい)で満たされています。

また、長管骨(細長い骨)の中心部には「髄腔」(ずいくう)という空間があり、そこにも骨髄があります。

この骨髄で行われているのが

血液細胞をつくる!

骨髄にある「造血幹細胞」(ぞうけつかんさいぼう)が血小板(血液を固める)、赤血球(酸素を運ぶ)、白血球(異物をやっつける)に変わっていくことで血液が製造されています。

ただし、骨髄には2種類あって造血作用のあるものとないものがあります。

赤色骨髄(せきしょくこつずい)

造血作用あり幼児ごろまでは全部の骨髄が赤色骨髄
成人になると椎骨や肋骨などの限られた骨が造血作用を担う。
骨髄中の脂肪分の割合が低いと赤血球の色にみえる。

黄色骨髄(おうしょくこつずい)

年齢を重ねるにつれ、赤色骨髄は脂肪組織に変わっていく。
造血作用はない。
骨髄の中の脂肪の割合が増加すると黄色くみえる。

造血幹細胞

血球成分(血液細胞)を生成する細胞。
細胞分裂する過程で、赤血球白血球リンパ球血小板分化できる。
また「自己複製」(じこふくせい)で自分と同じ分化可能な造血幹細胞をコピーできる。

骨の構造について

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無機質の代謝を支える「ミネラル貯蔵機能」

骨を構成する細胞

ヒトが生命活動を行っていくなかで「無機質」(ミネラル分)も必要不可欠です。
骨はそれらの無機質を体内に貯蔵する機能も有しています。

骨に含まれる無機質の割合は約65%。
多くがリンカルシウムですが、マグネシウムや銅、マンガンや亜鉛など多くの物質も貯蔵されます。

とくに骨に占める割合の多いカルシウムは、

神経伝達
筋肉の収縮
血液凝固 など

多くの生命活動で使われています。

血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨にある破骨細胞(はこつさいぼう)が活発に働き、カルシウムを血中に供給します(骨吸収)。
反対にカルシウム濃度が増加すると、骨芽細胞(こつがさいぼう)が活発に働きカルシウムを骨に貯蔵されます(骨形成)。

これらの骨吸収と骨再生は絶えず行われていて(骨のターンオーバー)、女性ホルモンのエストロゲンや副甲状腺のPTH、甲状腺から出るカルシトニンなどのホルモンによって調整されています。

骨はカルシウムなどのミネラル成分を貯蔵して、必要に応じて放出することで血液中の濃度が一定になるように働いているんですね。

生体恒常性維持のための「内分泌機能」

恒常性維持(こうじょうせいいじ)は、かんたんにいうと、

調子のいい状態を保つ!

ってこと。

内分泌(ないぶんぴつ)は他の臓器に影響を与える物質(ホルモン)を血液中に分泌することで身体の状態を良くすること。

内分泌の特徴は一度に複数の臓器や遠隔にある臓器にも作用できることです。
内分泌器官として有名なのは脳の視床下部や副腎、副甲状腺などでしょうか。

実は骨もホルモンを放出しています。

オステオカルシン

骨を形成する「骨芽細胞」が生成するタンパク質で、全身の臓器に関係して、さまざまな効果があるといわれています。

(オステオカルシンはホルモンとしてだけではなく、骨に付着してカルシウムを沈着させる支柱にもなっています)

とくに糖質と脂質の代謝の関係(余剰な糖分が脂肪に置き換わる)で重要に働いています。
膵臓に働いて血糖値の上昇を抑えたり、内臓脂肪への変換を阻害させる効果があるといわれ、肥満や糖尿病になりにくいようにしているんです。

また、「若返りホルモン」ともいわれていて、多くの器官に作用するアンチエイジングの機能があることがわかってきています。

オステオポンチン

こちらも骨芽細胞(骨を作る細胞)が生成しているたんぱく質で、骨髄の造血幹細胞を若く保つ作用があります。

造血幹細胞は血球成分(血液の細胞)をつくる役割があります。
造血幹細胞は白血球やリンパ球という免疫に関わる細胞にも分化します。

身体に細菌やウィルスが入ったり、傷ついたりするとオステオポンチンが作用して、免疫に関わる白血球やリンパ球を生成しているんです。

オステオポンチンは、身体の炎症とも深くかかわっているので全身性の炎症疾患によって増加して、骨吸収(骨を破壊)させることもあります。

骨の役割まとめ

〇ヒトは成人で約206個の骨がある(多少個人差がある)
〇身体を支える
〇脳や内臓を保護する
〇関節を作り筋肉の収縮で運動を行う
〇骨髄で血液の細胞をつくる
〇無機質の貯蔵と供給
〇ホルモンを放出して内分泌器官としても働く

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