こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
足の舟状骨(しゅうじょうこつ)は、足首の前方にある母趾(親指)側の小さい骨。
土踏まず部分にある足部の形状を保つうえでも重要な骨です。
ヒトの足首から足部にかけては、小さい骨がいくつもあって、「足根骨」(そくこんこつ)といわれています。
足の舟状骨もそのひとつ。
実は、手首の親指側にもあって、混同しやすい特徴もあります。
単体で「舟状骨」というと手首の方を指すことが多いですね。
両方とも舟底の形状をしているので、「舟のような骨」すなわち舟状骨と名付けられているんです。
今回の記事では、足の舟状骨の情報と関連する痛みについて紹介しています。
足の舟状骨はどんな骨?関連するケガや障害に関する情報も。
このページでは「舟状骨」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足の舟状骨。位置と形。
まずは、解剖学的位置と触診について紹介。
足の舟状骨は、内くるぶしの前方ちょっと下に触ることができます。
この骨のでっぱり部分が舟状骨結節(舟状骨粗面)。
外側部分は、ちょうど足首のまん中あたり。
第3中足骨あたりまで。
小さい骨で、足の大きい大人でも周径10㎝あるかどうか。
5つの骨と隣接して関節をつくっています。
(内側楔状骨・中間楔状骨・外側楔状骨・立方骨・距骨)
英語では、「Navicular」。
ラテン語の舟(船)を意味する「navis」が由来。
〇前方部分
3つの楔状骨(けつじょうこつ)との関節面があります。
内側から、内側楔状骨、中間楔状骨、外側楔状骨の順。
あまり可動性はありません。
豆のような形に見えますが、「舟」です!
〇後方部分
距骨(きょこつ)と接する部分。
距骨頭部との関節面は関節軟骨(骨軟骨)があり、わずかに可動性があります。
足部にある関節のショパール関節の一部分を形成している部分でもあります。
「横足根関節」(おうそくこんかんせつ)ともいわれる関節。
後方部分の距骨・踵骨と前方部分の舟状骨・立方骨を分ける。
〇外側部分
立方骨との関節をつくる部分。
靱帯結合が強く、可動性はかなり少ない関節です。
〇内側部分
くちばしのような形をしています。
この部分は「舟状骨結節」(舟状骨粗面)とも呼ばれ、内くるぶしの前下方、土踏まずの頂点あたりで触れることができます。
後脛骨筋腱の停止部
内側にある舟状骨結節は、後脛骨筋腱の停止部(骨に着く部分で遠位側)。
舟状骨結節にメイン部分が停止。内側楔状骨や2~4中足骨の底部(足底側)に広がるように停止している。
ただし、停止部への広がりは個人差、左右差がかなり強い。
参考サイト;BPM Function『後脛骨筋腱の解剖学的機能とバリエーション』
ちなみに後脛骨筋(こうけいこつきん)は、土踏まず(内側縦アーチ)を維持させるように働く筋肉。
後脛骨筋の機能が低下すると「PTTD」(後脛骨筋腱機能不全)という状態になり、内側縦アーチが低下します。
※付着部の広がり具合によっては縦アーチの維持に働いていないこともあります!
また、舟状骨結節と後脛骨筋は深く関係し、外脛骨(がいけいこつ)とよばれる副骨(過剰骨)が存在する人もいます。
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足の内側縦アーチを形成する
土踏まずや足底弓蓋(そくていきゅうがい)といわれる、内側縦アーチを形成する骨は、
- 踵骨(しょうこつ)
- 舟状骨(しゅうじょうこつ)
- 内側楔状骨(ないそくけつじょうこつ)
- 第1中足骨(だいいちちゅうそくこつ)
とくに足舟状骨はもっとも高い位置にある天井部分を形成。
内側縦アーチは、荷重(体重をかける)や歩行によって伸縮します。
ということは、天井部分の舟状骨は、そのたびに前後から圧迫力にさらされつづけることになりますね。
前方からは3つの楔状骨、後方からは距骨が舟状骨を押しつぶすように働きます。
このため、一度の強い外力では「圧迫骨折」、繰り返しの圧迫力では「疲労骨折」が起きることもあります。
多くの靱帯・関節包で補強される
足部は、小さい骨(足根骨と趾骨)がたくさん集まってできています。
その数は片足で28個。
それぞれが靱帯や関節包でつながり合っています。
このため、外傷性の骨折や剥離骨折がおきても、骨片が大きく転位(ズレる)することは少ないのです。
舟状骨にくっつく主な靱帯
三角靱帯脛舟部(さんかくじんたいけいしゅうぶ)
背側距舟靱帯(はいそくきょしゅうじんたい)
背側踵舟靱帯(はいそくしょうしゅうじんたい)〈二分靱帯の一部〉
背側立方舟靱帯(はいそくりっぽうしゅうじんたい)
背側足根靱帯(はいそくそっこんじんたい)
底側踵舟靱帯(ていそくしょうしゅうじんたい)〈ばね靱帯〉
底側立方舟靱帯(ていそくりっぽうしゅうじんたい)
底側楔舟靱帯(ていそくけっしゅうじんたい)
足舟状骨に関連するケガと障害
〇足の舟状骨骨折
足の舟状骨骨折では、体部圧迫骨折・疲労骨折・剥離骨折がみられます。
・圧迫骨折
おもに前後からの圧迫力によって体部骨折するタイプ。
・疲労骨折
前後の骨(楔状骨や距骨)からの圧迫力が積み重なって骨損傷が起きる。
・剥離骨折
足舟状骨結節は後脛骨筋腱、背側部は背側距舟靱帯の牽引力で剥離骨折(裂離骨折)を生じることがある。
〇外脛骨障害(有痛性外脛骨)
後脛骨筋の付着部(結節部)にできる小さな骨(副骨)部分で痛みが生じる。
回内足や扁平足、後脛骨筋の使いすぎで生じることが多い。
こんにちは。ほんだ整骨院山内です。 先日、親知らずが突然痛み出し、抜歯しました。 11月も後半に入りましたね。寒い風が身に染みる季節になってきました。 先日、クヌギのどんぐりを拾いに行ってきました。 ・・[…]
〇第1ケーラー病
足の舟状骨は、足根骨の中でも成長期に骨硬化が遅い特徴がある。
舟状骨が硬化する前の骨端軟骨部分に繰り返し圧迫力や牽引力が働くことで、軟骨損傷が生じるもの。
足部で起きやすい骨端症のひとつ。
こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。 子どもの足の骨は、成人の骨と異なります。 いちばんの違いは、 軟骨部分が大きいこと! 骨端軟骨(こったんなんこつ)とか成長軟骨(せいちょうなんこつ)と呼ばれています。 この軟骨部分が硬化し[…]
〇後脛骨筋腱機能不全(PTTD)
後脛骨筋の腱部分が延長することによって、舟状骨が外返し(回内)する。
扁平足や回内足につながりやすくなる。
こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。 内くるぶしの下や後ろまわりが腫れたり、痛みが出たりして悩んでいる人が多くいらっしゃいます。 足首をひねったり、ぶつけたわけでもないのに・・・。 後脛骨筋腱機能不全(こうけいこつきんけんきの[…]
〇前足根管症候群
舟状骨と直接関係するものではないが、舟状骨の近くにある足関節の伸筋支帯で深腓骨神経を圧迫。
母趾~第2趾に神経症状がでる。
こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 今回紹介する障害は、あまり聞いたことがない人も多いかもしれません。 前足根管症候群 (ぜんそくこんかんしょうこうぐん) 足首の前側がなんらかの理由で圧迫を受けることによって、その内側を通[…]
〇三角靱帯の損傷
足関節を外反(回内)強制されて、内側の靱帯が損傷。
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〇後脛骨筋腱炎
後脛骨筋腱の付着部や内果(内くるぶし)部分で炎症を起こすことがある。
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まとめ
- 小舟の形をした足首の前方内側にある骨
- 内側アーチをつくり、前後から圧迫されやすい
- 後脛骨筋の停止部
- 外脛骨をもつ人もいる
- 多くの靱帯が付着する
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