『腓骨』はどんな形?付着する筋肉は?

こんんちは。荻窪教会通りにあるほんだ整骨院の山内健輔です。

下腿部(膝から足首までの部分)には、2本の骨があります。
内側の太い骨が脛骨(けいこつ)。
スネの骨です。

もう一つ外側にある骨が腓骨(ひこつ)。
こちらは脛骨と比べると細いです。

ヒトやサル、ウサギには、腓骨がありますが、ウシやウマでは退化して痕跡のようなものがみられます。

今回の記事では、ヒトの「腓骨」の形状や部位の呼び方について紹介していきましょう。

腓骨は三角柱状の長管骨。上部のふくらみが腓骨頭、下部のふくらみが外果。骨幹部は腓骨体部とよぶ

『腓骨』はどんな形?付着する筋肉は?

※ご注意!
このページでは「腓骨」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

腓骨はどこにある?役割は?

腓骨は下腿部の外側の骨。脛骨よりも細く、三角醜状の長管骨。

英語やラテン語では、

fibura(フィブラ)

と呼ばれています。

漢字で「腓」と書くと「こむら」や「こぶら」と読み、俗にいう「ふくらはぎ」の部分を指します。

ふくらはぎにある骨なので「腓骨」といいます。
読み方は「ひこつ」。
なかなか使わない文字なので読みにくいですよね。

場所は下腿部の外側
ひざのお皿(膝蓋骨)のちょっと下、外側に触れる骨です。

脛骨についてはこちらの記事もご参考にどうぞ。
脛骨(けいこつ)とは?
腓骨の外部からの目印(ランドマーク)としては、膝の外側に腓骨頭、足首の外側に外果がわかりやすい

腓骨の役割は4つ。

  1. 体重支持
  2. 衝撃の吸収(分散)
  3. 足関節(足首)の安定化
  4. 筋肉の付着部

①体重支持
おもに下腿部で体重を支えるのは脛骨。
腓骨は、脛骨を支持するように支えています。
内反膝(O脚)や内側型の変形性質関節症では、腓骨の体重支持の割合が大きくなります。
また、膝関節や股関節を内旋(つま先が内側を向く)している人も腓骨に荷重がかかりやすいです。

内反膝(O脚)や股関節・膝関節g内旋している人は、腓骨への荷重が強くなる

②衝撃の吸収(分散)
地面から伝わる衝撃を脛骨と腓骨で分散させることで衝撃の吸収にもひと役買っています。
腓骨は殿部や大腿部の筋肉の力も分散させるので、多くの後肢(ヒトでいう下肢)を力強く使う動物では退化してしまっているものも多いです。

③足関節(足首)の安定化
ヒトの足首は、脛骨と腓骨で距骨(きょこつ)を挟み込むようにして成り立っています。骨性安定度が上昇します。
つまり、足首の背屈・底屈(つま先の上げ下げ)を安定させています。

④筋肉の付着部
足首や足指を動かす筋肉が多く付着しています。
筋肉の付着部が多いということは、筋肉の動く方向が多いことを表します。
腓骨があるヒトやサルは、腓骨のないウシやウマより足部や足趾をうまく使えます

形状と部位名

腓骨のおもな部位の名前

形状は、

脛骨より細い
三角柱状長管骨(ちょうかんこつ)

上下の末端部分が少し膨らんだ形をしています。

骨の分類

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近位(上部)

腓骨の近位部(上部)。腓骨頭を回るように総腓骨神経が走行する。脛骨と腓骨頭関節面が近位脛腓関節をつくる。

腓骨頭(ひこつとう)
上部のふくらみ。膝関節裂隙(れつげき)の外側ちょっと下で触知可能。
大腿二頭筋が停止(付着)。また外側側副靱帯も停止する。
脛骨の後外側で「近位脛腓関節」(きんいけいひかんせつ)をつくる。
正座や仰臥位で総腓骨神経を圧迫しやすく、腓骨神経麻痺の原因にもなる。

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参考:古東整形外科・リウマチ科『総腓骨神経麻痺』
腓腹筋や長腓骨筋、そして大腿二頭筋などの筋肉が周りをとり囲むようにあるので、
しゃがみこむ姿勢などが続くと、それらの筋肉に圧迫を受けて足がしびれてしまう

腓骨頭尖(ひこつとうせん)
腓骨頭の上にあるちょっとした突起部分。
腓骨頭の関節面をつくっている。

腓骨頚(ひこつけい)
腓骨頭下の細くなった部分。

骨幹部h3

脛骨と腓骨の骨幹部には下腿骨間膜(かたいこっかんまく)があり、コンパートメント(区画:隔室)を形成する

腓骨体(ひこつたい)
骨幹部(腓骨頚~外果上部)全体を指す。

前縁(ぜんえん)
後縁(こうえん)
骨間縁(こっかんえん)
三角柱状のそれぞれの縁部。
前縁━後縁の間を外側面
前縁━骨間縁の間を内側面
骨間縁━後縁の間を後面とよぶ。

骨間膜(こっかんまく)
脛骨と腓骨の骨間縁どうしをつなぐ結合組織。
近位と遠位の脛腓関節を補強するのと同時に、下腿部を区画(コンパートメント:隔室)で仕切る役割もある。
下部は骨間靱帯(こっかんじんたい)ともよばれる。

遠位部

腓骨下端部(遠位部)には多くの靱帯が距腿関節を補強して、腓骨筋腱が外果の後方を走行する

外果(がいか)
足首の外くるぶしとして、外側に張り出す。
足関節の外側靱帯が複数、付着する。
内側は距腿関節(きょたいかんせつ;足関節の一部)をつくる(外果関節面)。

腓骨に付着する筋肉と靱帯

腓骨の後面には、大腿二頭筋が停止し、他にも長腓骨筋・短腓骨筋・後脛骨筋・ヒラメ筋・長母趾屈筋などが起始する

停止する筋肉
大腿二頭筋(だいたいにとうきん)が腓骨頭に停止する。

腓骨に起始する筋肉は数多くあります。

  • ヒラメ筋
  • 長腓骨筋(ちょうひこつきん)
  • 短腓骨筋(たんひこつきん)
  • 第三腓骨筋(だいさんひこつきん)
  • 長趾伸筋(ちょうししんきん)
  • 長母趾伸筋(ちょうぼししんきん)
  • 後脛骨筋(こうけいこつきん)
  • 長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)

また、足関節をつくる腓骨外果には数多くの外側側副靱帯があります。
おもなものだけでも、

  • 遠位前脛腓靱帯(えんいぜんけいひじんたい)
  • 前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)
  • 踵腓靭帯(しょうひじんたい)
  • 後距腓靱帯(こうきょひじんたい)
  • 腓骨筋支帯(ひこつきんしたい)

などがあります。

腓骨に関係するおもな外傷

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まとめ

  • 下腿外側にある細長い(三角柱状)骨(長管骨)
  • 多くの筋肉が付着する
  • 外果部には足部の側副靱帯が複数付着する
  • 体重も支えている

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