こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
ヒト(人間)は「脊椎動物」(せきついどうぶつ)です。
脊椎とは、背骨のこと。
ヒトの脊椎は全部で28個。
人によっては29個や30個のこともあります。
そのうち、首の骨(頚椎)は7つ。
首は狭い空間に重要な器官が多く詰め込まれている場所です。
さらに頭の重みや動きの影響を大きく受ける部位でもあります。
今回は、「頚椎の数」について紹介していきましょう。
『頚椎(首の骨)の数はいくつある?』
このページでは「頚椎の数」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
ヒトの頚椎は7つ
背骨は「脊椎」と呼ばれて身体の中心で「芯」のような働きをしています。
首の骨は「頚椎」(けいつい)といいます。
その数は、
7個!
頭の可動性を保ったり、脳への衝撃や振動をやわらげる働きをしますが、頭部の重みで物理的な負荷が大きい場所でもあります。
医療の解剖学の分野では、「細くなった部分」のことを「頚部」(けいぶ)と呼ぶこともあります。
(例:上腕骨外科頚・大腿骨頚部など)
ヒトの頚椎は、7つの骨で負担を分散しながら高い可動域を保っているんですね。
ヒトの頚椎
ヒトの頚椎を側面からみてみると、前方が出っ張るようなカーブを描いています。
これは「生理的前弯」といいます。
地面からの衝撃や振動を脳に伝えないように複数の脊椎で分散しているのです。
ちなみに、胸椎は後弯、腰椎は前弯して、自然にS字のようになっています。
この頚椎の前弯がなくなった状態が「ストレートネック」と呼ばれるもの。
↑もっと下を向くと、頚椎は後弯する
多くの人が画面を注視するときには、この姿勢になりやすいです。
結果的に、頚椎の椎間板、周囲の筋肉が変形しやすくなって、常態的なストレートネックへと移行します。
なかには、前弯ではなく後弯している人も見受けられます。
首の骨、つまり頚椎は7つありますが、全部が同じ形をしているわけではありません。
上部の第1頚椎(環椎)、第2頚椎(軸椎)はとくに形状が変わっていて、顎(あご)を左右に振るような回旋という運動に大きく貢献しています。
頚椎の基本的な形
椎体
円柱状の「柱」となる部分。椎体どうしの間には「椎間板」が緩衝材として挟まっている。
椎弓
脊椎の後方部分。横突起や棘突起をつくり、筋肉の付着部となって、運動を支えるほか、脊髄を保護する役割も。
脊柱管
椎体の後部と椎弓に囲まれた部分が上下に連続することで脊柱管になる。
脳からつながる脊髄を通しています。
椎体は身体の中心で支えている!
背骨は身体の後方にあるイメージですね。
首の矢状断面図をMRIの画像でみてみると、椎体部分がほぼ中央にあります。
(椎体が中心にあると、筋肉を使わずに頭部を支えることができる)
椎骨の前方部分で身体を支え、後方部分で脊髄を保護するかたちになっているんですね。
後方には脊柱管や棘突起。
わずかな前方部分に食道・気管・動脈・静脈などの器官が収納されています。
他の動物の頚椎は?
ヒトの頚椎は7つ。
実は、ほとんどの哺乳類の首の骨は7つなんです。
キリンもゾウもネズミも7つ。
「猪首」(いくび:首が短いことの例え)で有名なイノシシの首の骨も7つ。
首の長さが違うのは、頚椎の椎体の大きさによるところが大きいのです。
そこで、気になるのが首の骨が7つじゃない動物は?
ってところですよね。
いるんです。ミツユビナマケモノの頚椎はなんと9個!
同じナマケモノでもホフマンナマケモノという種類は6個。
アリクイやアルマジロの仲間は6~10個です。
(アリクイ・ナマケモノ・アルマジロの仲間は異節目と呼びます)
そして、ジュゴンやマナティは、6個。
キリンの頚椎は7つですが、第1胸椎が大きな可動性をもち、8個目の頚椎のような働きをしてます。
オス同士で争うときには、お互い首を振って頭をぶつけ合います。
(参考『キリンの首は、もっと長い - 解剖学的解析による、8番目の「首の骨」の発見 -』東京大学大学院農学生命科学研究科 研究成果)
ちなみに鳥類は13~26個、爬虫類は7~10個、両生類は1個。
動物によってだいぶ違いがありますね。
基本的に首の骨は数が多いほうが可動性に富みます。
ナマケモノや鳥の首の可動域は広いのはこのためですね。
じゃあ、カメの首が伸びるのは?
カメの首の骨は8個。
伸びるのは、骨が伸びるのではなく、甲羅の中に格納された部分が出てきて伸びたように見えるためなんです。
潜頚類(せんけいるい)は、まっすぐ甲羅に入るタイプ。
甲羅の中ではS字型に曲がっています。
一方、曲頚類(きょっけいるい)は側屈して甲羅に納まるように折り曲げます。
頚椎の大きな可動域によって、頭部を甲羅のなかに収納できるようになっているんです。
動物の骨を調べるのも楽しいですね。
首の働きは命に関わる?!
首の骨の働きは、
頭部を支える
頭部を動かす
器官を保護する
頭部や頚部にある器官は、多くが生命に関わる重要なもの。
その機能を保つために首の骨は日ごろから働いています。
頭部の重さは、体重の約10%。
直立することで、ヒトの脳は大きくなったといわれています。
直立しないと筋肉が頭部を支えなければならないので、強靭な筋肉が必要になるのと同時にそのためのエネルギー(食糧)が必要になります。
もしくは、頭部を小さくする必要が生じます。
直立したことで、多くのエネルギーを脳の働きに使えるようになり、発達していたんですね。
そのぶん、筋肉ではなく骨への負荷が大きくなりました。
そのうえ、頚部は回旋・側屈・前後屈といった可動性の大きい部位です。
それに加えて、直立二足歩行において、地面からの衝撃は脳に伝わりやすいのです。
重い頭部を支えながら、高い可動性を保ちつつ、衝撃を逃がす!
しかも、脳から身体各所へ向かう神経系、さらには気管や食道、血管といった内臓も狭い場所を通ります。
頚椎はそれらも守る役割をしているのです。
首を構成するおもな器官
![側面から見た頚椎。 脊髄から末梢神経が出る場所が神経根(しんけいこん)。](https://honda.s358.com/blog/wp-content/uploads/neck-nurve.jpg)
椎間板6個
筋肉・靱帯
頚椎の椎体の間にある椎間板。
頭部を支えていろいろな方向に動かすために多くの筋肉があります。
さらに、頚椎どうしを繋いでいる靱帯も首の可動性を支えます。
末梢神経
交感神経の神経節
脊髄は脳とつながる中枢神経。とくに後頭骨から第1頚椎にかけての「延髄」(えんずい)には呼吸中枢があり、生命に直結する場所。
頚椎の椎間孔から出る末梢神経は、運動性のもの・求心性(感覚)のもの、さらには自律神経系があります。
食道━咽頭・喉頭と胃の間
気管━口腔・鼻腔から肺への気道
声門・声帯━発声に関与する器官(気管の途中にある)
甲状腺・副甲状腺━ホルモンを分泌して身体を調節
血管(動脈・静脈・リンパ管・リンパ節)
ほかにも食道や気管といった消化器・呼吸器に関するものや内分泌(ホルモン分泌)のための器官、発声に関するものも頚部に存在します。
頚部は日常から物理的負荷を受けやすい部分のため、頚部とその周囲の筋肉・骨・椎間板は消耗しやすい部分です。
頚部には交感神経の神経節や迷走神経、ホルモンに関わる甲状腺・副甲状腺も分布しています。
このため、首の異常は全身の健康に大きな影響を与えているといえますね。
「頚椎の数」まとめ
- ヒトの頚椎は7個
- 哺乳類はだいたい7個
- 頚椎が多いと可動範囲も広い
- 頭部を支える
- 頭部を動かす
- 頭部を保護する
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