大腿四頭筋の筋挫傷。ももかん?はまぐり?直接的な外力による損傷はチャーリーホース!

こんにちは。荻窪ほんだ整骨院の山内です。
暑い日が続いていますね。

 

先日サッカーの練習中、相手と接触したときに相手の膝が大腿部に入り、負傷した高校生が来院しました。いわゆる『ももかん』ですね。

経験したことがある方は分かると思いますが、悶絶ものですよね。

私の地域では、『はまぐり』っていわれていました。

病院などでは、

「チャーリーホース」

っていわれているんですよ!

足をケガして引退した馬が足を引きずって歩いている様子が、大腿四頭筋の損傷した人の姿に似ていることが揺らいだそうです。
その馬の飼い主が「チャーリーさん」だそうです。

 

 

大腿部に外力を受けると、受傷直後は痛みが強く動かせないことが多いです。

軽症の場合はしばらくすると歩けることが多いのですが、中等度以上の重症になると動かすとかなりの痛みを伴います。

ということで、今回は「大腿四頭筋の筋挫傷について」紹介していきます。

 

大腿四頭筋ってどんな筋肉?

大腿四頭筋はその名の通り「足の大腿部」の前側にある大きな筋肉です。わかりやすくいうと「太ももの前側」。

大腿四頭筋は4つの筋肉からできています。

大腿四頭筋を構成する筋肉。
①大腿直筋
②中間広筋
③内側広筋
④外側広筋

いちばん前側にあるのが大腿直筋でその下に内側から内側広筋・中間広筋・外側広筋があります。

起始は大腿骨上部の前側の広範囲にわたっていますが、停止部はほとんどが膝蓋骨(ひざのお皿)と膝蓋腱(しつがいけん)。内側広筋の一部は脛骨上部の内側に、外側広筋の一部が脛骨上部の外側にくっつきます。

大腿四頭筋の作用
①全部が一緒に働くと「膝関節伸展
②大腿直筋は「股関節屈曲」の作用もある。
③内側広筋には、膝関節完全伸展後に「下腿を内旋」させる作用もある。

基本的に、膝を伸ばす、膝から下をを持ち上げる(大腿直筋のみ)ときに使われる強靭な筋肉です。

立ち上がったり、歩いたり、走ったり、踏ん張ったり・・・、下肢を使う動きの多くで使われています。

この大腿四頭筋が弱くなってしまうと、踏ん張りが効かず、動きのブレーキが弱くなるので転倒が頻発することも!

比較的長さがある筋肉なので、作用範囲も広く強い力を発揮できる筋肉ですね。

「大腿神経」とよばれる腰(腰椎2番~4番)から出る神経が支配(命令を伝える)しています。腰椎椎間板ヘルニアなどの腰部の疾患による神経根圧迫があると大腿四頭筋の筋委縮(筋肉が弱くなること)を起こすこともあります。

「ももかん」「はまぐり」は直接的な外力による筋損傷!

大腿四頭筋は、大きい筋肉でさまざまな動きで使われる筋肉のため損傷を受けやすい筋肉です。

「損傷」といっても大ざっぱに分けて2種類あります。

直達外力(ちょくたつがいりょく)による損傷
何かが直接ぶつかることで筋肉が損傷したもの。
大腿部に外力を受けて、大腿骨との間に筋肉が挟まれることで損傷することが多い。

 

間接外力による損傷
自分の筋肉による肉離れ。
疲労による筋の柔軟性低下や筋力以上の外力が大腿四頭筋に加わることで生じる。

関連記事:肉離れはどうやって起きるの?⇒「肉離れ」は筋肉の断裂や損傷。クセになりやすい理由と再発防止。

サッカーやラグビー、バスケットボールなどのコンタクトスポーツでは、相手の膝や足先が太ももにぶつかることで、「直達外力による損傷」=筋打撲を起こします。

ちなみにいちばん起きやすいのが「中間広筋」。その次に「外側広筋」。前方や外側から直達外力を受けやすいからですね。

ただし、直接的な外力をいちばん受けやすいのは「大腿直筋」のはず。→実は直達外力による損傷も骨に近いところ。つまり深い部分に損傷が起きやすい!(骨にはさまれやすい)

「チャーリーホース」「ももかん」「はまぐり」の症状
強い疼痛。(悶絶もの!)
血腫(皮下出血)
腫脹(腫れ)
膝関節の屈曲制限。
踏ん張れない。跛行(はこう)。

速やかな応急処置で治癒期間を短縮!

応急処置はRICE処置を行います。受傷直後の応急処置が治癒期間を左右するので確実に行いましょう。

RICE処置とは?
R・・・安静(REST)
I・・・冷却(ICING)
C・・・圧迫(COMPRESSION)
E・・・挙上(ELEVATION)

①まずはアイシング

スポーツ現場で受傷直後にやっておくことは、冷却(アイシング)と圧迫(コンプレッション)

筋肉組織が大腿骨へ押しつぶされるように損傷するので、損傷の範囲も大きく、腫脹(腫れ)や皮下出血が急激に出現します。

このときに冷却と圧迫をしておくことで、過剰な腫脹と内出血を防ぎます

過剰な腫れや出血は、周囲の健康な細胞に「酸欠状態」を引き起こし、その細胞が壊死することで損傷範囲が広がります。

実はケガを早く治癒させるコツは受傷直後にあったのです!

②圧迫も結構、大事。

太ももの前側を打撲したときに

膝関節を屈曲位(膝を折り曲げた状態)で固定

するのを見かけますね。

これは、患部をコンプレッション(圧迫)しています。
直達外力での損傷はいちばん上の大腿直筋に多そうですが、実は外側広筋と中間広筋が大腿骨に押しつぶされることが多いのです。

膝をいっぱいに曲げることで、大腿直筋が患部を押さえつけて圧迫します。さらに大腿部を伸ばすことで冷却しやすくなります。

ただ、これをやるのは【受傷直後だけ】です。
受傷後30分から1時間ぐらいしたら、大腿四頭筋が緩んだ状態(膝を自然に伸ばした状態)で包帯やテーピング、バンドなどで圧迫しましょう。

理由は、筋肉は縮もうとするので、伸張していると傷口が広がり、治りが悪くなるからです。

③自宅に帰ったら挙上して安静に。

自宅では、なるべく患部を挙上します。
横になって痛みのある足をイスやソファ、ベッドに挙げておきます。

患部が腫れること、包帯などでの圧迫があることで、末端の血流が悪くなり、足部の浮腫(むくみI)を予防するためです。

冷却は1時間おきぐらいに10分から20分ほどしておきましょう。

夜間の就寝中も寝床に座布団やクッションを置いて、そこに足をのせておくことで挙上できます。

もちろん、早く治す秘訣は、

「患部の安静を保つこと!」

冷やすか温めるか?どうしたらいいか迷ったときは!

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怖い合併症、骨化性筋炎に気を付けよう!

大腿四頭筋の打撲による損傷で起きやすい合併症があります。

その名も

「骨化性筋炎」(こっかせいきんえん)

筋肉の中に「骨」ができてしまう病気です。

かなりの痛みと膝関節の可動域制限を生じます。

骨化性筋炎は、筋肉の損傷により生じた炎症・腫脹・出血によって、血液内のカルシウム分が沈着して、骨のようになってしまうものです。

「異所性骨化」(いしょせいこっか)ともいいます。
骨のようになった石灰は筋肉内に沈着し、周囲の組織と癒着します。

これによって、大腿四頭筋の収縮性が失われ、痛みと膝関節の屈曲制限、ときに伸展時痛を引き起こします。

骨化性筋炎を防ぐ!

〇受傷直後に過剰な出血・腫脹を起こさない!
RICE処置が重要!
〇日常生活での再負傷による腫れ・出血に注意!
しっかりと組織ができるまで安静にする!
〇無理な早期復帰、強引なストレッチはダメ!
同じ個所で炎症を繰り返すと石灰沈着が起こりやすい。

骨化性筋炎を疑ったら?

石灰沈着がレントゲン写真に写ります。整形外科で診断を受けましょう。

骨化性筋炎の治療

患部の安静を保ちます。もちろん運動は中止。
骨化したカルシウムは再吸収され消失するまでに時間がかかります。

骨化部位の大きさにもよりますが、2週間ぐらいの安静。
さらに強い痛みがひいてきたら弱めのリハビリを開始。

競技への完全復帰までには、2~3か月かかることもある重大な障害です。

打撲はスポーツ現場では軽視されがちなケガ。でもしっかり治さないと「骨化性筋炎」のような重大な合併症を引き起こしかねません。

重度か軽度かは、簡単に判断せず、専門家の指示を仰ぎましょう。

 

大腿四頭筋の筋挫傷の治療とリハビリ

治療は、安静と固定。が主です。

ケガの程度によりますが、軽度の場合だと、2~4週で競技復帰が可能です。

ただし、条件は、

しっかりとリハビリすること!

患部の新しくできた組織は、周囲の組織と伸張力が異なっています。さらに、長期間にわたる安静や圧迫により筋の柔軟性も弱くなっていることでしょう。

まずは、ストレッチ!目標はリハビリ1週~2週で健側(ケガしていない脚)と同じくらいになること。

次は、バランス&筋力トレーニング。

最後は、ジャンプ、ダッシュ、ターンなどの実践的な動きを徐々に強度を上げながら確認していきます。

リハビリをしてから復帰をしないと、再受傷や異所性骨化、今度は肉離れなどでまた痛い思いをしなければいけなくなるのです。

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