ランニングでの「膝の痛み」。自分の痛みを理解してフォーム改善に役立てよう!

こんにちは。山内です。体重が気になって、また健康増進のため、理由はいろいろとあるとは思いますが、ランニングを始める人が増えていますね。

ただし!

ランニングを始めたのはいいものの、がんばりすぎて

「膝がイタ~イ!」

っていう方も増えています。

ランニングでの「膝の痛み」。自分の痛みを理解してフォーム改善に役立てよう!

 

ランニング時に膝が痛みやすい理由

膝関節は、ランニングだけに限らず、日常生活でもかなり大きな負担がかかる関節です。

「三大荷重関節」って知っていますか?
まぁ、ご想像の通りだと思います。

股関節・膝関節・足関節(足首)

もちろんランニングをしていると股関節や足首に痛みがでることもあります。

でも、やっぱり「膝関節」に痛みを訴える人が多いんです。

ランニング時の膝関節にかかる負担は、体重の5倍以上ともいわれています。

膝関節が痛くなる理由。

ランニング時に股関節や足首よりも膝関節を痛めやすいのには、いくつかの理由が考えられます。ひとつずつみていきましょう。

①膝は股関節や足首に比べて、衝撃吸収能力が高い。

関節軟骨に加えて、関節液・関節円板(半月板)の作用によって、体重・地面からの衝撃を吸収する大部分を膝関節が担っています。

②伸展位(伸ばした状態)で着地。

ランニングでの着地時、膝関節が伸展位になっていることが多いですね。
地面からの衝撃と自分の体重が膝関節でぶつかり合います。

③ランニング時に大きく可動するので摩擦が生じやすい。

関節を動かすためには、筋や腱が関節をまたいでついている必要があります。

膝関節は、ランニング時に足首や股関節よりも大きく動きます。
ってことは、腱と骨がこすれて摩擦が生じるってこと。

摩擦は腱や靭帯の損耗、炎症に繋がります。

どんな障害がでやすい?

走り方、地面の状態、着用するシューズ、自分の筋力、体重、走る速度・・・

状況によって痛みの出る部分が違います。負担のかかる場所がかわるのです。

損傷する場所によっては、走り方を変える、環境を変えるだけでも痛みが出なくなることがありますので、ご自分の「痛み」を詳しく知っておくことが大切ですよ!

☆膝の内側の痛み

膝の内側に痛みを生じる人は多いです。走っている最中だけじゃなく、ランニング後に痛みが出る人も多いです。

〇鵞足炎(がそくえん)

鵞足部(膝の下腿骨の内側のふくらみ)に付着する筋肉の腱が内側側副靱帯とこすれて炎症を起こします。
筋肉が強く張ってくると付着部でも痛みを生じることがあります。X脚や回内足などで発症しやすくなります。

ちなみに「鵞足」には、

縫工筋(ほうこうきん)
薄筋(はっきん)
半腱様筋(はんけんようきん)

が付着します。

日頃からストレッチして柔軟性を保っておくと鵞足炎も予防しやすいですよ。

こちらの記事でも詳しく紹介しています。⇒膝の下、内側が痛い!鵞足炎(がそくえん)かも?

☆膝の外側の痛み

膝の外側の痛みは、フォームやシューズで改善できることも多いです。痛みが出たら、もう一度自分のランニング環境を見直してみましょう。

〇ランナー膝(腸脛靭帯炎)、ランナーズニー

膝のちょっと上、大腿骨の外側の隆起しているところ。「大腿骨外側上顆」が腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)という筋と繰り返しこすれることで炎症、痛みを起こします。

腸脛靭帯
大殿筋や大腿筋膜張筋(お尻から大腿外側の筋肉)が膝に近づくにつれ細く、硬い組織になっています。
「靭帯」としての骨の支持機構
「腱」としての骨を引っ張る。
「筋膜」としていろんな筋を動かす。

O脚だったり、また左右に傾いた道路を走行したりすると起こしやすくなります。

とくにシューズ底の外側の減りが異常に早い人は、外側荷重が強いです。
下り坂や硬い路面で外側に大きく負担がかかることで発症しやすいですね。

こちらも詳しく紹介している記事がありますので、ご一緒にご覧ください。
ランニング時の膝外側の痛み!ランナーズニー(腸脛靭帯炎)かも!

☆膝蓋骨の上または下の痛み

ランニングを始めた人、久しぶりにランニングを再開した人に多いです。

「普段は痛くないのに走ると痛くなる!」

という人も多いので重要視されにくいですが、悪化すると日常生活にまで影響をすることになるので要注意です。

〇ジャンパー膝・膝蓋靱帯炎

ジャンプや着地によって大腿四頭筋が強く収縮して、滑車の役割をしている膝蓋骨との境目あたりで炎症が生じます。

大腿四頭筋がかたい人、疲労がたまってくる、下り坂の多いコースなどで膝蓋靭帯や膝蓋腱に大きな負担がかかり発症します。

大腿四頭筋を柔らかくする。
適切な距離を守る。
疲労をためない。
コースを再考する。

などして防ぎましょう。

ジャンパー膝・膝蓋靭帯炎についてはこちらの記事で!
ジャンパー膝。膝のお皿の上か下に痛み!

〇オズグッドシュラッター病

10歳前後のスポーツをする多く男女にみられ、膝下の大腿四頭筋の付着部に炎症とひどくなると骨の隆起が生じます。

膝を強く曲げたり走ったりすると痛みがでます。
まだ骨のできていない時期に強度の高い運動を繰り返すことで発症します。

骨が柔らかいので、筋肉の付着部で炎症が生じます。

発症したら安静にすることが大切です。

運動強度、練習量、運動の頻度を見直してみましょう。

オズグッド病についても詳しく紹介しています。⇒成長期のひざ下の痛み。オズグットシュラッター病

〇膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)

膝蓋骨と大腿骨がこすれることで痛みや炎症を生じます。

膝蓋大腿関節
大腿骨関節面の前側にレールのような溝(顆間溝かかんこう)があります。顆間溝は
膝関節の曲げ伸ばしに応じて、このレールを膝蓋骨(膝のおさら)が上下するように滑ります。
これが膝蓋大腿関節です。

膝蓋骨は「膝蓋腱」「膝蓋靭帯」によって大腿骨の顆間溝に押し付けられています。
この押し付ける力は、大腿四頭筋によるもの。

大腿四頭筋が疲労するとこの押し付ける圧が強くなります。
また、大腿骨の顆間溝の軟骨が摩耗したりすることでも炎症を生じます。

膝蓋骨外側脱臼(膝のお皿が外側に外れる)や内側膝蓋大腿靭帯の損傷の既往(以前になったことがある)があると起こしやすいです。

大腿四頭筋の硬さや疲労、膝蓋骨の滑りが悪いことによって発症します。

膝蓋大腿関節症についてはこちら!⇒膝蓋大腿関節症。膝の前面に痛みが出たら。

タナ障害

 

膝蓋骨と大腿骨の間、膝蓋靭帯に滑膜ヒダがはさまり、炎症を起こしたり、ひっかかる感じが出現します。

滑膜ヒダ

日本人の半分くらいにあります。
ってことは、ない人もいるということ。
滑膜は関節腔に関節液を供給するもの。この滑膜の間に滑液や脂肪がたまりヒダ状にみえます。

滑膜ヒダが大きい人、小さい人、もともとない人がいます。
この滑膜ヒダ(タナ)が膝蓋大腿関節や膝蓋靭帯に挟まったり、摩擦が起きたりすることで炎症を起こします。

膝を曲げ伸ばししたときに「コクッ」や「コリコリ」と感じる、ひっかかりを感じる、ようなときは、滑膜ヒダが関節運動に干渉しています。

痛みがすぐにおさまれば問題はないのですが、長く続いたり、ランニング時に繰り返し痛むようであればタナ障害の可能性があります。

とくに、炎症を繰り返すと、滑膜ヒダが肥大してしまい、より干渉しやすくなるので、早めの対処が必要です。

疲労や筋の柔軟性が欠如しているとより引き起こしやすいので、日頃から筋緊張を緩める、大腿部を柔軟に保つことで予防しましょう。

☆膝の内部の痛み

膝の内部には、主な組織として、

前十字靭帯・後十字靭帯・内側半月・外側半月・関節軟骨(骨の関節面)

があります。

ランニングする地面・シューズ・体重・フォームによって負担がかかることで、膝内部に炎症を生じることがあります。

〇軟骨損傷

膝関節のアライメント不良や着地の衝撃が繰り返すことにより、関節軟骨や膝半月板などを損傷します。

足裏の内側荷重・外側荷重によっても損傷する場所が変わります。

ランニング時に痛めやすい原因としてあげられるのが、

転倒やひねりでの負傷
体重増加
オーバートレーニング
着地時の衝撃

ケガ以外で膝内部が痛む場合は、専門のトレーナーにフォームをチェックしてもらうことも考えましょう。

〇靭帯損傷

靭帯は骨と骨をつなぎとめる「支持機構」としての役割もあります。

オーバーワークや硬い地面によって、ランニングのコンディションが低下していると損傷もしやすいです。

また、以前に靭帯損傷の既往があって、治癒している人!

こんな方も要注意。
一度、靭帯損傷をしていると、受傷前の靭帯よりも延長して治癒してしまっている可能性があります。

ということは、少し関節が緩くなっているのです。
関節が緩いとランニング時に骨が正常な動き以外の「暴れ」を起こしてしまい、関節内損傷の恐れもあるのです。

そんな方はサポーターなどの外部支持機構の着用も検討してみてください。

膝の側副靭帯(両サイドの靭帯)。損傷すると?⇒膝の側副靭帯の損傷。後々、変形性関節症の原因にも!

最後に。

これから本格的な冬になって、気温が下がってきます。さらに日中に走れるランナーの方ばかりではなく、早朝または夜しか時間がとれないという方も多いでしょう。

しっかりとウォーミングアップすることが大事です。また、オーバーユースや筋疲労の蓄積などでも発症しやすいため、クールダウンやマッサージで筋肉を良い状態に保つことを心がけましょう。

ランニングでの膝の痛み。予防と対策。⇒ランニングで膝に痛みが出たときの対処法と再発の予防!

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