筋肉の種類って?どうやって分類されている?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

私たち「ヒト」には、個人差はありますが、全部で640以上の筋肉があります。

「筋肉」というと力こぶのようなマッチョなイメージを想像するかもしれませんね。

実はそれだけでなく、血管を動かしたり、心臓を動かしたり、腸管を動かしたり生命維持にも使われています。

筋肉の種類はどれぐらいある?っていう質問をたまに受けます。

「数」は先ほど640以上と書きましたが、本当は数え方によってもずいぶんと変わってきます。

で、「種類」についても数え方や分類のしかたによって、全然違うことになってくるんですね。

今回の記事では、だいたい大雑把な種類と分け方について紹介してみます。
興味をもった方は、より詳しい分類について調べてみてくださいね。

筋肉の形状による分類

筋肉の種類って?どうやって分類されている?

※ご注意!
このページでは「筋肉の種類」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

筋肉は大きく分けて3つに分類できる

 

骨格筋 心筋 平滑筋
場所 全身 心臓 内臓
横紋 あり あり なし
随意 随意 不随意 不随意
神経 体性神経 自律神経 自律神経

 

筋肉の種類と聞いて、多くの人が思い浮かべやすい分類が、役割に応じて分けられるもの。

  • 骨格筋(こっかくきん)
  • 心筋(しんきん)
  • 平滑筋(へいかつきん)

骨格筋
骨格筋は骨をまたいでくっついて、収縮することで骨を動かします。
(骨以外にも皮膚やほかの筋肉に付着するものもある。)

心筋は「心臓」を作る筋肉。
心臓を動かして勢いよく血液を全身に送り続ける、一時も休めないタフネスな筋肉。

平滑筋(へいかつきん)は消化器や血管を動かす筋肉。
女性の子宮を動かすのもこの平滑筋。
おもに管状の器官を収縮させることで内容物を動かす役割をもっています。

随意筋と不随意筋

筋肉は大きく分けて。骨格筋・心筋・平滑筋に分けられる。 骨格筋と心筋はミオシンとアクチンが規則的に並ぶので横紋に見える(横紋筋)。 平滑筋と心筋は自分で動かせない不随意筋。

私たちは、自分の意志で全部の筋肉を動かせているわけではありません。

実は身体が勝手に動かしてくれている筋肉、それが

不随意筋
(ふずいいきん)

おもに内臓や血管、汗腺、瞳孔を動かす筋肉・・・などです。

心筋と平滑筋は全部「不随意筋」です。
自律神経」(じりつしんけい)によって制御されています。

これに対して、自分の意志で力を入れたり抜いたりすることができるのが、

随意筋
(ずいいきん)

骨格筋は全部、随意筋です。

とはいっても、自分の意志で動かせない随意筋もあるんです。

例えば、耳を動かせる人とそうでない人。

耳介筋(じかいきん)
前・上・後の3つの筋肉があります。

動かせない人のほうが多いです。
自分の意志で動かせなくても「随意筋」なので、訓練すると動かせるようになる人もいます。

随意筋は「体性神経」によって制御されます。

しま模様の横紋筋

心筋と骨格筋はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが規則正しく並ぶので暗く見える、これが横紋筋。平滑筋は不これが不規則なので平滑にみえる。

ちょっと細かい話になるのですが、

横紋筋
(おうもんきん)

というものもあります。

骨格筋心筋は「横紋筋」です。

横紋筋の線維をかなり細かく見ていくと、

太い線維の「ミオシンフィラメント
細い線維の「アクチンフィラメント

これらが規則正しく並んでいます。
この二つが連動することで筋肉が収縮することができるようになっています。

これがしま模様に見えるので「横紋筋」

横紋筋は規則正しく線維が伸び縮みするので、大きな力を発揮することができます。
「全か無か」で収縮が行われます。
(力を入るか、全く入れないか)

平滑筋(内臓や血管)には横紋はありません。
ミオシンもアクチンも存在しますが、不規則に存在するので横紋にはみえないのです。

不規則にミオシンフィラメントとアクチンフィラメントが並んでいるので連動して大きな力を発揮することはできませんが、順番に線維が収縮することになります。

ってことは、ゆ~っくり収縮するってこと。
徐々に動かすことができるしくみです。

骨格筋にもいろいろな分類のしかたがある

骨格筋とひと口にいってもたくさんあります。
場所や要求される役割によって筋線維の構成や形も全然違いますよね。

それによって筋肉の種類として分けられることがあります。
とくに「形状」で分類される種類は数多いです。

じつは、ここに挙げたもの以外にも分類のしかたがあります。
たとえば、「働きによる分類」。

内転筋とか屈筋とか聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
その呼び方が「働き」(運動の向き)で種類を分けたものです。

今回は「形状」「筋線維の質」「長さ」での分類を紹介していきましょう。

形状による分類

本や専門家の人によっても分類のしかたが少し違うこともあります。
(より細かい名称があったり、いくつかをまとめて~筋といったり)

ただ筋肉はその部位に応じた形にできているので、どれに分類するというよりは、形状の特徴によって発揮できる能力が違うということを理解しておきましょう。

例えば、

〇筋線維が長く走っていると収縮する距離が長くなるので大きな動きができる。

〇羽のように短い筋線維が中央の腱に向かうときは、ひとつの動きに多くの筋肉が作用するので強い。

骨格筋の形状による分類①紡錘状筋②羽状筋③半羽状筋④多羽状筋⑤放射状筋⑥多頭筋⑦多腹筋⑧鋸筋⑨板状筋⑩方形筋⑪輪状筋

  1. 紡錘状筋(ぼうすいじょうきん)…上腕二頭筋 など
  2. 羽状筋(うじょうきん)…腓腹筋 など
  3. 半羽状筋(はんうじょうきん)…半膜様筋 など
  4. 多羽状筋(たうじょうきん)…三角筋 など
  5. 放射状筋(収束状筋)…大胸筋 など
  6. 多頭筋(たとうきん)…上腕三頭筋 など
  7. 多腹筋(たふくきん)…腹直筋
  8. 鋸筋(きょきん)…前鋸筋 など
  9. 板状筋(ばんじょうきん)…頭板状筋・頚板状筋
  10. 方形筋(ほうけいきん)…腰方形筋
  11. 輪状筋(りんじょうきん)…口輪筋・眼輪筋 など

このほかにも筋線維が縦に走っている「縦走筋」(じゅうそうきん)などの呼び方もあります。

ちなみに縦走筋は、紡錘状筋や羽状筋などを指します。

筋線維の質

筋肉は多く含まれる線維によって「色」が違います。
筋肉に含まれる「ミオグロビン」というたんぱく質が多いと赤く、少ないと白く見えるのです。

遅筋(ちきん)

赤筋(せっきん)ともいわれます。
ミオグロビンを多く含む筋肉で、赤く見えるのが特徴。

ミオグロビンは「酸素親和性」が強く、血管から酸素を受け取り筋肉内に貯蔵する能力があります。

遅筋は酸素を使って糖や脂質を燃焼させてエネルギーを作り出します。(有酸素代謝
乳酸もエネルギーとして利用することもできます。

瞬時に強い力を使うことは苦手で、長時間にわたって筋肉を収縮させるのが得意な筋肉です。

速筋(そっきん)

白筋(はっきん)。
ミオグロビンが少ない筋肉で、白く見えます。
筋線維は遅筋よりも太いのが特徴。

筋肉に蓄えられたエネルギーを使うので、瞬時に筋肉を収縮させることができ、強い力を発揮できます。(無酸素運動

そのぶん、エネルギーを消費してしまうと疲労して力が弱くなります。
ミオグロビンが少ないので、エネルギーを産出できないのです。

遅筋よりも委縮(いしゅく)して、消滅するのが速いのも特徴。

筋肉の長さ

筋肉の起始部(中枢)に近い部分を「筋頭」、停止部(末端)に近い部分を「筋尾」、膨らんだ筋線維部分を「筋腹」とよぶ。 ひとつだけ関節をまたぐものを単関節筋、二つをまたぐものを「二関節筋」とよぶ。

作用する関節の数によっての分類。
筋肉の多くは関節をまたいで付着しています。

またぐ関節の数に応じて、その筋肉の関節運動へ影響します。

単関節筋(たんかんせつきん)
ひとつの関節のみまたいでいる筋肉。

二関節筋(にかんせつきん)
ふたつの関節をまたいでいる筋肉。

大腿直筋や上腕二頭筋などが挙げられます。

まとめ

  1. 大きく分けると骨格筋・心筋・平滑筋
  2. 骨格筋は随意筋で他は不随意筋
  3. 骨格筋と心筋には横紋がある
  4. 骨格筋には分け方がたくさんある
  5. 遅筋にはミオグロビン(赤い)が多い
  6. 速筋はミオグロビンが少ないので白い
  7. 筋肉は形状によって能力が変わる

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