こんにちは。荻窪・教会通りのほんだ整骨院の山内健輔です。
階段の上り下りやしゃがむ動作で、膝裏の外側に「すじ」の痛みを感じたことはありませんか?
その痛み、もしかすると「大腿二頭筋腱の停止部」に原因があるかもしれません。
本記事では、膝裏外側の痛みの中でも特に多い「遠位大腿二頭筋腱炎」や「滑液包炎」について、整骨院の視点から解説していきます。
痛みの原因・症状の特徴・セルフケア・整骨院での施術方法まで、図解を交えて丁寧にご紹介。
杉並区で膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
膝裏・外側の「すじ」が痛い!大腿二頭筋腱の停止部の痛みとは?

このページでは「遠位大腿二頭筋腱炎」および周囲の「滑液包炎」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
膝裏・外側の「すじ」が痛むのはなぜ?

膝の後ろ側には、よく「すじ」と呼ばれる腱が内側・外側の両方にあります。
(内側は半膜様筋の腱、外側は大腿二頭筋腱)
両側とも痛みは発生しますが、今回の記事では外側の痛みを紹介。
よくある症状と患者さんの声
このような症状ありませんか?
□膝裏の外側に“すじ”のような痛みが走る
□階段を上るときに膝の外側がズキッとする
□しゃがんだり立ち上がったりすると、膝裏が引っ張られる感じがする
□運動後に膝の外側が張って、違和感が残る
□押すと痛いけど、腫れてるわけではない
□自転車で膝を曲げ伸ばしすると「ピキッ」と痛みを感じる
□膝の後ろ外側下にある骨のでっぱり部分を押すと痛い
実際の患者さんの声
「バスケットボールをやっていて、ランニングしている最中、ジャンプするときに痛みがあります。
最初のうちは、痛みながらもプレーできたのですが、だんだん走れなくなってきました。」(10代女性)「自転車を長距離乗ったあとに痛み始めたのが最初で、整形外科では異常なしと言われたけど、痛みは続いていて…。ネットで調べて“すじ”の痛みが大腿二頭筋かもと知って、整骨院に来ました」(30代男性)
共通する症状:痛みの出るタイミングと動作
痛みを訴える場所
膝窩(膝の後ろ)や外側の腱(スジ)
腓骨頭(膝窩下にある骨の出ている部分)
階段の上り下り
しゃがむ・立ち上がり
ランニング・ジャンプ
自転車
運動中・運動後
原因は大腿二頭筋腱の停止部かも?

膝窩部(しっかぶ)は、膝ウラのくぼんだ部分のこと。
その膝窩部には、筋肉・腱・靱帯だけでなく神経・動脈・静脈・リンパなどが入り組んでいて、意外と複雑なんです。
その中でも、いちばん触れやすいのが両サイドにある腱。
内側の腱が半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)。
外側が大腿二頭筋(だいたいにとうきん)です。
大腿二頭筋の解剖と役割

大腿二頭筋は「ハムストリングス」といわれる筋肉のひとつで大腿後部を外側に向かって走行します。
起始部(中枢側の筋停止部)が異なる長頭(ちょうとう)と短頭(たんとう)に分かれているので「二頭筋」。
立位歩行やランニング、ジャンプでは重要な役割を担っています。
大腿後面にある大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つ。
股関節と膝関節をまたぐ「二関節筋」(大腿二頭筋の短頭は単関節筋)。
共通する運動作用は、股関節の伸展(膝を後方にひく動き)と膝関節の屈曲(膝を曲げる)。
起始部
長頭━坐骨結節
短頭━大腿骨粗面の外側唇(がいそくしん)の中部1/3
(→大腿骨後面の少し外側、まん中ぐらい)
停止部
腓骨頭(ひこつとう)
長頭・短頭は下部で一つにまとまって、放射状に腓骨頭後面に付着。深層の線維は外側側副靱帯と結合したり、接触したりする可能性あり。

大腿二頭筋の作用
股関節━伸展(大腿骨を後ろに引く動き)
膝関節━屈曲(膝を曲げる動き)
下腿部━外旋(つま先を外側に向ける)
他にも骨盤を後傾させたり、膝関節の内反(O脚)を防いだりする。
また、外側側副靱帯とともに膝関節の外側支持機構にもなっている。
神経支配は、長頭・短頭ともに坐骨神経ではありますが、細かく分けると長頭が「脛骨神経」、短頭は「総腓骨神経」の支配を受けています。
大腿二頭筋は、大腿前面にある「大腿四頭筋」と膝関節の屈伸時は拮抗する筋肉でもあり、ランニングや歩行での立脚相では協力筋にもなります。
りっきゃくそう。
立脚相中は、歩行周期のなかで地面についている側の動き。
体の支持、衝撃吸収、推進力生成、バランス保持を担う。
停止部に起こる炎症や滑液包のトラブル

膝裏の外側で起きる大腿二頭筋腱のトラブルは大きく分けると3つが挙げられます。
- 腱付着部炎
- 滑液包炎
- 腱炎
①腱付着部炎
大腿二頭筋腱は、主に腓骨頭の後面に停止しますが、深層部では外側側副靱帯の停止部ともつながっている人もいるようです。
大腿二頭筋の停止
両頭ともに合流し、腓骨頭:腓骨の上部に付着します。
停止部付近では、一部が外側側副靱帯や脛骨にも関与します。
参考にさせていただきました!→画像診断まとめ『大腿二頭筋のMRI画像の解剖と起始停止のまとめ』より引用
大腿二頭筋に強い収縮力が加わったり、オーバーユースに陥ることで腱付着部に微小な損傷を生じさせます。
骨に停止する部分にも滑液包があり、滑液包炎と診断されることもあります。
②滑液包炎

膝裏には、筋・靱帯・骨組織など多くの組織が混在しています。
大腿二頭筋は膝関節をまたぐ強力な筋肉なので、それらの組織と摩擦を生じやすいのが特徴です。
大腿二頭筋腱と摩擦を生じやすい組織
大腿骨外側顆の後面
外側側副靱帯
弓状靱帯
腓腹筋外側頭
ファベラ
基本的にこれら摩擦を生じやすい組織との間には「滑液包」や関節包の滑膜が存在しています。
ただし、筋緊張によって圧力が加わったり、使用頻度が高かったりすることで炎症を引き起こします。
「滑液包炎」ってどうして起きる?
こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。 〇肘や膝、足首などにできるこぶのようなブヨブヨしたふくらみ。 〇手首やかかと付近で関節運動といっしょに痛む、腫れ 関節や腱など組織どうしがこすれる場所には「滑液包」という袋が挟まってい[…]
③腱炎

大腿二頭筋は長い筋肉ですが、付着部(腓骨頭)近くまで筋の実質があり、腱(伸縮しない結合組織)は短いのが特徴です。
なので、筋肉は「滑走」(かっそう)といって周囲組織と滑るように動きます。
とくに膝ウラには、さまざまな組織が入り組んでおり、滑走が妨げる要因になります。
また筋肉から腱へ移行する部分には、筋肉組織と腱になる結合組織が混在している(組織の伸長能力に差が出る)ので、狭い場所で伸縮が繰り返されることによって傷つきやすいんです。
組織が傷つくと組織の修復が始まりますが、その過程の中で起きるのが、組織どうしの「癒着」。
これが腱の滑走を妨げるのです。
膝裏外側の腱の痛みにはこれらの腱の滑走障害も含まれます。

とくに大腿二頭筋腱は、腓腹筋外側頭(ひふくきんがいそくとう)と膝関節屈曲↔伸展の動きで干渉しやすいのが特徴です。
筋肉の太さにも関連しますが、筋と腱、さらに「ファベラ」という種子骨とも摩擦を引き起こしたり、滑走を障害させることもあります。
腓骨筋外側頭付着部(大腿骨内側顆)近くにある種子骨。
膝関節面に挟まれたり、周囲の筋・腱と接触することで障害を起こすことがある。
ファベラ腓骨靱帯と大腿二頭筋腱腓骨頭で結合していることもある。
大腿二頭筋腱停止部炎の原因
停止部炎・滑液包炎・腱炎、いずれの場合にも痛みの原因となるのは、「圧迫」「摩擦」「癒着」がほとんどです。
※もちろん外傷(打撲)によるものもある。
圧迫・摩擦・癒着が起きやすい要因として多いのは、
- ハムストリングスの柔軟性低下
- ストレッチ、ウォームアップの不足
- オーバーユース(使いすぎ)
これらは、筋肉の滑走を阻害し、摩擦を増やす要因になると同時に筋・腱の実質を傷めやすくもします。
また、身体的内部要因としては、
- O脚(内反膝)
- 回外足(かかとが外側に倒れる)
- 反張膝(膝の過伸展)
- 股関節内旋
が挙げられます。
他疾患との鑑別も必要
膝裏にはさまざまな組織があるので、他の疾患と見分けることで対処の仕方も変わります。
症状が似ている疾患
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
- ベーカー嚢腫
- 後十字靱帯や外側側副靱帯の損傷
- 外側半月の損傷
- 腓腹筋外側頭の肉離れ
- ファベラ症候群
- 変形性膝関節症
- 化膿性関節炎
- 総腓骨神経麻痺
- 関節リウマチ
- 偽痛風(ぎつうふう)
- 深部静脈血栓症
- 膝窩リンパ節の腫れ
など
これら以外にも膝関節疾患によって、膝内部で関節水腫(血腫も含む)が強くでると、膝裏の痛みにつながることもあります。
必ず医師や専門家の判断を仰ぐ必要があります。
膝裏のしこり「ベーカー嚢腫」(のうしゅ)って?
こんにちは。荻窪ほんだ整骨院の山内です。 膝裏にボコッとしたふくらみがある方はいらっしゃいませんか? 痛みがあったり、なかったり・・・。 膝を折り曲げてしゃがんだり、正座したりするときに邪魔になりますよね。 「ベーカー嚢腫」[…]
評価と施術アプローチ
「レントゲン検査では異常なしといわれたが痛みが続く」
「ネットで調べても原因が分からない」
「日常では痛みがないがスポーツの度に痛い」
杉並区荻窪にあるほんだ整骨院では、こういった声にも対応した施術を行っています。
触診・動作分析で原因を特定
①問診
いつ・どんな動作で痛みが発生するのか、生活習慣・スポーツ特性 など
②視診・触診
腫脹や血腫の有無、腓骨頭周辺の圧痛、筋や腱の緊張具合 など
③動作分析
しゃがみ動作、階段昇降、自動運動・抵抗運動 など
④鑑別
整形外科的な徒手テストや神経由来の痛み など
筋膜リリース・関節調整・テーピングによる施術
各種の手技療法・物理療法を組み合わせて施術を行います。
施術の目的は炎症・痛みを取り除き、再発を予防すること!
施術者の声
原因となる「大腿二頭筋」だけでなく、同時に半腱様筋・半膜様筋や腓腹筋などの膝関節屈曲筋、大腿四頭筋や大腿筋膜、内転筋群も施術することで、患部の滑走が格段によくなります。またO脚や回外足、股関節による膝関節への介入も原因のひとつですので、そちらの施術も同時に行うことがあるんです。
「関係ない場所も施術された!」といわれないよう確実に説明も行うように心がけています。
①筋緊張緩和・筋膜リリース
筋肉の柔軟性や滑走性を回復させて、痛みの原因を除去する。
②関節モビライゼーション
膝関節だけでなく、足関節や股関節の状態や動きを評価して、障害の要因を取り除くのが目的。
(回内足や反張膝、内反股などの調整)
③固定や支持(サポート)
必要があれば、患部の固定や保護を行う。
④物理療法
状態に合わせて、アイシングや温熱、電療機器を使い、炎症の緩和や筋緊張緩和を行う。
改善までの目安と通院頻度
もちろん症状の程度と経過にもよりますが、多くの方が週1~2回の施術で3~4週間で改善されています。
セルフケアと併用することによって、期間の短縮や再発予防にも効果が期待できます。
杉並区で膝裏の痛みにお悩みの方へ
荻窪駅北口、教会通り商店街にあるほんだ整骨院では、膝や足関節の障害、評価に力を入れて施術を行っています。
さまざまな症状にも対応していますので、お気軽にご相談下さい。
初めての方⇒初回来院時の施術の流れ
TELで予約!⇒電話する(営業時間内に対応)
自宅でできるセルフケアと予防法
炎症が強い(腫れや熱感、強い痛みを感じる)ときは、基本的に安静が必要です。
前屈してみて痛みが強くない状態になってからセルフケアを始めましょう。
簡単!ストレッチ
大腿二頭筋停止部にかかる張力を緩和させ、滑液包や腱への摩擦を防ぐ。筋や腱の癒着を取り除き滑走を滑らかにする。
原因となる大腿二頭筋と半腱様筋、半膜様筋は一緒にストレッチできます。
また、殿部の筋肉、ふくらはぎの柔軟に保つことで再発を予防しましょう。

膝裏や膝の外側が痛いときに有効なストレッチです。
大腿四頭筋の張力が強すぎることも痛みの原因になりますので、同時にストレッチを行います。


あお向けに寝て、タオルを使って片足ずつ伸ばす。
膝を少し曲げると大腿二頭筋長頭や殿部の筋をストレッチ。
立位や座位で前屈してもよい。
トレーニング(股関節・体幹)
股関節・体幹の安定性を高め、膝への過剰な負荷を防ぐ
反張膝やO脚が痛みの原因であるならば、それを改善する必要があります。
また、負傷した組織の神経の再教育(脳と筋肉の神経回路をつながりやすくする)にもなるので、痛みが減少してきたら積極的に行いたい運動です。
体幹トレーニング(プランク)も加えて行うと再発しにくい身体をつくります。
ヒップリフト
膝・股関節を90°に曲げてヒップを持ち上げる。
足ウラをお尻に引きつけるように力を入れるのがポイント。(殿筋とハムストリングスに効いてくる)
繰り返し持ち上げるように動かすと、筋の滑走を改善させる運動にもなる!
※大腿四頭筋(太ももの前側)をあまり使わないように意識すること
クラムシェル
中殿筋や大殿筋を鍛える運動
横向きで、足を開くように持ち上げる。
上げる方の足部を持ち上げながらやると強度アップ。
内転筋トレーニング
内反膝(O脚)を防ぐ
ボールやマクラを膝の内側にはさんで押しつぶすように力を入れる。
再発予防のフォーム改善

膝裏外側の腱停止部(腓骨頭)への負荷が過剰にならないための運動姿勢やクセを補正する。
曲げるときは膝がつま先から前に出すぎないように注意
しゃがみ動作は股関節を曲げる
運動時、足裏への外側荷重が過剰にならないように
着地時の膝伸展角度の再確認 など
定期的なストレッチと軽い運動(トレーニングでも)を習慣化する
少なくとも週に1度はセルフチェック(柔軟性・可動域・違和感)
痛みや違和感を感じたら早めに専門家に相談する
まとめ:「膝裏外側のすじの痛み」は放置しないで!
膝裏の外側にある「すじ」が痛む原因のひとつに、大腿二頭筋腱の停止部の炎症や滑液包のトラブルが関係していることがあります。
この痛みは、放っておくと慢性化したり、膝の可動域が狭くなったり、他の部位に負担が広がる可能性もあります。
ほんだ整骨院では、筋膜・腱・関節の状態を専門的に評価し、あなたの症状に合わせた施術とセルフケア指導を行います。
自宅でできるストレッチや筋トレも効果的ですが、痛みが続く場合は早めの対応が大切です。
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