足の指(足趾)と変形。種類と原因は?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

足の指が変形したことでつらい思いをされている方が多いです。

足の指(足趾)の変形といっても、多様にあります。
その原因のほとんどは、

〇腱の牽引方向の変化によって、通常とは違う角度で骨が引っ張られるもの。
〇炎症や使いすぎによって、関節軟骨がすり減ることで生じる変形。

に分けられます。

足趾は~つま先には、日常生活で強いストレスが繰り返し加わります。
また、痛みがなく進行していくことも多いので放置されていることも多いのです。

今回の記事では、足の指の変形の種類をまとめてみました。
詳しい各記事へのリンクも貼ってあるので、そちらも参考にしてみてくださいね。

足の指(足趾)と変形。種類と原因は?

※ご注意!
このページでは「足趾の変形」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

足先(つま先)で悩む人は多い!

足先の変形といっても数が多いです。
また、足指の長さや形状には個人差がみられます。

今回紹介するものの中には「変形」とはいえないものも入っていますが、足先の悩みとして一緒にまとめてみました。

浮き指

浮き指 正面からのイラスト

正確には、変形ではありません。
立位になったときに足趾の先端が浮いている状態のことをいいます。

多くは足底側(足ウラ側)の屈筋と足背側(足の甲側)の伸筋のバランスによるものと考えられます。
立位で足趾が床を押す力は、体重の3%といわれています。

荷重を受けることではあまり大きな問題ではありませんが、「基底面」がせまくなることで、バランス感覚が鈍くなります。
(バランス感覚とは?⇒バランス能力って?姿勢を保つしくみとは? )

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浮き指アイキャッチ

寝指・カーリートゥ

第4趾(薬指)と第5趾(小指)が内側に曲がって見える

第5趾(足の小指)に多い、足指が内返し(爪が外向き)されている状態。
ねじれて、横を向いてしまっている状態ですね。

子どもの「カーリートゥ」は経過観察で様子をみます。
成人の「寝指」も、機能上は問題ないことも多いです。

成人では、内反小趾や靴によって発生することが多く、「巻き爪(陥入爪)」の原因にもなります。

子どもの「カーリートゥ」

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屈趾症(くっししょう)

足の趾節関節(しせつかんせつ)が屈曲(底屈)してしまう変形を「屈指症」(くっししょう)といいます。

屈曲と伸展する関節がどこかによって、呼び方が変わります。
もちろん原因もそれぞれで違います。。

マレットトゥ

 

マレットトゥ

槌趾(つちゆび)ともいわれています。
いちばん先の関節(DIP関節:遠位趾節間関節)が底屈(曲がる)しています。

腱が切れて伸びなくなっている可能性があります。

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マレットトゥアイキャッチ

クロートゥ

クロートゥ

鉤爪趾(かぎづめゆび)ともいわれます。
足指のつけ根(MTP関節)が背屈して、PIP関節(近位趾節間関節)とDIP関節(遠位趾節間関節)が屈曲

地面に爪を立てるような指の形になっています。
長趾伸筋(ちょうししんきん)・短趾屈筋(たんしくっきん)・虫様筋(ちゅうようきん)・骨間筋(こっかんきん)が複雑に絡んでいます。

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ハンマートゥ

ハンマートゥ

ハンマートゥは屈み指(かがみゆび)ともいわれます。

なんらかの理由で虫様筋や骨間筋の働きが弱くなると、足指が縮こまるような形になります。

PIP関節(近位趾節間関節)が底屈して、MTP関節(中足趾節関節)とDIP(遠位趾節間関節)が背屈(反る)している状態です。

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外反母趾

外反母趾の状態

足の親指(母趾)が外転(つま先が外へ向く)している状態。
レントゲンで撮影すると、第1中足骨が外返し(種子骨が外向く)していることがわかります。

この第1中足骨のねじれによって、母趾の腱の牽引方向が変化します。
屈筋腱や母趾内転筋の力によって、母趾MTP関節(中足趾節関節)が曲がってしまうと考えられるのです。

中には、第2趾に母趾が重なってしまったり、亜脱臼(あだっきゅう)の状態になることもあります。

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バニオン

母趾つけ根の滑液包の中に滑液が溜まり晴れたり、肥厚することでバニオンが形成される

バニオンは、母趾MTP関節部(第1中足骨頭部)内側にある滑液包に滑液が貯留して濃縮されたもの。

(滑液包炎とは?⇒滑液包炎(かつえきほうえん)「ほっとく」とどうなる? )

なかには、外反母趾によって第1中足骨頭部が飛び出ることによって、滑液包に腫れが生じるものもあります。

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内反小趾

外反母趾のように、足の小指(小趾)が内転(つま先が内側に)しているもの。

カーリートゥや寝指では、ねじれて屈曲しているようにみえますが、内反小趾では爪が上部のまま内転します。

バニオネット

バニオンと同じような経緯で生じる滑液包のふくらみ。

中には、深横中足靱帯(しんおうちゅうそくじんたい)の緩みによって、第5中足骨頭部が開いて出っ張ることもあります。

開張足

深横中足靭帯がゆるむと開張足になる

横足アーチ(横足弓)の消失深横中足靱帯(しんおうちゅうそくじんたい)のゆるみが同時に生じることで起きる足部の変形。

中足部が扇状に開いて見えます。
病気ではありませんが、いろいろな足の痛みを引き起こす原因にもなりやすいです。

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強剛母趾

強剛母趾は母趾MTP関節背側の変形性関節症。機械的刺激によって損傷した軟骨が増殖性変化を起こして生じたもの。

きょうごうぼし」と読みます。
母趾MTP関節(親指のつけ根)の変形性関節症で、背屈(足指を反らす)させると痛みがでるのが特徴です。

母趾MTP関節は、歩行時の踏み返し(蹴りだし)のときに頻繁に使われます。

背屈制限や骨棘(こつきょく)が生じることもあります。
(骨棘が生じる理由⇒「骨棘」(こつきょく)とは?骨にトゲができる原因とは? )

他の足指の変形と違って、腱は関与せず、純粋に関節軟骨の増殖性変化によるものと考えられます。

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強剛母指タイトル

ほとんどが腱の牽引方向が変化するのが原因

おもな症状
指の背側に胼胝(タコ)
歩行障害
靴との摩擦による化膿

足指を動かす筋肉は、ほとんどが足根骨や中足骨と関係しています。
(足根骨や中足骨は足首~足の甲をつくる骨)

足根骨・中足骨に起始するか、通過しているということです。

変形性関節症である強剛母趾を除いて、足趾の変形はこれらの筋肉の牽引方向やバランスが変化した結果、生じます。

足の形状は、下腿部に付く「外在筋」と足部にある「内在筋」によって保たれています。
……と同時に足趾の屈伸(曲げ伸ばし)も外在筋と内在筋が影響します。

病気やケガ、使いすぎ、体重の増加などによって、筋の力が弱まったり、腱が損傷したりすることで、骨のアライメント(骨の配列)が狂います。

これによって腱の牽引方向が変わってしまうために、足趾の変形が生じます。

足指の変形を起こす要因
末梢神経障害を起こす病気(腰椎疾患や脳疾患 など)
結合組織に不調をきたす病気(糖尿病や関節リウマチ など)
オーバーユースや外傷
外部要因(きつい靴や硬い路面 など)
足指の骨折について
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完全にかたまる前に予防しておく!

手で戻せる柔軟型(手を離すと変形)と固まって動かなくなる拘縮型とに分けられます。

拘縮(こうしゅく)や骨自体の変形になると、外科的に処置するしか元に戻せなくなることが多いです。
(柔軟型の変形も原因によっては戻らないこともある)

ってことは、固まらないように予防や対策をしておきたいわけですね。

とはいえ、足の指が変形する理由は、個人差がかなり大きく、その対策についても個別に対応する必要があります。

①装具やテープによる矯正

クロートゥに使用される装具

インソール装具サポーターで変形をもとの方向に戻すと同時に、足部の形状を保つことで筋肉が骨を引っ張る方向を整えます。

とくに運動をするときに、足部形状(足部のアーチなど)が乱れたまま行うと、腱によって骨が間違った方向に牽引されて、変形を悪化させてしまう恐れがあります。

足の形や変形ぐあいには個人差が大きいので、個別に対応する必要があります。
市販品を工夫して使うことも求められます。

②自分でできるケア

すぐに結果が出るわけではありません。
毎日毎日行うことで、年単位でみると改善しているかも・・・と考えましょう。
時間をかけ過ぎずに行うことで、継続することが大切です。

自分の手でストレッチ&運動

拘縮予防のためにもせめて、1日に1度はもとに戻す方向にストレッチをしましょう。

たとえ動かなくとも、頭で足の筋肉に命令を出しておきましょう。

足底・下腿の筋肉ケア&運動

青竹踏みは足底の筋に刺激を与えるだけでなく、縦アーチをつける

足部の形状を保つ筋肉をケア(緊張を緩和させる)すること、運動をして機能を保つこと。

ここで重要なことは、

足部の形状を正しく保った状態

で運動は行うこと!

例えば、横アーチが崩れた状態で、足底の運動をしてしまうと……外反母趾や内反母趾を強調してしまう方向に腱が牽引されます。

体幹・バランス能力の維持

バランスをとる

足裏側には多くの感覚受容器が分布しています。
それらは、バランス能力を保つために大切な役割を持っています。
(足裏の感覚受容器⇒「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー )

とくにかかと中足骨頭部母趾には多く分布しており、歩行時に重要な役割をもっていることがうかがえます。

さらに足指が変形することで、荷重や重心点、足底で支える基底面の減少により、バランス能力が低下。

低下することで易疲労(疲れやすい)や転倒のリスクが増加します。
バランストレーニングも合わせてやっておきましょう。

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