ヒールカウンターは硬い方がいい?靴のかかと芯材の目的と使い分ける基準

こんにちは!
荻窪のほんだ整骨院の山内健輔です。

先日、内くるぶしの痛みを訴えて来院された患者様がいらっしゃいました。
お話を伺うと、歩き始めてから内くるぶし周辺に腫れが出てきたとのこと。実際に足を評価していく過程で、履いてこられた靴を確認させていただくと・・・・・・

かかと部分を踏みつぶすようにして履いている状態!

靴のかかと部分には「ヒールカウンター」と呼ばれる芯材が入っており、この部分が本来の役割を果たせていないと、かかとが安定せず、足首や関節に余計な負担がかかることも少なくありません。
従来のしっかりした芯材が入っているシューズに加えて、最近では「ベアフットシューズ」(裸足の感覚に近いシューズ」という靴はかかとが柔らかいものがあります。

では、このヒールカウンターは硬い方が良いのでしょうか?それとも柔らかい方が良いのでしょうか?

ヒールカウンターは硬いか柔らかいかどっちがいい?靴のかかと位置を示した図解

ヒールカウンターは硬い方がいい?靴のかかと芯材の目的と使い分ける基準


この記事から分かること

  • ヒールカウンターとは何か、その役割
  • 硬め・柔らかめ、それぞれが向いている場面
  • 硬さに「正解」はなく、目的で選ぶという考え方
  • 選ぶ際に注意したいポイント

※ご注意!
このページでは「ヒールカウンター」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。 正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。 ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、必ず病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

ヒールカウンターとは?靴のかかとを支える芯材の役割

ヒールカウンターとは何かを説明するイラスト。硬い靴と柔らかい靴のかかとをそれぞれつまんで比較している

ヒールカウンターとは、靴のかかと部分に入っている芯材(月形芯)のことで、かかとの形を保ち、歩行中のかかとのブレを抑える役割を担っています。
まずはその場所・構造と、なぜ歩行の安定性に関わってくるのかを見ていきます。

ヒールカウンターの場所と構造

靴のかかと部分にあるヒールカウンターと、靴底のねじれ・折れを防ぐシャンクの位置関係を示すイラスト

ヒールカウンターとは、靴のかかと部分の内側に入っている芯材。
靴のかかとを指でつまんでみると、硬さのある芯が入っているのが分かるかと思います。この芯材があることで、かかと部分の形が保たれ、歩行中もかかとを包み込むような構造になっています。

素材はプラスチックや樹脂、革などさまざまで、硬さの度合いも靴によって大きく異なります。
指で押したときにほとんど変形しない硬いものもあれば、フニャッと潰れてしまう柔らかいものもあります。

なお、靴底には『シャンク』と呼ばれる別の芯材が入っていることもありますが、これはヒールカウンターとは役割が異なります

なぜヒールカウンターが歩行の安定性に関わるのか

歩行時、かかとは着地のたびに地面からの衝撃を受け止め、体重を支える起点になります。
この際、ヒールカウンターがかかとをしっかり包み込んでいると、かかとの左右のブレが抑えられ、足首の安定にもつながります。

もう少し詳しく見ると、着地の衝撃を受けた際、足は縦アーチが沈み込むようにして力を吸収し、この動きに伴ってかかとはやや内側に倒れる方向(回内方向)へ外力を逃がしていると考えられています。
これは本来、衝撃吸収のための自然な動きです。ヒールカウンターは、このかかとの回内が過剰にならないよう、外側から適度に押さえる働きを担っていると考えられています。

実際に、靴のヒールカウンターが立位時のバランス制御に影響を与えることを示した研究報告もあります※1。

反対に、ヒールカウンターの機能が十分でない、あるいは冒頭のお客様のように踏みつぶして履いている状態が続くと、かかとが靴の中で不安定になりやすく、足首や膝への負担につながることも少なくありません。

ヒールカウンターは硬い方がいい?答えは「目的による!」

硬いヒールカウンターは通勤など疲労軽減時に、柔らかいヒールカウンターは足のトレーニング時に向いていることを示す比較イラスト

結論からお伝えすると、ヒールカウンターは硬ければ良い、柔らかければ良いという単純な話ではなく、「何のために履くのか」という目的によって、向いている硬さが変わってきます。

硬めのヒールカウンターが向いている場面

通勤・旅行・長距離ウォーキングなど、長時間・長距離にわたって歩く・走る活動では、ある程度硬さのあるヒールカウンターが役立つと考えられています。
かかとを安定させ、足首のブレを抑えやすくなるためです。

柔らかめのヒールカウンターが向いている場面

一方で、足のトレーニングや足裏感覚を育てる運動など、足そのものが働く機会を大切にしたい場面では、動きを妨げにくい柔らかめのヒールカウンターも選択肢のひとつになります。

硬めが向いているケース:通勤・旅行・長距離ウォーキング

硬めのヒールカウンターが向いている場面を示すイラスト。足部への負荷が大きい場面や疲労を軽減したいときに適している

長時間・長距離を歩く場面では、硬めのヒールカウンターがかかとを安定させ、足首のブレを抑える助けになると考えられています。また、回内足気味の方との相性も良いとされていますが、回外足の方にも硬めが向いているとする意見があり、単純に「回内=硬め」と割り切れるものではありません。

かかとを安定させ、足首のブレを抑えやすくなる理由

長時間の歩行や立ち仕事では、かかとの安定性が疲労の蓄積に関わってくることも少なくありません。
硬めのヒールカウンターは、かかとの左右への動きを抑える働きがあると考えられており、累積する疲労を軽減する一助になり得ます。

回内足(オーバープロネーション)気味の人との相性

回内足と回外足は後方から踵骨がどちらに倒れているかをみる

歩行中に足が内側へ倒れ込みやすい状態は、「回内足(オーバープロネーション)」と呼ばれます。
回内足ぎみの方は、かかとの保持性が高い靴の方が歩きやすいと感じるケースも少なくありません。かかとをしっかり支えることで、足首・膝・股関節への余計な負担が軽減されると考えられています。

回内足とは?⇒「回内足」(かいないそく)と「過回内」(オーバープロネーション)

補足:回外足でも硬めを選ぶという考え方もある

なお、足が外側へ傾きやすい「回外足(スピネーション)」の方については、クッション性を重視した柔らかめの靴が合いやすいとする考え方がある一方で、かかとの安定性を優先し、あえて硬めのヒールカウンターを選ぶという専門家の意見もあります。回内・回外いずれの傾向であっても、かかと自体をしっかり固定することを優先する立場です。

このように、回外足への対応については専門家の間でも見解が分かれる部分があり、一概にどちらが正しいと言い切れるものではありません。
海外の学術誌でも、硬さによる回内・回外のコントロール効果についてはメリットを支持する立場と、効果は限定的とする立場の両方が紹介されており、議論が続いているテーマです※2。気になる方は、自己判断だけで靴を選ぶのではなく、専門家による評価を受けることをおすすめします。

回外足とは?⇒「回外足」(かいがいそく)の治し方は?原因と予防も考えよう!

柔らかめが向いているケース:足のトレーニング・足裏感覚を育てる運動

柔らかいヒールカウンターが向く場面を示すイラスト。バランストレーニングで足部の神経調節を育てたいときに適している

足のトレーニングや足裏感覚を育てる運動では、足そのものが動く機会を妨げにくい、柔らかめのヒールカウンターも選択肢のひとつ。
ただし、かかとの安定性は最低限必要であり、クッション性・柔軟性のバランスは大切で、柔らかければ良いというわけではありません。

足が自ら動く機会を増やすという考え方

足のトレーニングや、足裏の感覚を育てるような運動をする場面では、靴に頼りすぎない環境をつくることで、足部の筋活動が促されやすくなると考えられています。
ヒールカウンターが硬すぎると、かかとの動きが制限されすぎてしまい、足本来の働きを引き出しにくくなることもあります。

クッション性と柔軟性のバランスを重視する場面

芝生の上での運動や、裸足に近い感覚を大切にしたいシーンでも、柔らかめのヒールカウンターを持つ靴が選択肢のひとつ。
ただし、次で触れる通り、柔らかければ柔らかいほど良いというわけではない点には注意が必要です。

硬い・柔らかいに「正解」はない。大切なのは目的との相性

「靴 かかと 硬い」と検索される方も多いかと思いますが、硬さそのものに「正義」も「悪」もありません。
柔らかすぎれば、かかとの安定性が不足し、硬すぎれば足本来の動きを妨げることもあるため、目的に合っているかどうかを基準に選ぶことが大切なのです!

硬すぎても柔らかすぎても、合わなければ足への負担になる

 

 

ハグルンド病はかかと後方のでっぱり(隆起)

「柔らかい靴=足に優しい」というイメージを持たれる方も少なくありませんが、これは必ずしも正しいとは限りません。柔らかすぎるヒールカウンターは、かかとの安定性が不足し、靴の中で足が動きやすくなることがあります。

一方で、硬ければ硬いほど良いというわけでもありません。硬すぎるヒールカウンターは、足本来の動きを妨げ、特に足のトレーニングや裸足に近い感覚を大切にしたい場面では窮屈に感じられることもあります。
実際、海外の運動生体力学の研究では、硬いヒールカウンターが踵骨の内側への傾き(回内方向の動き)を一定程度抑える一方で、靴の中での踵骨自体の動きを完全には止められないことも報告されています※3。

実際に足を診ていると、硬いヒールカウンターの靴を履き続けたことで、踵骨が靴の中で回外方向へ傾き、アキレス腱の付着部と靴の後方が繰り返し擦れることで炎症を起こした(ハグルンド病・アキレス腱付着部滑液包炎)と考えられるケースを経験することがあります。このように、硬さが必ずしも足を守るとは限らず、足の状態や動きの傾向によっては、かえって特定の部位に負担が集中してしまうこともあります。硬さだけに頼り切らず、足に合っているかどうかを総合的に見ることが大切だと考えられます。

硬さそのものに「正義」も「悪」もなく、その靴を何のために履くのかという目的に合っているかどうかを判断の軸にしてほしいと思います。

ハグルンド病とは?⇒ハグルンド病とパンプバンプ。かかとにある「でっぱり」が痛い!

「かかとが安定しているか」を軸に選ぶという考え方

ヒールカウンターの変形チェック。かかと部分を指でつまんで確認し、つぶれない状態はOK、グニャッとつぶれる状態はNG。かかとが内側または外側に傾いている場合も要注意であることを示す図解

硬さの好みだけで選ぶのではなく、実際に履いてみて「かかとが靴にしっかりついてくる感覚があるか」を確認することも、ひとつの目安になります。踏みつぶして履いていないか、かかと部分がグニャッと潰れすぎていないかも、あわせてチェックしてみると良いかもしれません。

靴のアウトソール(靴底)の減り方が意味するものとは? ↓

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靴底(アウトソール)の減り方で分かる、足の特徴や歩き方のクセを紹介する記事のアイキャッチ画像。スニーカーのアウトソール部分を示したイラスト

まとめ:守る靴と、育てる靴。目的に合わせた使い分けを

ヒールカウンターは、硬ければ良い、柔らかければ良いというものではなく、その靴を何のために履くのかによって向いている硬さが変わってきます。

  • 通勤・旅行・長距離ウォーキングなど→硬めのヒールカウンターが向いている場合が多い
  • 足のトレーニング・足裏感覚を育てる運動など→柔らかめのヒールカウンターも選択肢になる

疲労を減らしたい日もあれば、足を育てたい日もある。
靴選びに正解は1つではありません。

今日の活動に合った靴を選ぶことが、足の機能を引き出す第一歩です。

注意点

荻窪で来院される患者様の靴を確認させていただくと、冒頭のケースのようにかかと部分を踏みつぶすようにして履いている方は、決して珍しくないという印象があります。ご本人は無意識のことが多く、指摘して初めて気づかれるケースも多い印象です。

  • 回内足・回外足はあくまで傾向の話であり、自己判断だけで靴を選ぶことには限界があります。気になる方は専門家による評価をおすすめします。
  • ヒールカウンターの硬さだけが歩行の安定性を決めるわけではありません。靴底の素材・インソール・靴ひもの締め方なども複合的に関係します。
  • 足・膝・腰に痛みや既往がある方は、靴の見直しだけでなく専門家への相談もご検討ください。
  • 今回の内容はあくまで一般的な目安です。足の状態・歩き方・活動量によって適切な靴は異なります。

あくまで今回の記事は日常的なセルフチェックの参考としてご活用ください。

かかとの状態は、単に靴選びだけの問題にとどまらず、身体全体の状態とも関わっている可能性があります。

ヒールカウンターは、立位や歩行時の接地・荷重に大きく影響する要素のひとつ。
とくにかかと部分には、地面からの情報や荷重の変化を脳や脊髄に伝えるメカノレセプター(感覚受容器)が豊富に存在していると言われています。
このメカノレセプターは姿勢制御にも関わっているとされており、かかとの状態と、姿勢や身体全体のバランスは無関係ではないと考えられています。

メカノレセプターとは?⇒「メカノレセプター」は足裏に豊富。バランスをとるためのセンサー

荻窪ほんだ整骨院の院内写真。清潔感のある施術ベッドが複数並び、カーテンで仕切られたプライベートな施術スペース。

荻窪 ほんだ整骨院では、柔道整復師の視点から、こうした足元の状態を含めて身体全体を評価する施術を行っています。ご不安があれば、一度来院してご自身の身体を評価してみるのも良いかもしれません。
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よくある質問

ヒールカウンターが硬いかどうか、どこで確認すればいい?
靴のかかと部分を指の腹で軽く押してみて、変形がほとんどない場合は硬め、フニャッと潰れる場合は柔らかめの傾向があると考えられます。
硬いヒールカウンターの靴を選べば足首は痛めにくい?
硬めのヒールカウンターはかかとの安定に役立つと考えられていますが、それだけで足首のトラブルを防げるわけではありません。靴底の素材やサイズ、履き方なども複合的に関係します。
回内足・回外足は自分で判断できる?
歩き方の傾向としてある程度の見当はつけられますが、自己判断だけでは限界があります。気になる方は専門家による評価をおすすめします。
柔らかいヒールカウンターの靴は避けた方がいい?
一概に避けるべきとは言えません。足のトレーニングなど目的によっては柔らかめが適している場合もあります。ただし柔らかすぎるとかかとの安定性が不足することもあるため、用途に応じた選択が大切です。
ヒールカウンターとかかとの幅のミスマッチはどうやって埋める?
ヒールカウンターの硬さが合っていても、かかと幅そのものが足に合っていないと、歩行中にかかとが靴の中で浮いてしまい、ホールド感を十分に得られないことがあります。靴ひもの締め方を見直す、かかと幅に合ったモデルを選ぶといった対策が有効な場合もありますので、気になる方は専門家にご相談ください。
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参考

※1 靴のヒールカウンターが立位バランス制御に与える影響 – 東北理学療法学 第29号 (2017)

※2 Point-Counterpoint: Does Pronation Control Matter in Athletic Shoes? – Podiatry Today

※3 The Influence of Heel Counter Rigidity on Rearfoot Motion during Running – Journal of Applied Biomechanics, Vol. 11, Issue 1 (1995)

靴のかかとにあるヒールカウンターの位置を矢印で示した図解。硬いほうがいいか目的別に解説
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