こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。
足首のケガや足部の不調でまれに、
足の骨が癒合している!
と診断されることがあります。
人口の比率にしては、非常に珍しいといわれていますが、無症状で発見されていないものも含めるともっと多い可能性があります。
もちろん、足根骨(そくこんこつ)が癒合していても、痛みや不調がなければ大丈夫。
問題ありません。
ただし、癒合していることで足部の動きが悪くなります。
これによって、他の部分に痛みが発生しやすくなってしまう面もあるんです。
今回の記事では、「足根骨癒合症」について紹介していきましょう。
足の骨がくっついている?!足根骨の癒合症とは?
このページでは「足根骨癒合症」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。
足根骨(足の骨)が癒合している足根骨癒合症とは
足首近くにある細かい骨を足根骨(そくこんこつ)といいます。
足根骨は片足で7個。
通常は別々の骨どうしが癒合してしまっているのが、
足根骨癒合症
(そくこんこつゆごうしょう)
それぞれが骨や軟骨、結合組織によってつながっている状態。
半分以上の割合で両側性。
軟骨性:軟骨によって結合している
線維組織性:結合組織線維によって結合
人口に対する割合は、1%以下、稀(まれ:めずらしい)だといわれています。
ただし、痛みや可動域制限など不都合がなければ、問題はありません。
むしろ、不都合がないためにみつかっていない症例も多く考えられるので、人口に対する割合ももう少し多いかもしれません。
足部の骨の基礎知識
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足首や足部の痛みや不調で発見される
足根骨が癒合する原因は不明。
両側性で起きやすいことから先天性によるもの、骨成長に伴うものが多いと考えられています。
↓
衝撃を吸収・分散ができず別の部分への負担増
+
足部の可動域低下
↓
疼痛を訴えてみつかる!
↓
癒合がみつかる!
足首の運動と可動域
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10代前後にみつかることが多い!
足首から足の甲(足背部)にかけての骨は、小さい骨が密集しています。
骨どうしは靱帯や筋肉で補強され、可動性はあまりありません。
ただし、足部の縦足アーチ、横足アーチは、骨どうしがわずかにきしむことで、弾力性を保ちます。
子どもの骨は大人と違って完全に硬化しているわけではなく、足部自体もかなり柔軟に動きやすいのが特徴。
10歳前後に、外傷や足部の痛みをきっかけにみつかることが多いです。
10歳前後は第二次性徴期でもあり、体重・筋量・骨量も増加。
さらにスポーツ運動も活発化する時期でもあります。
ほとんどがスポーツをしている人に見られることから、原因は不活動によるものというよりは、成長途上の骨への負担も原因のひとつとも考えられます(私見ですが)。
※縦アーチやバランス保持に関わる骨どうしの癒合が多い!
足根骨癒合症自体には、歩行痛・炎症症状はなく、無症状が多いのも特徴。
縦アーチの役割とは?
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どこの骨が癒合する?
基本的に癒合部分で炎症を起こして痛みがでるというよりも、「癒合部分が動かない」ことで、衝撃や外力を逃がしきれない状態になります。
結果、他の関節への負担が強くなることで足部の痛みや不調につながり、発見されます。
〇距骨(きょこつ)ー踵骨(しょうこつ)
距骨下骨癒合(きょこつかこつゆごう)ともいわれます。
レントゲンでみるとCサインと距骨突出が特徴的。
側面像で踵骨にある載距突起を下端、距骨上部を屋根部分にしたアルファベットの「C」のように見える。
骨性隆起が距骨頭上部(足首前方)にでき、前方インピンジメント(足首の可動域制限)が生じる。
距骨下関節が使えないことで距腿関節前部が過剰に動くことで生じるとも考えられる。
後足部痛もよくみられます。
内側の場合は足根管症候群を引き起こすことも。
もともと距骨下関節(きょこつかかんせつ)は不整地(でこぼこ・傾いた地面)でバランス保持に使われる部分です。
癒合しているとバランス保持しにくく、他の足根骨や関節への負担増が予想できます。
足関節インピンジメント⇒足関節インピンジメント症候群ってなんだ?
距骨下関節症⇒【距骨下関節症(炎)】でこぼこ道や衝撃で足首の奥に痛みが出る!
〇踵骨(しょうこつ)-舟状骨(しゅうじょうこつ)
Y靱帯(二分靱帯)あたりが癒合します。
踵骨前方突起(しょうこつぜんぽうとっき)が、管状に伸びているように見えるのが特徴。
「anterior nose sign」とよばれ、アリクイの鼻(前方に鼻が伸びている)に例えられています。
踵骨前方突起骨折とは?
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踵骨ってどんな形?
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〇舟状骨(しゅうじょうこつ)─第1(内側)楔状骨(けつじょうこつ)
内側縦アーチの一部である、リスフラン関節の内側・底側で起きる癒合症。
舟状骨ってどんな骨?
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足根骨癒合症の診断と治療
足根骨癒合症の診断は、レントゲン画像やCT検査にて行われます。
骨性(骨で癒合している)のものは診断がつきやすいです。
軟骨性・線維性で癒合しているものは、骨の不整像(輪郭がなめらかでない)や骨どうしの隙間が狭小化によって疑われます。
保存治療
基本的には保存療法(手術しない)が選択されます。
インソール
アーチサポート
ステロイド注射
可動域訓練
負担が増加して、痛みがでている部分の治療と他の部分の可動域を増やすことで衝撃を分散させることが目的です。
癒合症によって足部アーチが使えていない症例に対しては「アーチサポート」が有効といわれています。
手術療法
難治性(痛みがなかなかとれない)だったり、早期のスポーツ復帰を望む場合は、手術(観血療法)も検討されます。
手術は患部(癒合部分)を切除するもの。
切除した部分には、骨蝋を塗り止血、人工物などを挟み込み再癒合を防ぎます。
術後は4週間の歩行ギプス固定の後アーチサポートにて歩行を行い, 3か月自には終痴は消失し, スポーツ活動は可能となった.
九州労災病院強形外科 白仁田厚『癒合部切除術にてスポーツ復帰させた舟状骨-第1模状骨間癒合症の2例』より引用
ただし、骨を削る手術のため、後々の変形性関節症のリスクもあります。
継続した経過観察も必要です。
足関節の変形性関節症
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ボーンワックスともいわれ、防腐剤・油脂・蝋を混合したもので、外科手術のときに骨組織からの出血を止めるために使われる。
生体に吸収されにくいので、骨どうしを癒合・癒着させにくい。
まとめ
- 足根骨どうしの癒合(骨性・軟骨性・線維性)
- 足根骨の癒合自体は歩行痛や炎症を生じることは少ない
- 可動域低下による衝撃吸収・分散ができずに足部痛につながる
- 10歳前後で見つかることが多い
- 距踵間、踵舟間、舟-第1楔状間が多い
- 早期のスポーツ復帰を希望する場合は手術
- 痛みや不都合がなければ問題ない
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