足小指が曲がってしまう「内反小趾」の原因とは?

こんにちは。荻窪教会通りにあるほんだ整骨院の山内健輔です。

足の小指(小趾・第5趾)が親指側に曲がってしまう状態のことを

内反小趾(ないはんしょうし)

といいます。

女性に多いとはいいますが、男性でも悩んでいる方はいます。

原因で多くが、シューズや「足の骨格の崩れによるもの。

小趾が内側を向いているだけで痛みがなければ、問題ないことが多いですが、痛みがでたり、変形が進んだりすると一大事。

進行を予防するためには、原因を知ることも大切です。
今回の記事では、「内反小趾」について詳しく紹介していきましょう。

内反小趾は足小指が内側を向く変形。

足小指が曲がってしまう「内反小趾」の原因とは?

※ご注意!
このページでは「内反小趾」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

足小指が内側(母趾側)を向く変形

内反小趾角が15°以上で内反小趾と診断される。内反小趾角は第5中足骨と小趾基節骨長軸のなす角度。

足の小指のことを「小趾」(しょうし)といいます。
場合によっては第5趾(だいごし)と呼ぶこともあります。

小趾が内側を向くので「内反小趾」(ないはんしょうし)。

第5中足骨の長軸と趾骨(基節骨・中節骨・末節骨)の角度(内反小趾角)が10°以上あると変形が大きく見えてきます。
さらに、14°以上で「内反小趾」と判断されます。

内反小趾の検査
内反小趾の進行状態を確認するために、足のX線検査を行います。足趾の変形の程度と偏平足の合併を評価します。内反小趾角は14°以内、M4/5角は8°以内が正常です。

三国ゆう整形外科 様 『内反小趾(Bunionette)』より引用

実際にはそれほど曲がっていなくても、「内反小趾」といわれることもあります。

小趾が内反していなくても、骨頭の突出やバニオネットによって内反小趾に見えてしまうこともある

  • 第5中足骨頭部が大きめ
  • 第5中足骨が外側に弯曲
  • バニオネット

これらの場合は第5中足骨頭部(小趾のつけ根)が外側に突出してみえるため、内反小趾角がそれほどズレなくても、曲がっているようにみえることがあります。

ほかには、「バニオネット」といわれる第5中足骨頭部外側の腫れ(腫瘤)を同時に合併することもあります。

※バニオネット
第5中足骨頭部の外側にある滑液包が腫れたり、内部の滑液が増殖した状態。
テーラーズバニオン腱膜瘤(けんまくりゅう)ともいわれる。

バニオネットとは?

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内反小趾の症状

内反小趾では胼胝・鶏眼・陥入爪のほかに寝指浮指・外反母趾・バニオネット・第4市に干渉も合併しやすい

  • 腫脹(腫れ)
  • 疼痛(痛み)
  • 胼胝(たこ)
  • 鶏眼(ウオノメ)
  • バニオネット

足指のつけ根部分の関節のことを「中足趾節関節」(ちゅうそくしせつかんせつ)といいます。
呼ぶのには少し長いので「MTP関節」ともいいます。

第5中足骨と小趾の角度が大きくなると、MTP関節が亜脱臼(あだっきゅう)を起こすことがあります。

亜脱臼のじょうたいになると、側副靱帯関節包滑液包も同時に損傷。疼痛腫脹が発生します。

※亜脱臼
関節を構成する骨どうしが、関節面が完全にズレてしまっているのを「脱臼」。
「亜脱臼」は一部は接している状態のこと。

また、小趾の内側には当然、第4趾(薬趾)があります。
第4趾の底部に小趾がもぐりこんでしまったり、第4趾側面を爪で傷つけてしまうことも

さらに、小趾の爪が第4趾に圧迫され続けることになるので、陥入爪(かんにゅうそう:巻き爪)にもなりやすいです。

胼胝(たこ)は外側や小趾球部分、底側にできることが多く、鶏眼(ウオノメ)は、中足骨頭部の間(1~2趾・4~5趾間に多い)にできやすいです。

他にも、寝指(ねゆび)浮指(うきゆび)外反母趾を合併していることも多いです。

ただし、内反する小趾だけが症状で、痛みを伴わないことも数多くあります。

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内反小趾になるしくみ

内反小趾は、小趾の向きが内側へ向いてしまうことをいいます。
そのなかでも多くが、足部(かかと~つま先)の骨のアライメント(配列や構造)異常によるもの。

今回は、足部アライメント異常が引き起こす内反小趾のしくみをみていきましょう。

全部で3つ。

  1. 開張足によって生じるもの
  2. 回内足によって生じるもの
  3. つま先圧迫によるもの

単独の原因で生じることも、複数が重なって生じることもあります。

開張足に伴う内反小趾

第5中足骨が外側に広がることで、屈筋腱の作用によって、小趾が内反することで内反小趾が生じる。

開張足によって起きる内反小趾は、おもに2段階。

  1. 第4中足骨頭と第5中足骨頭が離れる
  2. 屈筋腱の牽引方向が変わる

①第4中足骨頭と第5中足骨頭が離れる

深横中足靱帯や母趾内転筋が弱くなると開張足になり、内反小趾の原因となる。

  • 深横中足靱帯(しんおうちゅうそくじんたい)の伸張
  • 母趾内転筋(ぼしないてんきん)の筋力低下

第4と第5の中足骨長軸のなす角度は通常8°以下といわれますが、開張足になると10°以上といわれます。
深横中足靱帯と母趾内転筋の低下が原因になることが多い)第4中足骨・第5中足骨の長軸がなす角度が10°以上だと開張足と診断される。深横中足靱帯や母趾内転筋の低下で起きやすい。

第4中足骨と第5中足骨が離れる方向へ向かうことで、中足骨~足趾は扇を広げるように横アーチが消失。

第5中足骨は外側を向きます。

②屈筋腱の牽引方向が変わる
小趾には、屈曲するための筋肉が付着しています。

  • 短趾屈筋
  • 短小趾屈筋
  • 長趾屈筋

小趾を屈曲させる筋肉は、短小趾屈筋・短趾屈筋・長趾屈筋があり、第5中足骨が外側に広がることで、牽引方向が変化するので内反小趾になりやすい

開張足によって第5中足骨が外側に偏位することで、中足骨長軸に沿っていた牽引方向が変わります。

第5中足骨が外方向へ向かい、小趾は内方向へと偏位します。

扁平足に伴う内反小趾

扁平足による内反小趾のしくみ。オーバープロネーションによって第5中足骨が外返しになることで第5中足骨頭部が外側に突出し、腱の牽引方向が変化することで小趾が内反する。

  1. 「オーバープロネーション」(回内足)
  2. 扁平足 + 第5中足骨も回内
  3. 第5中足骨頭が外側に突出
  4. 屈筋の牽引方向が偏位
  5. 内反小趾になる

①「オーバープロネーション」(回内足)
後脛骨筋腱機能不全(PTTD)や内側荷重によって、踵骨(かかと)が内側に倒れる「オーバープロネーション」が生じます。
回内足ともいわれます。

②扁平足 + 第5中足骨も回内
足全体が内側に倒れるため内側縦アーチが消失する「扁平足」も同時に起きやすくなります。

それと同時に中足骨全体も回内(底部が外側へねじれる)します。

③第5中足骨頭が外側に突出
中足骨は、まっすぐではなく、底部に向かってわずかに弓なりに弯曲しています。

ってことは、中足骨頭部は外側に突出したようにみえます。

同じように横足アーチが「逆」アーチになっている人も、中足骨頭の底部が外側を向きます。

④屈筋の牽引方向が偏位
中足骨がねじれることで、屈筋群の牽引方向が変化。

多くの屈筋はかかとから扇状に広がるように位置するため、足趾は内側方向に引っ張られることになります。

⑤内反小趾になる
小趾に付着する腱の牽引力により、第5中足骨頭が押し出されるようにして外側へ突出。

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つま先が圧迫されて生じる内反小趾

バニオネットの外的要因としてハイヒールや下り坂、幅の狭い靴、サイズの不適切が挙げられる。

  1. つま先が長時間圧迫
  2. 曲がった状態で立位や歩行
  3. 屈筋腱・伸筋腱の牽引によって内反小趾に。

①つま先が長時間圧迫
前後の圧迫・左右の圧迫、または両方。
小趾(足小指)が内側方向へ長時間、圧迫されることから変形が始まります。

②曲がった状態で立位や歩行
バランスをとるときには、足部の内在筋や外在筋を使います。
足指が内側方向に強制された状態で、それらの筋が収縮や伸張が繰り返されます。

③屈筋腱・伸筋腱の牽引によって内反小趾に。
繰り返し筋が収縮を繰り返すことで、小趾の方向を変化させます。

内反小趾の原因

内反小趾を発生させる原因は、外的要因と内的要因に分けられます。

外的要因

つま先の圧迫は内反小趾の外的原因になる

  • つま先を締めつける靴下やストッキング
  • サイズ不適合な靴(小さすぎ・大きすぎ)
  • 高いヒール
  • 下り坂

基本的につま先(足尖)を締め付けたり、先端から圧迫力が加わったりすると内反小趾の原因になりやすいです。

大きすぎる靴では、足が靴内部で前方に動いてしまい、結果的に圧迫されやすいです。
同じ理由で、下り坂でもつま先へ圧迫が生じやすいといえます。

内的要因

内反小趾の内的な要因。扁平足や回内足、内また、外側荷重など

  • 開張足・偏平足
  • 回内足・回外足
  • 内反膝(O脚)
  • 股関節内旋(内また気味)
  • 小趾側で踏み返し
  • 筋力低下
  • 遺伝・内疾患

足根骨のアライメント異常筋肉のバランス低下は、足部の変形を助長しやすい要因です。

足趾(足指)は小さい骨どうしが強力な筋肉でバランスをとって、構成されています。
足部の骨の構成が崩れてしまうことで、つま先の変形が生じていると考えられてるんです。

膠原病(こうげんびょう)や糖尿病によって、結合組織や骨組織がもろくなったり、傷つきやすくなったりすることがあります。
腱や靱帯で結合された足根骨・足趾骨のバランスも崩れやすいので内反小趾の内定要因といえるでしょう。

治療&予防と対策

内反小趾は一度、なってしまうと元通りに戻すことは困難です。

内反小趾にならないように、または進行を食い止めることが必要でしょう。

治療

基本的には保存療法が選択されます。

疼痛が強かったり、ADL(日常生活動作)に支障がでたり、整容が気になったりする場合には、相談のうえ手術が適応されることもあります。

急性期
痛みや腫れがあるときは、冷却(アイシング)で炎症をおさえましょう。
炎症が強いときには固定や保護も重要です。

慢性期
痛みや腫脹がひいたら、テーピング趾間パッド、サポーター、インソールによって、小趾を正しい位置で固定。

同時に自分の足に合った履物、運動環境の見直しも行いましょう。

急性期の「POLICE」処置って?

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予防と対策

内反小趾の治療は保存療法が選択される。矯正グッズが多く市販されているので自分に合ったものを選びたい。

内反小趾になる「しくみ」や「原因」で紹介したように、骨のアライメントが崩れることで腱の牽引方向が変化します。

足根骨を正しい位置で保つことが、予防や進行対策にもなります。

グッズを利用する!

インソール
趾間パッド
サポーター
ヒールカウンター
五本指ソックス
ヒールカウンター
かかとが倒れないようにしっかりしたヒールがついた靴。

外反母趾や内反小趾に関連するグッズが数多く市販されています。
自分に合うものを見つけたいですね。

テーピングは、内反小趾グッズが利用できない場合にのみ(スポーツするときなど)使用しましょう。
(皮膚に負担が大きいので日常で使用しにくいため)

内反小趾のテーピング。小趾を外側に引っ張るようにして貼る。中足骨頭部の近位を開張足を予防するのと剥がれないためのアンカーテープの目的で貼る↑皮膚を引っ張るので負担は大

トレーニング&ケア!

内反小趾の人が運動をするときには、足部アーチや足趾の向きを正しい方向に強制して行う。変形を悪化させないため。

足部の筋力低下や緊張過剰も原因のひとつ。
足底の筋肉(内在筋)や下腿部にある(外在筋)のケアを行うことは、足部の形状維持にも役立ちます。

また足指をうまく使うことで荷重を分散させられます。
内反小趾ぎみの人は、歩行時、母趾側で踏み返し(蹴りだし)をする意識も重要です。

アーチサポートを着けて運動しよう!
足の運動をするときはできれば、足アーチを保持した状態で行いましょう!
アーチが崩れた状態で運動することで間違った方向に腱が足指を牽引してしまう恐れがあるため。
アーチサポートは縦アーチ横アーチを同時にサポートするものを選択したい。開張足を防ぐため、中足部を締められるとよい。
内反小趾の対策として、足底にある母趾内転筋と小趾外転筋を強化しておきたい。
①強化したい筋肉
母趾内転筋━開張足を防ぐ
小趾外転筋━小趾内反を防ぐ
※母趾内転筋と小趾外転筋のみを鍛えることは難しいので、足底の筋肉を鍛えるのを意識しましょう。
②ほぐしたい筋肉
足底部の筋肉
長趾屈筋・長趾伸筋

足裏の筋肉をほぐす・鍛える!

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靴を選ぶ!

内反小趾に適した靴は、つま先を圧迫せず、かかとが左右に倒れないヒールカウンター、ヒールは高すぎず、安定感のあるものを選ぼう!スクエア等は母趾・小趾への圧迫が少ないながらもフォーマルな雰囲気のものも豊富

内反小趾のある人におすすめの靴は、

①かかとが低い
小趾への圧迫が少ない。

②ヒールがぶれない
しっかりしたヒールカウンターでかかとが倒れないように。

③つま先が広め
ラウンドトゥ」「スクエアトゥ」「オブリークトゥ」といった形状の靴を選ぶ。

内反小趾に合いやすい靴のつま先の形は、ラウンドトゥ(丸み)・オブリークトゥ(台形)・スクエアトゥ(四角)

自分の「足の型」を理解しておこう。

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まとめ

オブリークトゥは足型に近い形状のつま先のため、圧迫したくない外反母趾や内反母趾の足にもおすすめ。 ヒールカウンターのしっかりしたもの、ヒールは低めで安定したものを選びたい。

  • 内反小趾は足小指が内側を向く
  • 亜脱臼することもある
  • 開張足や扁平足が進行して生じることも。
  • つま先の圧迫も原因のひとつ
  • 対策は横アーチの維持が最重要
  • 内反小趾グッズで進行を予防したい
  • 足部の筋・骨バランスを保持が重要

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