脚の部位について。名称や呼び方について!

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

「脚」(あし)には、日常生活で使われている名称と専門的な部位名称があります。

専門的な用語は、一般的に馴染みがないのでわかりにくいことが多いですね。

また、日常生活で使われている言葉でも、慣用句的に使用されている部位名称は分かりづらいです。

今回の記事では、脚(下肢)の部位と名前について紹介していきましょう。

脚の部位について。名称や呼び方について!

※ご注意!
このページでは「脚の部位」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

「脚」「足」「肢」の違い

脚は大腿部・下腿部・足部に分けられる。

ひと口に「あし」っていっても、「脚」「足」の字がありますよね。
両方とも読みかたは「あし」。

もう一つ、英語で「leg」を表す「肢」もあります。
厳密にいうと違う部分を表したり、使う対象が違ったりするようですが、混同して使われていることも多いです。

参考までに読んでみてくださいね。

脚(あし)

脚 = 大腿部 + 下腿部 + 足部

もとは、膝から下の部分を表していましたが、現代ではおもに股関節から先部分を表現するために使われています。

改まった場面では、「下肢」(かし)とも表現されています。

人間以外の動物やモノについても「脚」が使われることも多いですね。
例:イス カエル イヌ

「下肢」の呼び方
大腿部:股関節から膝関節までの部分。大腿骨がある。
下腿部:膝から足首までの部分。脛骨と腓骨。
足部:足首からつま先まで。足根骨と中足骨、足趾骨

足(あし)

つま先からかかとまでの部分。
足首から下とも表現します。

足部の骨について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にどうぞ。

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肢(あし)

動物の脚のことを「肢」といいます。
これも音読みでは「あし」。

哺乳類などの4つの脚は「四肢」(しし)。
前肢・後肢と呼びます。

ヒト(直立二足歩行)の場合だけ、上肢(じょうし:腕~手)・下肢(かし)と呼びます。

昆虫でも前肢・中肢・後肢とも前脚・中脚・後脚とも表現することから、「脚」と「肢」はほとんど同じ意味で使われます。

大腿部の部位と名称

大腿部は鼠径部から膝蓋骨の下部まで。後面では殿線から膝窩まで。

大腿部は、一般的にいう「太もも」部分のこと。

前から見ると、鼠径部(そけいぶ:下腹と太ももの境界線)から膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)の下まで

後ろから見ると、殿部の下部にあるしわ(殿線)からひざの後部にあるくぼみまで。

各方向から見たときには、「前面」「後面」「内側」「外側」というように呼びます。

強靭な力を発揮する大きな筋肉があり、おもに股関節と膝関節を動かしたり、安定させたりしています。

骨は大腿骨
人体でいちばん長く、硬い骨だといわれています。

大腿三角は長内転筋・縫工筋・鼡径靱帯で囲まれた部分。深部に大腿骨頭を触知できる。<br />
鼡径靱帯は大腿動脈・大腿静脈、大腿神経・腸腰筋腱を通す。

※大腿三角(だいたいさんかく)
別名「スカルパ三角」とも。
長内転筋(ちょうないてんきん)・縫工筋(ほうこうきん)・鼡径靱帯(そけいじんたい)に囲まれる部分。深部に大腿骨頭を触知できる。
内側下側にある血管裂孔には、大腿動脈・大腿静脈、外側上側には筋裂孔で、大腿神経腸腰筋が通る。

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膝周りの部位と呼び方

ひざの前面を前膝部といい、脛骨粗面・膝蓋骨、鵞足、腓骨頭などを触知できる

膝関節は、大腿骨と脛骨の「大腿脛骨関節」と膝蓋骨と大腿骨の「膝蓋大腿関節」を合わせたもの。

大腿骨も脛骨も左右に膨らんでおり、それぞれ「内顆」(ないか)、「外顆」(がいか)といいます。
内側顆・外側顆とも)

脛骨外顆の後側には腓骨頭(ひこつとう)があり、「近位脛腓関節」(きんいけいひかんせつ)を構成。

脛骨内顆の下側の部分は、「鵞足」(がそく)。
薄筋(はっきん)・縫工筋(ほうこうきん)・半腱様筋(はんけんようきん)が停止(付着)します。

後面には半膜様筋(はんまくようきん)も付着して、鵞足部とともにオーバーユースで炎症を起こしやすい部分です。

鵞足の前部の少し隆起した場所は「脛骨粗面」(けいこつそめん)。
大腿四頭筋が膝蓋骨部分で「膝蓋腱」(しつがいけん)になり、停止する場所。
10代の運動選手では「オスグッドシュラッター病」で有名です。

前部を「前膝部」(ぜんしつぶ)といい、膝蓋骨が触知できます。
膝蓋骨は、日常で「膝のお皿」や「ひざ小僧」、「膝がしら」ともいわれますね。

膝裏側は「後膝部」(こうしつぶ)で、「膝窩」(しっか)。
あまり使われてはいませんが、「ひかがみ」と呼ばれることもあります。
膝関節を屈曲するとくぼむ部分で、内側に半腱様筋・半膜様筋、外側に大腿二頭筋の腱が浮き出ます。

オスグッドシュラッター病は10代のスポーツ選手に多い、ひざ下の痛み。

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下腿~足部の部位と名前

下腿部はひざ下から足首までの部分。
脛骨(けいこつ:太い内側)と腓骨(ひこつ:細い外側)で構成されます。

足部はかかと~つま先まで
足根骨と中足骨、趾骨があります。

下腿部

下腿部の名称。前面は前脛部。脛骨前縁はスネや弁慶の泣き所、向う脛。後方は腓腹部・ふくらはぎ・こむら。

脛骨前縁には筋肉が付着しないので、ぶつけるとすぐ骨に当たります。
骨膜には神経が多く分布しているので、かなり痛い!
弁慶の泣き所」といわれていますね。
すね」や「向こう脛」とよばれることも多いです。

すねの外側は「前脛部」(ぜんけいぶ)、後面は「腓腹部」(ひふくぶ)や「ふくらはぎ」「こむら」とよびます。

腓腹筋は筋けいれんを起こしやすいです。「こむら返り」はよく使われていますね。

下部には、「くるぶし」とよばれる骨の隆起部分があります。
内側は「内果」(ないか)、外側が「外果」(がいか)。

足首は、正式に「足関節」(そくかんせつ)。
足関節は「距腿関節」(きょたいかんせつ)と「距骨下関節」(きょこつかかんせつ)ふたつを合わせた複合関節。

前面は前距腿部、後面は後距腿部とよびます。

足関節(足首)は、距腿関節と距骨下関節を複合した関節

※距腿関節(きょたいかんせつ)
脛骨・腓骨が距骨(きょこつ)を挟み込むようにしてなる関節。
※距骨下関節(きょこつかかんせつ)
距骨と踵骨(しょうこつ:かかと)の関節。
動きは少ないが、左右のバランスをとって安定を保つ働き。

後距腿部には、下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)が腱になった「アキレス腱」が浮いています。

脛骨の形と部位名称

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足部

足部の上面は足背。下面は足底。内果の前下方、土踏まずの頂点部分に舟状骨結節。外側では、第5中足骨基部が触知できる。

上面を「足背部」(そくはいぶ)。
足の甲といわれます。

下面(底面)側は、「足底部」(そくていぶ)。
足の裏とかあしうらといわれます。

内果(内くるぶし)のちょっと前方には「舟状骨結節」(しゅうじょうこつけっせつ)があり、後脛骨筋が付着し、内側縦アーチに関与しています。

外果の下前方には「第5中足骨基部」(だい5ちゅうそくこつきぶ)が触知でき、短腓骨筋腱(たんひこつきんけん)の付着部

かかとの骨は、「踵骨」(しょうこつ)といいます。出っ張った部分は「踵骨隆起」(しょうこつりゅうき)。
きびす」は慣用句でも使われますね。

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参考サイト
厚生労働省『人体各部位(後)』

厚生労働省『人体各部位(前)』

参考文献
『カパンジー機能解剖学 II 下肢 原著第7版
A.I.Kapandji 原著/塩田悦仁 訳』