長腓骨筋・短腓骨筋のテーピング。負担を減らして筋や腱を保護しよう

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

長腓骨筋・短腓骨筋は下腿部(ひざ下~足首)の外側にある筋肉。
ふたつ合わせて「腓骨筋群」と呼ぶこともあります。

あまり有名な筋肉ではありませんが、実は重要な筋肉です。
日常でもかなり使われている筋肉で、足首をまたいでいます。

負荷のかかりやすい筋肉の走行(筋肉の通り道)なので、痛みがでやすい筋肉でもあるんです。

腓骨筋腱炎や回外足では腓骨筋群の保護も大切ですね。
今回は腓骨筋に対するテーピング。貼っておきたい疾患と貼り方について紹介していきましょう。

長腓骨筋と短腓骨筋を保護するテーピングを紹介

長腓骨筋・短腓骨筋のテーピング。負担を減らして筋や腱を保護しよう

※ご注意!
このページでは「腓骨筋群のテーピング」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

長腓骨筋と短腓骨筋の情報

 

まずはテーピングを貼る前に、長腓骨筋(ちょうひこつきん)と短腓骨筋(たんひこつきん)の場所と役割を知っておきたいところ。
走行と働きが分かっているとテーピングも効果的に貼りやすいです。

他の部位でもそうですが、どういう動きを制限したいのか、どの筋肉を保護したいのかを分かったうえでテーピングを施しましょう。

場所はどこにある?

長腓骨筋と短腓骨筋は腓骨の外側に位置する

長腓骨筋と短腓骨筋は下腿部(ひざ下~足首)に2本ある骨(腓骨)の外側にあります。

長腓骨筋の走行は、下腿上部の外側から起始して、外くるぶしの後方を通過、足底(足裏)をまたぐように横断して母趾(親指)側の足底に停止

短腓骨筋は、下腿部中央付近から下降して、外くるぶし(外果)の後方通って、足部の外側(第5中足骨基部)に停止します。

ふたつの筋肉の位置関係としては、筋腹(筋肉部分)では長腓骨筋が表層(外側)で短腓骨筋が深層(内側)です。

腱は外くるぶし(腓骨外果)の後方を通りますが、走行は短腓骨筋腱が前、長腓骨筋腱が後ろです。

長腓骨筋と短腓骨筋の負荷を減らして保護するためには、筋肉の機能を代替してくれるテープをその走行に沿って貼る必要があります。

どんな役割?

腓骨筋群の働きは足関節の回内・底屈と足部アーチの維持、歩行時の踏み返し運動

長腓骨筋と短腓骨筋の共通した足首(足関節)に対する作用は、

底屈(つま先を下げる)
外返し(小指側をもち上げる。)

底屈運動と外返し運動のほかにも重要な役割をもっています。

足部アーチの保持
足部のアーチは衝撃吸収とバランス保持に大切な機能。
長腓骨筋は内側縦アーチ・外側縦アーチ・横足アーチすべてに、短腓骨筋は外側縦アーチを保持しています。
足裏の荷重移動
歩行時の踏み返し(蹴りだし)のときには母趾球(親指のつけ根後方)が使われます。このときに使われるのが両方の腓骨筋。
また片足で立った時のグラグラを調整する能力もあります。
外側支持機構
もうひとつ大事な役割は足関節外側(足首外側)の靱帯が損傷したり、緩い場合に保持しています。
内反捻挫によって外側靱帯と同時に損傷されることも多いです。

長腓骨筋と短腓骨筋について詳しくはこちらの記事もご一緒にご覧ください。

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長腓骨筋・短腓骨筋のテーピングはどんなときに使う?

 

足部外側の長腓骨筋・短腓骨筋に関連する疾患

長腓骨筋と短腓骨筋に関連する疾患は多いです。
足首~足部の障害の頻度でも多くみられます。

そのほとんどで必要なのが、「筋肉の保護」。つまり、

過剰な負担減らす!

このときに使いやすいのがテーピングです。

腓骨筋が関連する疾患についての記事も参考にしてみてください。⇒長腓骨筋と短腓骨筋に関係するケガの種類と多い理由5つ
※テーピングで注意すること。
皮膚損傷(かぶれなど)、血行障害、神経圧迫など

テーピングの役割について

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しっかり固定するときのテーピング

短腓骨筋や長腓骨筋、または腱を安静にさせたいときには足関節を固定する必要があります。
おもに制限するのは足関節の内返し(足首の回外、足裏が内側を向く動き)。

固定姿位(こていしい:固定する角度や位置)は、足関節が直角(足首90°)で行います。
背屈位や底屈位では歩行に支障をきたしたり、きちんと固定できなかったりするためです。

今回使用するのは、厚めの伸縮テープ(コットンなどでできた少しだけ伸びる素材。)
商品名では「エラスチコン」や「エラスチックバンテージ」など。

皮膚が弱い人は「アンダーラップ」などを用いましょう。

腓骨筋をしっかり保護するテーピング。1本目内くるぶしから足底を通って外くるぶしへ①1本目
内くるぶし(内果)の少し上から足裏を通って、外くるぶしの少し上で止めます。
かかとの外側で足部外側(小趾側)を持ち上げるように軽く引っ張り上げるといいです。
腓骨筋しっかり固定テーピング2本目。1本目から半分ずらして内くるぶし→足底→外くるぶしへ。②2本目
1本目と同じ走行で、テープ幅半分くらいずらして貼ります。腓骨筋しっかり保護するテーピング3本目。外くるぶしから土踏まず→足底→うちくるぶしへ。③3本目
外果(外くるぶし)から舟状骨結節(土踏まず上にある骨の隆起)に向かいます。
足底を横断して小趾側を持ち上げながら、足首前でクロス、内果(内くるぶし)上で止めます。腓骨筋をしっかり保護するテーピング4本目。3本目と同じような走行と少しだけ前方にずらして貼り、足首前でクロスしたらテープの端を留めるようにらせん状に巻いて完成④4本目
3本目と同じ走行で、半分くらいずらして貼ります。
内果(内くるぶし)まできたら、らせん状に巻き付けます。
このとき1~3本目のテープの端(始点と終点)が剥がれないように一緒に留めてしまうのがポイントです。腓骨筋をしっかり保護するテーピング。完成したら足を着いて体重をかけてきつすぎないかチェックすること

⑤完成
完成したら必ず足を着いて体重をかけてみること。
きつすぎないか、神経圧迫がないかをチェックします。

固定力にまだ不安がある場合は、踵骨(かかと)を回外させないように「ヒールロック」をプラスして施すこともあります。

負担を減らしたいときのテーピング

がっちり固定はしなくてもいいけれど、長腓骨筋と短腓骨筋を保護&補助しておきたいときのテーピング。ケガの後、運動を再開するときに再発予防として補助的にテーピングを使ってもいいかもしれませんね。

今回紹介するのは、伸縮性のあるテーピングを使った貼り方(巻き方)。

簡易的な腓骨筋テーピング。伸縮性のテープを使って足首前側から足裏を通って腓骨筋に沿って、腓骨頭まで貼る

①1本目(図ではピンク
腓骨筋の働きを補助するテープ。
足首の前側からかかとの骨の前外方へ向かって足裏を斜めに横断。
かかとの外側を持ち上げるように軽く引っ張りながら、長腓骨筋に沿って、腓骨頭まで貼る。

簡易的な腓骨筋のテーピング。1本目を少し後方にずらして腓骨筋に沿って腓骨頭まで貼る

②2本目(図では黄色
腓骨筋の働きを補助するテープ。
1本目から半分くらい後方にずらして、同じような走行で腓骨頭まで貼る。

簡易的な腓骨筋のテーピング。 足首前側かららせん状に足首に巻き付ける。 足の外側を持ち上げるようにして引っ張るとよい

③3本目(図では水色
足関節の回外を制限するテープ。
足首前側から足裏へ向かって横断する。小趾側を持ち上げるイメージで。
足の甲側では、足首にらせん状に巻き付けるようにする。

腓骨筋の簡易テーピング。完成形。必ず足を着いてみてきつくないか確認する。

④完成
必ず足をついて、体重をかけてみること。
きつすぎないか、足がしびれないか、食い込みがないかをチェックする。

テーピングの貼り方は、貼る人によっても、状態よってもさまざま。テーピングの目的を理解して貼ることで、自分の足や生活に合った貼り方(巻き方)を見つけてみてください。

他のサイトもたくさん公開してらっしゃるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ミューラー様のページもわかりやすく解説されています。
外部リンク⇒腓骨筋へのキネシオテープの巻き方

最後に

腓骨筋は長腓骨筋と短腓骨筋、第三腓骨筋に分けられる

腓骨筋は足部の形状にとっても大切な筋肉です。
複雑な動きをする足首をまたいで走行するので、ケガや腓骨筋腱炎のようなオーバーユースも生じやすいですね。

筋肉の負荷を減らすにはテーピングが多く使われます。
ただし、テーピングは繰り返し貼ることで皮膚を傷めやすいデメリットもあるんです。

そんなときはしっかりと休めること、またサポーター包帯などの皮膚を傷めにくい装具を利用するのもいいかもしれません。

また、テーピングはあくまで「保護」「補助」のためであって、貼ることで「治癒」するわけではありません。
ケガや痛みがある場合は必ず医師や専門家の指導の下で行い、安静を支持された場合はそれに従いましょう。

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