子どもが足首をひねった!小児のねんざは要注意。気を付けることは?

こんにちは。ほんだ整骨院の山内健輔です。

幼児から小学校高学年ぐらいまでは、活発に身体を使って遊ぶ時期ですね。

そんな子どもたちにケガはつきもの。
なかでも多いのが足首をひねってしまうこと。

実は子どもの捻挫には、注意が必要なんです。
10代後半まではまだ骨が発達してくる時期。

骨が完全にできあがっていないので、軟部組織(靱帯や腱、滑液包など)だけの損傷にとどまらないこともあるのです。

今回の記事では、小児が足首をひねった」ときに注意すべきことについて紹介していきましょう。

子どもが足首をひねったときは骨折や骨端線損傷に注意すること

子どもが足首をひねった!小児のねんざは要注意。気を付けることは?

※ご注意!
このページでは「子どものねんざ」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガや痛みがある場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

子どもは骨組織の損傷に注意が必要!

子どもが足をひねった時は骨折に注意する必要がある 骨端線の損傷にも気を付けよう
剥離骨折になりやすい
骨端線がある
骨折が発見されにくい

子どもが足をひねってしまったときには注意が必要です。
大人では軟部組織の損傷にとどまる場合でも、骨組織の損傷を起こしている場合があります。

理由はふたつ。

骨がやわらかい
軟骨組織が豊富

成長途上にある子供の骨は、急激に成長するために骨密度が低いことがあります。
完全に骨化していないってこと。
子どもの骨に柔軟性があるかわりに力学的に弱さもあるんですね。

子どもの骨の特徴は?

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剥離骨折になりやすい

足首をひねった場合、おもに骨どうしを繋ぐ靱帯や腱が引っ張られます。

そのときに強い牽引力が加わるのが靱帯や腱の付着部。
子どもの場合、骨組織が完全に硬化していない(石灰沈着が完全ではない)ので骨ごと剥がれてしまうことがあります。

これが剥離骨折(はくりこっせつ)。
裂離骨折(れつりこっせつ)ともいいます。

前距腓靭帯の牽引力によって、付着部ごと剥がれてしまうのが外果剥離骨折

成人すると骨組織が硬くなるので、やわらかい靱帯のほうが損傷することが多いのです。
(もちろん付着部の強さや骨密度によっては骨折を起こすこともあります)

足首をひねった場合では、外くるぶし(外果)で剥離骨折が多いです。

外果剥離骨折(腓骨下端部裂離骨折)
前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)や踵腓靭帯(しょうひじんたい)が引き伸ばされ、その牽引力によって付着部である外果の骨組織が引きはがされるようにして損傷するもの
【外果剥離骨折】足をひねって・・・外くるぶしが骨折する?!

剥離骨折では骨片が転移(剥がれた骨が離れてしまうこと)すると骨癒合しにくいので注意が必要です。

剥離骨折とは?

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骨端線がある

骨の長軸の成長は「骨端軟骨」(成長板)で行われます。
これは骨のはじっこの部分「骨端部」にあり、レントゲン写真では線にみえるので「骨端線」とよばれます。

骨端軟骨といわれるだけあって、通常の骨部分よりもやわらかい。

  • 骨端線離開…強い外力が加わることで硬い骨部分と離れてしまう
  • 骨端線損傷…骨端軟骨が損傷する

骨端部は骨を成長させる部分。
この部分を損傷することで「成長障害」を引き起こしてしまうリスクがあるんです。

骨ってどうやって成長する?

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骨折が発見されにくい

症状が捻挫と極めて似ていること、この部分の骨折は歩行が可能であること等から受診が遅れる傾向にあります。また、軟骨成分の多いこの部位は骨折がレントゲン検査では写りにくく、初回の診察でははっきりしなかった骨折が治療経過中にわかることもあります。そのため、剥離骨折が疑わしい場合はレントゲン検査で骨折が確認できていなくても、初期固定をして経過観察することもあります。

足関節外果剥離骨折 ~子どもの足首の捻挫は要注意~奈良県医師会 瀬戸靖史

小児の足部の骨は、成人のように隙間なく並んでいるわけではありません。

レントゲンを見ると隙間が多くみえます。
これは骨が硬化しておらず軟骨組織が多いのと、骨がまだ小さいためです。

このため骨折も年齢、骨の発達ぐあい、場所によっては写りにくいことが多いのです。

足首を強引にひねるようにして撮る「内反ストレス撮影」では、骨折線が見えやすくなります。

ただし、強い痛みを伴ったり、損傷を拡大させる恐れがあるので行われることは少ないです。

子どもの骨折の特徴

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内反強制(足首を回外)で損傷しやすい場所は?

足首外側で負傷しやすい場所。前距腓靭帯・踵腓靭帯・二分靱帯・第5中足骨基部・踵骨前方突起・外果剥離骨折・前脛腓靱帯・立方骨圧迫骨折など
内反強制で起きやすいケガ
前距腓靭帯損傷
外果剥離骨折
踵腓靭帯損傷
第5中足骨基部骨折
二分靱帯損傷
踵骨前方突起骨折
立方骨圧迫骨折
前脛腓靱帯損傷
腓骨下端骨端線離開
※↑青文字のところはリンクになっていて詳しいページに移動します。

この中で小児が起きやすいのは外果剥離骨折のほかには第5中足骨基部の骨折。

外果には前距腓靭帯や踵腓靭帯、前脛腓靱帯など多くの靱帯が付着します。

第5中足骨基部には「短腓骨筋腱」(たんひこつきんけん)が付着します。

これらの靱帯や腱は足部を回外(足裏を内側に向けるような動き)によって牽引力が働きます。

このときに子どもの骨は剥離骨折を起こしやすいのです。

足関節捻挫の応急処置

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外傷が多い年代

5~10歳の子供は身体が大きくなり活発に遊ぶ時期。ケガもしやすい。

外果剥離骨折が多いのは5~10歳ごろ。
身体や身体能力が急激に向上して、活発に身体を使って遊びまわる時期です。

・・・と同時に筋力が弱くバランスを崩しやすい、注意力が散漫になりやすい年ごろでもあります。

ケガの原因
高所から飛び降りた
段差を踏み外した
くぼみに足をとられた
スポーツ
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子どもが足をひねってしまったときの対処

足首をひねったときのRICE処置

直後は冷却安静
さらに保護を加えて患部の守ります。

足をひねった場合に損傷するのは靱帯・骨・軟骨・筋肉と腱のことがほとんどです。

子どもは自分でけがの程度を判断しにくい
ケガが大きくても歩けてしまう

骨折でも「不全」(ヒビ)の場合は、血腫(内出血)や腫脹(腫れ)も少なく足もつけてしまうことがあります。

小児の骨端部の痛みは成長障害のリスクがある部位。
さらに靱帯にゆるみを残してしまうことで、将来変形性関節症不安定症に発展してしまう恐れもあるんです。

歩けるから大丈夫と思わずに必ず整形外科を受診しましょう。

子どものねんざの場合は最初は強めに固定して様子を見ることが重要

固定は、最初のうちは強固に行います。
理由は、

  • 骨折や骨端線損傷の恐れがあること
  • 動かすなと言っても動いてしまうため

徐々に痛みの具合や画像診断で経過をみながら、固定を軽いものに変えていきます。

小児は骨折があっても、成人よりも早く骨癒合します。
ただし再受傷率の高い外傷なので慎重に時間をかけて、固定を外していきましょう。

子どもが足をひねったとき~まとめ

  • 靱帯損傷よりも剥離骨折になりやすい
  • 骨端線損傷や骨端線離開にも気を付ける
  • 不全骨折の場合、血腫や腫れも少なく見逃されやすい
  • 自分でけがの程度を判断しにくい
  • ゆるみを残してしまうと不安定症や関節症になりやすい
  • 再受傷率がたかい
  • 最初は固定を強固にする

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