簡単!腓骨筋のストレッチ&トレーニング&ケア。自宅でやってみよう!

こんにちは。ほんだ整骨院の山内です。

今日紹介するのは、「腓骨筋を鍛える&ほぐす」ケアのしかたについて。

下腿部の外側にある腓骨筋群に問題があると、足首が不安定だったり、片足でバランスがとりづらかったり、足のアーチに異常をきたしたり・・・いろんなところに不都合を生じやすいです。

自宅でも簡単にケアしやすい筋肉ですので、参考にしてみてくださいね。

ただし、腓骨筋関連の痛みや疾患のある人は注意が必要です。
注意事項についても解説していきますのでできれば最後まで読んでみてください。

腓骨筋の場所とトレーニング

簡単にできる腓骨筋のストレッチ&トレーニング。バランスをとる筋肉をケアして運動パフォーマンスアップ!

※ご注意!
このページでは「腓骨筋のトレーニングとストレッチ」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変化している可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

長腓骨筋、短腓骨筋の働き

長腓骨筋と短腓骨筋の腱は外果と腓骨筋滑車で方向転換する

「腓骨筋」という名前が付く筋肉は実は3つあります。

長腓骨筋(ちょうひこつきん)
短腓骨筋(たんひこつきん)
第3腓骨筋(だいさんひこつきん)

ただし、第3腓骨筋は、他のふたつの筋肉と作用が少し違ってくるので今回の記事では、長腓骨筋と短腓骨筋について紹介していきます。

腓骨筋群について詳しくはこちらの記事もご参考に。

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長腓骨筋の働き

・作用は足首の底屈と外返し
・縦アーチを足底側から支える
・足根部の横アーチを維持する
・足裏の着地時にバランスをとる
・歩行時に母趾球に体重を移動させる

長腓骨筋は腓骨頭(ひざ下にある外側の骨突起部)あたりから、腓骨の外側にある筋肉。

下部では短腓骨筋と重なりますが、外側を走行。
外果(外くるぶし)の後方、踵骨(かかと)にある腓骨筋滑車(ひこつきんかっしゃ)の後方を通過して足底を横切るようにまたぎます。

足底では第1中足骨底部と舟状骨(母趾側)に付着します。

腓骨筋の作用は回内(外反)と底屈。さらに短腓骨筋は外転作用もある

作用は足関節(足首)の底屈外返し
着地時に後脛骨筋(こうけいこつきん)とともにバランスを調整する役割があります。

さらに歩行や走る動作のときに外側荷重から母趾側に体重移動させ、踏み返し動作を行うときに使われます。

また、腱の走行から内側縦アーチ・外側縦アーチ・横足アーチの維持にも重要な役割を果たしています。

長腓骨筋・短腓骨筋の打撲と肉離れ

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短腓骨筋の働き

・作用は足首の底屈・外返し
・足関節の外側支持機構
・外側縦アーチの保持

腓骨の外側、長腓骨筋の少し下にあるのが短腓骨筋。
筋線維が羽のように走行する「羽状筋」(うじょうきん)。
力強い動きができます。

腱は外果部分では長腓骨筋の前方を走行。
第5中足骨基部(外くるぶし前下方にある突起)に停止します。

作用はこちらも足首の底屈外返し
長腓骨筋と同じようにバランス調整や体重移動の役目があります。

短腓骨筋は、足関節の外側支持機構のひとつにもなっている重要な組織でもあります。

足関節の外側支持機構
足首の外側を支える組織。
前距腓靭帯・踵腓靭帯・後距腓靭帯・二分靭帯など、足関節が外側に崩れないように支えている。

短腓骨筋は第5中足骨基部を持ち上げるように走行するので、外側縦アーチの維持にも役立っています。

腓骨筋を鍛える&ほぐすメリット

腓骨筋をケアすることで運動パフォーマンス向上、足部形状維持、ケガの防止を期待できる
・運動パフォーマンス向上
・足部の形状維持
・外側靭帯損傷後のリハビリ

運動パフォーマンス向上

腓骨筋は下腿内側の後脛骨筋とともに、片足でのバランスを保持するのに大切な筋肉です。

運動時に足元がグラついていては、力が発揮できないばかりか、ケガのもとにもなりかねません。

鍛えるだけでなく、神経系との連携も必要です。
バランスを保つには、

足回りの感覚を脳に伝える

脊髄・脳から筋肉に指令

基本的に筋肉は脳の指令によって動きます。
ただし「反射」(はんしゃ)といって、場合によっては、感覚器の情報をもとに脊髄が反応して筋肉に回避行動をとらせるものもあります。

腓骨筋はバランス保持に必要な筋肉。
鍛えて、動かしておくことでこれら神経系との連携がスムーズにできるようになります。

また、腓骨筋の筋緊張をとってほぐしておくことで足首の柔軟性を保ってケガを防ぐことも大事です。

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脳と神経、筋肉の反応速度をあげたり、体幹部の筋力強化、深部感覚をトレーニングすることでばっらんす能力が上がる

足部の形状維持

腓骨筋群の働き

足部の形状、とくに3つのアーチが崩れると足のいろいろな場所に問題が生じます。
筋肉や腱の牽引方向、重力を受ける場所が変わってしまうからです。

短腓骨筋は外側縦アーチ、長腓骨筋は外側・内側、横のアーチすべてを維持させる筋肉です。

前脛骨筋や後脛骨筋、足底屈筋群とともにケアをしておきたい場所ですね。

縦アーチの役割とは?⇒足の縦アーチ(土踏まず)の役割。崩れると身体全体にも大きな影響!

横アーチの役割とは?⇒足の横足アーチ。維持するために必要なこと。低下するとどうなる?

外側靭帯損傷後のリハビリ

ふたつの腓骨筋は、足部の外側支持機構でもあります。
スポーツや日常生活で生じやすい足首の「内反捻挫」では、おもに足首外側の靭帯が損傷されます。

靭帯は骨と骨をつないでいるものなので、これが損傷すると足首がグラグラになってしまいます。

このときに大切なのが長腓骨筋・短腓骨筋の役割。
作用が「外返し」・・・ということで「内反防止」の役目を担ってくれるのです。

繰り返し内反捻挫をしている人は、外側の靭帯が「延長治癒」という形で延びてしまっている人も多いです。
そんな人たちは積極的に腓骨筋を鍛えてほぐして、足首外側を安定させておく必要があります。

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長腓骨筋・短腓骨筋を鍛えるトレーニング

腓骨筋トレーニング。小指側を外側に開くように足首を動かす

長腓骨筋と短腓骨筋は一緒に鍛えられます。(別々に鍛えるのは難しい)
立って自分の体重を負荷にして行うものとチューブやタオルをつかって行うものがあります。

どちらでもご自分に合った方法でやってみましょう。
回数や時間もご自分に合わせて。
基本的には、腓骨の外側がジーンとだるくなるぐらいまでは続けて行います。

最初のうちは両足同時にやるのは難しいかもしれません。
片方ずつ腓骨筋に効いているのを確認しながら行うのもいいかもしれませんね。

【立位】

立位で腓骨筋を鍛えるときは地面に母趾球を押しつけるようにして小趾側を持ち上げる

立ったまま小指側を持ち上げる!
ポイントは母趾(足の親指)と母趾球で地面を押すイメージで。

上級者は肩で壁に寄りかかって反対側の小趾側を持ち上げようとするトレーニングもあります。(寄りかかっていない側をきたえる)

負荷が強くなるので上級者向け

【座位】

座位で腓骨筋をトレーニングするときはかかとをつけたまま小趾側を持ち上げる

椅子に座って小趾側(外側)を持ち上げるトレーニング。
こちらも母趾球を地面に押しつける感覚で。

チューブを足部に巻き付けて腓骨筋をトレーニングする方法。膝とかかとをつけたまま、つま先を開いたり閉じたりする

チューブを足部に巻き付けて負荷にする方法。
股関節ではなくつま先だけ(足首だけ)動かす感覚で。

タオルや布で外側に力を入れるだけ(うごかさなくても)でもOK。

トレーニングをしている時に下腿外側の腓骨筋部分に効いている感じがでるように。疲れたりだるくなるまでがんばりましょう。

外果や足部外側に痛みを感じたら中止すること。

後脛骨筋を鍛える&ほぐす

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長・短腓骨筋をほぐすストレッチ

長腓骨筋・短腓骨筋の作用は、足首を底屈(つま先を下げる)、外返し(小趾側を上げる)筋肉です。

その反対である、足首を背屈(つま先を上げる)、内返し(母趾側を上げる)させれば、ストレッチできます。

【立位】

立って腓骨筋ストレッチするときは母趾球を浮かせたまま前屈していく

母趾側を浮かせたまま前屈していく。
腓骨筋だけを伸ばすのであれば、膝は曲がってもOK。

小趾側を地面に押しつけるようにして片足ずつストレッチ

立ったまま(座ってもできる)、足関節を回外(母趾側を浮かす)してもストレッチできる。

【座位】

椅子に座って、手で小趾側を持ち上げて腓骨筋をストレッチする

足を組んで片方ずつ、自分の手で足首を回外させてストレッチ。

長座になり、タオルで母趾側を引っ張ることでℍ骨金を伸張させるストレッチ。

長座しながらタオルなどで足首を回外させて腓骨筋を伸ばす。

【手でほぐす】

腓骨に沿って手の親指の腹で腓骨筋をなぞっていくだけでもほぐせる

いちばん外側にある筋肉なので、長腓骨筋と短腓骨筋に沿って軽くさするだけでもほぐせます。
入浴中せっけんをつけながら、入浴後に保湿剤を塗りながらなどがおすすめです。

腓骨筋をケアするときの注意!

腓骨筋をケアするときの注意。腓骨筋滑車と外果の痛みに気をつけよう

長腓骨筋や短腓骨筋の腱は骨に沿って走行します。
その走行は、外果(外くるぶし)や腓骨筋滑車(腓骨筋滑車:踵骨にある)という突起部分で方向転換します。

腓骨筋に関連する痛みで多いのが、この方向転換する部分(外果周辺)と短腓骨筋の付着する第5中足骨基部

ストレッチや筋肉強化のトレーニングで腱が強く引っ張られたり、摩擦が生じると炎症を起こして痛みに変わってしまいます。

筋力トレーニングは、

負荷を上げすぎないように。

ストレッチは、

弱めに、静止させて行う。

ケアをしているときに。外くるぶしやその下に痛みが出るようならすぐに中止しましょう。
筋肉部分をほぐしたいときは、上述した【手でほぐす】やり方で行いましょう。

腓骨筋群が関連する疾患

腓骨筋に関連する疾患。イセリン病、下駄骨折、腓骨筋腱炎、腓骨筋腱脱臼

腓骨筋は足部の形状を維持するためにも重要な役割をもっています。
また、腱が比較的皮膚から浅い場所を走行するので損傷も起きやすい特徴があります。

〇イズリン病
小児の第5中足骨基部の骨端症。短腓骨筋の牽引と関連する。
イズリン病(イセリン病)は足の外側の骨端症。類似疾患にも注意!

〇下駄(履き)骨折
第5中足骨基部の骨折。足関節(足首)を内反したときに短腓骨筋の付着部が牽引によって損傷する。
軽視はダメ!【下駄骨折】捻挫(ねんざ)に似ている剥離骨折!

〇腓骨筋腱炎
外果(外くるぶし)や腓骨筋滑車(踵骨)と腓骨筋の腱の摩擦によって痛みを引き起こす。
【外くるぶし】の下や後ろの痛み。「腓骨筋腱炎」は足の着き方が原因!

〇腓骨筋腱脱臼
腓骨筋支帯が損傷して、腓骨筋腱が外果(外くるぶし)を乗り越えて前方に脱臼。
腓骨筋腱脱臼は習慣化しやすい障害。見逃されやすいので要注意!

〇短腓骨筋腱縦断裂
短腓骨筋腱が長腓骨筋腱に後方から押しつけられることで外果との摩擦によって縦に避けてしまう疾患
足首外側(外くるぶし後ろ)の痛み。「短腓骨筋腱縦断裂」(損傷)はどんな疾患?

○短腓骨筋腱付着部炎
短腓骨筋腱の停止部での炎症。
腱断裂や裂離骨折にまでいたっていない損傷で繰り返しの刺激により炎症を起こしたもの。
踏み返しやつま先立ち、外側荷重でも疼痛が生じる。⇒足の外側の骨が痛い!「短腓骨筋腱付着部炎」原因と再発予防。

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