足裏親指つけ根の痛みが特徴。「種子骨障害」の種類とは。

こんにちは、荻窪教会通りほんだ整骨院の山内です。
まだ寒い日が続いていますが、だんだんと春が近づいている気配は感じますね。

 

さて、この間、柔道をしている小学生が足裏の親指付け根部分の痛みを訴えて来院されました。

そこで今回は『種子骨障害』についてのお話です。

足裏親指つけ根の痛みが特徴。「種子骨障害」の種類とは。

※このページでは「種子骨障害」について紹介しています。記事執筆時点での情報です。
正確な情報を記すよう努めていますが、医学的視点や見解の違い、科学の進歩により情報が変わっている可能性もあります。
ケガをした場合は、記事だけで判断せず、病院などで正しい診断を受けることをおすすめします。

種子骨障害(しゅしこつしょうがい)って?

種子骨
足の親指の付け根、足の裏側(「母趾球」ぼしきゅうといいます)に左右に2個ずつある骨。
植物の種のような形をしています。
筋肉や筋膜が骨とこすれないようにベアリングのような働きをしていると考えられます。

足の種子骨は「短母趾屈筋腱」(たんぼしくっきんけん)の内部にあり、腱と中足骨頭部、地面との摩擦を減らす役割があります。

種子骨障害は、種子骨周囲の軟部組織の炎症や種子骨自体の骨折、ひどくなると骨壊死を起こすことがあります。
種子骨は足の裏、親指の付け根にある小さな骨で腱と中足骨がこすれるのを防いでいます。

歩行時や走行時など片足でつま先立ちになったときに強く体重がかかる部分です。

親指が反る & 重みが加わる

ことで受傷&痛みが誘発されます。

人によっては、もともと分裂している「二分種子骨」になっている人もいます。

こちらの記事でも種子骨障害を詳しく紹介しています

硬い地面での運動や足の前部に体重をかけることが多いスポーツでなることが多く、親指側に体重をかけると強く痛みます。反対側の足と比べると腫れによって分厚く見えます

内側と外側にふたつありますが、内側の種子骨に痛みが出ることが多いです。

足指の剥離骨折も意外と多く見られるケガです。

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種子骨の他に骨の種類って?⇒骨の分類。形状によって6つに分けられるよ。

種子骨障害の種類

母趾の種子骨自体に損傷があるもの、種子骨周囲の軟部組織に損傷があるもの、もともと種子骨に障害があるもの。

「種子骨障害」はそれらを総称しています。

骨折

強く母趾球を衝いたり、繰り返しの衝撃によって、種子骨が割れたり、不全骨折(ヒビ)を起こしたりする。
内出血と腫れが大きくなることが多い。

疲労骨折

微小な外力を受けることで起こる骨損傷。
発生機転は「骨折」とほぼ同じ。
内出血や腫れも起こるが急性の骨折よりも少なめ。

分離種子骨

もともと種子骨が分裂している。骨折と違って割れた線はなだらか。
基本的に分裂していることでの障害は少ない。
実際には結合組織でつながっているものもある。
(レントゲン上は結合組織が移らず、分離しているように見える)

偽関節

骨折で割れてしまった種子骨が癒合せずに、分離してしまっているもの。

無腐性骨壊死

種子骨自体や周囲の組織の損傷を繰り返すことで、種子骨に血流が途絶えることで発生する。
痛みをがまんすることでなったり、ヒールの高い靴で長期間過ごしたりすることでなったりする。

滑液包炎

種子骨の周囲にある腱や筋膜にある滑液包(かつえきほう)が体重や衝撃をうけて炎症を起こす。

このほかに母趾MTP関節(中足趾節関節)の底側の靱帯や蹠側板(せきそくばん)を損傷する「ターフトゥ」があります。

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蹠側板(せきそくばん)は「プランタープレート」と呼ばれ、関節運動を安定化させる役割があります。

どうして母趾種子骨障害が起きる?

母趾の中足骨頭部の底面にある種子骨と地面(靴底)が繰り返しぶつかることで生じる

母趾球は荷重がかかると同時に、下肢全体の筋肉が生み出した力を地面に伝える部分でもあります。

すごく負担が大きくなる場所なんです。

加えて、

ハイヒール
硬い地面
薄い靴底
裸足での競技
スパイクのポイント形状

が重なるとより種子骨に加わる圧力が増します。

さらに、立った時に足の指が宙に浮いている「浮指」(うきゆび)も原因のひとつです。

中足骨頭部と足のアーチは密接な関連があります!詳しくはこちらの記事もご一緒にご覧ください。
足の縦アーチ⇒足の(縦)アーチの役割。崩れると身体全体にも大きな影響!
横足アーチ⇒足の横足アーチ。維持するために必要なこと。低下するとどうなる?

足裏の筋肉をケアしておきましょう!⇒あしうら(足底)の筋肉を「鍛える」&「ほぐす」で足の不調を防ぐ!

種子骨の周囲の組織が損傷する「ターフトゥ」ってどんなケガ?⇒「ターフトゥ」は中足趾節(MTP)関節底側(母趾球)の損傷。反らせると痛い!

まとめ

インソールの母趾球部分を切り抜いて、その周囲にパッドを貼って免荷する

臨床ではスポーツをしている学生さんに多くみられる印象ですが、母趾種子骨に衝撃や負荷が重なれば誰にでも起こる可能性があります。
治療は基本的に安静が第一ですが、種子骨に荷重がかからないように靴のインソールをくりぬいたり、母趾にテーピングを施すことによって免荷することも効果的です。

免荷(めんか)
患部に体重や力が加わらないようにすること。

放置して、運動し続けてもなかなか治りにくい障害です。

種子骨障害が起きたら、患部を徹底的に安静に保つことが大切です。

あまり長期間痛みが続いてしまうと、種子骨が分裂してしまったり、壊死が起きることもあります。

運動をしている人は、完全に練習を休むのではなく、患部に負担のかからない練習を行いましょう。

分からない場合は専門家に相談してみてくださいね。

足の前足部、中足骨頭部の痛みには、いろんな原因があります。詳しくはこちらの記事も参考にご覧ください。前足部の足指のつけ根付近「中足骨頭部の痛み」はどんな種類がある?

種子骨障害やターフトゥ、強剛母趾で使える母趾「背屈制限」のテーピングやり方

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