受傷後のアイシング(冷却)。治療期間を短縮する効果あり!【応急処置】

こんにちは。ほんだ整骨院山内です。

 

ぶつけたとき。
ひねったとき。
肉離れしたとき。


こんなときは、応急処置として冷却(アイシング)をしておくと組織の回復が早くなります。

ケガをした直後にアイシングしておくと、余計な出血や腫脹(腫れ)を予防できます。

やるのとやらないのとでは、治り方が大違いなんです。

そこで、今回は「外傷後のアイシング」について紹介していきたいと思います。

受傷後の【アイシング(冷却)】治療期間を短縮する効果あり!

温めるor冷やす迷ったらどうする?判断基準は?

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受傷後に大事なRICE処置

最近では、スポーツ現場だけではなく、アウトドアの場面でも一般的に広がってきている応急処置。

聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

「RICE処置」

Rest(安静)
Icing(冷却)
Compression(圧迫)
Elevation(挙上)

頭文字をとって「RICE処置」っていいます。

この中でもとくに重要なのが、

「安静」と「冷却」

この二つはほんとに重要!
これをやらないと組織の再生期間を縮めるどころか、組織の損傷を拡大してしまう結果にもつながりかねません!

非常に大切な応急処置なのです。

「RICE処置」については、こちらの記事で詳しく紹介しています。⇒ケガをしたときの応急手当て「RICE(ライス)処置」ってな~に?

アイシングをする意味。

今回は「RICE処置」のなかでも、「Icing(冷却)」をする意味と方法を紹介していきますね。

アイシングは「寒冷療法」とも呼ばれ、ケガをした患部を冷却します。

不意のケガは、誰にでも起こり得るもの。
そんな時に迅速に患部を冷却するためには、アイシングをする意味を知っておくことは大切なことです。

出血を抑える。

ケガをすると、組織が損傷します。
組織には毛細血管がたくさん分布しています。

また、大きなケガだともう少し大きめの血管が損傷して内出血(ときには外側も損傷することも)が起こります。

患部を冷却することで、血管を収縮させて出血量を抑えることができます。

腫脹を抑える。

腫脹とは腫れのこと。炎症反応のひとつです。

ケガをするとなぜ、腫れるかというと、

組織が損傷

血管からの出血・血管の壁から浸出液流出。
さらに、血管壁から白血球なども漏出。

周囲の細胞にも浮腫が起こる。

こうして、患部は腫れます。
アイシングは血管を収縮させて腫れを抑える効果もあります。

二次的に損傷を拡大させない。

 

損傷により周囲の血管から血しょう成分、白血球などが滲出(しんしゅつ=にじみ出る)することで、腫脹が生じます。←「血管透過性の亢進」(けっかんとうかせいのこうしん)といいます!

その腫脹によって、損傷した周囲にある健常な細胞は、酸欠を起こしてしまうのです。

酸欠を起こして壊死した細胞を処理するために、身体はより血管から白血球を増やしていきます。

これを繰り返すことにより、炎症範囲、二次損傷(周囲の細胞の壊死)が広がっていくことになります。

アイシングは細胞の活動を抑え、必要な酸素量も減らします。必要な酸素量が少なければ、壊死する細胞の範囲も減少し、結果、治癒までの期間が短縮できるのです。

痛みを和らげる。

アイシングは、「痛み」を和らげる効果があります。

痛みの受容体を鈍くさせるほかに、「冷たい!」感覚で痛みをまぎらわせることができるのです。

まず、冷やすと

冷た~い!

熱い?

痛~い!

感じない!?

という感覚になります。
この4段階目の「感じない」レベルまで、耐えられると深部まで冷却できるはずです。
ただし、安全のため「感じない」までいったら一旦アイシングを中止します。
(患部の異常を感知しにくくなるため!)

冷却のやり方。

ビニール袋で氷のうを作る

損傷の治癒を早めることに効果的なアイシング。

ですが、正しく行わないと効果も半減。その上、皮膚損傷(凍傷)の危険も出てきます。

何かあった時のためにアイシングのやり方を覚えておいてくださいね。

できれば氷のうを使う!

アイシングをやるときはできれば「氷のう」を使うことが好ましいです。
なければ、ビニール袋でもOK。

①氷を水で少し濡らす!
四角い氷の角を丸くする。
氷が解けていく状態をつくることで、効率よく熱を奪うことができる。
凍傷をつくりにくい。

②氷のうやビニール袋の水を捨て、空気を抜いて密閉する。
中に水が多量に入っていると、氷がすぐに溶けてしまってアイシング効果が持続しません。
水分を抜いて、氷を患部に密着させることで、長時間患部を冷やしやすいです。

③患部に密着するように当てる。
患部と氷のうとの距離が開いてしまっていると冷却効果もがた落ちです。
必ず密着させましょう。

保冷剤を利用するときは!

氷がなくて、冷凍庫に入っている「保冷剤」を利用することもあるかもしれませんね。

そんなときは、

水をかけて、表面を解かす!

保冷材の温度は0℃を下回ります。
それを長時間皮膚に当ててしまうと、「凍傷」になってしまうこともあります。

表面を解かすことで、患部に密着しやすくもなるので、アイシング効果も高まります。

保冷剤を利用するときは、「凍傷」を作らないことがポイントです。

コールドスプレーはアイシング効果はいまいち。

コールドスプレーは、温度が冷たすぎるうえに、冷却の持続時間が短いのです。

吹きかける位置が近すぎるのも少し長めにやるのも凍傷の危険が高まります。

コールドスプレーは皮膚の表面を短時間だけ冷やすものと考えてください。

しっかり熱を奪える温度で!

アイシングは患部の熱をとることが大切です。
患部の温度を下げることで細胞の活性を抑えたり、血管を収縮させましょう。

冷たすぎて耐えられないとき!

アイシング時に冷たすぎるので、厚めのタオルの上から氷のうを当てているのをみかけます。

ですが、タオルのような厚めの生地だと患部へのアイシング効果は低いです。

あまりにも冷たく感じ過ぎる場合は、ハンカチや日本手ぬぐいなどの薄い生地のものを使用しましょう。
ティッシュやキッチンペーパーでもアリです。

可能ならば、間にはさむ布を濡らしておくと効果的です。

氷を濡らす理由。

氷のうに氷を入れる時に表面を濡らすとより冷却効果が高まります。

氷は解けて液体になるときに周囲から熱を奪います。
これを利用することで冷却効果を高めているのです。

また、四角い氷の場合は、とがった角が氷のうやビニール袋を傷つけてしまうことがあります。

一度、氷を濡らしておくことで、表面を解かし、角のとがった部分で傷つけてしまうことを防げます。

密着させることも大事!

患部と氷のうを密着させることも大事です。

密着していないと充分なアイシング効果が期待できません!
氷のうに入れる氷を濡らすことは前述しましたが、解けた水が患部に密着させることにも役立ちます。

なるべく患部と氷のうの間に空間を作らないようにして、アイシングを行いましょう!

頻度と継続時間。

1回のアイシング時間 15~20分。
アイシングの頻度 1~2時間おきに。

効果的なアイシングの時間は損傷範囲にもよりますが、15~20分といわれています。
とくに捻挫や肉離れの場合、損傷部位が深部のことがあります。

アイシングの目的は、患部の冷却とその周囲の細部の活性を下げること。
深部までしっかりと冷やしましょう。

頻度としては、1~2時間に一回ぐらいを繰り返します。

アイシングをする期間

炎症反応は24時間から72時間かけて強くなります。
72時間経過後も徐々に炎症がひいていきます。

少なくとも負傷後、72時間まではアイシングをしておいた方がいいですね。

その後も患部周囲に熱感がある場合は継続します。
逆に、熱感も腫脹もおさまっている場合は、組織が回復する時期になっています。中止してもかまいません。

炎症が治まってから、アイシングを長期に続けていると、患部の血流が悪くなり、今度は再生を遅らせることにもなりえます。

患部を触って健常部と比べたり、左右触ってみて熱感を比べてみることが必要です。
最近では、表面温度が計れる体温計もありますよね。
熱感をみるのにも役立ちそうです。

凍傷(とうしょう)に気を付けて!

凍傷は、組織が凍結することによって起こる皮膚組織の障害です。

氷を濡らしてから氷のうに入れて使用していれば、それほど危険はありませんが、冷凍庫から出したばかりの保冷剤やコールドスプレーを使用したときに起こることがあります。
※寒冷な環境でアイシングを行うと0℃以上でも凍傷をおこすこともあるので要注意です。

凍傷を起こすと患部は白くなり、何も感じなくなります。
時間が経ってくると水疱(みずぶくれ)ができることもあります。

アイシングで凍傷を起こすことは、ケガをした部位に加えて、新たな損傷をつくることになります。
皮膚組織が損傷するとここでも炎症を起こすことになり、傷になってしまうと細菌感染のおそれも出てくるのです。

炎症期間が長引くと患部の治りも悪くなりますので、絶対に凍傷を起こさないようにしましょう!

冷却してはいけないとき。

ケガをしたら、なんでもかんでも冷やしていいわけではありません。

アイシングをすることで状態を悪くしてしまう疾患がある場合は冷却してはいけません!
この場合は必ず、医師の指示のもとに行いましょう。

〇循環器系疾患
血液が固まりやすい、血栓ができやすい疾患を持っている人はアイシングに注意が必要です。
また、循環障害のある部位にアイシングを行うと血液循環がさらに悪化する恐れがあります。

〇感覚障害がある
皮膚感覚に鈍麻や麻痺があると凍傷になることがあります。

〇レイノー(Raynaud)病やレイノー現象
手や指が冷たくなると真っ白になり、その後、紫色になり、温まると赤くなる、末端の血流障害です。
膠原病(こうげんびょう)を原因とするもの、原因不明のものがあります。
アイシングをすると症状が悪化するおそれがあります。

〇寒冷アレルギー(寒冷過敏症)がある。
冷やすことでアレルギー症状が出る人もいます。
ショック症状が出てしまう恐れがあるので、必ず医師の管理のもとに行うべきです。

〇心臓や胸部
急激に血管を収縮させるため、心臓の近くは避けます。

注意!
アイシング中は控えるべきもの。
アルコール
湯船で温まる。
就寝中のアイシング。

身体全体を温めたり、血流を良くする行為は注意をしながら行う必要があります。
さらに、睡眠中にアイシングをする人もいますが、凍傷のおそれからやめておいた方がいいかもしれませんね。

まとめ

〇冷却することで早く炎症を抑える
過剰な出血や腫脹を防止する。
〇できるだけ氷を利用する。
凍傷には充分気を付ける。
密着させること、しっかり熱を奪える温度が大事。
〇氷のうに入れる前に氷を濡らすと効果的
炎症が治まったらアイシングはやめる
アイシングの禁忌(してはいけない)もチェック!

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